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十六章 婚約パーティー
嵐の前の静けさ~襲撃
査問機関に所属するヒンメルから、カース伯爵家とウィキッド子爵家のアルギロスとベーゼがリヴィアスとラディウスを狙っていると報告を受けた日から二ヶ月が経った。
この二ヶ月は、王立タイバス学園での授業を受けつつ、王都のレイディアンス大公家の邸宅で、月の女神のアリアンロッドから、月の女神の加護の使い方を教えてもらう日々をリヴィアスは過ごした。
ラディウスは、カエルム国王とミーティア王妃、リヒト、レインと共にエリスロース竜王国へ一旦戻った。
アリアンロッドから『ブラカーシュ王国とエリスロース竜王国で起きたことで、まだ気付いていないこともある』と助言を受けたことで、自国で再度調査するためだ。
実際は、リヴィアスと離れ難そうにしていたラディウスをリヒトとレインが引き摺って帰ったのだが、エリスロース竜王家の名誉のため、その場にいた全員が苦笑と共に口を噤んだ。
ブラカーシュ王国側も、アリアンロッドの助言を受け、同じく再調査をした。
二ヶ月間、調査をして、ブラカーシュ王国も、エリスロース竜王国も判明したことに、両国王は頭を抱えることになった。
そこで判明したことは、カース伯爵家がブラカーシュ王国とエリスロース竜王国で暗躍していたことだった。
ブラカーシュ王国では、一年半に渡る流行病の原因がカース伯爵家の実験によるものだったこと。
エリスロース竜王国では、偽物の効能を謳った薬を広めるように侯爵家に話し、混乱に乗じてラディウスに強力な薬を飲ませるように侯爵家当主を唆したこと。
サイクロン公爵家の長女プリズムを唆し、リヴィアスを逆恨みさせたのも、カース伯爵家だった。
リヴィアスとラディウスの婚約パーティーの打ち合わせという名目で、ブラカーシュ王家、レイディアンス大公家、エリスロース竜王家、ヒンメル、レイン、リヒトが再度、レイディアンス辺境領の領主館に集まった。
そこで、二ヶ月に渡る調査で判明したことを情報共有する。
情報共有した内容を聞き、全員が眉を顰める。
「……カース伯爵家が暗躍している理由は何だ? リヴィを狙っていることは分かるが、二国を混乱させてどうするつもりだ?」
不機嫌な低い声で、ミストラルは腕を組み、眉間に皺を寄せる。
「……査問機関が調査した結果、先日の月の女神様から得た情報の通り、カース伯爵家はリヴィアスとラディウス王太子殿下を狙っている。我が国の流行病と、エリスロース竜王国の偽物の効能を謳った薬は、混乱に乗じて、別々に二人を手に入れようとした結果だ。その二つが失敗したことで、サイクロン公爵家の長女を逆恨みさせ、リヴィアスを狙った。婚約者として、リヴィアスを守るためにやって来るラディウス王太子殿下と同時に手に入れるつもりだったようだ」
ヒンメルがミストラルと同じような表情で説明する。
「カース伯爵家は何なんだ? 執着が気持ち悪いんだが……」
話を聞いたミーティア王妃は眉を寄せて、溜め息を吐く。
「……ついでに報告すると、カース伯爵家というより、六年前に養子に入った縁戚の男爵家の者のみが動いている。カース伯爵家自体が機能出来ていないようだ。私の憶測も入っているが、カース伯爵家は今や、その養子に乗っ取られているのではないかと思う」
ヒンメルが告げると、この場の全員がそれぞれ眉を寄せたり、溜め息を漏らしたりと様々だ。
「ヒンメル。何故、その養子はカース伯爵家を乗っ取っている?」
「……その理由までは分からない。だか、その養子ーー彼を調べると、縁戚の男爵家には男女共に子供が生まれた記録がない」
ミストラルの問いに、ヒンメルが答える。
その答えに、リヴィアス達は目を大きく見開く。
「記録がない……? では、その養子の方は一体、誰なのですか? ヒンメルおじ様」
叔従父をリヴィアスは不安げに見つめる。
「分からない。記録がない上に、養子としてカース伯爵家にやって来た六年前までの痕跡が全くない。縁戚の男爵家から伯爵家へ養子として入った際の記録では、現在二十八歳だということだが、それすらも本当なのかが不明だ」
「……その謎の養子が、ウィキッド子爵家の長男と次男を脱走させ、伯爵家へ連れて行き、準備を整えた後にリヴィアスとラディウス王太子との婚約パーティーで、二人を攫う……ということか」
イリオス国王が顎に手を当て、呟くように言うと、ヒンメルが頷いた。
「何かしらの執念、執着が酷いな。俺達の息子達を狙うとは、いい度胸だよな」
腕を組んで殺気を放ちながら、ミーティア王妃が呟く。それを苦笑しながら、カエルム国王が落ち着かせるように、ミーティア王妃の頭をぽんぽんと優しく撫でる。
「こちらも守りを万全にするのはもちろんだけど、偽のパーティー会場はレイディアンス辺境領の領主館ーー今いる場所でいいのかな? ミストラル君」
「まさか。領主館は辺境領の要であり、他者を招くのを領主館が選ぶ。色々と機密がある。そんな場所に何故、敵を招く? 別館で行う」
「別館か。成程な……ん? 領主館が選ぶ? どういう意味だ?」
「カエルムもミーティアも王太子も、将来的には縁戚となるから伝えるが、レイディアンス領主館は、領主館自体が魔導具だ。簡易的だが意思がある」
さらりと告げるミストラルを、カエルム国王もミーティア王妃もラディウスもぽかんとした表情で見つめる。
「魔導具? ステラが作ったのか?」
「私ではないよ、ミーちゃん。古代からある魔導具みたい。私は整備や調整は出来るけど、流石にこんなに凄く大きい建物タイプの魔導具は作れないし、専門外だわ。多分だけど、魔導具神が創ったものではないかしら」
困ったようにステラが、ミーティア王妃に苦笑する。
「レイディアンス大公家の敵かそうでないかを領主館が判断する。だから、招かれざる者はもちろん、悪意を持つ者は弾く。ついでに領主館自体もステラとリヴィアスを気に入っている。陽動とはいえ、敵を安易に領主館は入れる気はないようだ」
「よく私とリヴィで整備やお手入れをしていたものね。だからなのか、領主館も私達に過保護なの」
のほほんとした口調で、ステラは微笑む。
「いや、過保護って……。物にまで愛されるリヴィちゃん、凄いな……。建物に意思があるのは驚いたが……。まぁ、別館というところで偽のパーティーをする訳だな。招待客は全員それぞれの騎士や魔術師達が扮する形か?」
「ああ。偽のパーティーは一週間後だ。準備をしておいてくれ」
「分かった。こちらも整えておくよ」
カエルム国王が頷くと、イリオス国王達、ブラカーシュ王家も頷いた。
偽の婚約パーティーの三日前に、レイディアンス大公家の別館へリヴィアス達は向かった。
パーティーの準備を進め、リヴィアスは別館の自身の部屋で、月の女神アリアンロッドから教えてもらった月の女神の加護の使い方のおさらいをしていた。
両手に魔力を集めて、集中させる。
両手のひらから、白色と銀色の光が綺麗に混ざった球状になり、宙に浮かぶ。
ラディウスの話だと、リヴィアスの魔力は水色と白色が綺麗に混ざった色だという。
月の女神の加護を使う時は、白色と銀色が綺麗に混ざった色になる。
リヴィアスの場合、複数の加護があるからなのか、使う加護によって、色が変わるようだ。
ふわりと宙に浮かぶ球状の光を見つめ、リヴィアスは天井へと両手を向ける。
白色と銀色が綺麗に混ざった光の球は、ゆっくりと天井へと上り、天井に当たり、弾けた。
弾けた光が雨のように降り注ぐ。
上手く出来たようで、リヴィアスはホッと息を漏らす。
父ミストラルの話によると、偽のパーティーが始まるまで、リヴィアスとラディウスはこの部屋でグレイシア、リュミエール、ルミナス、オーロラ、レイン、リヒトと共に待機することになっている。
グレイシア達と共に待機するのは、パーティー会場の広間ではなく、この部屋にカース伯爵家の養子、ウィキッド子爵家のアルギロスとベーゼが来た時に対応出来るようにするためだ。
その時に、今放った月の女神の加護で、ラディウス達を守れるようにと、リヴィアスは考えていた。
「……足手纏いには、なりたくない。僕のことなのに、守られてばかりにはなりたくない……」
俯きながら、リヴィアスは小さく呟く。
加護の影響で生きるものに攻撃が出来ない分、せめて守りだけでも担いたい。
「気負い過ぎだ、ヴィア……」
ふわりと後ろから抱き締められ、耳元から少し低めの大好きな声が聞こえ、大好きな柑橘系の香りが鼻腔に届き、リヴィアスの強張っていた身体がゆっくりと弛緩する。
いつの間にか自室にやって来たラディウスに、リヴィアスは背中を預ける。
優しく抱き留められ、包まれた形にリヴィアスは安堵する。
ラディウスと出会って約六ヶ月が経ち、彼の気遣いと愛情に、リヴィアス自身が元婚約者からの扱いの違いに戸惑いつつも、受け入れたことで、最近はとても心が満たされるように感じる。
「……アシェル様……!」
振り返って、肩越しにラディウスを見る。
自分の肩の近くにラディウスの顔があり、思っていたより近いことに驚き、リヴィアスの顔が赤くなる。
「……慣れて欲しいなぁ、ヴィア」
「あ、アシェル様の格好良いお顔が思っていたより近くにあって、びっくりして……」
「格好良い……? 俺の顔が?」
「は、はい……。その、アシェル様や父様達みたいな、格好良い、精悍な顔立ちが、僕は好きで……。僕の顔とは違って、良いなと……」
両頬に手を当て、赤い顔のまま、リヴィアスは微笑む。
「……ヴィアの好みの顔に産んでくれて、父上と母上に感謝だな」
リヴィアスの細い腰に腕を回し、ラディウスは嬉しそうに笑う。
「俺も、ヴィアの美しくて綺麗な、俺の知る誰よりも優しいその心が現れる顔が好きだ」
耳元で囁かれ、リヴィアスは真っ赤になる。
「ヴィア。カース伯爵家の養子、ウィキッド子爵家の長男と次男が来ても、俺が守る。太陽神様の時のようなことにはさせない」
「はい。僕もアシェル様をお守りします。そのために、アリアンロッド様から加護の使い方を教わりました。ダンジョンの時のような歯痒い思いはしたくありません」
リヴィアスのお腹の前にあるラディウスの大きく硬い手に白色と銀色の光が触れ、全身へ広がる。
突然のリヴィアスの魔力に驚き、ラディウスは呆然と見つめる。
「月の女神の加護を使いました。アシェル様を守って下さると思います」
「ありがとう、ヴィア。俺も太陽神の加護と竜神の加護を使う。その……もし、竜神の加護を使う時は驚かないで欲しい」
苦笑しながら、ラディウスはリヴィアスの身体をくるりと反転させ、向かい合うようにする。
「噂で聞いたことがあるかもしれないが、歴代の竜神の加護を持つ者と違い、俺は竜そのものになれる。実際になったことはないが、竜になることでヴィアを守れるなら、俺は厭わない。竜の俺を見て、怖かったら、すまない……」
細身のリヴィアスを抱き締めて、ラディウスは呟く。
「僕は、どんな姿のアシェル様でも大好きです。嫌いになることはありません。不安にならないで下さい」
僅かに震えるラディウスに気付き、リヴィアスは彼の背中に腕を回し、優しくゆっくりと撫でる。
「それに、僕はフォスやルスみたいな騎竜が好きです。同じではないのは分かってますが、竜の姿のアシェル様も僕は大好きになると思います!」
天色の目を輝かせて、リヴィアスはラディウスを見上げる。
「ヴィアを元気付けるつもりが、俺が元気付けられてしまったな」
「僕は婚約者に守られるのではなく、婚約者とお互いに支え合いたいとずっと思ってました。元婚約者とはそのような関係にすらなれませんでしたけど、今の婚約者様ーーアシェル様となら、なれると思います。だから、アシェル様も僕を元気付けなくてはと、気負わないで下さい」
頭一つ分高いラディウスを見上げ、リヴィアスは微笑む。
「何度、惚れ直せばいいかな……。ヴィア、早く成人になってくれないか……」
ぎゅっと抱き締め、ラディウスはリヴィアスの頭に口付けを落とす。
「僕の成人は一年半後ですね……。学園の卒業前が誕生日なので、まだ先ですね」
「学園の卒業前……春か。遠いな……」
リヴィアスを抱き締めながら、暦を思い浮かべ、ラディウスは遠い目をする。
一年半が遠過ぎる。
王太子でもあるため、未成年に手を出す訳にはいかない。もちろん、王太子でなくても出す訳にはいかないが。
「……こんなことを考えているとミストラル大公に知られたら、後が怖い……」
ぼそりとリヴィアスに聞こえないくらいの声で、ラディウスは呟く。
目の前の愛しい人を前に、待てをされている状態が辛い。
「……成人して、卒業して、エリスロース竜王国へ、アシェル様に嫁ぐためにも、無事に終わらせましょう」
「そうだな。カース伯爵家もウィキッド子爵家の長男と次男も、ヴィアと俺を狙ったことを後悔させよう」
ラディウスは不敵に笑い、リヴィアスの唇に触れた。
そして、偽の婚約パーティー当日。
パーティーが始まるまで、リヴィアスはレイディアンス大公家の別館の自身の部屋で待機する。
ラディウス、グレイシア、リュミエール、ルミナス、オーロラ、レイン、リヒトも同じくリヴィアスの部屋で待機することになっている。
カース伯爵家の養子、ウィキッド子爵家のアルギロス、ベーゼがこちらに向かって来ている情報は、ヒンメルからその都度聞いているため、リヴィアス達の服装はパーティーとしての華やかな服装ではなく、騎士の正装のような服装をしている。
「……リヴィ。そろそろ、来るよ。それも、パーティー会場ではなく、真っ直ぐリヴィの部屋に」
目を閉じたまま、ルミナスはリヴィアスに告げる。
識神の加護の視認の力を使い、相手の動きを見てくれている。
「そうね。足音は三つね。カース伯爵家の養子とウィキッド子爵家の長男と次男で間違いないわ。声もしてる」
ルミナスの言葉に同意するように、オーロラも頷く。
識神の加護の伝聞の力を使い、別館周囲の様子を聞いてくれている。
二人の従兄妹の協力が有り難く、リヴィアスは感謝の目を向ける。
「リヴィ。ウィキッド子爵家の次男の加護は、私に任せて欲しい。月の女神様の話の通りだと、どうやら、私の加護が通用するようだ」
「リュミ兄様、どういうことですか?」
リュミエールの言葉に、リヴィアスは首を傾げる。
「最近、私も知ったのだが、私の加護に空神の加護が追加されたようだ」
「えっ。加護は追加されるものなのですか?」
「悪神もだが、あまりにもリヴィを狙う者が多いのを知り、重要な加護を持つリヴィを守るために追加して下さったようだ。空神の加護なら、悪神を封じることが出来る。これなら、私もリヴィを守れる」
「リュミ兄様、ありがとうございます。でも、無理はなさらないで下さい」
「大丈夫。グレイシアもいるし、ラディウス王太子、レイン殿とリヒト殿もいる。多分だが、ミストラル叔父上はすぐに察知して、こちらにやって来る。相手はリヴィを狙ったことをすぐに後悔するだろうな……」
心配そうに見上げる従弟に、リュミエールは苦笑する。
「まぁ、敵に対して、父上は怖いからな。後悔させるのは当たり前だな。私もそのつもりだ」
「……レイディアンスは、辺境のせいか、皆、血の気が多いんだよなぁ……。特に当主と次期当主。次期参謀もまだ冷静だけど、少し血の気が多いし……。可愛い薬師殿を見習ってくれないかなぁ」
爛々と紺碧色の目を輝かせる従兄グレイシアを見て、リュミエールは溜め息を漏らす。
段々、叔父のミストラルに、グレイシアは似てきている気がする。
将来、国王になった時、この従兄を抑えられるのか、少し不安になっている。父である国王に秘訣を教わりたい。
レイディアンス大公家の緩衝材のような役割の叔母のステラと従弟のリヴィアスが、本当に癒しだ。
ラディウスの人となりを知っているから、婚約は賛成だが、リヴィアスという癒しがいなくなるのはリュミエールにとってかなり痛い。
「……リヴィはレイディアンスの天使だからな。見習ったとしても、天使になれる訳がない」
「なれとは誰も言ってない。その血の気を少し減らせという話だ」
うんうんと頷くグレイシアに、リュミエールは思わず突っ込んだ。
「……兄上、そろそろ本当に来ます。落ち着いて下さい」
少し呆れた声で、ルミナスがリュミエールに告げる。
「悪い、ルミナ。準備しよう」
溜め息混じりに頷き、リュミエールは窓の外をそっと覗いた。
外は空が夜に近付き、別館を囲む壁の暗がりに、影が三つあることをリュミエールは確認した。
「ーー来たようだな」
リュミエールの言葉に、リヴィアスは身体を強張らせた。
「来たよ、リヴィ」
ルミナスの声に、ラディウスは強張るリヴィアスの腰を抱き、離れないようにする。
そのラディウスとリヴィアスを囲むように、グレイシア、リュミエール、ルミナス、オーロラ、レイン、リヒトが周囲に立つ。
同時に、扉が強く開け放たれた。
「リヴィアス……!」
悲痛な声音の叫びを放ったのは、元婚約者のアルギロスだった。
この二ヶ月は、王立タイバス学園での授業を受けつつ、王都のレイディアンス大公家の邸宅で、月の女神のアリアンロッドから、月の女神の加護の使い方を教えてもらう日々をリヴィアスは過ごした。
ラディウスは、カエルム国王とミーティア王妃、リヒト、レインと共にエリスロース竜王国へ一旦戻った。
アリアンロッドから『ブラカーシュ王国とエリスロース竜王国で起きたことで、まだ気付いていないこともある』と助言を受けたことで、自国で再度調査するためだ。
実際は、リヴィアスと離れ難そうにしていたラディウスをリヒトとレインが引き摺って帰ったのだが、エリスロース竜王家の名誉のため、その場にいた全員が苦笑と共に口を噤んだ。
ブラカーシュ王国側も、アリアンロッドの助言を受け、同じく再調査をした。
二ヶ月間、調査をして、ブラカーシュ王国も、エリスロース竜王国も判明したことに、両国王は頭を抱えることになった。
そこで判明したことは、カース伯爵家がブラカーシュ王国とエリスロース竜王国で暗躍していたことだった。
ブラカーシュ王国では、一年半に渡る流行病の原因がカース伯爵家の実験によるものだったこと。
エリスロース竜王国では、偽物の効能を謳った薬を広めるように侯爵家に話し、混乱に乗じてラディウスに強力な薬を飲ませるように侯爵家当主を唆したこと。
サイクロン公爵家の長女プリズムを唆し、リヴィアスを逆恨みさせたのも、カース伯爵家だった。
リヴィアスとラディウスの婚約パーティーの打ち合わせという名目で、ブラカーシュ王家、レイディアンス大公家、エリスロース竜王家、ヒンメル、レイン、リヒトが再度、レイディアンス辺境領の領主館に集まった。
そこで、二ヶ月に渡る調査で判明したことを情報共有する。
情報共有した内容を聞き、全員が眉を顰める。
「……カース伯爵家が暗躍している理由は何だ? リヴィを狙っていることは分かるが、二国を混乱させてどうするつもりだ?」
不機嫌な低い声で、ミストラルは腕を組み、眉間に皺を寄せる。
「……査問機関が調査した結果、先日の月の女神様から得た情報の通り、カース伯爵家はリヴィアスとラディウス王太子殿下を狙っている。我が国の流行病と、エリスロース竜王国の偽物の効能を謳った薬は、混乱に乗じて、別々に二人を手に入れようとした結果だ。その二つが失敗したことで、サイクロン公爵家の長女を逆恨みさせ、リヴィアスを狙った。婚約者として、リヴィアスを守るためにやって来るラディウス王太子殿下と同時に手に入れるつもりだったようだ」
ヒンメルがミストラルと同じような表情で説明する。
「カース伯爵家は何なんだ? 執着が気持ち悪いんだが……」
話を聞いたミーティア王妃は眉を寄せて、溜め息を吐く。
「……ついでに報告すると、カース伯爵家というより、六年前に養子に入った縁戚の男爵家の者のみが動いている。カース伯爵家自体が機能出来ていないようだ。私の憶測も入っているが、カース伯爵家は今や、その養子に乗っ取られているのではないかと思う」
ヒンメルが告げると、この場の全員がそれぞれ眉を寄せたり、溜め息を漏らしたりと様々だ。
「ヒンメル。何故、その養子はカース伯爵家を乗っ取っている?」
「……その理由までは分からない。だか、その養子ーー彼を調べると、縁戚の男爵家には男女共に子供が生まれた記録がない」
ミストラルの問いに、ヒンメルが答える。
その答えに、リヴィアス達は目を大きく見開く。
「記録がない……? では、その養子の方は一体、誰なのですか? ヒンメルおじ様」
叔従父をリヴィアスは不安げに見つめる。
「分からない。記録がない上に、養子としてカース伯爵家にやって来た六年前までの痕跡が全くない。縁戚の男爵家から伯爵家へ養子として入った際の記録では、現在二十八歳だということだが、それすらも本当なのかが不明だ」
「……その謎の養子が、ウィキッド子爵家の長男と次男を脱走させ、伯爵家へ連れて行き、準備を整えた後にリヴィアスとラディウス王太子との婚約パーティーで、二人を攫う……ということか」
イリオス国王が顎に手を当て、呟くように言うと、ヒンメルが頷いた。
「何かしらの執念、執着が酷いな。俺達の息子達を狙うとは、いい度胸だよな」
腕を組んで殺気を放ちながら、ミーティア王妃が呟く。それを苦笑しながら、カエルム国王が落ち着かせるように、ミーティア王妃の頭をぽんぽんと優しく撫でる。
「こちらも守りを万全にするのはもちろんだけど、偽のパーティー会場はレイディアンス辺境領の領主館ーー今いる場所でいいのかな? ミストラル君」
「まさか。領主館は辺境領の要であり、他者を招くのを領主館が選ぶ。色々と機密がある。そんな場所に何故、敵を招く? 別館で行う」
「別館か。成程な……ん? 領主館が選ぶ? どういう意味だ?」
「カエルムもミーティアも王太子も、将来的には縁戚となるから伝えるが、レイディアンス領主館は、領主館自体が魔導具だ。簡易的だが意思がある」
さらりと告げるミストラルを、カエルム国王もミーティア王妃もラディウスもぽかんとした表情で見つめる。
「魔導具? ステラが作ったのか?」
「私ではないよ、ミーちゃん。古代からある魔導具みたい。私は整備や調整は出来るけど、流石にこんなに凄く大きい建物タイプの魔導具は作れないし、専門外だわ。多分だけど、魔導具神が創ったものではないかしら」
困ったようにステラが、ミーティア王妃に苦笑する。
「レイディアンス大公家の敵かそうでないかを領主館が判断する。だから、招かれざる者はもちろん、悪意を持つ者は弾く。ついでに領主館自体もステラとリヴィアスを気に入っている。陽動とはいえ、敵を安易に領主館は入れる気はないようだ」
「よく私とリヴィで整備やお手入れをしていたものね。だからなのか、領主館も私達に過保護なの」
のほほんとした口調で、ステラは微笑む。
「いや、過保護って……。物にまで愛されるリヴィちゃん、凄いな……。建物に意思があるのは驚いたが……。まぁ、別館というところで偽のパーティーをする訳だな。招待客は全員それぞれの騎士や魔術師達が扮する形か?」
「ああ。偽のパーティーは一週間後だ。準備をしておいてくれ」
「分かった。こちらも整えておくよ」
カエルム国王が頷くと、イリオス国王達、ブラカーシュ王家も頷いた。
偽の婚約パーティーの三日前に、レイディアンス大公家の別館へリヴィアス達は向かった。
パーティーの準備を進め、リヴィアスは別館の自身の部屋で、月の女神アリアンロッドから教えてもらった月の女神の加護の使い方のおさらいをしていた。
両手に魔力を集めて、集中させる。
両手のひらから、白色と銀色の光が綺麗に混ざった球状になり、宙に浮かぶ。
ラディウスの話だと、リヴィアスの魔力は水色と白色が綺麗に混ざった色だという。
月の女神の加護を使う時は、白色と銀色が綺麗に混ざった色になる。
リヴィアスの場合、複数の加護があるからなのか、使う加護によって、色が変わるようだ。
ふわりと宙に浮かぶ球状の光を見つめ、リヴィアスは天井へと両手を向ける。
白色と銀色が綺麗に混ざった光の球は、ゆっくりと天井へと上り、天井に当たり、弾けた。
弾けた光が雨のように降り注ぐ。
上手く出来たようで、リヴィアスはホッと息を漏らす。
父ミストラルの話によると、偽のパーティーが始まるまで、リヴィアスとラディウスはこの部屋でグレイシア、リュミエール、ルミナス、オーロラ、レイン、リヒトと共に待機することになっている。
グレイシア達と共に待機するのは、パーティー会場の広間ではなく、この部屋にカース伯爵家の養子、ウィキッド子爵家のアルギロスとベーゼが来た時に対応出来るようにするためだ。
その時に、今放った月の女神の加護で、ラディウス達を守れるようにと、リヴィアスは考えていた。
「……足手纏いには、なりたくない。僕のことなのに、守られてばかりにはなりたくない……」
俯きながら、リヴィアスは小さく呟く。
加護の影響で生きるものに攻撃が出来ない分、せめて守りだけでも担いたい。
「気負い過ぎだ、ヴィア……」
ふわりと後ろから抱き締められ、耳元から少し低めの大好きな声が聞こえ、大好きな柑橘系の香りが鼻腔に届き、リヴィアスの強張っていた身体がゆっくりと弛緩する。
いつの間にか自室にやって来たラディウスに、リヴィアスは背中を預ける。
優しく抱き留められ、包まれた形にリヴィアスは安堵する。
ラディウスと出会って約六ヶ月が経ち、彼の気遣いと愛情に、リヴィアス自身が元婚約者からの扱いの違いに戸惑いつつも、受け入れたことで、最近はとても心が満たされるように感じる。
「……アシェル様……!」
振り返って、肩越しにラディウスを見る。
自分の肩の近くにラディウスの顔があり、思っていたより近いことに驚き、リヴィアスの顔が赤くなる。
「……慣れて欲しいなぁ、ヴィア」
「あ、アシェル様の格好良いお顔が思っていたより近くにあって、びっくりして……」
「格好良い……? 俺の顔が?」
「は、はい……。その、アシェル様や父様達みたいな、格好良い、精悍な顔立ちが、僕は好きで……。僕の顔とは違って、良いなと……」
両頬に手を当て、赤い顔のまま、リヴィアスは微笑む。
「……ヴィアの好みの顔に産んでくれて、父上と母上に感謝だな」
リヴィアスの細い腰に腕を回し、ラディウスは嬉しそうに笑う。
「俺も、ヴィアの美しくて綺麗な、俺の知る誰よりも優しいその心が現れる顔が好きだ」
耳元で囁かれ、リヴィアスは真っ赤になる。
「ヴィア。カース伯爵家の養子、ウィキッド子爵家の長男と次男が来ても、俺が守る。太陽神様の時のようなことにはさせない」
「はい。僕もアシェル様をお守りします。そのために、アリアンロッド様から加護の使い方を教わりました。ダンジョンの時のような歯痒い思いはしたくありません」
リヴィアスのお腹の前にあるラディウスの大きく硬い手に白色と銀色の光が触れ、全身へ広がる。
突然のリヴィアスの魔力に驚き、ラディウスは呆然と見つめる。
「月の女神の加護を使いました。アシェル様を守って下さると思います」
「ありがとう、ヴィア。俺も太陽神の加護と竜神の加護を使う。その……もし、竜神の加護を使う時は驚かないで欲しい」
苦笑しながら、ラディウスはリヴィアスの身体をくるりと反転させ、向かい合うようにする。
「噂で聞いたことがあるかもしれないが、歴代の竜神の加護を持つ者と違い、俺は竜そのものになれる。実際になったことはないが、竜になることでヴィアを守れるなら、俺は厭わない。竜の俺を見て、怖かったら、すまない……」
細身のリヴィアスを抱き締めて、ラディウスは呟く。
「僕は、どんな姿のアシェル様でも大好きです。嫌いになることはありません。不安にならないで下さい」
僅かに震えるラディウスに気付き、リヴィアスは彼の背中に腕を回し、優しくゆっくりと撫でる。
「それに、僕はフォスやルスみたいな騎竜が好きです。同じではないのは分かってますが、竜の姿のアシェル様も僕は大好きになると思います!」
天色の目を輝かせて、リヴィアスはラディウスを見上げる。
「ヴィアを元気付けるつもりが、俺が元気付けられてしまったな」
「僕は婚約者に守られるのではなく、婚約者とお互いに支え合いたいとずっと思ってました。元婚約者とはそのような関係にすらなれませんでしたけど、今の婚約者様ーーアシェル様となら、なれると思います。だから、アシェル様も僕を元気付けなくてはと、気負わないで下さい」
頭一つ分高いラディウスを見上げ、リヴィアスは微笑む。
「何度、惚れ直せばいいかな……。ヴィア、早く成人になってくれないか……」
ぎゅっと抱き締め、ラディウスはリヴィアスの頭に口付けを落とす。
「僕の成人は一年半後ですね……。学園の卒業前が誕生日なので、まだ先ですね」
「学園の卒業前……春か。遠いな……」
リヴィアスを抱き締めながら、暦を思い浮かべ、ラディウスは遠い目をする。
一年半が遠過ぎる。
王太子でもあるため、未成年に手を出す訳にはいかない。もちろん、王太子でなくても出す訳にはいかないが。
「……こんなことを考えているとミストラル大公に知られたら、後が怖い……」
ぼそりとリヴィアスに聞こえないくらいの声で、ラディウスは呟く。
目の前の愛しい人を前に、待てをされている状態が辛い。
「……成人して、卒業して、エリスロース竜王国へ、アシェル様に嫁ぐためにも、無事に終わらせましょう」
「そうだな。カース伯爵家もウィキッド子爵家の長男と次男も、ヴィアと俺を狙ったことを後悔させよう」
ラディウスは不敵に笑い、リヴィアスの唇に触れた。
そして、偽の婚約パーティー当日。
パーティーが始まるまで、リヴィアスはレイディアンス大公家の別館の自身の部屋で待機する。
ラディウス、グレイシア、リュミエール、ルミナス、オーロラ、レイン、リヒトも同じくリヴィアスの部屋で待機することになっている。
カース伯爵家の養子、ウィキッド子爵家のアルギロス、ベーゼがこちらに向かって来ている情報は、ヒンメルからその都度聞いているため、リヴィアス達の服装はパーティーとしての華やかな服装ではなく、騎士の正装のような服装をしている。
「……リヴィ。そろそろ、来るよ。それも、パーティー会場ではなく、真っ直ぐリヴィの部屋に」
目を閉じたまま、ルミナスはリヴィアスに告げる。
識神の加護の視認の力を使い、相手の動きを見てくれている。
「そうね。足音は三つね。カース伯爵家の養子とウィキッド子爵家の長男と次男で間違いないわ。声もしてる」
ルミナスの言葉に同意するように、オーロラも頷く。
識神の加護の伝聞の力を使い、別館周囲の様子を聞いてくれている。
二人の従兄妹の協力が有り難く、リヴィアスは感謝の目を向ける。
「リヴィ。ウィキッド子爵家の次男の加護は、私に任せて欲しい。月の女神様の話の通りだと、どうやら、私の加護が通用するようだ」
「リュミ兄様、どういうことですか?」
リュミエールの言葉に、リヴィアスは首を傾げる。
「最近、私も知ったのだが、私の加護に空神の加護が追加されたようだ」
「えっ。加護は追加されるものなのですか?」
「悪神もだが、あまりにもリヴィを狙う者が多いのを知り、重要な加護を持つリヴィを守るために追加して下さったようだ。空神の加護なら、悪神を封じることが出来る。これなら、私もリヴィを守れる」
「リュミ兄様、ありがとうございます。でも、無理はなさらないで下さい」
「大丈夫。グレイシアもいるし、ラディウス王太子、レイン殿とリヒト殿もいる。多分だが、ミストラル叔父上はすぐに察知して、こちらにやって来る。相手はリヴィを狙ったことをすぐに後悔するだろうな……」
心配そうに見上げる従弟に、リュミエールは苦笑する。
「まぁ、敵に対して、父上は怖いからな。後悔させるのは当たり前だな。私もそのつもりだ」
「……レイディアンスは、辺境のせいか、皆、血の気が多いんだよなぁ……。特に当主と次期当主。次期参謀もまだ冷静だけど、少し血の気が多いし……。可愛い薬師殿を見習ってくれないかなぁ」
爛々と紺碧色の目を輝かせる従兄グレイシアを見て、リュミエールは溜め息を漏らす。
段々、叔父のミストラルに、グレイシアは似てきている気がする。
将来、国王になった時、この従兄を抑えられるのか、少し不安になっている。父である国王に秘訣を教わりたい。
レイディアンス大公家の緩衝材のような役割の叔母のステラと従弟のリヴィアスが、本当に癒しだ。
ラディウスの人となりを知っているから、婚約は賛成だが、リヴィアスという癒しがいなくなるのはリュミエールにとってかなり痛い。
「……リヴィはレイディアンスの天使だからな。見習ったとしても、天使になれる訳がない」
「なれとは誰も言ってない。その血の気を少し減らせという話だ」
うんうんと頷くグレイシアに、リュミエールは思わず突っ込んだ。
「……兄上、そろそろ本当に来ます。落ち着いて下さい」
少し呆れた声で、ルミナスがリュミエールに告げる。
「悪い、ルミナ。準備しよう」
溜め息混じりに頷き、リュミエールは窓の外をそっと覗いた。
外は空が夜に近付き、別館を囲む壁の暗がりに、影が三つあることをリュミエールは確認した。
「ーー来たようだな」
リュミエールの言葉に、リヴィアスは身体を強張らせた。
「来たよ、リヴィ」
ルミナスの声に、ラディウスは強張るリヴィアスの腰を抱き、離れないようにする。
そのラディウスとリヴィアスを囲むように、グレイシア、リュミエール、ルミナス、オーロラ、レイン、リヒトが周囲に立つ。
同時に、扉が強く開け放たれた。
「リヴィアス……!」
悲痛な声音の叫びを放ったのは、元婚約者のアルギロスだった。
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※短編です。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
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