英雄が嫌われ魔女に恋をしちゃった話

namihoshi

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出会い編

魔女の日常

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「…ふぅ。今日はいつにも増してお薬の量が多いから重い…。」


18歳になった私は真昼間の中、薬を持ってギルドへと向かっていた。
週に一回のペースで街に薬を売って、その売ったお金で生活する。
そして、その週に一回以外は街に行かないという徹底ぶりだった。
なぜこんなに街に出ないかは、理由がちゃんとある。街の人たちがやけに私を見てくるからだ。
白い髪に青い瞳、どちらも珍しい色の私は、人の目から見て心地よいものではないのだろう。
ましてや小さい頃からあの屋敷で虐げられ続けた私は人の目が怖かったのだ。
だからこそ数少ない外に出る時すらフードを深く被って伊達メガネをするという徹底ぶりだった。

そんなことを考えているとギルドへとついた。
住んでいる家が森の奥のため街へ行くことでも運動不足の私には一苦労だった。


「!魔女様、お疲れ様です!」


「り、リーシェさん、おつ、かれさまです。いつものお薬です。」


この人はギルドの受付嬢のリーシェさん。
おばあちゃんがいた頃から私によくしてくれている人だ。

…おばあちゃんは私が15歳の時、静かに息を引き取った。とっても、穏やかな顔で。
おばあちゃんは、たくさんのことを教えてくれた。料理も、洗濯も、何もかも。
その中でも私が興味を持ったものは製薬だった。
おばあちゃんは屋敷で働くまでは薬を作って売って暮らしていた。
だから、薬の作り方を教えてくれたのだ。


『…ほんとに薬を作るのは初めてかい。』


『はじめて、です。うまくできています、か?』


『薬っていうのはね、同じように作っても、人によって出来が変わるんだ。
料理の味付けみたいなものだね。
その点、アンタの薬は良くできているよ、初めてとは思えないほどにね。
多分、アリスには薬を作る才能がある。』 


そう、初めて薬を作った時に、おばあちゃんに言われた。
そしてその時に、

『アリス、薬作りをがんばりな。その能力はきっと、遠くない将来アリスの役にたつ。』

と言われてから数年。薬作りは仕事としてとても役に立っていた。
元から人と話すのが苦手な上に運動神経も最悪。そんな私には薬作りという仕事がなかったら大変なことになっていただろう。

(きっと、おばあちゃんは気づいていたんだろうなぁ。このことに。)

そう思いながら、重かった薬を受付の机へと下ろす。


「今日はいつにも増して大量ですね~。最近は魔物討伐で薬の供給が間に合っていなくて助かります!魔女様の薬は他の物と比べても出来がものすごくいいですし!」


いそいそと薬を確認しながらリーシェさんは言う。


「魔物…。最近、増えてますね。この辺りでは、あまりでなかったのに。」


「そうなんですよぉ~。何でもこの辺りの瘴気が増えているみたいで、もう少ししたら王太子様が浄化に来てくれるみたいですよ。」


瘴気、と言うのは多ければ多いほど魔物が増えていくものだ。魔物は騎士などは倒せるかもしれないが、普通の一般人は見つけたら逃げたほうがいい。私のような運動能力皆無な人間は見つかったら即死だ。
そして、それを浄化できるのはこの国の王族のみである。


「王太子様が、そうですか。なら大丈夫ですね。」


「そうはいっても森の奥から来ている魔女様は特に危険なんですからね!?気をつけてくださいね!」


そう言いながら、リーシェさんは薬の報酬をくれた。


「あ…はい。ありがとう、ございます。では、失礼します。」


リーシェさんの凄みに押されながら私はギルドを出た。


(まあ私、魔物避けの薬を持っているから絶対に襲われないんだけれど。)



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