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イシャールsaid5

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ふ~ん…ここがマナちゃんの部屋か…

俺は誰もいないのを見計らって、孤児だった時に身につけた鍵開けの技術を使い、マナちゃんの部屋に忍び込んだ


ザーッ


水音がする
ちょうど風呂に入ってるみたいで良かった、叫ばれて誰か来ても困るしね
今のうちに天井裏とかも調べるか…
俺はこっそりマナちゃんの部屋に色々と細工をした


はぁ…疲れた!


一仕事終えてマナちゃんのベッドに突っ伏す


うわ、なんかマナちゃんの良い匂いがする
近くに居ると分かるけど、令嬢達の香水とかじゃなくて、どこか心地良い甘い匂いがするんだよな
この匂い好きだ…


俺がそんなことを思っていると…


「まっ、今後あんまり関わらないようにしよっと」


ガチャッ


マナちゃんが独り言を言いながら風呂場から出てきた


「何々?何に関わらないようにすんの?」

「へ…?」


目が合って驚きのあまり目を見開いた、だってタオルに身を包んだだけの見たこともないような黒髪の美少女が目の前に居たから…


「あれ…?だれ君…俺部屋間違った!?」


ちょ、ちょっと待った、この可愛子ちゃん誰だよ!?
細工までしたのに部屋違いはまずい!!

俺が焦っていると、相手もさっきまで固まっていたのに急に正気に戻ったのか、叫ぼうとする様子が目に入った


「きっ…んぐっ!?」


咄嗟にその口を手で塞ぐ


「ちょっと叫ばれるのは困るんだよね~」

「んーんー!!(離して!!)」


バタバタ暴れようとする身体も片手で拘束する


「おかしいな?ここマナちゃんの部屋のはずだけど…」


俺がミスするなんて滅多にないのに…


「んーんんんん!!(私がマナだってば!!)」

「あれ?でもクロムハート家で黒髪って1人しか…」

「んーん!!(私だって!!)」


必死で何かを訴える可愛子ちゃん
そう言えば声はまんまマナちゃんだったよな…


「うそ…まさか…マナちゃん?」


コクコクと首を頷かせている


………はぁ!?
この黒髪美少女の可愛子ちゃんがマナちゃん!?


「嘘だろ?詐欺じゃん!?」

「んん?(はい?)」


思わず本音が出てしまった
じゃあさっきまでのがっつり前髪を隠してダサい眼鏡をかけたような格好はなんだったんだ!?

やべ、その前にマナちゃんの拘束を解かないと…


「あ…ごめんごめん…離すけど、叫ばないって約束してくれる?」


コクコクと頷くマナちゃん


「はい」


ぱっと一先ず手を離す


「なんでシャルさんが私の部屋にいるんですかねぇ?」


マナちゃんが物凄く怒っているのが分かる

でも風呂上がりという事もあってピンク色に身体が染まっているし、濡れ髪がちょっと色気が出てて…


「シャルさん…?」


ふと目が合うと、心配そうな顔をするマナちゃんが俺を覗きこんでいた

まった、まった、そんな前屈みになられたら胸元が見える!!


「ちょ、あのこれ着て話そ…」

「へ…?」


これ以上はまずいと思って、咄嗟に顔を伏せながら上着をマナちゃんに渡した

ちらっと見たマナちゃんは自分の今の格好を分かってなかったようで、顔を真っ赤にさせながら静かに上着を受け取ってくれた





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