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23. そして、砂糖に蟻は集まる
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幕間の休憩時間は、たっぷり30分はあります。シルヴァ様にエスコートされ、周囲の注目を浴びながらバーラウンジに向かいますわ。
「シューゼーット!!!!」
バーラウンジに入ると、呼びかけと共にいきなり正面から体当たりを食らいました。
「グエッ!!」
可憐な美少女にあるまじき声が出たわ。それもそのはずです、カテリーナ様に思いきり抱き付かれたのだから。
「カ、カテリーナ様、ご、ごきげんよう?」
思わず声がひっくり返ってしまいました。
カテリーナ様は、私より背が高いので、(エーリック様より少し低い位)すっかり抱きしめられているような格好になった。相変わらず力が強い。
そして、加減が無い。ですわ。
「シュゼット! お久し振りね、会いたかったわ!! 私の天使マイ・エンジェル、元気にしていて?」
ずっと抱きしめられたままで、少し苦しくなってきた。フォールされる前に早くギブしないと倒れそうです。だ、誰か助けて下さいな!
「あのさ、カテリーナ。シュゼットを離してあげたら? 苦しそうだよ?」
呆れたようにエーリック殿下が言ってくれました。
カテリーナ様は、普段会っていればそうでもないのだけれど、長い休み明けなどの時は必ず今の様に、過剰に挨拶してくれます。会えなかった分を取り返す勢いで、ギューッと力一杯抱きしめられます。
ありがたいことに、私を相当気に入ってくれているらしいけれど、とかく感情を表に出さないようにしている貴族社会では珍しい感情表現ですわ。
「あら、ごめんなさいね。久し振りにシュゼットに会えて、嬉しくなってしまったわ。帰って来ていたのね? コレールに来てから寂しかったから、貴方が帰って来てくれて本当に嬉しくてよ!」
私の両手を握って早口で捲し立てます。本当にそう思ってくれているようで、それはそれで私も嬉しい。
「ご挨拶が遅れて申し訳ありませんでしたわ。来週からはまた、同じクラスで学院に通えます。カテリーナ様もお元気そうで何よりです」
私も、本心を言う。多分私の顔はニッコリと微笑んでいる。
「かわいい~!! シュゼットったら! 何て可愛いのかしら? もう! 大好きですわ!!」
ギューッとまた抱きしめられました。
それを見ているエーリック様が、呆れたように肩を竦めたのはいつもの事ですの。
「飲み物だ。 林檎の果実水」
入り口近くで再会の儀式? をしていた私達は、エーリック様に促されてラウンジ奥に移動した。
さすがに、周囲の目が気になってしまったから。その間に、シルヴァ様が飲み物を持って来て下さいました。正確には、飲み物をサービスしてくれる給仕を連れて来てくれました。彼が捧げているトレイには、金色の発泡する飲み物が入ったグラスが載っています。
「あ、ありがとうございます」
トレイには、4つグラスが載っていて細かな泡がシュワシュワと浮かんでいます。さすが公共の場ではまだお酒を飲むことはできません。3人とも今シーズンの社交界で正式にデビューしますから、お酒はそれからですわ。
「んっ!?」
グラスに口を付けると、滑らかに喉を流れる液体。コクリと喉が小さく鳴って、鼻に抜ける深くて強い香りに一瞬頭がふわりとしました。
「どうした?」
様子を見詰めていたシルヴァ様に、手に持っていたグラスを取り上げられました。そして、
「!?」
シルヴァ様が、私が飲んだグラスをそのまま、クイっと飲まれたのです!! 私の飲みかけですわ!!
「……教授?」
エーリック様が怪訝そうな声と顔でシルヴァ様を見ましたわ。
「シュゼットのグラスは、林檎酒シードルだ。給仕が間違えたか? 済まなかった。こっちのグラスを飲んでくれ」
シルヴァ様は、自分の分のグラスを渡してくれました。おお! さっきと違って、フレッシュな林檎の香りがします。こちらは本物の果実水です。喉越しの良い甘酸っぱさが後を引きますね? 美味しいですわ。
カテリーナ様が近くを通った給仕を引き留めます。トレイには色鮮やかなグラスが沢山載っているのでどれにするか、私に2杯目を選べとおっしゃいます。つい、シルヴァ様とエーリック様を置き去りにして、キャイキャイとおしゃべりしていました。
「……偶然ですか?」
「……偶然だ」
お二人は何をおっしゃっているのでしょう?
休憩時間になってすぐに席を立った。彼女の所に行かなければ。
「ロイ? フェリックス様とチェリアーナ様にご挨拶しましょう?」
気が急いていた僕は、ローナに言われてはたと気が付いた。そうだった。いくら何でも殿下達に挨拶無しという訳にはいかない。
「そ、そうだな。ローナ、早く挨拶に行こう?」
幾ら席が近いとは言え、時間は30分しか無い。有効に使わないと、またチャンスを逃してしまう。ボックス席から天覧席に向かおうとしたところ、フェリックス殿下とチェリアーナ姫が通路に出て来られた。
「あっ、フェリックス殿下?」
「ロイとローナか」
お二人に僕達は挨拶をする。僕はチェリアーナ姫の手を取り、ローナは深くカーテシーを行う。
「お久し振りね? カリノ家の双子達。堅苦しい挨拶は不要よ? それよりも貴方達もラウンジに行きましょう?」
チェリアーナ様が珍しくフェリックス殿下の腕を引っ張っているように見える。随分強引に誘っているように見えた。
「さあ、行きましょう?」
彼女を探そうと思っていたのに、ラウンジに行くことになってしまった。でも、ローナはフェリックス殿下と一緒に行けるせいか、頬を赤く染めてニコニコしている。嬉しいのだと思う。
(断って、一人行動するなんて無理だ……)
今日も、諦めるしかないのか……と、僕は心の中で溜息を吐いた。
歌劇場に着くと小雨が降ってきていた。
雨粒は小さく、まばらにパラパラと降っている。
正面玄関には、残念ながら馬車を着けることがことが出来ないという。
「コレールの王族の馬車と、ダリナス国の馬車が着いている」
正面玄関前には、王族の馬車が並んでいる。今日の演目からして、コレールの馬車はフェリックス殿下。ダリナスの馬車には、先に行ったエーリック殿下とカテリーナ様が乗っていたのだろう。仕方がない。玄関からは少し離れるが、馬車寄せからスロープを通って行くしかないか。
「傘は不要だ。走っていくから気にしなくて良い。そこで降ろしてくれ」
「畏かしこまりました。セドリック様。お気をつけて」
御者は馬車を停めると、ドアを開けて頭を下げて言った。
「では、行ってくる」
セドリックは、正面玄関に向かって走り出す。
「フェリックス殿下も来ているではないか? まったく、何を考えているのだ!? シュゼット・メレリア・グリーンフィールド!」
休憩時間は始まったばかりだった。
「シューゼーット!!!!」
バーラウンジに入ると、呼びかけと共にいきなり正面から体当たりを食らいました。
「グエッ!!」
可憐な美少女にあるまじき声が出たわ。それもそのはずです、カテリーナ様に思いきり抱き付かれたのだから。
「カ、カテリーナ様、ご、ごきげんよう?」
思わず声がひっくり返ってしまいました。
カテリーナ様は、私より背が高いので、(エーリック様より少し低い位)すっかり抱きしめられているような格好になった。相変わらず力が強い。
そして、加減が無い。ですわ。
「シュゼット! お久し振りね、会いたかったわ!! 私の天使マイ・エンジェル、元気にしていて?」
ずっと抱きしめられたままで、少し苦しくなってきた。フォールされる前に早くギブしないと倒れそうです。だ、誰か助けて下さいな!
「あのさ、カテリーナ。シュゼットを離してあげたら? 苦しそうだよ?」
呆れたようにエーリック殿下が言ってくれました。
カテリーナ様は、普段会っていればそうでもないのだけれど、長い休み明けなどの時は必ず今の様に、過剰に挨拶してくれます。会えなかった分を取り返す勢いで、ギューッと力一杯抱きしめられます。
ありがたいことに、私を相当気に入ってくれているらしいけれど、とかく感情を表に出さないようにしている貴族社会では珍しい感情表現ですわ。
「あら、ごめんなさいね。久し振りにシュゼットに会えて、嬉しくなってしまったわ。帰って来ていたのね? コレールに来てから寂しかったから、貴方が帰って来てくれて本当に嬉しくてよ!」
私の両手を握って早口で捲し立てます。本当にそう思ってくれているようで、それはそれで私も嬉しい。
「ご挨拶が遅れて申し訳ありませんでしたわ。来週からはまた、同じクラスで学院に通えます。カテリーナ様もお元気そうで何よりです」
私も、本心を言う。多分私の顔はニッコリと微笑んでいる。
「かわいい~!! シュゼットったら! 何て可愛いのかしら? もう! 大好きですわ!!」
ギューッとまた抱きしめられました。
それを見ているエーリック様が、呆れたように肩を竦めたのはいつもの事ですの。
「飲み物だ。 林檎の果実水」
入り口近くで再会の儀式? をしていた私達は、エーリック様に促されてラウンジ奥に移動した。
さすがに、周囲の目が気になってしまったから。その間に、シルヴァ様が飲み物を持って来て下さいました。正確には、飲み物をサービスしてくれる給仕を連れて来てくれました。彼が捧げているトレイには、金色の発泡する飲み物が入ったグラスが載っています。
「あ、ありがとうございます」
トレイには、4つグラスが載っていて細かな泡がシュワシュワと浮かんでいます。さすが公共の場ではまだお酒を飲むことはできません。3人とも今シーズンの社交界で正式にデビューしますから、お酒はそれからですわ。
「んっ!?」
グラスに口を付けると、滑らかに喉を流れる液体。コクリと喉が小さく鳴って、鼻に抜ける深くて強い香りに一瞬頭がふわりとしました。
「どうした?」
様子を見詰めていたシルヴァ様に、手に持っていたグラスを取り上げられました。そして、
「!?」
シルヴァ様が、私が飲んだグラスをそのまま、クイっと飲まれたのです!! 私の飲みかけですわ!!
「……教授?」
エーリック様が怪訝そうな声と顔でシルヴァ様を見ましたわ。
「シュゼットのグラスは、林檎酒シードルだ。給仕が間違えたか? 済まなかった。こっちのグラスを飲んでくれ」
シルヴァ様は、自分の分のグラスを渡してくれました。おお! さっきと違って、フレッシュな林檎の香りがします。こちらは本物の果実水です。喉越しの良い甘酸っぱさが後を引きますね? 美味しいですわ。
カテリーナ様が近くを通った給仕を引き留めます。トレイには色鮮やかなグラスが沢山載っているのでどれにするか、私に2杯目を選べとおっしゃいます。つい、シルヴァ様とエーリック様を置き去りにして、キャイキャイとおしゃべりしていました。
「……偶然ですか?」
「……偶然だ」
お二人は何をおっしゃっているのでしょう?
休憩時間になってすぐに席を立った。彼女の所に行かなければ。
「ロイ? フェリックス様とチェリアーナ様にご挨拶しましょう?」
気が急いていた僕は、ローナに言われてはたと気が付いた。そうだった。いくら何でも殿下達に挨拶無しという訳にはいかない。
「そ、そうだな。ローナ、早く挨拶に行こう?」
幾ら席が近いとは言え、時間は30分しか無い。有効に使わないと、またチャンスを逃してしまう。ボックス席から天覧席に向かおうとしたところ、フェリックス殿下とチェリアーナ姫が通路に出て来られた。
「あっ、フェリックス殿下?」
「ロイとローナか」
お二人に僕達は挨拶をする。僕はチェリアーナ姫の手を取り、ローナは深くカーテシーを行う。
「お久し振りね? カリノ家の双子達。堅苦しい挨拶は不要よ? それよりも貴方達もラウンジに行きましょう?」
チェリアーナ様が珍しくフェリックス殿下の腕を引っ張っているように見える。随分強引に誘っているように見えた。
「さあ、行きましょう?」
彼女を探そうと思っていたのに、ラウンジに行くことになってしまった。でも、ローナはフェリックス殿下と一緒に行けるせいか、頬を赤く染めてニコニコしている。嬉しいのだと思う。
(断って、一人行動するなんて無理だ……)
今日も、諦めるしかないのか……と、僕は心の中で溜息を吐いた。
歌劇場に着くと小雨が降ってきていた。
雨粒は小さく、まばらにパラパラと降っている。
正面玄関には、残念ながら馬車を着けることがことが出来ないという。
「コレールの王族の馬車と、ダリナス国の馬車が着いている」
正面玄関前には、王族の馬車が並んでいる。今日の演目からして、コレールの馬車はフェリックス殿下。ダリナスの馬車には、先に行ったエーリック殿下とカテリーナ様が乗っていたのだろう。仕方がない。玄関からは少し離れるが、馬車寄せからスロープを通って行くしかないか。
「傘は不要だ。走っていくから気にしなくて良い。そこで降ろしてくれ」
「畏かしこまりました。セドリック様。お気をつけて」
御者は馬車を停めると、ドアを開けて頭を下げて言った。
「では、行ってくる」
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