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隣の部屋は……!?

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準備した後隣の部屋に向かうと、私は衝撃の事実に呆然とした


「と、隣って王子様の部屋なんですか!?」


そう言えば昨日は疲れすぎてて気にも留めてなかったけど…
確かに扉は金ぴかで豪華だし、護衛騎士みたいな人も扉についてて、えらく厳重な部屋だなとは思った

それがまさか王子様の部屋だったなんて…


「マナ?」


あ、あれ?
なんか王子様が怒ってるような…


「マナはよっぽど罰則が好きみたいだね」


え………
あ、そうだった!!!


「た、大変失礼しました!!
ディ、ディーン様……?」

「まぁ…
まだ慣れてないみたいだし、今のは見逃してあげるよ」


た、助かった…

ホッと胸を撫で下ろす


「私と隣の部屋なのがそんなに驚くこと?
王太子付き侍女は私の身の回りのお世話をするんだから、常に近くにいるのは当たり前だし、当然何かあってもすぐに対応できるように部屋も近いよね」

「は、はぁ…」


なるほど、ここではそれが普通なんですね!


「昨日は私も忙しくて、マナには仕事内容をちゃんと教えられなかったからね
今日は昼まで時間があるし、それまでにしっかり教えるよ」

「は、はい!」


おぉ…
まさか王子様直々に教えてくれるなんて凄い!
まぁ他の侍女達がいないんだから、王子様ぐらいしか教えられる人がいないのかも…


コンコンッ


「入れ!」


突然カチャカチャした音と共に、男性執事の何人かが料理を持って入ってきた


テーブルの上にクロワッサン、スープ、ベーコン、スクランブルエッグ、サラダ等、ザ朝食みたいなラインナップが次々と置かれていく

こ、これ1人用にしては多すぎでは!?


「ありがとう」


運び終えると、ペコリと頭を下げて男性達はすぐに出て行った


お、美味しそう…

昨日の夜から何も食べてないから凄くお腹が空いてきた


「マナも私の隣に椅子を持ってきて座って」

「あ、はい!」


え?
なんで隣に座るんだろ…?


とにかく言われた通りにする


「さっそくで悪いんだけど…
実は王太子付き侍女は毒見もしないといけなくてね」


ま、まさか…
この料理達を私も食べるってこと!?


「その顔は…やっぱり嫌かな?」

「やります!!」


食い気味で言った


だって毒見だろうと、こんな豪華なご飯食べられるなんて…

お城に来てから散々な目にばっかりあってたけど、これはご褒美か何かですか!?


実はクロムハート家では3食きっちり食事はでるんだけど
朝昼晩、硬いロールパン2個と、おかわり自由な日替わりスープだけ!
1日3食+500ゴールド(500円)を毎月の給料から引いていいなら、ちゃんとした日替わり定食も食べられるんだけど…
ちりも積もればって言うし、家の事も考えると少しでも入れなきゃって思ってそれはしなかった

昨日は王宮の案内の途中で、シャルさんが美味しいサンドウィッチをくれて一緒に食べただけ
夜は教えてもらった王宮の食堂に行く気力もなくて寝ちゃったから、まだどんな料理が出るのかは知らないけど…
王子様が食べる物だし、間違いなく私が普段王宮で食べるやつよりかは美味しいと思う!!

それが無料で食べられるなんて…

毒見万歳ですね!!


「なんだか…嬉しそうだね?」

「そうですか?」


早く食べたくてサッと野菜から順番に取る


特製のドレッシングとレタスがシャキシャキしてて美味しい~!

このコーンスープも温かくて朝の体に染み渡るし、ベーコンもカリッカリで丁度いい歯応えだ

そして1番の感動は、外はサクッと中はフワッフワのこのクロワッサン…

ちょっと甘いお砂糖が上にまぶしてあるのがポイントだ


さ、最高……
ラブマジに転生してからこんな美味しいの初めて食べた!!


「ふふふ…あははははは!」

「え…?」


ふと隣を見ると、またお腹を押さえて笑っている王子様

この王子様よく笑う人だな…
笑い上戸なのかな?


「毒見役なのに、そんなに美味しそうに食べる人初めてみたよ」

「は、はぁ…」


んん?
がっつり前髪を目元まで下ろしてるから、そんなに表情は分かりやすくないと思うけど…

なんでバレたんだろ…?


「あーん」

「へ…?」


急に王子様が隣で口を開けてきた


「毒見が終わったなら今度は私の番だよ」

「あ、はい!」


スッとお皿を王子様の前に持って行く

王子様も何も食べてないし、そりゃお腹も空いてますよね!


「違うでしょ?」

「へ…?」

「マナが食べさせてくれるんだよね?」

「はい?」


なんですって!?


「ほら早く」

「それも侍女のお仕事なんですか!?」

「………そうだよ」


今の一瞬の間が気になる…


だけど王子様はあーんと口を開けて、早くと急かしてくる


仕方なくお皿とスプーンを持って、スープから王子様の口に運んで行く


「うん、美味しいね」


うぅ、眩しい…
輝かしい王子様スマイルで言われました

これ私の目と心臓に悪いかも…


その後もドキドキと闘いながら、次々と王子様の口に料理を運んで行き、あっという間にたくさんあった料理がお皿の上から無くなっていった








































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