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十四章 太陽神の加護
太陽神の試練②(ラディウス視点)
太陽神に攫われたヴィアがいるダンジョンの最下層へ向かう俺達は、現れる魔物達をひたすら斬った。
時折、わざとなのか魔物が罠を踏む。
それを弟のヴェントゥスの鑑定神の加護で、教えてくれ、リヒトやレインが罠を潰してくれる。
ヴィアの兄グレイシア殿は、父親のミストラル大公に似ているのか、攻撃特化型で、ミストラル大公と共に先陣で魔物を斬っていく。打ち漏らした魔物を俺の母ミーティアが斬り、ヴィアの弟のアイシクルが剣や魔法で攻撃していた。
俺も魔物を斬ったり、罠を潰したりするが、違和感を覚える。
これが太陽神が与える試練なのだろうか。
あまり試練には感じない。
このダンジョンを甘く見るなと言った太陽神の言葉を信じるなら、魔物や罠だけではない。
何かがあるに違いない。
ヴィアがいる最下層まで早く行きたい焦りと、どんな試練があるのか分からない緊張で、どんどん冷静ではなくなっていく。
ヴィアに会う前は、こんなにも焦ったりすることはなかった。
噂される『公明正大ではあるが、貴族達の前では冷ややか』な王太子には戻れない。
もう、俺の唯一に出会ったから。
唯一に出会った後も、元の冷ややかな王太子になれということは分かる。
冷静にならないと揚げ足を取られる場所に俺はいる。
伴侶にするヴィアを王宮で守るには、冷静に対応しなければいけない。
……それが太陽神の狙いかもしれない。
「……冷静さが、必要なのは分かってる」
魔物を斬り、火の魔法を放ちながら呟く。
先程の太陽神に会った時もそうだった。
あの時、冷静に対処していれば、ヴィアを攫われずに済んだかもしれない。
「殿下!」
アイシクルの声が聞こえたと同時に、背後から魔物の気配を感じ、左手に力を集中させる。
太く、鋭い爪を持ったリザードが攻撃して来る。
その爪を左手の甲で防ぎ、右手に持つ剣を振り下ろす。
「殿下、お怪我はありませんか?」
アイシクルが俺に声を掛けてくる。その表情は驚いている。
「大丈夫だ。問題ない」
「え、でも、先程、リザードの攻撃が当たってましたよね?」
「竜神の加護で防いだ。怪我はしていない」
ヴィアのように心配そうに見上げるアイシクルに小さく笑う。
弟だから、アイシクルは少しヴィアに似ている。
ヴィアより背は高いが、それでも俺より低いアイシクルの見上げる目は少しだけ似ている。
アイシクルに左手の甲を見せる。
竜の鱗が少し手の甲に残っているが、怪我は全くない。
竜は鱗で覆われ、硬い。
滅多なことでは攻撃は通らない。ミストラル大公の攻撃は怖くて当たりたくない。試そうとも思わない。多分、命が消え掛ける。命は大事に。
竜神の加護は、五感が優れている、身体が頑丈以外に、一部を竜化出来る。
前国王で、父に玉座を譲り、最近は自分の館に祖母と共に引き篭って、ほとんど姿を見せなくなった祖父の話だと、俺は竜の血が濃いらしく、全身を竜の姿に出来る……らしい。
したことがないから知らないが。
アイシクルは心配なのか、じっと俺の左手の甲を見つめる。
「……良かった。殿下が怪我したら、リヴィ兄上が泣くかもしれないから、攻撃が当たったのを見て、血の気が引きました……」
ホッと息を吐いたアイシクルを見て、苦笑する。
前に泣かせてしまったと言ったら、レイディアンス大公家が大変なことになりそうな気がしたので、黙っておく。
「今のところはリザードくらいの魔物なら攻撃は通らない。が、ケルベロスとかが出ると、分からないな……」
「ここ、出るのですか?」
「ここから少し下層に強い獣と炎の臭いがする」
「……ケルベロス、かもしれませんね」
俺とアイシクルの話を聞いていたグレイシア殿が眉を寄せて、近付いて来た。
「安心しろ。その時は私が一撃でやる」
フロア内の魔物を倒しきったミストラル大公が血に濡れた魔法剣の刀身を振り、血を飛ばしながら言う。
「……そういえば、お前、ケルベロス単独討伐だったな。しかも無傷……」
「何故、ミーティアが知っている」
「リヴィちゃんに聞いた。目を輝かせて、尊敬の声音で言っていたからな。可愛かったし、羨ましかった」
母が羨ましそうにミストラル大公を見ている。
俺もヴェンも母を尊敬しているが、態度にして表さないから、ヴィアに尊敬の眼差しで見つめられるミストラル大公が羨ましいのかもしれない。
ヴィアを取り戻したら、少し態度に出そうと思った。
その後、下層へと進み、やはり感じた臭いの通りにケルベロスが待ち伏せていたが、フロアに入るなり、ミストラル大公の電光石火の攻撃で、一撃のもとに瞬殺された。
首が三つあるケルベロスを本当に一撃だった。
一回の攻撃で、分厚いケルベロスの首を三つ撥ねるって、どうやって? と思わないでもないが、触れてはいけないと思い、俺は押し黙った。
「ミストラル。お前、前に手合わせした時より、強くなってないか?! 勝てないままじゃん!」
母が絶叫し、頭を抱えているのを横目に、ミストラル大公はケルベロスがいた場所から現れた宝箱を足で開けた。
罠があったり、宝箱の姿をした魔物ーーミミックの場合があるからなのは理解出来るが、王弟がそんな開け方でいいのか。
宝箱だったらしく、ミストラル大公は中を見て、何かを取り出す。
「……第二王子は鑑定神の加護があったな。これは誰に渡しておくのが正解だ?」
ミストラル大公は三日月の形をした、水晶のような透き通った石が付いた首飾りをヴェンに見せる。
「……これは、“月の女神の首飾り”という物みたいですね。持つなら、リヴィちゃんか兄が良いかと思います」
ヴェンがミストラル大公の手の平にある首飾りをじっと目を凝らすように見つめ、答える。
俺かヴィアに……。それなら、ヴィア一択だ。
ミストラル大公も俺と同じだろう。
「効力は何だ?」
「月の女神の加護が強くなるそうです。詳しくは古語や見たことがない言語で表示されているので、分かりませんが……。身に着けたことで悪いものが起きる等はないようです」
「そうか……。王太子。リヴィに会うまで、身に着けておくといい」
「え、これはヴィアに渡すのでは? 私はてっきりそうだと思ったのですが……。それに、ケルベロスを倒したのはミストラル大公で、宝箱の所有権はミストラル大公です。私は何もしてません」
ダンジョンの宝箱は発見した者、魔物を倒してドロップした場合は倒した者が所有権を有する。
冒険者でも、騎士でも、ダンジョンに行く者に適用されるルールだ。
この場合、ミストラル大公が所有権を持つことになる。
「対でもある太陽神がリヴィの側にいる。最下層に着いたところで、リヴィを簡単には返そうとはしないだろう。そうなると、太陽神は恐らく私達ではなく、王太子に攻撃をしてくるかもしれない。その時にこれがあれば、多少なりとも緩和されるかもしれない」
「確かに、そうかもしれませんが……」
手を差し出すミストラル大公に、俺は躊躇する。
「リヴィが帰ってきた後は、リヴィに渡すなり、自分で持つなり、王太子が好きにするといい。それまでは身に着けておくといい。私には宝の持ち腐れになる上に、所有権を持った私が王太子にと言っているんだ。受け取れ」
「……分かりました。有り難く頂きます」
ミストラル大公から首飾りを受け取った途端、ヴィアの魔力が宿ったイヤーカフが反応し、『月の女神の首飾り』の三日月の形をした、水晶のような透き通った石に、水色と白色が綺麗に混ざったヴィアの魔力が吸い込まれる。
何が起こったのか分からず、俺は呆然と首飾りを見つめる。
母やミストラル大公達も首飾りを見つめる。
三日月の形をした、水晶のような透き通った石はヴィアの魔力できらきらと輝く。
「殿下、何が起こってこうなったんです?」
「……分からん」
リヒトに問われるが、俺もよく分からない。
ヴィアの魔力が反応し、首飾りにも宿った。イヤーカフにも魔力は残っている。
まるで、ヴィアが俺を守ろうとしているように感じたが、真意は分からない。
「……何が起こったのか、さっぱり分からない。太陽神が出て来たあたりから、許容量を超えてる。答えは太陽神なり、月の女神なりに問い質す」
「それが良いだろうな。殿下、先に進もう」
レインも俺と同じような表情で頷き、先へ促した。
もうすぐ最下層だ。
だが、その前に、何か清廉とした匂いと気配を下層に感じ、眉を寄せる。
「ラディ、どうした?」
母が俺の様子に気付き、声を掛けてくる。
「……清廉とした匂いと気配を下層に感じて……」
「リヴィちゃんか?」
「いえ。ヴィアじゃありません。ただ、魔物でもない」
「もしかして、月の女神、だったり?」
ヴェンが考え込むように、下層へと続く階段を見つめる。
「もし、月の女神だとして、話の通じる神様だったらいいな……。リヴィちゃんが無事なら、ラディとリヴィちゃんを神様の事情とかに巻き込まれなければ、俺はそれでいい」
「ミーティアに同意だな。巻き込んだ瞬間、私は神殺しも厭わん」
「いや、だから、言ったよな?! リヴィちゃんが悲しむからやめろってさ!」
ミストラル大公を窘め、母は溜め息を吐いた。
そして、次の下層に進み、奥の部屋に辿り着いた俺達を待っていたのは、やはり、月の女神だった。
ヴィアの姿形の、唯一目の色が違う月の女神が俺に微笑んだ。
「ごめんなさい、竜神の子。太陽神の代わりに謝罪するね。今から一緒に殴り込みに行こう!」
ヴィアとは違う笑顔で言われ、混乱する俺達は固まった。
※いつも読んで下さり、本当にありがとうございます!
いつの間にか、BL大賞も残り僅かとなり、未だに上位なのを怯えつつ、書いてます……。
投票等、本当にありがとうございます!
残り僅かですが、頑張って更新します!
そして、お気に入り登録も4500人を超えていて、非常に驚いています!
ありがとうございます!
他のところで、書いている悪役令嬢モノでも600人なのに、この数字はどういうこと?! と戦々恐々としておりますが、読んで頂けることがとても嬉しいので、こんなにたくさん読んで下さり、感謝感激雨あられです。
感想、いいね、エールもありがとうございます!
とても励みになっています!
相変わらずのストックなしでの、ぶっつけ本番な更新ですが、一番悩んだのが月の女神様です(話の流れは最後までちゃんと決まってますが、出てくるキャラの性格が若干のズレが出てます……)
次話で、やっとリヴィちゃんが出ると思います。
BL大賞が終わっても続きますので、どうぞ、宜しくお願い致します!
時折、わざとなのか魔物が罠を踏む。
それを弟のヴェントゥスの鑑定神の加護で、教えてくれ、リヒトやレインが罠を潰してくれる。
ヴィアの兄グレイシア殿は、父親のミストラル大公に似ているのか、攻撃特化型で、ミストラル大公と共に先陣で魔物を斬っていく。打ち漏らした魔物を俺の母ミーティアが斬り、ヴィアの弟のアイシクルが剣や魔法で攻撃していた。
俺も魔物を斬ったり、罠を潰したりするが、違和感を覚える。
これが太陽神が与える試練なのだろうか。
あまり試練には感じない。
このダンジョンを甘く見るなと言った太陽神の言葉を信じるなら、魔物や罠だけではない。
何かがあるに違いない。
ヴィアがいる最下層まで早く行きたい焦りと、どんな試練があるのか分からない緊張で、どんどん冷静ではなくなっていく。
ヴィアに会う前は、こんなにも焦ったりすることはなかった。
噂される『公明正大ではあるが、貴族達の前では冷ややか』な王太子には戻れない。
もう、俺の唯一に出会ったから。
唯一に出会った後も、元の冷ややかな王太子になれということは分かる。
冷静にならないと揚げ足を取られる場所に俺はいる。
伴侶にするヴィアを王宮で守るには、冷静に対応しなければいけない。
……それが太陽神の狙いかもしれない。
「……冷静さが、必要なのは分かってる」
魔物を斬り、火の魔法を放ちながら呟く。
先程の太陽神に会った時もそうだった。
あの時、冷静に対処していれば、ヴィアを攫われずに済んだかもしれない。
「殿下!」
アイシクルの声が聞こえたと同時に、背後から魔物の気配を感じ、左手に力を集中させる。
太く、鋭い爪を持ったリザードが攻撃して来る。
その爪を左手の甲で防ぎ、右手に持つ剣を振り下ろす。
「殿下、お怪我はありませんか?」
アイシクルが俺に声を掛けてくる。その表情は驚いている。
「大丈夫だ。問題ない」
「え、でも、先程、リザードの攻撃が当たってましたよね?」
「竜神の加護で防いだ。怪我はしていない」
ヴィアのように心配そうに見上げるアイシクルに小さく笑う。
弟だから、アイシクルは少しヴィアに似ている。
ヴィアより背は高いが、それでも俺より低いアイシクルの見上げる目は少しだけ似ている。
アイシクルに左手の甲を見せる。
竜の鱗が少し手の甲に残っているが、怪我は全くない。
竜は鱗で覆われ、硬い。
滅多なことでは攻撃は通らない。ミストラル大公の攻撃は怖くて当たりたくない。試そうとも思わない。多分、命が消え掛ける。命は大事に。
竜神の加護は、五感が優れている、身体が頑丈以外に、一部を竜化出来る。
前国王で、父に玉座を譲り、最近は自分の館に祖母と共に引き篭って、ほとんど姿を見せなくなった祖父の話だと、俺は竜の血が濃いらしく、全身を竜の姿に出来る……らしい。
したことがないから知らないが。
アイシクルは心配なのか、じっと俺の左手の甲を見つめる。
「……良かった。殿下が怪我したら、リヴィ兄上が泣くかもしれないから、攻撃が当たったのを見て、血の気が引きました……」
ホッと息を吐いたアイシクルを見て、苦笑する。
前に泣かせてしまったと言ったら、レイディアンス大公家が大変なことになりそうな気がしたので、黙っておく。
「今のところはリザードくらいの魔物なら攻撃は通らない。が、ケルベロスとかが出ると、分からないな……」
「ここ、出るのですか?」
「ここから少し下層に強い獣と炎の臭いがする」
「……ケルベロス、かもしれませんね」
俺とアイシクルの話を聞いていたグレイシア殿が眉を寄せて、近付いて来た。
「安心しろ。その時は私が一撃でやる」
フロア内の魔物を倒しきったミストラル大公が血に濡れた魔法剣の刀身を振り、血を飛ばしながら言う。
「……そういえば、お前、ケルベロス単独討伐だったな。しかも無傷……」
「何故、ミーティアが知っている」
「リヴィちゃんに聞いた。目を輝かせて、尊敬の声音で言っていたからな。可愛かったし、羨ましかった」
母が羨ましそうにミストラル大公を見ている。
俺もヴェンも母を尊敬しているが、態度にして表さないから、ヴィアに尊敬の眼差しで見つめられるミストラル大公が羨ましいのかもしれない。
ヴィアを取り戻したら、少し態度に出そうと思った。
その後、下層へと進み、やはり感じた臭いの通りにケルベロスが待ち伏せていたが、フロアに入るなり、ミストラル大公の電光石火の攻撃で、一撃のもとに瞬殺された。
首が三つあるケルベロスを本当に一撃だった。
一回の攻撃で、分厚いケルベロスの首を三つ撥ねるって、どうやって? と思わないでもないが、触れてはいけないと思い、俺は押し黙った。
「ミストラル。お前、前に手合わせした時より、強くなってないか?! 勝てないままじゃん!」
母が絶叫し、頭を抱えているのを横目に、ミストラル大公はケルベロスがいた場所から現れた宝箱を足で開けた。
罠があったり、宝箱の姿をした魔物ーーミミックの場合があるからなのは理解出来るが、王弟がそんな開け方でいいのか。
宝箱だったらしく、ミストラル大公は中を見て、何かを取り出す。
「……第二王子は鑑定神の加護があったな。これは誰に渡しておくのが正解だ?」
ミストラル大公は三日月の形をした、水晶のような透き通った石が付いた首飾りをヴェンに見せる。
「……これは、“月の女神の首飾り”という物みたいですね。持つなら、リヴィちゃんか兄が良いかと思います」
ヴェンがミストラル大公の手の平にある首飾りをじっと目を凝らすように見つめ、答える。
俺かヴィアに……。それなら、ヴィア一択だ。
ミストラル大公も俺と同じだろう。
「効力は何だ?」
「月の女神の加護が強くなるそうです。詳しくは古語や見たことがない言語で表示されているので、分かりませんが……。身に着けたことで悪いものが起きる等はないようです」
「そうか……。王太子。リヴィに会うまで、身に着けておくといい」
「え、これはヴィアに渡すのでは? 私はてっきりそうだと思ったのですが……。それに、ケルベロスを倒したのはミストラル大公で、宝箱の所有権はミストラル大公です。私は何もしてません」
ダンジョンの宝箱は発見した者、魔物を倒してドロップした場合は倒した者が所有権を有する。
冒険者でも、騎士でも、ダンジョンに行く者に適用されるルールだ。
この場合、ミストラル大公が所有権を持つことになる。
「対でもある太陽神がリヴィの側にいる。最下層に着いたところで、リヴィを簡単には返そうとはしないだろう。そうなると、太陽神は恐らく私達ではなく、王太子に攻撃をしてくるかもしれない。その時にこれがあれば、多少なりとも緩和されるかもしれない」
「確かに、そうかもしれませんが……」
手を差し出すミストラル大公に、俺は躊躇する。
「リヴィが帰ってきた後は、リヴィに渡すなり、自分で持つなり、王太子が好きにするといい。それまでは身に着けておくといい。私には宝の持ち腐れになる上に、所有権を持った私が王太子にと言っているんだ。受け取れ」
「……分かりました。有り難く頂きます」
ミストラル大公から首飾りを受け取った途端、ヴィアの魔力が宿ったイヤーカフが反応し、『月の女神の首飾り』の三日月の形をした、水晶のような透き通った石に、水色と白色が綺麗に混ざったヴィアの魔力が吸い込まれる。
何が起こったのか分からず、俺は呆然と首飾りを見つめる。
母やミストラル大公達も首飾りを見つめる。
三日月の形をした、水晶のような透き通った石はヴィアの魔力できらきらと輝く。
「殿下、何が起こってこうなったんです?」
「……分からん」
リヒトに問われるが、俺もよく分からない。
ヴィアの魔力が反応し、首飾りにも宿った。イヤーカフにも魔力は残っている。
まるで、ヴィアが俺を守ろうとしているように感じたが、真意は分からない。
「……何が起こったのか、さっぱり分からない。太陽神が出て来たあたりから、許容量を超えてる。答えは太陽神なり、月の女神なりに問い質す」
「それが良いだろうな。殿下、先に進もう」
レインも俺と同じような表情で頷き、先へ促した。
もうすぐ最下層だ。
だが、その前に、何か清廉とした匂いと気配を下層に感じ、眉を寄せる。
「ラディ、どうした?」
母が俺の様子に気付き、声を掛けてくる。
「……清廉とした匂いと気配を下層に感じて……」
「リヴィちゃんか?」
「いえ。ヴィアじゃありません。ただ、魔物でもない」
「もしかして、月の女神、だったり?」
ヴェンが考え込むように、下層へと続く階段を見つめる。
「もし、月の女神だとして、話の通じる神様だったらいいな……。リヴィちゃんが無事なら、ラディとリヴィちゃんを神様の事情とかに巻き込まれなければ、俺はそれでいい」
「ミーティアに同意だな。巻き込んだ瞬間、私は神殺しも厭わん」
「いや、だから、言ったよな?! リヴィちゃんが悲しむからやめろってさ!」
ミストラル大公を窘め、母は溜め息を吐いた。
そして、次の下層に進み、奥の部屋に辿り着いた俺達を待っていたのは、やはり、月の女神だった。
ヴィアの姿形の、唯一目の色が違う月の女神が俺に微笑んだ。
「ごめんなさい、竜神の子。太陽神の代わりに謝罪するね。今から一緒に殴り込みに行こう!」
ヴィアとは違う笑顔で言われ、混乱する俺達は固まった。
※いつも読んで下さり、本当にありがとうございます!
いつの間にか、BL大賞も残り僅かとなり、未だに上位なのを怯えつつ、書いてます……。
投票等、本当にありがとうございます!
残り僅かですが、頑張って更新します!
そして、お気に入り登録も4500人を超えていて、非常に驚いています!
ありがとうございます!
他のところで、書いている悪役令嬢モノでも600人なのに、この数字はどういうこと?! と戦々恐々としておりますが、読んで頂けることがとても嬉しいので、こんなにたくさん読んで下さり、感謝感激雨あられです。
感想、いいね、エールもありがとうございます!
とても励みになっています!
相変わらずのストックなしでの、ぶっつけ本番な更新ですが、一番悩んだのが月の女神様です(話の流れは最後までちゃんと決まってますが、出てくるキャラの性格が若干のズレが出てます……)
次話で、やっとリヴィちゃんが出ると思います。
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