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王子様じゃないんですか?
しおりを挟む『邪魔が入ったな…』
「…毛むくじゃらが喋った?!」
『マナ…今度会ったら必ず契約してもらうからな』
すぅっと姿を消していくわんちゃん
「な、待て!!」
王子様は消えて行くわんちゃんを捕まえようとしてたけど
私はさっきの脱力感で動けずに呆然とわんちゃんが消えるのを見ていた
「くそっ、逃げられたか…なんなんだあの毛むくじゃらは…」
悔しそうに顔を顰めながら剣を腰にしまう王子様
「君、だいじょ…ぅ…」
私を起こそうと手を差し伸べる王子様、その手を取り目が合った瞬間に固まって動かなくなりました
「あの…?」
「……」
なんで何も喋らないの?
てかお茶会は?!なんでここに王子様がいるんですかね??
「あの、何でこんな所に王子様がいらっしゃるんですか?」
「……」
「もしかして…道に迷われたんですか?」
「……」
麗しすぎて直視できず、すぐに逸らしてしまった視線を王子様に戻す
相変わらず王子様はこちらを見たまま固まっていました
なんかほんのり顔も赤いような…
でも質問してるんだから、せめてなにか一言でも発してください!!
それにしてもこう近くで見ると王子様はやっぱり美形だ、呆けている姿も絵になりますね…ってそうじゃない!!
どうしよう、この王子様壊れた機械みたいに目を見開いて動かなくなってしまった
「あの…もう私行きますね」
何話かけても反応しないので、乱れていたスカートを片手で直し、立ち上がって手を離そうとしたら…ぎゅっと手を掴まれました
「え…あの…王子様???」
「……」
手はぎゅっと掴まれたままだ
えぇえええ??なんですかこれ???
王子様にいきなり手を掴まれるなんてドキドキしますって!!
自然と顔に熱が集る
「王子じゃない…」
「へ?」
やっと喋ったと思ったら王子じゃない…とは???
いや、その神々しいオーラと美貌は間違いなく王子様だと思うんですが…
「ディーンアデライト…いや、ディーンと呼んでくれないか?」
なんですって???
「むむむ無理です!」
一応私もまだ貴族とはいえ今は侍女、侍女如きが王子様を名前で呼ぶなんてとんでもない話だ
確か不敬罪とかなんとか罪にあたった気がする!
「私が呼んでほしいんだ」
さらに私をぎゅっと掴む手に力を込める王子様
ひぃいい、これどういう状況ですかね?!
「王子様を名前呼びなんてできません!!」
「私が許可するよ」
「いや、そういう問題じゃ「ディーンアデライトさまぁー!!」
遠くからヴィヴィお嬢様の声が聞こえる
これはやばい気が…王子様と2人きりなのも問題だけど、今私は不本意とはいえ何故か手を握られた状態
こんなのヴィヴィお嬢様に見られたらまちがいなく首が飛ぶ
「ああの、手を離してもらえますか?!」
「なぜ…?」
いやいやいや、この王子様にはヴィヴィお嬢様の声が聞こえないんですかね?!
「ヴィヴィお嬢様に見られたら大変で「ディーンアデライト様どこですのー??」
ひぃいい、だんだんヴィヴィお嬢様の声が近くなってきました!!!
応援ありがとうございます!
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