13 / 26
花嫁は叶わぬ恋をする
第6話 花嫁と霧の庭園
霧深い峡谷に建つリンデガルム城の雨上がりの庭園は、より濃い霧に覆われて、数歩先の景色さえはっきりとは目視できないほどになる。
昨夜の雨は、夜明け前に降り止んだ。けれど、酷くぬかるんだ庭園の地面は、マナが一歩足を踏み出すたびに靴の先を飲み込むようで、あっという間に雨天時用のブーツが泥塗れになってしまった。
「息抜きに外の空気を吸ってきなさいだなんて言っていたけど、庭園がこの状態では息抜きになんてならないわね」
夜を徹してセイラムに付き添っていたマナを心配して、エステルは息抜きの散歩を薦めてくれた。けれど、行き先が雨と霧でぬかるんだこの庭園では、息抜きどころか気が滅入る一方だ。
独り言を口にしながら、マナはくすくすと笑いだした。
「……マナ?」
唐突に声がして、マナが歩みを止める。
霧が濃く、姿ははっきりと確認できなかったけれど、声だけで相手が誰なのかはすぐに判った。
「セイジさん……?」
思い当たった名前を呼んで、数歩前に進み出ると、目の前の霧が薄れるにつれて、相手の輪郭が徐々に鮮明になった。
「おはようございます。こんなに朝早くからお仕事ですか?」
マナが訊ねると、わずかに遅れてセイジの声が返ってきた。
「ええ、厩舎の飛竜の餌やりです」
「まぁ、それは大変ですね」
「そうでもありませんよ」
返事は聞こえるものの、セイジが近づいて来る様子はない。
不思議に思ったマナは、跳ねる泥にもお構いなしにぬかるみのなかを歩き出した。
はっきりと相手の姿が確認できる距離まで近付いて、ようやく目にした彼の姿にマナは驚きの声をあげた。
「ずぶ濡れじゃないですか! もしかして、昨夜からずっと外に……?」
「いえ、まぁ……少々感傷に浸っていまして」
マナの問いに決まりが悪そうに答えながら、セイジが濡れた前髪を掻きあげる。
胸元からハンカチを取り出したマナが、セイジの頬をつたう水滴を拭おうとすると、セイジは一歩後退し、はぐらかすように口を開いた。
「兄上の容態は……?」
セイジに問われ、マナは表情を翳らせた。
王の間で気を失ってから、セイラムは一度も目を覚ましていない。
ベッドの上で人形のように眠るセイラムの姿を思い出し、マナは黙って首を振った。
状況を察したのか、セイジもそれ以上、セイラムの件については触れなかった。
ふたりは無言のまま、霧の中をゆっくりと城に向かって歩きはじめた。
早朝のリンデガルム城は恐ろしいほどの静寂に包まれており、まるでこの世界にふたりだけが取り残されたような、そんな錯覚をしてしまいそうだった。
「昨日はありがとうございました」
沈黙を破ったのはマナだった。
気が昂ぶったグレゴリウス王に王の子を産めと言われたとき、マナの全身は恐怖で凍り付き、逃げ出すことすらできなくなっていた。
危険を顧みずに王の前に立ち塞がり、マナを庇ってくれたセイジの姿に、どれだけ救われたことだろう。
セイラムの守護騎士として任務を全うしただけだとしても、あのとき確かに、セイジはマナを絶望の淵から救ってくれた。
「あのあと、陛下とお話をされたのでしょう? わたしを庇ったために、恐ろしい仕打ちがあったのではありませんか?」
訊ねるマナに、わずかに緊張を滲ませる声でセイジは応えた。
「心配には及びません。父上は私に直接手を下すような真似はしませんから」
「よかった……」
セイジの言葉を聞いて、マナはほっと胸をなでおろした。緊張の糸が切れたように、その両手で顔を覆う。
ふたたび訪れた沈黙のなか、ふたりはようやく城の前に到着した。
「それでは、兄上をよろしくお願いします」
マナを振り返り、頭を下げてそう言い残して、セイジが扉に目を向ける。伸ばしかけたその手が取っ手に触れる、その前に、消え入りそうな微かな声がセイジの耳に届いた。
「セイジさん、少し、お散歩をしませんか?」
心許なげにうつむくマナを振り返ると、セイジは躊躇いがちにうなずいた。
***
すでに朝日は昇っている時間だった。
周囲を色濃く覆っていた霧も徐々に薄れはじめている。もうじき庭園は、いつもと変わりのない薄く霧がかった風景に戻るだろう。
王太子の婚約者が他の男とふたりきりで密会をしているなどと噂が立てば、マナだけでなく、セイラムやセイジにまであらぬ疑いがかかるに違いない。
特別大切な話があるわけではない。それでもマナは、庭園を霧が覆い尽くしている今のうちに、セイジとふたりで話がしたいと考えた。
「……セイラム様には、わたしの他に誰か想う女性がいるのでしょうか」
マナは霧に隠された道の先を見据えたまま、胸に抱いていた疑問を口にした。
同じく道の先に目を向けて、セイジは淡々と応えた。
「それは初耳です。兄上は浮いた話は一切なさらない方ですので」
そう言って、わずかに間をおいて、セイジがふっと含み笑う。
「いや、昔からディートリンデのことだけは可愛がっておりましたが」
確かに、ディートリンデは女の子だ。
人間ではないだけで、女性であることに違いはない。
以前マナがそう言ったとき、セイラムは面白そうに笑っていた。
セイジでもそんな冗談めいたことを言うのだと考えると、なんだか可笑しく思えてしまって、マナはくすりと笑みを零した。それから小さく咳払いして、話を元に戻した。
「夜が明けるまでずっとお側についていましたけれど、セイラム様はわたしの手を握って譫言のように誰かの名前を呼んでいました。はっきりとは聞き取れませんでしたが、おそらく女性の名前です」
夜明け前には身動きひとつせずに静かに呼吸を繰り返して眠るだけになったものの、セイラムは昨夜寝室に運ばれてからしばらくのあいだ、青褪めた顔に脂汗を滲ませて、延々と譫言を繰り返していた。
内容は聞き取ることができなかったけれど、マナの手を強く握りしめ、必死に誰かの名前を呼んでいた。そんな気がした。
「政略結婚ですもの。セイラム様も、きっと誰かに叶わない恋をされているのだわ」
マナが軽く爪先を蹴り上げると、泥水が数歩先の道に跳ね、細かな飛沫を散らした。
「マナ……様も、やはり、以前仰っていた亡くなった彼のことを、まだ想われているのですか」
「……どうかしら」
セイジの問いに、マナは曖昧に返事をする。
今のマナにとって、十七歳の誕生日に蘇った大切なひとの思い出は、美しくて少し哀しい記憶の一部に過ぎない。
ディートリンデに乗って空を飛んだあのときに思ったように、過去に縛り付けられていたマナの心は、すでにセイジが解き放ってくれたのだから。
この先ずっとセイジを想うことが赦されないのだとしても、いっときでも新しい恋をするきっかけをくれた、そのことに感謝するマナの気持ちは変わらない。
昨夜、グレゴリウス王の前でセイジが口にしたマナを拒絶する言葉も、マナが先に進むための後押しのようにさえ思えていた。
「陛下は、ラプラシアで生まれたわたしを下賤な身だと仰いました。わたしが婚約者でなければ、セイラム様があんなにも陛下に疎まれることはなかったのでしょうか」
認めて欲しい、受け入れて欲しい相手に拒絶される。
あのときのセイラムと今のマナは、きっと同じだ。
「わたしは何の為に、故郷を離れてこの国へ来たのでしょう。陛下に疎まれて、貴方にも拒絶されて、そのうえ……」
「拒絶など、そのような真似をした覚えはありません!」
マナのつぶやきは、語気を荒げたセイジの声に遮られた。
驚いたマナが、弾かれるようにセイジの顔を見上げる。
「あのとき……陛下がわたしを妻に娶れと仰ったとき、できない、と貴方は言いました。あれは、そういうことでしょう?」
「違う!」
ゆっくりと瞬きを繰り返して訊ねるマナのか細い手首を引っ掴んで、セイジはマナに詰め寄った。
握り締められた手首が痛い。
それなのに、マナはその手を振り解こうとは少しも思わなかった。
「セイジ、さん……?」
「違うんだ。マナ、私は……」
セイジの真剣な眼差しに、深く澄んだ碧い瞳に、吸い込まれてしまいそうになる。
わずかな時間であるはずなのに、霧に包まれた庭園のときの流れが止まってしまったようだった。
昨夜の雨は、夜明け前に降り止んだ。けれど、酷くぬかるんだ庭園の地面は、マナが一歩足を踏み出すたびに靴の先を飲み込むようで、あっという間に雨天時用のブーツが泥塗れになってしまった。
「息抜きに外の空気を吸ってきなさいだなんて言っていたけど、庭園がこの状態では息抜きになんてならないわね」
夜を徹してセイラムに付き添っていたマナを心配して、エステルは息抜きの散歩を薦めてくれた。けれど、行き先が雨と霧でぬかるんだこの庭園では、息抜きどころか気が滅入る一方だ。
独り言を口にしながら、マナはくすくすと笑いだした。
「……マナ?」
唐突に声がして、マナが歩みを止める。
霧が濃く、姿ははっきりと確認できなかったけれど、声だけで相手が誰なのかはすぐに判った。
「セイジさん……?」
思い当たった名前を呼んで、数歩前に進み出ると、目の前の霧が薄れるにつれて、相手の輪郭が徐々に鮮明になった。
「おはようございます。こんなに朝早くからお仕事ですか?」
マナが訊ねると、わずかに遅れてセイジの声が返ってきた。
「ええ、厩舎の飛竜の餌やりです」
「まぁ、それは大変ですね」
「そうでもありませんよ」
返事は聞こえるものの、セイジが近づいて来る様子はない。
不思議に思ったマナは、跳ねる泥にもお構いなしにぬかるみのなかを歩き出した。
はっきりと相手の姿が確認できる距離まで近付いて、ようやく目にした彼の姿にマナは驚きの声をあげた。
「ずぶ濡れじゃないですか! もしかして、昨夜からずっと外に……?」
「いえ、まぁ……少々感傷に浸っていまして」
マナの問いに決まりが悪そうに答えながら、セイジが濡れた前髪を掻きあげる。
胸元からハンカチを取り出したマナが、セイジの頬をつたう水滴を拭おうとすると、セイジは一歩後退し、はぐらかすように口を開いた。
「兄上の容態は……?」
セイジに問われ、マナは表情を翳らせた。
王の間で気を失ってから、セイラムは一度も目を覚ましていない。
ベッドの上で人形のように眠るセイラムの姿を思い出し、マナは黙って首を振った。
状況を察したのか、セイジもそれ以上、セイラムの件については触れなかった。
ふたりは無言のまま、霧の中をゆっくりと城に向かって歩きはじめた。
早朝のリンデガルム城は恐ろしいほどの静寂に包まれており、まるでこの世界にふたりだけが取り残されたような、そんな錯覚をしてしまいそうだった。
「昨日はありがとうございました」
沈黙を破ったのはマナだった。
気が昂ぶったグレゴリウス王に王の子を産めと言われたとき、マナの全身は恐怖で凍り付き、逃げ出すことすらできなくなっていた。
危険を顧みずに王の前に立ち塞がり、マナを庇ってくれたセイジの姿に、どれだけ救われたことだろう。
セイラムの守護騎士として任務を全うしただけだとしても、あのとき確かに、セイジはマナを絶望の淵から救ってくれた。
「あのあと、陛下とお話をされたのでしょう? わたしを庇ったために、恐ろしい仕打ちがあったのではありませんか?」
訊ねるマナに、わずかに緊張を滲ませる声でセイジは応えた。
「心配には及びません。父上は私に直接手を下すような真似はしませんから」
「よかった……」
セイジの言葉を聞いて、マナはほっと胸をなでおろした。緊張の糸が切れたように、その両手で顔を覆う。
ふたたび訪れた沈黙のなか、ふたりはようやく城の前に到着した。
「それでは、兄上をよろしくお願いします」
マナを振り返り、頭を下げてそう言い残して、セイジが扉に目を向ける。伸ばしかけたその手が取っ手に触れる、その前に、消え入りそうな微かな声がセイジの耳に届いた。
「セイジさん、少し、お散歩をしませんか?」
心許なげにうつむくマナを振り返ると、セイジは躊躇いがちにうなずいた。
***
すでに朝日は昇っている時間だった。
周囲を色濃く覆っていた霧も徐々に薄れはじめている。もうじき庭園は、いつもと変わりのない薄く霧がかった風景に戻るだろう。
王太子の婚約者が他の男とふたりきりで密会をしているなどと噂が立てば、マナだけでなく、セイラムやセイジにまであらぬ疑いがかかるに違いない。
特別大切な話があるわけではない。それでもマナは、庭園を霧が覆い尽くしている今のうちに、セイジとふたりで話がしたいと考えた。
「……セイラム様には、わたしの他に誰か想う女性がいるのでしょうか」
マナは霧に隠された道の先を見据えたまま、胸に抱いていた疑問を口にした。
同じく道の先に目を向けて、セイジは淡々と応えた。
「それは初耳です。兄上は浮いた話は一切なさらない方ですので」
そう言って、わずかに間をおいて、セイジがふっと含み笑う。
「いや、昔からディートリンデのことだけは可愛がっておりましたが」
確かに、ディートリンデは女の子だ。
人間ではないだけで、女性であることに違いはない。
以前マナがそう言ったとき、セイラムは面白そうに笑っていた。
セイジでもそんな冗談めいたことを言うのだと考えると、なんだか可笑しく思えてしまって、マナはくすりと笑みを零した。それから小さく咳払いして、話を元に戻した。
「夜が明けるまでずっとお側についていましたけれど、セイラム様はわたしの手を握って譫言のように誰かの名前を呼んでいました。はっきりとは聞き取れませんでしたが、おそらく女性の名前です」
夜明け前には身動きひとつせずに静かに呼吸を繰り返して眠るだけになったものの、セイラムは昨夜寝室に運ばれてからしばらくのあいだ、青褪めた顔に脂汗を滲ませて、延々と譫言を繰り返していた。
内容は聞き取ることができなかったけれど、マナの手を強く握りしめ、必死に誰かの名前を呼んでいた。そんな気がした。
「政略結婚ですもの。セイラム様も、きっと誰かに叶わない恋をされているのだわ」
マナが軽く爪先を蹴り上げると、泥水が数歩先の道に跳ね、細かな飛沫を散らした。
「マナ……様も、やはり、以前仰っていた亡くなった彼のことを、まだ想われているのですか」
「……どうかしら」
セイジの問いに、マナは曖昧に返事をする。
今のマナにとって、十七歳の誕生日に蘇った大切なひとの思い出は、美しくて少し哀しい記憶の一部に過ぎない。
ディートリンデに乗って空を飛んだあのときに思ったように、過去に縛り付けられていたマナの心は、すでにセイジが解き放ってくれたのだから。
この先ずっとセイジを想うことが赦されないのだとしても、いっときでも新しい恋をするきっかけをくれた、そのことに感謝するマナの気持ちは変わらない。
昨夜、グレゴリウス王の前でセイジが口にしたマナを拒絶する言葉も、マナが先に進むための後押しのようにさえ思えていた。
「陛下は、ラプラシアで生まれたわたしを下賤な身だと仰いました。わたしが婚約者でなければ、セイラム様があんなにも陛下に疎まれることはなかったのでしょうか」
認めて欲しい、受け入れて欲しい相手に拒絶される。
あのときのセイラムと今のマナは、きっと同じだ。
「わたしは何の為に、故郷を離れてこの国へ来たのでしょう。陛下に疎まれて、貴方にも拒絶されて、そのうえ……」
「拒絶など、そのような真似をした覚えはありません!」
マナのつぶやきは、語気を荒げたセイジの声に遮られた。
驚いたマナが、弾かれるようにセイジの顔を見上げる。
「あのとき……陛下がわたしを妻に娶れと仰ったとき、できない、と貴方は言いました。あれは、そういうことでしょう?」
「違う!」
ゆっくりと瞬きを繰り返して訊ねるマナのか細い手首を引っ掴んで、セイジはマナに詰め寄った。
握り締められた手首が痛い。
それなのに、マナはその手を振り解こうとは少しも思わなかった。
「セイジ、さん……?」
「違うんだ。マナ、私は……」
セイジの真剣な眼差しに、深く澄んだ碧い瞳に、吸い込まれてしまいそうになる。
わずかな時間であるはずなのに、霧に包まれた庭園のときの流れが止まってしまったようだった。
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
冷酷公爵と呼ばれる彼は、幼なじみの前でだけ笑う
由香
恋愛
“冷酷”“無慈悲”“氷の貴公子”――そう恐れられる公爵アレクシスには、誰も知らない秘密がある。
それは、幼なじみのリリアーナの前でだけ、優しく笑うこと。
貴族社会の頂点に立つ彼と、身分の低い彼女。
決して交わらないはずの二人なのに、彼は彼女を守り、触れ、独占しようとする。
「俺が笑うのは、お前の前だけだ」
無自覚な彼女と、執着を隠しきれない彼。
やがてその歪な関係は周囲を巻き込み、彼の“冷酷”と呼ばれる理由、そして彼女への想いの深さが暴かれていく――
これは、氷のような男が、たった一人にだけ溺れる物語。
報われなかった姫君に、弔いの白い薔薇の花束を
さくたろう
恋愛
その国の王妃を決める舞踏会に招かれたロザリー・ベルトレードは、自分が当時の王子、そうして現王アルフォンスの婚約者であり、不遇の死を遂げた姫オフィーリアであったという前世を思い出す。
少しずつ蘇るオフィーリアの記憶に翻弄されながらも、17年前から今世まで続く因縁に、ロザリーは絡め取られていく。一方でアルフォンスもロザリーの存在から目が離せなくなり、やがて二人は再び惹かれ合うようになるが――。
20話です。小説家になろう様でも公開中です。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。
石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。
そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。
新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。
初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、別サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
10年間の結婚生活を忘れました ~ドーラとレクス~
緑谷めい
恋愛
ドーラは金で買われたも同然の妻だった――
レクスとの結婚が決まった際「ドーラ、すまない。本当にすまない。不甲斐ない父を許せとは言わん。だが、我が家を助けると思ってゼーマン伯爵家に嫁いでくれ。頼む。この通りだ」と自分に頭を下げた実父の姿を見て、ドーラは自分の人生を諦めた。齢17歳にしてだ。
※ 全10話完結予定