エステティシャンと美少年

聖性ヤドン

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2,色づく胸元

 エアコンの湿度と温度を調整し、脱いでもらっても寒くないようにする。
 それから本人にアレルギーの有無を確認し、香りの好みを聞いて使用するオイルを選んだ。
 ピーリング剤が必要かどうかは、肌の状態を見てからか。
 そのために肌分析用の機材もセッティングした。

「では始めますので、仰向けに横になっていただけますか」

 声をかけると、彼女は無言で施術台に横たわる。
 やはり緊張しているのか、胸の前に腕が組まれていた。
 こちらとしては施術のために、その手をどけてもらわなければならない。

「リラックスして……。ガウンの前を開けますよ?」
「……わかった……」

 彼女は胸を上下させながら深呼吸して、おずおずと腕を外した。
 こちらへすがるような目が向けられる。

「どうしました?」
「い、いえ……」
「……?」

 気になるけれど、客の気が変わらないうちに仕事を進めた方がよさそうだ。
 俺は彼女の着ているガウンの合わせに手をかけた。
 怯えさせないよう、慎重に、優しい手つきで胸を開く。
 こちらとしても緊張の瞬間だ。

「あ……」

 彼女が喉の奥で声をあげた。
 潤んだ瞳と目が合う。
 そしてつるんとした白い胸元が露わになった。
 胸のふくらみはほとんどない。平らな胸に、桜の花びらを散らしたような慎ましやかな乳首がふたつ。

「あ……」

 今度は俺の方が声をあげてしまった。
 さっきすがるような瞳で見ていた理由はこれなのか? 胸がないことを気にしていて……。
 それにしても見事な “まな板”だった。
 俺も仕事柄、百人単位で女性の体を見てきたが、こんなのは初めてだ。
 どちらかというと大きい胸の方が見慣れている。
 それに比べると平らな丘にぽつんと散る桜色は、ある種の背徳感を伴い、余計にエロティックに俺の目には映った。

「そんなに見ないで」

 彼女が絞り出すような声で言った。

「……ああ、ごめん」

 思わず素の口調になって謝る。

「男の胸なんて見ても面白くないでしょう」

 彼女は胸の上部でぎゅっと拳を握り、そう続けた。

「男の胸?」

 一瞬、冗談かと思った。男の子みたいな胸という意味での自虐かと。
 けれども彼女――いや、彼の体を観察し、そうではないことに気づく。
 とてもきれいな顔立ちや肌質をしているけれど、肩の骨格やそれをうっすらと覆った筋肉が、少女ではなく少年のものだった。

「キミ……男の子なのか」

 口調を敬語に戻すことができないまま問いかける。
 彼はたっぷりと間を開けてから答えた。

「……そうだよ。よく女の子と間違われるけど男……。かわいいって言われるし、ユニセックスな魅力とかなんとか書かれたりするけど……だからこそ、撮影で水着になるのに自信ない……」

 目を逸らして話しながら、だんだんと彼の頬や耳元が赤くなっていく。
 胸の先も、羞恥の感情を映してさっきより色づいたように見えた。

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