110 / 121
109. 男の子達は三人三様
しおりを挟む
魔法術の鍛錬を積むようになって暫く経ちました。学院には長期のお休みを伝えてあるので、心置きなく魔法術に取り組めるのです。
「シュゼット、今日はこの位にしよう」
レイシル様の特別講義は魔法科学省で行われますが、まるで学院で過ごす様な感じになっています。今日も朝から座学が始まり、午後からは実技の鍛錬がありました。
私の識別は『光』ですが、その他にも『水』の識別がありました。ありがたい事に、水の識別は鍛錬すれば水の無い地に、泉を作る事も可能です。何よりも多くの人々に喜ばれる魔力です。
「はい。有り難うございました」
今日はレイシル様だけですが、たまにシルヴァ様やエーリック殿下もいらして下さります。お二人の方が魔法術に慣れているし、複数の識別魔法の持ち主ですもの。コツや理論などを丁寧に教えて下さいますし、何よりも精神力を必要とする魔法術の鍛錬に、よく知る方がいるのは心強いのです。
「大分魔力の巡りが早くなった。それに随分扱える力も多くなったな。これも彼のお陰か? これから行くのだろう?」
魔法術は実際に使う対象がいた方が、早く習得できるのですって。何でも、対象物が限定されればされる程、それに向かっての魔力の注がれ方、作用の仕方が違うのですって。
「セドリック殿は?」
「随分良くなりました。痣はもうありませんし、右手のギプスは外れてますもの。あと少しで退院できそうです」
そう答えて、大事な書籍を本棚に戻します。きっとお待ちになっていますね。
「そうか。随分と回復が早いな。君の魔法のお陰か? いや、彼のお陰で君の魔法術の成果が上がってきているのか?」
机に腰掛けて脚を組んでいるレイシル様は、考える時の癖で唇に指を当てています。お行儀悪いですわ。とクスっと笑ってしまいました。
「セドリック様のお陰だけじゃないですよ? レイシル様のお陰でもありますわ。レイシル様は教えるのがとっても上手ですもの。こんなに短期間で回復魔法を扱えるようになったのは、貴方のお陰です。レイシル様に教えて頂けるなんて、滅多に無い光栄な事だと聞きましたし、私もそう思いますわ。感謝しています」
「本当に? そう思う?」
レイシル様は机の上からストンと降りて、私の傍まで来ると真正面に立ちました。こうやって目の前に立たれると、この方の非凡な才を強く感じます。
美しい銀髪がサラサラとして光に透けて輝いています。グリーントルマリンの瞳も、この方が特別な人なのだと思わせます。
確かにフェリックス殿下と良く似ていらっしゃいますけど、レイシル様の方が何というか敢えて人間臭く演じている様な……乱暴な言葉遣いも、ぞんざいな態度も……
「お、思います。思っていますわよ? 可笑しなレイシル様ですね? お疑いになりますか?」
真っ直ぐに私を見詰めるレイシル様。いつもと違うその雰囲気に、どうしたのかと見詰め返します。
「……ううん。そうか、そう思ってくれているのか。まあ、なら今はいいか」
そう言うと、まるで真っ白い大輪の芍薬が花開く様に微笑まれました。ああ。なんてお美しい。
「じゃあ、早く行っておやり。きっと待っているんだろう?」
レイシル様が私の肩にポンと手を置くと、そのままスルリと横を通り過ぎて行きました。私が振り向くと、レイシル様も同時に振り向いて、
「これ、魔法術の鍛錬のご褒美。随分、頑張っているから」
ポーンと小さな何かを投げて寄こしました。
「あ、ああ?」
慌てて私はそれを受け取りました。アブナイアブナイ、落とすところでしたよ?
受け取って、体勢を整えた時には、既にレイシル様はお部屋を出て行った後でした。
「これ、何でしょうか? 頂いて良い物かしら?」
私は手提げポーチにソレを入れると、鞄を持って立ち上がりました。
「さあ、セドリック様の所に行きますか!」
「いらっしゃい、シュゼット」
セドリック様の病室に、エーリック殿下の明るい声が響きます。エーリック殿下は、すでに学院に復帰していて授業が終わるとその足でセドリック様のお見舞いにいらっしゃいます。今も自ら扉を開けて下さいました。ええ。今日もキラッキラですわよ?
「エーリック殿下、セドリック様、御機嫌よう」
制服姿のエーリック殿下が、私の持っていた鞄を持って下さいます。全くこの方のお気遣いには頭が下がりますわ。
セドリック様は、エーリック殿下から贈って頂いた車椅子に座っています。大分操作にも慣れて、器用に車輪を回してテーブルまで来てくれます。この前まで寝台で寝たきりだったのに、やっぱりこれは魔法の力が影響しているのでしょうか? もしそうなら嬉しいです。
「セドリック様、お加減は如何ですか? 今日は、以前言ってらしたチョコブラウニーを持ってきました」
そう言って、手提げポーチからナプキンの包みを取り出しました。
「おい、シュゼット、何か落ちたぞ?」
セドリック様が目敏く指摘してくれました。ああ、いけませんレイシル様から頂いたご褒美です。私は慌てて拾い上げると、ふっと埃を吹きました。
「なに、ソレ?」
小さな掌に載る箱。エーリック殿下がすぐ傍でそれを見ています。
「これですか? 頂いた物です。ご褒美だと」
「……誰に?」
「誰って?」
珍しくエーリック殿下が食い下がりますけど。どうしたのでしょう?
「誰って、レイシル様です。魔法術を頑張っているご褒美に」
レイシル様が言った通りにお話しすると、エーリック殿下がじっとその箱を凝視しました。えっ? 何か不審な感じがしますの?
「シュゼット、ソレまだ開けていないの? だったら見せて?」
包まれたままの小箱を指差して、エーリック殿下が微笑んでます。でも、でもですね、その目が笑っていないような……?
「そうだ。シュゼット、開けて見ればいい! レイシル様のご褒美など、滅多に頂ける物では無いだろう? 神官長様、直々にお選び下さった物だ。ご利益がありそうだな? きっと神のご加護があるのではないか? 是非私達にも分けて貰いたいものだ!」
セドリック様のアイスブルーの瞳が期待に輝いています。頂いたのは私なのですが……
「(そんな良い物じゃないと思うけどな?) まあ、シュゼット開けてごらんよ」
エーリック殿下がポソッと言った言葉は、前半部分が聞き取れませんでしたけど、お二人とも私に開けて見せろと圧が凄いです。
「「さあ、開けて?」」
「あら、コレは……」
小箱に入っていたのは、
「へえ、栞だ。ブッククリップだね」
覗き込んでいたエーリック殿下です。
それは、白金に輝く細長いクリップでした。百合の花の透かし彫りに、小さな緑色のグリーントルマリンが嵌め込まれています。繊細で手の込んだ品で、上品な趣味の良さが伺えます。
「素敵ですね。こんな栞初めてです。ああ、ここをページに挟むのですね? 教科書や雑誌に使うのは勿体ない感じです。何か、特別なモノに使いたいです」
普段使いには勿体ない。銀色の台座は白金でしょうか? 繊細な百合の花が三輪デザインされていて、アクセントの石が本を閉じた時に見えるように付いています。
「そうですわ、日記に使いましょう。丁度良いかもしれません」
私は白い革張りの日記帳を思い出してそう言いました。ええ、とっても似合うと思います。特別な感じがしますわよね?
「……ヤラレタ……」
エーリック殿下がぽそっと呟きました。
「さすが、レイシル様だ。私に勝るとも劣らないセンスの良さだな? シュゼットをイメージした百合の花は、ぴったりじゃないか。
上品で清楚、それに凛とした佇まいは気高くもあり、大輪になれば成る程、貌を下げて咲く様は謙虚さも表しているしな!」
ああ、久し振りに聞くセドリック様節です。でも、レイシル様はそんな風に思っていないと思いますけど? 聞いている私の方が恥ずかしいです。
「セドリック、お前気が付かないのか? これはレイシル様からの……ああ、いいお前には後で教えてやる。大人の手口の狡さをな? こうやって特別になるのか。全く、レイシル様も油断も隙も無いな」
エーリック殿下はそう言って、肩を竦めてセドリック様を見ました。見られたセドリック様は、何の事か判らないと言う顔です。
「それより、チョコブラウニーを召し上がって下さいな? 私が作りましたの。食べ終わったら、セドリック様の治療を致しましょう?」
セドリック様が満面の笑顔で、手作り? 君のか? と。
エーリック殿下も今度は、リクエストしたいと。
この時間も、もう少しで終わりを告げるのです。
「シュゼット、今日はこの位にしよう」
レイシル様の特別講義は魔法科学省で行われますが、まるで学院で過ごす様な感じになっています。今日も朝から座学が始まり、午後からは実技の鍛錬がありました。
私の識別は『光』ですが、その他にも『水』の識別がありました。ありがたい事に、水の識別は鍛錬すれば水の無い地に、泉を作る事も可能です。何よりも多くの人々に喜ばれる魔力です。
「はい。有り難うございました」
今日はレイシル様だけですが、たまにシルヴァ様やエーリック殿下もいらして下さります。お二人の方が魔法術に慣れているし、複数の識別魔法の持ち主ですもの。コツや理論などを丁寧に教えて下さいますし、何よりも精神力を必要とする魔法術の鍛錬に、よく知る方がいるのは心強いのです。
「大分魔力の巡りが早くなった。それに随分扱える力も多くなったな。これも彼のお陰か? これから行くのだろう?」
魔法術は実際に使う対象がいた方が、早く習得できるのですって。何でも、対象物が限定されればされる程、それに向かっての魔力の注がれ方、作用の仕方が違うのですって。
「セドリック殿は?」
「随分良くなりました。痣はもうありませんし、右手のギプスは外れてますもの。あと少しで退院できそうです」
そう答えて、大事な書籍を本棚に戻します。きっとお待ちになっていますね。
「そうか。随分と回復が早いな。君の魔法のお陰か? いや、彼のお陰で君の魔法術の成果が上がってきているのか?」
机に腰掛けて脚を組んでいるレイシル様は、考える時の癖で唇に指を当てています。お行儀悪いですわ。とクスっと笑ってしまいました。
「セドリック様のお陰だけじゃないですよ? レイシル様のお陰でもありますわ。レイシル様は教えるのがとっても上手ですもの。こんなに短期間で回復魔法を扱えるようになったのは、貴方のお陰です。レイシル様に教えて頂けるなんて、滅多に無い光栄な事だと聞きましたし、私もそう思いますわ。感謝しています」
「本当に? そう思う?」
レイシル様は机の上からストンと降りて、私の傍まで来ると真正面に立ちました。こうやって目の前に立たれると、この方の非凡な才を強く感じます。
美しい銀髪がサラサラとして光に透けて輝いています。グリーントルマリンの瞳も、この方が特別な人なのだと思わせます。
確かにフェリックス殿下と良く似ていらっしゃいますけど、レイシル様の方が何というか敢えて人間臭く演じている様な……乱暴な言葉遣いも、ぞんざいな態度も……
「お、思います。思っていますわよ? 可笑しなレイシル様ですね? お疑いになりますか?」
真っ直ぐに私を見詰めるレイシル様。いつもと違うその雰囲気に、どうしたのかと見詰め返します。
「……ううん。そうか、そう思ってくれているのか。まあ、なら今はいいか」
そう言うと、まるで真っ白い大輪の芍薬が花開く様に微笑まれました。ああ。なんてお美しい。
「じゃあ、早く行っておやり。きっと待っているんだろう?」
レイシル様が私の肩にポンと手を置くと、そのままスルリと横を通り過ぎて行きました。私が振り向くと、レイシル様も同時に振り向いて、
「これ、魔法術の鍛錬のご褒美。随分、頑張っているから」
ポーンと小さな何かを投げて寄こしました。
「あ、ああ?」
慌てて私はそれを受け取りました。アブナイアブナイ、落とすところでしたよ?
受け取って、体勢を整えた時には、既にレイシル様はお部屋を出て行った後でした。
「これ、何でしょうか? 頂いて良い物かしら?」
私は手提げポーチにソレを入れると、鞄を持って立ち上がりました。
「さあ、セドリック様の所に行きますか!」
「いらっしゃい、シュゼット」
セドリック様の病室に、エーリック殿下の明るい声が響きます。エーリック殿下は、すでに学院に復帰していて授業が終わるとその足でセドリック様のお見舞いにいらっしゃいます。今も自ら扉を開けて下さいました。ええ。今日もキラッキラですわよ?
「エーリック殿下、セドリック様、御機嫌よう」
制服姿のエーリック殿下が、私の持っていた鞄を持って下さいます。全くこの方のお気遣いには頭が下がりますわ。
セドリック様は、エーリック殿下から贈って頂いた車椅子に座っています。大分操作にも慣れて、器用に車輪を回してテーブルまで来てくれます。この前まで寝台で寝たきりだったのに、やっぱりこれは魔法の力が影響しているのでしょうか? もしそうなら嬉しいです。
「セドリック様、お加減は如何ですか? 今日は、以前言ってらしたチョコブラウニーを持ってきました」
そう言って、手提げポーチからナプキンの包みを取り出しました。
「おい、シュゼット、何か落ちたぞ?」
セドリック様が目敏く指摘してくれました。ああ、いけませんレイシル様から頂いたご褒美です。私は慌てて拾い上げると、ふっと埃を吹きました。
「なに、ソレ?」
小さな掌に載る箱。エーリック殿下がすぐ傍でそれを見ています。
「これですか? 頂いた物です。ご褒美だと」
「……誰に?」
「誰って?」
珍しくエーリック殿下が食い下がりますけど。どうしたのでしょう?
「誰って、レイシル様です。魔法術を頑張っているご褒美に」
レイシル様が言った通りにお話しすると、エーリック殿下がじっとその箱を凝視しました。えっ? 何か不審な感じがしますの?
「シュゼット、ソレまだ開けていないの? だったら見せて?」
包まれたままの小箱を指差して、エーリック殿下が微笑んでます。でも、でもですね、その目が笑っていないような……?
「そうだ。シュゼット、開けて見ればいい! レイシル様のご褒美など、滅多に頂ける物では無いだろう? 神官長様、直々にお選び下さった物だ。ご利益がありそうだな? きっと神のご加護があるのではないか? 是非私達にも分けて貰いたいものだ!」
セドリック様のアイスブルーの瞳が期待に輝いています。頂いたのは私なのですが……
「(そんな良い物じゃないと思うけどな?) まあ、シュゼット開けてごらんよ」
エーリック殿下がポソッと言った言葉は、前半部分が聞き取れませんでしたけど、お二人とも私に開けて見せろと圧が凄いです。
「「さあ、開けて?」」
「あら、コレは……」
小箱に入っていたのは、
「へえ、栞だ。ブッククリップだね」
覗き込んでいたエーリック殿下です。
それは、白金に輝く細長いクリップでした。百合の花の透かし彫りに、小さな緑色のグリーントルマリンが嵌め込まれています。繊細で手の込んだ品で、上品な趣味の良さが伺えます。
「素敵ですね。こんな栞初めてです。ああ、ここをページに挟むのですね? 教科書や雑誌に使うのは勿体ない感じです。何か、特別なモノに使いたいです」
普段使いには勿体ない。銀色の台座は白金でしょうか? 繊細な百合の花が三輪デザインされていて、アクセントの石が本を閉じた時に見えるように付いています。
「そうですわ、日記に使いましょう。丁度良いかもしれません」
私は白い革張りの日記帳を思い出してそう言いました。ええ、とっても似合うと思います。特別な感じがしますわよね?
「……ヤラレタ……」
エーリック殿下がぽそっと呟きました。
「さすが、レイシル様だ。私に勝るとも劣らないセンスの良さだな? シュゼットをイメージした百合の花は、ぴったりじゃないか。
上品で清楚、それに凛とした佇まいは気高くもあり、大輪になれば成る程、貌を下げて咲く様は謙虚さも表しているしな!」
ああ、久し振りに聞くセドリック様節です。でも、レイシル様はそんな風に思っていないと思いますけど? 聞いている私の方が恥ずかしいです。
「セドリック、お前気が付かないのか? これはレイシル様からの……ああ、いいお前には後で教えてやる。大人の手口の狡さをな? こうやって特別になるのか。全く、レイシル様も油断も隙も無いな」
エーリック殿下はそう言って、肩を竦めてセドリック様を見ました。見られたセドリック様は、何の事か判らないと言う顔です。
「それより、チョコブラウニーを召し上がって下さいな? 私が作りましたの。食べ終わったら、セドリック様の治療を致しましょう?」
セドリック様が満面の笑顔で、手作り? 君のか? と。
エーリック殿下も今度は、リクエストしたいと。
この時間も、もう少しで終わりを告げるのです。
0
あなたにおすすめの小説
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、すれ違いの末に離れ離れになった夫婦の物語。
再会したとき、二人が選ぶのは「離婚」か、それとも「再構築」か。
妻を一途に想い続ける夫と、
その想いを一ミリも知らない妻。
――攻防戦の幕が、いま上がる。
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
王女様は温かいごはんが食べたい ~冷えた王宮料理を変えたら、オープンキッチンと政略婚約がついてきました~
しおしお
恋愛
異世界の王女リリアーヌは、前世の記憶を持つ転生者。
豪華絢爛な王宮で暮らし始めた彼女だったが、ひとつだけどうしても耐えられないことがあった。
――食事が、冷めているのだ。
どれほど立派な料理でも、ぬるいスープや冷めた肉ではホッとできない。
「温かいごはんが食べたい」
そのささやかな願いを口にしたことから、王宮ではなぜか大騒動が巻き起こる。
地下厨房からの高速搬送。
専用レーンを爆走するカートメイド。
扉の開閉に命をかけるオープナー。
ついには食堂に火を持ち込むオープンキッチンまで誕生して――!?
温かさは、ホッとさせてくれる。
それは料理だけではなく、人との距離まで少しずつ変えていくものだった。
冷えた王宮に湯気と笑顔を取り戻す、
食と温かさをめぐる宮廷日常コメディ!
-
乙女ゲームのモブに転生していると断罪イベント当日に自覚した者ですが、ようやく再会できた初恋の男の子が悪役令嬢に攻略され済みなんてあんまりだ
弥生 真由
恋愛
『貴女との婚約は今夜を持って破棄させて貰おう!』
学園卒業祝いの夜会の場に、凛と響いた王太子殿下の一声。
その瞬間、私は全てを思い出した。
私が前世ではただの手芸とゲームが好きなインドア派女子大生だったこと。そして、ゲーム世界に転生して尚も趣味は変わらず、ライバルキャラですらないモブになってしまっていたことを。
幼い頃に一度出会ったきりの初恋の彼と学園で再会出来たらなぁ、なんて淡い期待を抱いて通っていたのに、道理で卒業式までなんにも起きなかったわけだ。
ーーなんて、ひとり納得していたら。
何故だが私が悪役令嬢の断罪イベントの目撃者として名指しされ、一気に渦中の人物に!?
更に、王太子以外の男性陣は皆様悪役令嬢に骨抜き。なので自然と私には、彼女の潔白に繋がる証言が求められる。
しかしながら、私は肝心の事件の日の記憶が訳あって曖昧だったので、致し方なく記憶を呼び覚ます治療を受けさせられる羽目に。
タイムリミットは1年間。
その1年間の私への護衛につけられたのは、悪役令嬢に心奪われた初恋の彼でした。
身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」
魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。
鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。
(な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?)
実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。
レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。
「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」
冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。
一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。
「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」
これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる