【更新中】悪役令嬢は天使の皮を被ってます!! -5年前「白パンダ」と私を嗤った皆様に今度は天使の姿でリベンジします! 覚悟は宜しくて?-

薪乃めのう

文字の大きさ
33 / 121

32. 気付いた二人

しおりを挟む
 ランチが終わって午後の授業が始まりました。

 気にかかることが二つあります。一つは、いつも以上に様子のおかしなセドリック様。そして、もう一つはお一人で昼食を摂っていたローナ様。
 結局、食堂ホールから移動して少し中庭のベンチで休憩していた時も、セドリック様はしゃべらず、時折私の顔をじっと見たり、何か言い掛けたりを繰り返していました。



 私、何かしでかしたでしょうか? 



(はっ! もしかして、歌劇場で何かやらかしましたか? エーリック様には確かにお詫びをしましたが、セドリック様にはお詫びしていません。何か気に障ることでもしちゃいましたか? 嫌ですわ。全く記憶に無いのですけど……)
 思わず背中を冷や汗が流れました。酔っ払ってやらかしたのでしょうか? たまに聞きますわ。酔ってとんでもないことを言ったり、やったりする人がいるって!!

(どうしましょう。まさか、自分がそんなことをやらかすなんて、思いもしませんでした!!)

 急に顔が熱くなってきましたわ。変な汗が額に滲むのが判りました。ああっ。もしそうだったら、何をしたのでしょう!? 聞けませんわ! どうしましょう!

「シュゼット様? お加減が悪いのではありませんか?」

 お隣から、小さな声でローナ様が声を掛けてくれました。心配そうに眉を下げています。

「あの、大丈夫ですわ……お気遣いありがとうございます」

 赤くなった頬を押えて、同じく小さな声でお返事します。でも、

「どうしたのですか? そこの二人。お喋りはいけませんよ」

 先生に見つかってしましました。不味いですわ。ローナ様におご迷惑を掛けてしまいます。

「先生。ごめんなさい。少し具合が悪くなってしまいまして……ローナ様がお気遣い下さいましたの」

 もう、急遽具合が悪くなったことにします。多分、熱くなった頬はそのままのはずですから。

「まあ、それはいけませんね。編入初日で緊張されたのかしら? 静養室に誰かお連れして下さいな? ええと、今日の当番はどなただったかしら?」

「先生! 私がお連れします。お隣の席ですから」

 えっ!? ローナ様? いやっ? これ以上貴方様にご迷惑をお掛けする訳には……

「さあ、シュゼット様、静養室に行きましょう」

 はい。断れません。流されますわ。








 静かに教室を出て、廊下を二人で歩きます。
 席を立った時、エーリック様に小さな声で、大丈夫?と声を掛けられました。セドリック様も振り返って何か言いたそうでしたけど、言葉はありませんでしたわ。

「シュゼット様? もう少しですから、お辛かったら私に掴まって下さいね?」

 ローナ様が、気遣うように言ってくれます。申し訳ありませんわ。本当は何とも無いのに。

「ありがとうございます。ローナ様にはご迷惑をお掛けしてしまって、ごめんなさいね。でも、教室を出たら大分楽になりましたの。静養室で少し休んだら、授業に戻れますわ」



 本当に大丈夫ですから。

「……」
「……」

 静養室に向かう廊下はとても静かです。

「あの、シュゼット様?」
「はい。なんでしょう?」

 隣を歩くローナ様が、ためらいがちに口を開かれました。

「あの、シュゼット様は、フェリックス殿下の婚約者候補で、い、いらっしゃいますよね?」

 あら? この方、結構ぶっこんでくる方なのかしら?













 セドリックは前髪をくしゃっと搔き上げると、眉根を寄せて考え込んだ。
 体調が悪くなったと言って、シュゼットが教室を出て行ってしまったから。

 確かに、出て行く直前の彼女の顔は赤かったし、熱っぽいような、潤んだ瞳をしていたように見えた。ランチの時はそうでもなかったが、やっぱり、先生の言うように緊張していたのだろうか?

 そうかもしれない。5年振りの母国で、知らない人間ばかりの教室。そして、婚約者になるかもしれない因縁の王子と、その他の婚約者候補達。そうだ。緊張しないほうがオカシイ。普通は、緊張しっぱなしだ。

 それなのに、何て態度を取ってしまったのだ! もっと彼女を労わってやるべきでは無かったか? 確かに、歌劇場で酔っ払った彼女に不用意に、無邪気に触れられたとしても。それが、異性の友人に不意にするとは思えない事だったとしても!! そして、それが結構嬉しかったと言うか、ドキドキした事だったとしても!

(……)

 幾ら彼女が、頭も良くて、優秀で、気が利いて、可愛らしくて、綺麗で、結構神経が図太く見えても!!

(あっ・・・あれっ!?)

 もしかして、? 思いっきり褒めてた?
 ちょっと待て? いや、今までもそう言っていたような気がする。折に触れ、そう言っていたような!!
 もしかして、自分は無意識の内に彼女を褒めていたのか? 認めていたのか? 


 ボッと、体中の血が沸騰したような気がした。熱い! 沸騰した血液が逆流して、体中を物凄い勢いで巡っている感じだ。

(出会ってから、ずっとそう言っていた!! 皆の前で! エーリック殿下の前でも! 本人にも!!)

 今度は、体中の血液が一気に冷えた。凍った。 そして、フラッシュバックが起きた。


『セドリック、お前それ、? ああ、もういいけど』
『お前……それを私に聞くのか? ?』

 エーリック殿下が言っていた言葉。
 その時は何だか分らなかった。聞いていたが……スルーしていた。

『私もお前と同じだ。に思っているよ』


 そう言ったエーリック殿下の言葉に、何故かその時は、困ったと思った。
 思い出した。普段ならば良かったと相槌を打つところなのに。
 その時は殿下の気持ちを聞いて、困ったと口に出してしまった。出てしまった。なぜ、そう思ったか不思議だったけれど。

 自分は、シュゼットの事が好きなのか? な相手なのか?




 ガタッ!!





「マラカイト君?」



 思わず席を立ってしまった。

 気付いた先生に名前を呼ばれ、皆の視線に気付いた。いきなり授業中に立ち上がったら、それは注目もされるし、結構イタイ奴認定されそうだ。



「あっ……」
「セドリック? どうした?」

 後ろから、エーリック殿下の怪訝そうな声が聞こえた。

「す、すみません。何も、ありません。失礼しました」

 慌てて席に座り直す。


 ふいに気付いてしまった。何だ? この気持ち。気付いたらマズイ、駄目なヤツじゃないか?
 胸のドキドキが止まらない。
 どうしたら良い? ふと視線を感じて横を見ると、カテリーナ様が頬杖をついてこちらを見ていた。

 何だか嬉しそうに、楽しそうに? 物凄く、物凄く! 嫌な予感がするのは、気のせいでは無いかもしれない。























 時が一瞬止まったように思いました。まさか、ローナ様から問われるとは思っていませんでしたから。

「シュゼット様は、フェリックス殿下の5人目の、婚約者候補でいらっしゃいますよね?」

 どういうおつもりでしょう? ここで聞いてくる意図が判りませんわ。

「……」
「ごめんなさい。不躾な質問ですよね。あの、5年前に伺ったことがあったので。方だと思い出したので……」
? もしや、ローナ様もお茶会にいらしていたのですか?」

 ほう? ローナ様はあのお茶会にいらっしゃいましたか。

「はい。それで、シュゼット様が……あの、随分、お変りになったので、別の方かと思ってしまって」
「変わりまして? 私?」

 ローナ様って、見た目と聞いていた感じとは違って意外にグイグイくる方でしょうか? 私が変わったことを覚えていて、そして、ここで本人に確かめてくるとは。只の大人しい方では無いのじゃなくって?

「ええ。とってもお美しくなっていて、羨ましいです。ってフェリックス殿下に言われたのが、まるで嘘の様ですもの」

 そう言って、私の隣に並ぶとにっこり笑って微笑みました。

「そうですか? アリガトウゴザイマス?」




 もしかして、もしかしてですが、ローナ様はのお一人なのでしょうか?



しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、すれ違いの末に離れ離れになった夫婦の物語。 再会したとき、二人が選ぶのは「離婚」か、それとも「再構築」か。 妻を一途に想い続ける夫と、 その想いを一ミリも知らない妻。 ――攻防戦の幕が、いま上がる。

【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】 佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。 新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。 「せめて回復魔法とかが良かった……」 戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。 「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」 家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。 「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」 そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。 絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。 これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。

王女様は温かいごはんが食べたい ~冷えた王宮料理を変えたら、オープンキッチンと政略婚約がついてきました~

しおしお
恋愛
異世界の王女リリアーヌは、前世の記憶を持つ転生者。 豪華絢爛な王宮で暮らし始めた彼女だったが、ひとつだけどうしても耐えられないことがあった。 ――食事が、冷めているのだ。 どれほど立派な料理でも、ぬるいスープや冷めた肉ではホッとできない。 「温かいごはんが食べたい」 そのささやかな願いを口にしたことから、王宮ではなぜか大騒動が巻き起こる。 地下厨房からの高速搬送。 専用レーンを爆走するカートメイド。 扉の開閉に命をかけるオープナー。 ついには食堂に火を持ち込むオープンキッチンまで誕生して――!? 温かさは、ホッとさせてくれる。 それは料理だけではなく、人との距離まで少しずつ変えていくものだった。 冷えた王宮に湯気と笑顔を取り戻す、 食と温かさをめぐる宮廷日常コメディ! -

乙女ゲームのモブに転生していると断罪イベント当日に自覚した者ですが、ようやく再会できた初恋の男の子が悪役令嬢に攻略され済みなんてあんまりだ

弥生 真由
恋愛
『貴女との婚約は今夜を持って破棄させて貰おう!』  学園卒業祝いの夜会の場に、凛と響いた王太子殿下の一声。  その瞬間、私は全てを思い出した。  私が前世ではただの手芸とゲームが好きなインドア派女子大生だったこと。そして、ゲーム世界に転生して尚も趣味は変わらず、ライバルキャラですらないモブになってしまっていたことを。  幼い頃に一度出会ったきりの初恋の彼と学園で再会出来たらなぁ、なんて淡い期待を抱いて通っていたのに、道理で卒業式までなんにも起きなかったわけだ。  ーーなんて、ひとり納得していたら。  何故だが私が悪役令嬢の断罪イベントの目撃者として名指しされ、一気に渦中の人物に!?  更に、王太子以外の男性陣は皆様悪役令嬢に骨抜き。なので自然と私には、彼女の潔白に繋がる証言が求められる。  しかしながら、私は肝心の事件の日の記憶が訳あって曖昧だったので、致し方なく記憶を呼び覚ます治療を受けさせられる羽目に。  タイムリミットは1年間。  その1年間の私への護衛につけられたのは、悪役令嬢に心奪われた初恋の彼でした。

身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」 魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。 鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。 (な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?) 実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。 レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。 「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」 冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。 一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。 「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」 これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。

処理中です...