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第4話 粘着剤

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◯病院

医師「軽微な刺突傷です、特段気をつけていただく必要はありません」

ナース「では包帯を巻きますね」

鷺洲「ありがとうございます助かります」

水色の包帯を巻かれる鷺洲

ナース「この水色包帯ではおよそ3日ほどで完治します」

鷺洲「助かります」

ナース「ではお大事に」

診察室を出る鷺洲

◯待合室

鷺洲が来る。

鴻島「あっ!」

セリーナが来る。

セリーナ「メイさん、ありがとう、それに今朝は大変でしたね」

鷺洲「お父様お母様、私は特殊部隊員の看板を背負っている分際で目の前の女性を救えずに申し訳ございませんでした」

雪忠「謝らないでください」

鷺洲「ですが」

鴻島「このお姉さんが1番寄り添ってくれます」

雪忠「メイさんも人質事件に巻き込まれた後にこんな事になるなんて活動に支障があるかも•••」

鴻島「お2人がきたのでちょっとだけ出てきます」

八木「怪我で悪いけど鴻島さんは任せた」

鷺洲「了解です」

鴻島「お、お願いします」

鷺洲「ではこっちに」

2人で待合室から出て行く。

◯ロビー

鷺洲「とりあえず新しいものに変えないといけないのでそれだけをお願いします」

裁定人「わかりました、タグを読み込ませてください」

服のタグを読み込まれる鴻島

裁定人「すみませんが、アンダーはご自身でお願いします」

小さな端末を受け取り、トイレに入る。

鴻島戻る。

裁定人「お手数おかけしました。ただ今鴻島様のIDに税込価格の合計で犯罪被害支援金の名目で送金されました、以上で公的な犯罪被害の補償の手続きは終わりです、現在のお召し物は証拠品としてご提供頂ければと思います」

鴻島「は、はいわかりました」

鷺洲「汚れた服を着たまま、裁定人が来るまで長時間待たせるって言う制度が残念、昔ならさっさと着替えて証拠品として提出と請求すれば、後日裁定人から代品が送られて来たんだけどね、そういう制度を悪用する輩がいるせいか、こうも面倒になったんだよ」

ポンチョに着替えて着ていた服を提出する。

鴻島「お願いします」

裁定人「確かに受け取りました」

◯待合室

鷺洲、鴻島戻る。

セリーナ「あら、早いね、てっきり風呂にでも行ったと」

鴻島「すいちゃんを置いて行けないです」

セリーナ「いいよ、すいは行けないし、あと数時間かかるし、行っちゃいなよ、今日は絶対に風呂に入るって言ってたじゃん」

鴻島「すいちゃんが良くなったら必ず3人で行きます」

アパレルショップに向かう望月と鴻島、鷺洲

◯店内

鴻島「このセットをお願いします」

端末の画面を見せる。

店員「かしこまりました、3分お待ち下さい」

同じものが準備される。

店を出る3人

浴場に向かう。

◯浴場フロント

鷺洲「休憩所に居るのでごゆっくり」

◯脱衣所

服を脱ぐ2人

タオルを体に巻く。

望月「あ~怖かった~」

鴻島に背後から抱きついて胸を揉む望月

ハッと声を上げる鴻島、周囲の視線を集める

望月「感じちゃってるの~?」

鴻島「こんな時に•••園長は」

望月「おっぺぇ~大きいとつい•••大きくて形も綺麗って、ほんと胸格差ね、TKBはこぉ~こ」

鴻島「もぉ~恥ずかしいじゃん」

望月「フォロワー337万人のKカップさ~ん」

鴻島「ちょっとぉ~今日はそう言うテンションじゃないって」

望月「やっぱ、胸格差にフォロワー格差、世の中残酷よね~」

鴻島「園長も290万人も応援してくれてるでしょ」

◯浴室

洗い場に座る鴻島

同じブースに入る望月

望月「フィオリアバブルランドへようこそ」

鴻島「はぁ?」

洗面器に泡を起こして鴻島を洗い始める望月

鴻島「ねぇ~ちょっと~•••••」

背後から手を伸ばして身体を密着させながら前を洗う。

鴻島「すぅ~すぅ~••••••••••もぉ変態!」

望月「気持ちよさそうに身体は反応しているくせに?」

鴻島「いっつも容赦無いよ、この変態園長は」

隙を見てシャワーの水を被る鴻島

巻き添えで悲鳴を上げる望月

望月を椅子に座らせる鴻島

泡を望月の顔に塗る。

望月「ぷはぁー!」

慌ててシャワーの水を被る望月

悲鳴を上げる望月

笑い合う2人

◯浴槽

座る2人

望月「ごめんね、最近辛くてその上今日の事があったし忘れたくて深夜テンションだった」

鴻島「う、うん、私も今日死ぬかもって思った、でも、園長がいつも通り接してくれたから嬉しくなった」

望月「すいちゃんも元に戻ってまた楽しく配信したいって、1人欠けるとそういうのがよくわかるって言うか、」

手で水鉄砲をする鴻島

望月「プハァ!」

鴻島「園長のくせにまともなこと言うじゃん、草」

望月「言うねぇ~」

鴻島の上に座る望月

望月「こうやって背中で心音を感じると間違いなく生きているんだって思えるからおすすめね」

鴻島「降りろよぉ~変態園長」

望月「じゃあ最後にチューね」

鴻島「この、すけべおじサン園長」

顔を逸らす鴻島

顔を近づける望月

鴻島「フゥ~すぅー」

望月の鼻に指を突っ込む鴻島

バランスを崩す望月

壁に手を突いて激突を避ける望月

望月「壁ドンさせるとか意外とメイもそう言う感じね」

鴻島「違うわ変態!」

逃げる鴻島

浴槽から上がってシャワーを浴びる

身体を拭いてタオルを巻いて出る。

後を追う望月

◯脱衣所

望月「はぁ~暑かったぁー」

鴻島に背後から抱きつく望月

鴻島「暑いなら離れてよ変態園長」

望月「もぉーケチぃー」

鴻島「離れろぉー」

望月「はぁ~いい匂い」

鴻島のうなじに鼻をつける。

鴻島「この変態園長」

逃げるように座る鴻島

離れる望月

服を着る鴻島

ドライヤーで髪を乾かす鴻島

服を着る望月

小型のクーラーボックスからビールを出す望月

望月「ぷはぁ~ひと風呂入った後のビールは最高ねー!」

鴻島「昨日誕生日で飲めるようになったからって翌日からそんに飲むん?」

軽装の望月、タオルを首に掛けて外に出る。

◯通路

パウチアイスを買う鴻島

望月の後を追う鴻島

◯休憩所

望月「お待た~せ~」

鴻島「お待たせしました」

振り向く鷺洲

鷺洲「酔うなよ」

テレビが映される。

ニュースキャスター「本日15時頃、熊本市中央区のアーケード街にて19歳の女性の下腹部を数回にわたり刺した男がその場に居合わせたストラトの隊員により、殺人未遂と公務執行妨害の容疑で現行犯逮捕されました、取り調べによると男は、俺はりいなの彼氏だ、他の男との交際なんて認めねえー、俺以外の男の子供なんて産めない身体にしてやりたかった、など供述しており計画的な犯行だった事が伺えます、また目撃者によると男は逮捕時に奇声を発していた事もわかっています。犯罪者心理の専門家の見解では精神障害を装う事で無罪を狙う可能があるとのことです。被害に遭った女性は現在、意識不明の重体です、では次のニュースです、本日13時頃•••••」

画面に釘付けになる2人

望月「もはやアンチか許さん」

アナウンス「本日はご来店頂きまして、誠にありがとうございます。
ご来店中のお客様にご案内申しあげます。 誠に勝手ではございますが、当店はまもなく閉店のお時間でございます。
どなた様も忘れ物ございません様、お手回品のご確認をお願いいたします。
またのご来店を心よりお待ち申しあげております。本日のご来店、誠に有難うございます」

鴻島「交際って言うん?一緒に居たのはもう1人のボーイッシュな方のマネちゃんでしょ」

望月「うん、勘違いも酷いなぁ」

通話を切る鷺洲

鷺洲「目覚めたそうよ」

望月「ほんと?」

鷺洲「急いで戻ろ?」

鴻島「はい」

◯エントランス

靴を履く3人

走る3人

足を挫く望月

鴻島「ほぉ~らバチが当たった」

望月「くっっ•••••」

望月を背負う鷺洲

鷺洲「どうせならお姫様抱っこがよかった?」

望月「はい」

鴻島「欲望丸出しじゃないか変態園長は」

鷺洲「んん~仕方ないね~」

お姫様抱っこされる望月

◯道

走る鷺洲と鴻島

望月「間近での吐息と心音ってゾクゾクしますね」

鷺洲「はぁ~、静かに」

鴻島「怒られてやんの」

◯病院

受付「急病ですか?」

鷺洲「あわわわ、違います」

降ろされる望月

鷺洲「瀧澤彗星さんはどこにいます?」

調べる受付

受付「ノースタワーの5階、555号室ですです黄色のラインをお進み下さい」

鷺洲「了解です」

望月「あ、どうも」

急ぐ3人

◯エレベーター

乗り込む3人

鷺洲「上に行きますよ」

利用者が3人入ってくる。

3階で降りる1人の利用者

5階で3人が降りる。

ヨセヤマ「お疲れ様です、どうされたんです?」

髙松「お疲れ様です、先輩」

ヨセヤマ「こちらです」

◯病室

目を覚ます瀧澤

鎮痛剤を投与されている。

瀧澤「怪我、大丈夫ですか?助けてくれてありがとうございますお姉さん」

望月「目覚めて1番最初に他人を心配しているあたりいつもの調子ね」

鷺洲「そんなこと言わんでくださいよ」

鴻島「生きててくれて良かった」

セリーナ「子供を産めない身体になってしまったんだよ、最新の再生医療で再生させるって言うやり方もあるけど、入院時間がかかるし活動にも影響が出るのは確実だし」

鴻島「手伝える事は何でもやりますよ」

雪忠「助かるよ本当に」

男性ナースが来る。

SE「コンコンコン」

ナース「本日の夜間担当の田上です。お時間がよろしければお部屋についてご説明します」

セリーナ「お願いします」

男性ナース「こちらにはご一緒される方のためのベッドが壁に収納されておりますまた、入り口左手のユニットバスがございます。ご自由にお使いください、食事はこちらの端末からお選びください和洋中ございます、朝は7時30分から10時をご指定いただくとロボットがお届けに参ります。同じく昼は11時から14時夜は17時から20時となります。患者様の間隔は6時間空けていただくことになります。点滴などは自動ロボットが補充に参ります。ナースコールはベッド左右のボタンおよびベッド下にございます、主治医は要件が立て込んでおりますので申し訳ございませんが明日10時にお伺いします、何かご質問等はございますか?」

瀧澤「防音性能は?」

男性ナース「スタジオレベルではありますが、楽器等の演奏はご遠慮ください」

瀧澤「ネット環境は?」

男性ナース「無線では7.2世代回線で1Tbps、光ファイバーでは38コアラインで700Tbpsです、その他の詳細は端末の病室詳細よりご確認ください」

セリーナ「配信する気じゃないでしょうね?」

瀧澤「そんなことするわけないじゃん」

セリーナ「なら安心」

瀧澤「配信してもらおうかなぁ~」

鴻島「皆さんがよろしければ、ここで牌娘やりますよ~」

望月「だよねぇ~てか今からやっちゃう?、まぁ、本当の目的はニュースに名前が載って配信おやすみって言うと事件に巻き込まれたとかで変な噂で騒ぐ人いるじゃん、身バレ対策でラジコンライブも必要でしょ、噂を立てられないようにするのも手段ではある」

鷺洲「では私たちはこれで」

八木が入ってくる。

八木「うちの隊員にも手を出したって言うことでヤマサキチーフが直接取調べをすると言うことで今から奴を福岡に連れて行くことになりました。事件進捗はストラトからご連絡差し上げます」

雪忠「野朗は刑務所にぶち込んであげてください」

八木「ええ、検察には重罪希望を申し添えておきます」

雪忠「お願いします」

セリーナ「後から弁護士が来るってよ」

八木「ではこれで失礼します」

◯エレベーター前

鴻島が来る。

鷺洲「どうしたん?」

鴻島「お姉さんの事教えてください」

鷺洲「いいよ、私は鷺洲あくあって言うよ」

鴻島「連絡先聞いてもいいですか?」

鷺洲「ええと、それは」

八木「ストラトはたとえ仕事上で知り合った人でもプライベートには干渉しないので」

鴻島「助かります」

鷺洲「最低限の連絡先を端末に送るね~」

鴻島「ありがとうございます。今度全員が良くなったら食事でも」

鷺洲「そうだね、先ずは良くならないとね」

鴻島「いっつも福岡にいるので、必ず誘いますからね」

帰る鴻島

◯エレベーター内

鷺洲「彼女たちはヴァーチャルのホログラムライバーですよ、それも日本一の、いいんですか?」

八木「変なアンチとかも居るみたいだし身辺警護も兼ねてるから良くない?」

鷺洲「そうですね、その理由で良さそうですね」

髙松「ライバーとお友達とか羨ましい限りです」

八木「今日は帰ってから公務災害の手続きな、忘れんなよ」

鷺洲「はい、承知しています」

穂村「ええと、瀧澤さんがりいなで、鴻島さんがリンリン牌娘、望月さんがフィオリア園長だと思われます、声も似ていますし」

髙松「穂村さん詳しいんですか?」

◯通路

穂村「箱推ししてるんよ」

髙松「へぇ~意外だなぁ~休日とか毎日朝から晩までジムで筋トレとかやってそうでしたし」

穂村「(笑いながら)偏見やめな~」

ヨセヤマ「たしか21期生ですよね?」

穂村「いや20」

八木「20期生って?」

穂村「ヴァーチャルライバープロダクションの20期目にデビューしたって事です」

鷺洲「なんかごめんね」

穂村「ははは、謝る必要は無いですよ、それに中の人だとしても少しの時間だけでも一緒に居れたので、それはそれで嬉しいです、今後の活動が心配ですが、おそらくあくたんは守秘義務契約をする羽目になるかもな」

髙松「そんなに面白いのです?」

穂村「今度うちに来てみる?最強の環境で見せてやるよ、なんたって等身大ホログラム3台あるし、防音室にノイマンのAVRあるし」

鷺洲「実物のノイマンAVRとかスッゲー気になる」

穂村「彼女たちの過去の配信見ます?」

躑蠋ケ原「いっそ家にチーフのホログラム置いて鬼畜的に監視してくれって思いますね、遅刻とかしそうな時に耳元で最高にゾワゾワする声で起こして欲しいんです、」

ヤマサキOFF「おーい、いつまで寝てんの~遅刻しちゃうぞ~」

髙松「好き過ぎだろ」

八木「すまん電源入ってた」

ヤマサキOFF「へぇ~私の声を好きになってくれたんだ~」

カメラの電源を切る八木

髙松「それは確信犯っすよ」

躑蠋ケ原「チーフみたいなザ働く美女でユルフワの声で軽く罵られるとか絶頂モノですよ」

八木「個性的だなお前の癖は」

髙松「ですよね~流石に無理ありますね~」
 
自動運行のバスに乗る隊員たち


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