君が女の子

papporopueeee

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3日目

もう半分、あと半分、残り半分

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 小陽が朝食を食べに食堂へ向かうと、スカートを翻して颯爽と歩く桃莉が目に入った。

「また増えてるっ!?」
「ん? ああ、おはよう朝比奈。どうした、そんなに驚いて……女の子の俺がスカート履いてるのがそんなにおかしいか?」
「えっ、あっ、いや……おかしく無いです……」
「そんな反応をされたら、逆に不安になるな。こっちは女の子初心者だから、おかしい所があるなら教えてくれよ……なあ、朝比奈?」
「いや、無い……無いよ、ほんと、ほんとに……だから、あの……顔が近いです……」

 元々ブレザーを着用していた桃莉は女の子になっても大きくは変わっていなかった。首元には緩くネクタイをぶら下げたまま、ワイシャツがブラウスに変わっている。ズボンは膝上丈のスカートに変わっているが、堂に入った着こなしのせいか凛々しさが増している。
 装いが変わろうと、モデルである桃莉の顔の良さは変わらない。桃莉は確かに女装をしているものの、その外見は女子高の王子様と形容するのが相応しいように思えた。
 男の子なのか、女の子なのか、はたまた王子様なのか。とにかくカッコイイことだけは確かな桃莉に問い詰められ、小陽は頬を赤らめながら視線を逸らすことしかできず、逸らした先で女の子になったばかりの生徒を見つけた。

「トオリとコハルがイチャイチャしてる……なんだか、見てはいけないものを見てしまった気分……」

 寝起きなのか眠たそうに眼を瞬かせているものの、ジジは頭にベールを被っており、女の子としての装いだった。

「じっ、ジジくん……お、おはよう……」

 ジジと桃莉は昨夜の告発者と犠牲者の関係であり、特に桃莉はジジに複雑な感情を抱いている様子だった。ふたりの邂逅によってまた雰囲気が悪くなるのではと小陽は身構えたが、桃莉の表情は穏やかなままだった。

「おはよう、ジジ。今日は一人なんだな。昨日は藤原と宇佐美に引きずられながら寝てたのに」
「ナナオが、せっかく女の子になったんだからって色々と面倒見てくれたから。お化粧もされちゃった……どう、可愛い? 天使様み、増しちゃってる?」
「いかにも桜がしそうな言い回しだな、それ……でもまあ、いいんじゃないか? 雰囲気が中性寄りになってて、確かに天使っぽい」
「ありがと、トオリ。トオリも今日は中性的だね。女の子なのか、王子様なのか、よくわからなくて良いと思うよ」
「それ、褒めてるのか?」
「もちろん。それじゃあ、ジジはご飯食べてくる。またね、ふたりとも」
「ああ、俺も個室に戻るところだった。じゃあな、ジジ、朝比奈」
「う、うん……また教室で」

 桃莉が女の子になった経緯を聞けないまま、小陽はふたりを見送った。気にはなるが、詮索されたいことでも無いかもしれないし、これで良かったのかもしれない。
 ジジと桃莉の間には昨夜の険悪な空気は少しも残っておらず、むしろ一層仲良くなっているようにすら見えた。小陽の知らぬ内に仲直りしたのだとしても、もう少しぎこちなさが残るものではないのだろうか。

(これも洗脳の副作用なのかな……)

 昨日の朝、洗脳はただ性自認を変えているだけではないという可能性をイヨが話していた。小陽自身も菜々緒と睦美がえるに協力的な姿を目撃している。桃莉とジジが洗脳によって無理矢理仲直りさせられているという可能性も否定はできないだろう。

(あれ、ちょっと待って……これ、マズくない……?)

 最初はえるに協力していたのは榎戸だけであったが、今は更に4人の生徒が寝返ってしまっている。洗脳者の数は生徒の半分近くまで迫っており、この先も増えていくばかり。最終的に小陽が男の子として残ったとしても、える派に洗脳された生徒たちに囲まれてしまうのだ。

(……危惧ばっかりしてても仕方ない。えるは一人は男の子であることを認めてるんだから……今はそれを信じるしかないんだ……)

 女の子になってしまったジジ、睦美、菜々緒、桃莉。
 男の子として残っているイヨ、ミコト、小陽、弥生、久野絵。

 はたして、今日は誰が女の子にされてしまうのか。それぞれの生徒の顔を思い浮かべながら、小陽は冷めてしまった朝食を取るのだった。
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