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仕立て屋さんですか?
しおりを挟む後日、サミュエルさんとドレスのデザイン決めや採寸をしに、予約しないと絶対に入れない今大人気の仕立て屋さんに連れてこられた
ここの人気の理由は、ドレスのデザインはもちろん
ヘアメイクもしてくれるから、ドレスが出来上がった時にわざわざ美容室に行かなくても、そのままセットして出かけられちゃう所なんだとか!
1番安い所でいいですって言ったんだけど…
“私がこれでも陛下の側近ですので、立場上隣にいる人もそれなりの格好をしていただかないといけません”
なんて言われて、だったら余計に私なんかをエスコートはまずいですと言ったけど、それに関しては無視をされた
私の身の丈に全く合ってないくらい高級そうなお店だ
中に入るのを渋っていると…
「マナさん、早く入りましょう」
サミュエルさんに肩をがっつり掴まれて、押され気味に連れていかれた
案内係の人に通されて中に入ると、数人の男性と、その中心に角刈りで真っ赤な髪をした、かなり派手で目立つ服装の人がいた
「あら~!
サミュエルちゃん、待ってたわよ!」
「お久しぶりです
マダムドンフリー」
えぇ!?
マダム…!?
1人だけ制服じゃないし、お店の店長さんっぽい人だ
角刈りでマッチョだから、どう見ても男の人だと思ってた
「女の人だったんですね…」
自分でも気づかない内に、思わず口に出てしまっていた
「なによあんた?
男だとか女だとかそんなの古臭いわ!
型にはまらないのが私なの、何か文句あるの?」
「あ、いえ、ないです!!」
ひぃいい、どうやら気に触る事を言っちゃったみたい
思いっきり睨まれてしまったけど、なんとか挨拶をする
「この子がサミュエルちゃんのパートナーなわけ?」
「はい、そうです」
「ふ~ん」
ジロジロと私の身体を、頭の上から爪先までじっくり見るドンフリーさん
「きゃあっ!?」
いきなりがっつり腰や胸辺りを触られる
「あんっ♡
なに…するんですかっ!?」
「何感じてんのよ、やらしい子ね!
ただの採寸よ、採寸!」
「…っ!?」
さ、採寸って、素手じゃなくてメジャーで測ったりするものじゃないんですか!?
「胸はそこそこだけど、くびれはあるし、スタイルは悪くないじゃない
ただ、見目がちょっとねぇ…
特にこの長い前髪、鬱陶しいったらありゃしないわ!」
「へ…あっ!?」
いきなりドンフリーさんに前髪をかき上げられて、眼鏡まで取られてしまった
「なにこのだっさい眼鏡!?
しかも……度なし!?
あんたなんでこんなのつけて…」
ドンフリーさんは私を見るなり、目をびっくりするほど見開いて固まっている
「か…返して下さい!!」
慌てて眼鏡を奪い取ってかけ直す
「サミュエルちゃんが珍しく頼み事をしてきたからどんな子かと思ったら、とんでもない黒マリモを連れて来たと思ったけど…」
く、黒マリモって私の事…?
「あんたそんな顔してんなら早く言いなさいよね!
サミュエルちゃんが弱味でも握られてんのかと、余計な心配しちゃったじゃないの!」
「へ…?」
言ってる事がよく分かんない…
「マダムドンフリー、ちょっといいですか?」
サミュエルさんはなにやらドンフリーさんと、内緒話をし始めた
「本人は全く容姿に自覚がないようで、ご両親から聞きましたが、小さい頃からよく誘拐されたりしてたみたいです
それで身を守る為に容姿を隠すようにしていたらしいのですが…
どこでどう勘違いしたのか、いつの間にか自分の事を醜いなどと思うようになってしまったそうで…」
「はぁ…?
なんて残念な子なの…」
会話は全く聞こえないけど、何故かドンフリーさんが私を憐れむような目で見てきた
な、なんでそんな目で見てくるんだろ?
首を傾げていると…
「お客様困ります!?」
「うるさいわね…
ちゃんとお金は払うって言ってるじゃない!」
突然お店の入り口辺りから騒がしい声が聞こえてきた
「貴方じゃ話にならない!
この店の偉い人を出しなさいよ!!」
男性店員の呼び止めも聞かずに、ズカズカと男の人と腕を組みながら入ってきたのは、長いハーフツインテを緩く巻いたピンク髪の美少女だった
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