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クレア視点・剣を認めてもらうために1

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クレアさんの過去話となっております~!
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私の名前はクレア・ヴィーリア。
これでも由緒正しい公爵家の人間だ。
私が剣を初めて見たのは5歳の時。
ケイトお兄様に剣を教えている人が振るっているのを遠くから見た。

その瞬間、私は剣に一目惚れした。
長年練習してきたであろうその人の剣は、ぶれなく綺麗に弧を描いている。
ああ、なんて美しいんだろうって。


私は家族に騎士になりたいと話した。
お父様とお母様からは猛反対だった。
でも2人もただ頭ごなしに否定した訳ではない。
私は普通に公爵令嬢として生きていれば何不自由なくいい所の家と結婚して、危険なく暮らせる。
騎士になれば常に命の危険があるのだ。

私を可愛い娘として愛してくれていたからこその否定だった。

でも、ケイトお兄様だけは2人と答えが違った。

「クレアに1度剣を持たせてあげてください。」

お兄様はお父様とお母様に何度もそう頼み込んだ。

「なら1度だけだ。
この騎士に好きに打ち込んで見せろ。」


持たされたのは木刀。
でも、初めて剣を持った私には、その木刀が輝いて見えた。

お父様が打ち込んでみろと言った騎士は最近騎士になったばかりの弱気そうな人。
でも、騎士になったくらいだから剣の腕は悪くないはずだ。


「よろしくお願いします。」


「うっ、はいお嬢様。」


主の娘の剣を受けろと命令されたこの新人騎士がちょっと可哀想になってきた。
なんか涙目だ。


まあそれはそれ。
私は力任せに剣を打ち込まなかった。
私はこの試合に勝ちたい訳では無い、最初で最後になるかもしれないこの機会で、あの時美しいと思ったあの人の剣術のような剣を振るってみたい。

だから私はふわりふわりと剣を振るう。
まるでダンスをするように。


『コツン』



「…へ?」


気づけば騎士に剣が当たっていた。
木刀だし幼かった私には怪我を与える力なんてないから本当に体に木刀がぶつかった程度。
でも、鍛錬を積んだ騎士相手に当てることができたのだ。


ケイトお兄様は驚きもせず告げた。


「これでわかったでしょう父上。
クレアは剣の天才です。
ちゃんと鍛錬を積めば、とんでもない騎士になれます。」


後からケイトお兄様聞いたら、お兄様を教えていたあの人の剣の動きが見えていた時点で、私に剣の才があることには勘づいていたと言っていた。

「あの人は剣の天才として名高いですから、ほとんどの人には剣の動きなんて見えないですよ。
まあ動きが見えても剣の才さえなければあのように剣は振るえないのですが、ね。」

つまり賭けていたんだろう。
あの時に私が上手く剣を振るえるはずだって。
…ケイトお兄様もなかなかなことをする。


それでも、私の騎士の夢は認めて貰えなかった。
転機があったのは8歳の時。
王位継承権をわずか17歳の王女に引き渡すための歓迎会だった。
王城の広間で、それはそれは大勢の貴族達に見守られて初の女王、ヴィリエル様が誕生した。
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