猫耳幼女の異世界騎士団暮らし

精霊の話

「精霊？」


元の世界では幻の存在的なあれかな？
…この世界って精霊もいるんだ。


「ミコ様は精霊の話を聞いた事ありませんか？」

私の知識は元の世界の知識のみ。
ましてや精霊の知識なんて元からゼロに近いのに、異世界に来てしまったら役になんて立たない。


「全く分かんない。
クレアお姉ちゃんは知ってるの？」


「私も伝説的な存在なのでちょっとくらいしか分かりませんが、お聞きになりますか？」


ハルのことならちょっとしか分からなくても知りたい。
私はクレアお姉ちゃんにぺこりと頭を下げてこう言った。


「ぜひ、教えてくださいクレア先生！」


「いやぁ、今まで魔物の戦闘や女王陛下の護衛ばかりやって来て幼い子と接する機会なんてゼロだったのですが…素晴らしい仕事ですねこれは…。」

口元を抑えながらクレアお姉ちゃんはブツブツと何か言っている。

「んっと、ごめんなさい聞こえなかった。」

「あいえ、お気になさらず。精霊の話でしたね。」

こほんっと咳払いをするとクレアお姉ちゃんは話を続けた。


「精霊は神様の分身とも言われる存在です。
物凄く気まぐれで、ありとあらゆる生物の姿で現れると言われています。」


「猫だけじゃないの？」


「はい、鳥の姿の精霊を見たという者も居れば、うさぎの姿をしていた精霊を見たという者もいます。」


ん？あれ？

「精霊って見ただけで分かるものなの？」

それにしては騎士の皆も気づいてなかったみたいだけれど…

「精霊は特殊な魔法を使えるんですよ。
ハル様の物を自由に出し入れできる魔法のような。

それにプラスして基本の魔法5属性全て扱うことが出来るのは今知りましたけど…。

普通の動物が魔法を使う事はありえない。
なので、魔法を使っている動物を見たらそれはほぼ精霊だと言われています。」

てことは私、最初にハルが本を差し出してきた時点で精霊だと気づかなきゃいけなかったんだ…。

ヒントはあったんだねハル…。


「先程言った通り、精霊はものすごく気まぐれなんです。
特定の場所にいることはほとんど無いし、ましてや契約なんて前例はありません。
私もここまで近くで精霊や精霊の使う特殊な魔法を見るのは初めてです。」


「え？」


じゃあなんでハルは最初に会った時、契約したいと伝えてきたのだろう。
聞いている限り、特定のものに縛られるのを嫌うような話し方だったのだけれど。


「猫獣人だからなのか、ミコ様が妙に精霊に好かれやすい体質なのか…正直言って私には全く分かりませんが。

ミコ様、精霊と契約というのは本当にすごいことなんだってこと、ちゃんと覚えていてくださいね。
…そしてその分、多くの者から狙われるということも。」


クレアお姉ちゃんは私に膝を着いて目線を合わせ、最後の言葉は真剣な瞳でそう言った。


…やっぱりかっこいいなぁこの人。
精霊と契約している私の事を利用せず、本気で私のことを思ってくれていて、
私が幼いからって有耶無耶にせず、はっきりメリットデメリットを言ってくれて。

うーん、私も将来はこういう素敵なお姉さんになりたいものだなぁ。


「わかった、クレアお姉ちゃん。
ハルは普通の猫ということにする、ハルが猫でも精霊でも、私にとってハルが大切な仲間だってことは変わらないから。」


ハルがどんなすごい生き物だったとしてもずっと、ハルは私にとって困った時に助けてくれる大事な大事な仲間なんだからね。

それは揺るがない。
まだハルに出会って2日だけど。
なんならクレアお姉ちゃんに至ってはさっきあったばっかりだけれど。

「ミコ様…」

ほっとしたような表情なクレアお姉ちゃん。

「クレアお姉ちゃん。」


「はい、なんでしょう？」


誰かに何かをしてもらったら言うべきことはただ1つ。


「ハルのこと、教えてくれてありがとう！」


「！どういたしまして！
それでは、いい時間にもなりましたし買い物に行きましょうか。」

そう言ったクレアお姉ちゃんは嬉しそうな顔をしていた。


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最後のクレアお姉ちゃんの気持ちは
2割 いい子だなぁ
8割 可愛いなぁ
…って感じです。

この人も小さい女の子とのふれあい経験が少ないっ…！



昨日の夜予約したはずなのに公開できてませんでした～！すみません！