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第30話 アーリア国国王の最期
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コウキを先頭にして案内してもらいながら、最後の目的アーリア王国国王を始末しに王室へ向かう。
呪いと呼ばれるものは、一度かかるともう元に戻すことは出来ない。
俺もそれを解決する方法を研究したが、未だに見つからないままでいる。
これを対処するには、もう殺すしか方法がない。
「もうすぐ着くぞ」
コウキはそう言うと、目の前には大きくて立派な扉が姿を現した。
ここに来たのは追放された時以来だ。
あの時の記憶が頭に一瞬過ぎった。
「ルーカス、大丈夫?」
そんな中でアンラは俺に声をかけてくれた。
嫌な記憶が過ぎって表情が曇ったようで、それを見て心配してくれたようだ。
あの時は俺しか居なかったけど、今は隣にアンラが寄り添ってくれる。
それは七帝だった頃と全く違うところだった。
「ああ、大丈夫だ。心配してくれてありがとな」
「うん」
「じゃあ準備はいいか?」
コウキは俺とアンラの方を見て確認を取る。
俺とアンラはコクリと頷く。
「それでは……行くぞ!」
コウキは大きな扉に手をかけ、ゆっくりと押して開く。
ギギギ……という軋む音が鳴り響きながら、奥に見えてきたのは……。
「ほう、聖帝コウキ・アラミツか」
「左様でございます。聖帝コウキ・アラミツでございます」
コウキは国王の元へ歩み寄ると、国王に向かって跪いて一礼する。
国王は彼の顔を見ることはなく、ずっと玉座に座って真正面を見たままの状態になっている。
確かに、こう見ると完全にコウキに操られているのがわかる。
俺が聖帝になりたての頃の国王は、もっと微笑んで優しい雰囲気を漂わせる方だった。
しかし、今は笑う様子が全く感じられない。
コウキはみんなに気づかれないように少しずつ国王を操っていくように仕込んだのだろう。
本当に巧妙な手口だ。
「国王様、我々は魔王軍に負けました。もうあとはありません。そこで国王陛下にわたくしから提案がございます」
「ほう、なんだ?」
「もう降参を魔王軍に認め、国王様は自害することが一番良いかと……」
「―――そうか、ならばそうしよう」
コウキは俺たちの方を見てコクリと頷いた。
コウキに操られている状態なので、国王はあっさりとコウキの提案を承諾した。
俺は国王の元へ歩み寄る。
そしてコウキの横に並び、跪いて一礼を行った。
「わたしの横におられるのがその執行を努めていただくルーカス・アンワルでございます」
「お初目にかかります国王陛下。聖帝コウキ・アラミツからご紹介して頂きました、ルーカス・アンワルと申します」
「ふむ、では頼んだぞ」
国王は立ち上がり、俺の元へ歩み寄る。
これだけ近くで国王のお顔を拝見したのは本当に久し振りだった。
でも、あの頃の国王とは全く違うためか別人のように見える。
名残惜しいとは思わなかった。
俺は立ち上がって鞘から剣を抜き、国王の首元に刃を向けた
「―――それでは……よろしいですか?」
国王は黙ったままコクリと頷いた。
「わかりました。それでは―――」
俺は剣を振り上げ、国王の首を目掛けて横に振った。
これで全ての目的が果たされたことになった。
これでアーリア王国はシャイタンに吸収されることになり、また平和が訪れるだろう。
「―――これで良かったんだなコウキ」
「ああ……すまなかったルーカス」
「謝る必要はないさ。俺はもうお前を恨んではいないし。それにこれからは仲間だろ?」
そう言いながら、俺は剣に付着した血を振り払って落とし鞘に収めた。
コウキは笑うと、
「やっぱりお前は優しすぎる男だな……。確かアンラ、だったかな?」
いつの間にか俺の傍にいたアンラにコウキは彼女の名前を呼んだ。
「ええ、そうだけど……」
「良かったな、この男に出会えて」
「当たり前でしょ! ルーカスは世界一いい男の人なんだから!」
ドヤ顔でそう言うと、俺の右腕を抱く。
そんなことを言われたのは初めてだったため、俺は照れくさくなった。
「さて、終わったことだし……あとは王妃様とお嬢様を何とかしないとな」
「は?」
「まさか覚えていないとかないよな?」
そうだ……そうだった、国王には奥さんと娘がいた。
七帝だった頃はとってもお世話になっていたはずなのに……なんで忘れていたんだろう。
お嬢様とは良く遊び相手として接していた。
しばらくお顔を見ていないけど、少しは大きくなったのだろうか?
「どうしたの? 何だかソワソワしている感じだけど……」
「あ、いや、何でもないんだアンラ。そうか、王妃様とお嬢様ねえ……」
「―――?」
「行くぞルーカス。こっちに避難している」
そう言われ、俺とアンラはコウキに案内されながら、お二人のところへ向かった。
―――この廊下も、このステンドガラスも、壁画も……見るもの全てが懐かしい。
シャイタンの城は勇ましい雰囲気を醸し出すような感じだが、アーリア王国の城は芸術性を重視した造りになっているため、いつ見ても飽きない。
普段から城で暮らしているアンラも、天井を見上げたり、横においてある歴代の王の石像を目で追ったりと興味津々だった。
「王妃様、お嬢様、聖帝コウキ・アラミツでございます」
コウキは扉の目の前で自分の名前を伝えると、頑丈な扉を開けた。
俺とアンラも恐る恐る扉の前に歩み寄ると、そこには懐かしい顔が。
「―――! そこにいるのは……ル、ルーカス……なのかしら?」
「はい、お久しぶりでございます王妃様、お嬢様。ルーカス・アンワルです」
俺は王妃様に一礼した。
彼女こそがアーリア王国の王妃、シャルロット・アーリアだ。
年齢は20代半ば、だったと思う。
青色の髪と眼が特徴で華やかな雰囲気を醸し出すお方だ。
そして、王妃様の膝の上に座っているのはその娘、シーア・アーリアお嬢様だ。
王妃様と同じ青色の髪と眼が特徴の4歳の女の子。
七帝の頃は良く俺の部屋に入ってきては、遊んでほしいと言ってきたものだ。
結構元気いっぱいの女の子って感じだったんだけど……俺の姿を見てどうやら怯えているようだ。
今にも泣きそうな顔をしている。
「お嬢様、覚えておられますでしょうか?」
「―――」
シーアお嬢様はコクコクと小さく頷いた。
良かった、覚えていてくれて……。
「―――でも、シーアが知ってるルーカスじゃない」
「ああ、申し訳ございませんお嬢様。実はとある事情があってこの姿になってしまったのです。怖がらなくて大丈夫ですよ?」
「―――! ルーカス!」
シーアお嬢様は王妃様の膝から飛び降り、俺に駆け寄ってきた。
俺はその場にしゃがむと、シーアお嬢様は泣きながら俺に抱きつく。
声を上げて泣くシーアお嬢様の頭を撫でてあげると、安心したのか少しずつ泣き止んできた。
「ところでルーカスの横にいる女性の方は?」
「そうでした、自己紹介がまだでしたね。初めまして王妃様。わたしは魔王のアンラ・スルターンと申します」
「ま、魔王!?」
アンラが魔王だと知った瞬間、王妃様はサッと額に青筋が現れる。
「大丈夫ですよ。彼女はわたくしの仲間、且つわたくしの婚約者なんです」
「まあ……! 遂にルーカスにも大切な人が出来たのね!」
「ええ、お陰様で……」
王妃様にそう言われ照れくさくなった俺は、頭をポリポリと掻いた。
アンラはというと、頭から煙を出していた。
まさか王妃様がこの話に食いついてくるとは思わなかった。
「初々しいお二人方ですわね。わたくしも何だか心が温かくなってきました……。ところで、もう式を挙げる日とかは、もう決まっているのかしら?」
「ま、まだ詳細は決まっていませんよ! これからまた彼女と相談し来たいと思っています」
「ルーカス……それって本当の話、なの?」
「へ? あれ、まだそんなこと話していなかったっけ?」
「わたし初めて聞いたんだけど……」
「え、えっと……その、戦いが終わったらって約束したから、いつかは挙げれたらアンラは嬉しいかなって思って……」
俺はそうアンラに話すと、彼女は俯いてしまった。
あれ、俺なんか変なこと言ったか?
「何よそれ……」
「は?」
「何よそれ。そんなの……嬉しいに決まってるじゃない……」
アンラは顔を真っ赤にしてモジモジしながらそう言った。
か、可愛い……!
その顔と仕草が俺にとっては本当に天使なんです!
「んん! 甘い雰囲気になっている所申し訳ないが……」
コウキの声に俺とアンラはハッと我に返った。
コウキは咳払いをすると、
「王妃様、その……国王様のことなんですが……」
コウキは事の経緯を正直に王妃様に話した。
国王を操っていたのは自分なんだと、国をこうしてしまったのも自分のせいなんだと……。
その話を全て聞いた王妃様は胸に手を置いた。
「そうだったのですね……でも、何だかすっきりしました」
「えっ? すっきりしたとは?」
「わたくしと国王様は、無理やり結婚させられたんです。わたくしは元々普通の平民でした。見た目が良いからという理由だけで嫁入りさせられたわたくしは、何も楽しくありませんでした。それに、娘のことも全く見てくれませんし、興味もなさそうでした。あと、1つ言うとしたら……あんな年寄りとは一緒になりたくありません!」
「お、王妃様?」
それから王妃様はずっと国王への愚痴がどんどん吐き出された。
あんな年寄りになんで嫁になる必要があったのかとか、あんな年寄りになんで抱かれないといけなかったのかとか……。
ほとんど年寄りだからという理由で嫌だったようだ。
まあ、わからなくもないけど。
それを聞いている娘のシーアお嬢様は、突然母親がおかしくなってしまったと思ったのか、俺の脚にしがみついて怖がっていた。
まあ、そりゃそうだろうな。
王妃様がこんな愚痴を言うようなお方だと思ってもいなかった。
普段は言うお方ではないが、日頃の鬱憤がここで一気に吐き出していると思う。
「はあ、はあ……ごめんなさい取り乱しましたね……」
「い、いえ……」
王妃様の長い長い愚痴を吐いた王妃様は、肩で息をするほどまでに疲れ切っていた。
表情からして結構すっきりしたようだから良かった、と言って良いのだろうか?
呪いと呼ばれるものは、一度かかるともう元に戻すことは出来ない。
俺もそれを解決する方法を研究したが、未だに見つからないままでいる。
これを対処するには、もう殺すしか方法がない。
「もうすぐ着くぞ」
コウキはそう言うと、目の前には大きくて立派な扉が姿を現した。
ここに来たのは追放された時以来だ。
あの時の記憶が頭に一瞬過ぎった。
「ルーカス、大丈夫?」
そんな中でアンラは俺に声をかけてくれた。
嫌な記憶が過ぎって表情が曇ったようで、それを見て心配してくれたようだ。
あの時は俺しか居なかったけど、今は隣にアンラが寄り添ってくれる。
それは七帝だった頃と全く違うところだった。
「ああ、大丈夫だ。心配してくれてありがとな」
「うん」
「じゃあ準備はいいか?」
コウキは俺とアンラの方を見て確認を取る。
俺とアンラはコクリと頷く。
「それでは……行くぞ!」
コウキは大きな扉に手をかけ、ゆっくりと押して開く。
ギギギ……という軋む音が鳴り響きながら、奥に見えてきたのは……。
「ほう、聖帝コウキ・アラミツか」
「左様でございます。聖帝コウキ・アラミツでございます」
コウキは国王の元へ歩み寄ると、国王に向かって跪いて一礼する。
国王は彼の顔を見ることはなく、ずっと玉座に座って真正面を見たままの状態になっている。
確かに、こう見ると完全にコウキに操られているのがわかる。
俺が聖帝になりたての頃の国王は、もっと微笑んで優しい雰囲気を漂わせる方だった。
しかし、今は笑う様子が全く感じられない。
コウキはみんなに気づかれないように少しずつ国王を操っていくように仕込んだのだろう。
本当に巧妙な手口だ。
「国王様、我々は魔王軍に負けました。もうあとはありません。そこで国王陛下にわたくしから提案がございます」
「ほう、なんだ?」
「もう降参を魔王軍に認め、国王様は自害することが一番良いかと……」
「―――そうか、ならばそうしよう」
コウキは俺たちの方を見てコクリと頷いた。
コウキに操られている状態なので、国王はあっさりとコウキの提案を承諾した。
俺は国王の元へ歩み寄る。
そしてコウキの横に並び、跪いて一礼を行った。
「わたしの横におられるのがその執行を努めていただくルーカス・アンワルでございます」
「お初目にかかります国王陛下。聖帝コウキ・アラミツからご紹介して頂きました、ルーカス・アンワルと申します」
「ふむ、では頼んだぞ」
国王は立ち上がり、俺の元へ歩み寄る。
これだけ近くで国王のお顔を拝見したのは本当に久し振りだった。
でも、あの頃の国王とは全く違うためか別人のように見える。
名残惜しいとは思わなかった。
俺は立ち上がって鞘から剣を抜き、国王の首元に刃を向けた
「―――それでは……よろしいですか?」
国王は黙ったままコクリと頷いた。
「わかりました。それでは―――」
俺は剣を振り上げ、国王の首を目掛けて横に振った。
これで全ての目的が果たされたことになった。
これでアーリア王国はシャイタンに吸収されることになり、また平和が訪れるだろう。
「―――これで良かったんだなコウキ」
「ああ……すまなかったルーカス」
「謝る必要はないさ。俺はもうお前を恨んではいないし。それにこれからは仲間だろ?」
そう言いながら、俺は剣に付着した血を振り払って落とし鞘に収めた。
コウキは笑うと、
「やっぱりお前は優しすぎる男だな……。確かアンラ、だったかな?」
いつの間にか俺の傍にいたアンラにコウキは彼女の名前を呼んだ。
「ええ、そうだけど……」
「良かったな、この男に出会えて」
「当たり前でしょ! ルーカスは世界一いい男の人なんだから!」
ドヤ顔でそう言うと、俺の右腕を抱く。
そんなことを言われたのは初めてだったため、俺は照れくさくなった。
「さて、終わったことだし……あとは王妃様とお嬢様を何とかしないとな」
「は?」
「まさか覚えていないとかないよな?」
そうだ……そうだった、国王には奥さんと娘がいた。
七帝だった頃はとってもお世話になっていたはずなのに……なんで忘れていたんだろう。
お嬢様とは良く遊び相手として接していた。
しばらくお顔を見ていないけど、少しは大きくなったのだろうか?
「どうしたの? 何だかソワソワしている感じだけど……」
「あ、いや、何でもないんだアンラ。そうか、王妃様とお嬢様ねえ……」
「―――?」
「行くぞルーカス。こっちに避難している」
そう言われ、俺とアンラはコウキに案内されながら、お二人のところへ向かった。
―――この廊下も、このステンドガラスも、壁画も……見るもの全てが懐かしい。
シャイタンの城は勇ましい雰囲気を醸し出すような感じだが、アーリア王国の城は芸術性を重視した造りになっているため、いつ見ても飽きない。
普段から城で暮らしているアンラも、天井を見上げたり、横においてある歴代の王の石像を目で追ったりと興味津々だった。
「王妃様、お嬢様、聖帝コウキ・アラミツでございます」
コウキは扉の目の前で自分の名前を伝えると、頑丈な扉を開けた。
俺とアンラも恐る恐る扉の前に歩み寄ると、そこには懐かしい顔が。
「―――! そこにいるのは……ル、ルーカス……なのかしら?」
「はい、お久しぶりでございます王妃様、お嬢様。ルーカス・アンワルです」
俺は王妃様に一礼した。
彼女こそがアーリア王国の王妃、シャルロット・アーリアだ。
年齢は20代半ば、だったと思う。
青色の髪と眼が特徴で華やかな雰囲気を醸し出すお方だ。
そして、王妃様の膝の上に座っているのはその娘、シーア・アーリアお嬢様だ。
王妃様と同じ青色の髪と眼が特徴の4歳の女の子。
七帝の頃は良く俺の部屋に入ってきては、遊んでほしいと言ってきたものだ。
結構元気いっぱいの女の子って感じだったんだけど……俺の姿を見てどうやら怯えているようだ。
今にも泣きそうな顔をしている。
「お嬢様、覚えておられますでしょうか?」
「―――」
シーアお嬢様はコクコクと小さく頷いた。
良かった、覚えていてくれて……。
「―――でも、シーアが知ってるルーカスじゃない」
「ああ、申し訳ございませんお嬢様。実はとある事情があってこの姿になってしまったのです。怖がらなくて大丈夫ですよ?」
「―――! ルーカス!」
シーアお嬢様は王妃様の膝から飛び降り、俺に駆け寄ってきた。
俺はその場にしゃがむと、シーアお嬢様は泣きながら俺に抱きつく。
声を上げて泣くシーアお嬢様の頭を撫でてあげると、安心したのか少しずつ泣き止んできた。
「ところでルーカスの横にいる女性の方は?」
「そうでした、自己紹介がまだでしたね。初めまして王妃様。わたしは魔王のアンラ・スルターンと申します」
「ま、魔王!?」
アンラが魔王だと知った瞬間、王妃様はサッと額に青筋が現れる。
「大丈夫ですよ。彼女はわたくしの仲間、且つわたくしの婚約者なんです」
「まあ……! 遂にルーカスにも大切な人が出来たのね!」
「ええ、お陰様で……」
王妃様にそう言われ照れくさくなった俺は、頭をポリポリと掻いた。
アンラはというと、頭から煙を出していた。
まさか王妃様がこの話に食いついてくるとは思わなかった。
「初々しいお二人方ですわね。わたくしも何だか心が温かくなってきました……。ところで、もう式を挙げる日とかは、もう決まっているのかしら?」
「ま、まだ詳細は決まっていませんよ! これからまた彼女と相談し来たいと思っています」
「ルーカス……それって本当の話、なの?」
「へ? あれ、まだそんなこと話していなかったっけ?」
「わたし初めて聞いたんだけど……」
「え、えっと……その、戦いが終わったらって約束したから、いつかは挙げれたらアンラは嬉しいかなって思って……」
俺はそうアンラに話すと、彼女は俯いてしまった。
あれ、俺なんか変なこと言ったか?
「何よそれ……」
「は?」
「何よそれ。そんなの……嬉しいに決まってるじゃない……」
アンラは顔を真っ赤にしてモジモジしながらそう言った。
か、可愛い……!
その顔と仕草が俺にとっては本当に天使なんです!
「んん! 甘い雰囲気になっている所申し訳ないが……」
コウキの声に俺とアンラはハッと我に返った。
コウキは咳払いをすると、
「王妃様、その……国王様のことなんですが……」
コウキは事の経緯を正直に王妃様に話した。
国王を操っていたのは自分なんだと、国をこうしてしまったのも自分のせいなんだと……。
その話を全て聞いた王妃様は胸に手を置いた。
「そうだったのですね……でも、何だかすっきりしました」
「えっ? すっきりしたとは?」
「わたくしと国王様は、無理やり結婚させられたんです。わたくしは元々普通の平民でした。見た目が良いからという理由だけで嫁入りさせられたわたくしは、何も楽しくありませんでした。それに、娘のことも全く見てくれませんし、興味もなさそうでした。あと、1つ言うとしたら……あんな年寄りとは一緒になりたくありません!」
「お、王妃様?」
それから王妃様はずっと国王への愚痴がどんどん吐き出された。
あんな年寄りになんで嫁になる必要があったのかとか、あんな年寄りになんで抱かれないといけなかったのかとか……。
ほとんど年寄りだからという理由で嫌だったようだ。
まあ、わからなくもないけど。
それを聞いている娘のシーアお嬢様は、突然母親がおかしくなってしまったと思ったのか、俺の脚にしがみついて怖がっていた。
まあ、そりゃそうだろうな。
王妃様がこんな愚痴を言うようなお方だと思ってもいなかった。
普段は言うお方ではないが、日頃の鬱憤がここで一気に吐き出していると思う。
「はあ、はあ……ごめんなさい取り乱しましたね……」
「い、いえ……」
王妃様の長い長い愚痴を吐いた王妃様は、肩で息をするほどまでに疲れ切っていた。
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