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クラス転移
誘拐
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「起きろ」
痛っい!首の付け根に痛みがまだ残っているのか。
もう何が何だか……
「飲め、痛みが和らぐ。」
差し出された小瓶には、きれいに澄んだ青い液体が入ってたいた。
ポーション…みたいなものか。
「どうも…………、、、」
まぁ、美味しくはないか。
「すごい…本当に痛みが…。」
飲んだ液体が体の隅々まで行き渡り疲労までも回復してくれる。
「やはりな。」
男が近づいてくる。
「あの森にいた人間は皆、何も知らないようだな。」
皆…そうか…生きている人たちは保護されていたのか、
良かった……。。
「しかし、お前の口からは何か聞き出せるんじゃないかと思っているのだが。どうだ。」
まずい……あの怪物を倒したことだろう。僕ですら何が起きたのか検討もつかないと言うのに…
「何も、知らないんです。」
「では、あれは一体何なのだ。聞いたこともない、何も無いところから出てくる武器なんてな。」
何も知らない…からこそだ。言い逃れもできない状態だ。
だからといって実は別の世界からきました。なんてことを口走ったものなら即、危険因子として殺されてもおかしくない。
なぜならここは王が主権を握る紛れもない国家権力がものを言わす世界だ。ここがゲームの世界なのであれば。
「俺の…使命は。王国の軍隊より、近い存在として人を護ることだ。もしお前が危険な存在なのであれば容赦なく殺す。だが、お前達は見たところ子供が大半のようだ。そして先程から特にこれといった悪意をお前から感じることはない。しかし、この国において脅威である存在であることには変わりない。他の者たちも含めて、今日中に処遇を決めるつもりだ。」
話は通じる……信念も、正義感もある人だ…
だけど…
「お願いします…僕はともかく、他の皆は危険な存在にはなりえません。どうにか…彼らは…」
「誰が死刑にすると言った、俺達も人だ。悪いようにはしない。」
「……!!」
「バタン。」部屋の扉が閉まる。
静まり返った部屋の中で微かに外の音が聞こえる。
ここは安全な場所だ。
とりあえず助かっ…………
「おぇっ!、………うっ…!」
僕は見た。
数時間前まで生きていた人間が死んでいった様を。
自惚れているわけじゃない、救えていただろうかなんて事を言えるほど僕は強くなんてない。
「何で、こんなことに……」
「起きろ、今日は忙しくなる。」
昨日の彼が目の前にいる。
ということは処遇が決まったのだろうか。
「僕達への対応はどうなったのですか?」
「…その服を着て、ついて来い。」
貰った服に着替え、一日世話になった部屋を出る。
…やっぱりここ座敷牢だったのか。
僕がいた場所はれっきとした刑務所、本当に犯罪者扱いだ。
相変わらず、黙って歩く彼からは何の説明もない。
「…あの、、」
「この国は罪人を入れておく…牢屋の横には必ず軍の施設が併設されている、有事の時に対応しやすいからな。」
なるほど…よく考えられた防犯対策だ。
「お前はそれと同じ対応をすることになった。」
「へ?」
僕は牢屋でも軍の施設でもない、まさか本当に牢屋に……。
「お前の監視を主な目的として、ここに併設されている軍の施設にお前を置くことになった。」
「えぇ……、」
まぁ、合理的かと聞かれれば頷ける。
「ちなみにどのくらい……」
「俺が聞きたい。」
なるほど、彼より上の取り決めなのだろう。
異世界に来たと思えばろくなことが無いな。
「ここがお前の部屋だ、残りの細かい制約は後で説明する。」
これはまた、中々綺麗じゃないか。
俺の部屋より広い。
これなら悪くな……
「朝起きたら、まず点呼、部屋の掃除、厩の掃除、洗濯、それから訓練兵と同じ環境下で軍の訓練に励んでもらう。夕食の片付けを済ませたら終わりだ。」
待てよ。
「これが大体のお前の生活スケジュールだ。監視をするためだけに入らせた訳じゃない、お前はここで数年間、兵士になるために過ごす事ができたら晴れてその忠誠心を認められることになっている。」
おいおい、待てよ。
「まぁ、死にたくなければ精進することだな。」
「はい………!!」
拝啓、母上、父上。
僕は兵隊さんになるよ……
それからの毎日は過酷そのものであった。
毎朝早朝に起床して部屋の掃除やら施設の掃除を済ませて、軍隊用の馬の世話、短い休憩を挟んで現地の訓練兵達と肉体、脳みそ共に鍛える。
引きこもりには耐え難い労働。苦痛。
しかしやらなければ死ぬ、やっても死ぬ。
「くそったれぇ!!!!」
「うるせぇ!!静かにしろ!新入り。」
あと部屋がガチムキの訓練兵と同部屋。
そんなこんなですでに数ヶ月が経過した。
毎朝のそうじやらのノルマは無くなり、本格的に兵士になるために時間を費やすようになった。
俺の体は以前とは見違えるほどに筋肉がつき、たくましくなった。
「一応、異世界だよな?」
おかしい…そろそろ何かファンタジーなイベントが起こるのかと思いきや、ずっと軍隊式のブートキャンプに参加させられている。
その中で行われる戦闘訓練の際に知った事。
この世界には「レベル」と呼ばれる、主に経験値によって変動する数値が存在する。
そのレベルが上がるごとに、何かしらの能力、いわば「スキル」と呼ばれるものが授かることがある。
基本的に剣術をしていれば、剣術スキル。魔術は魔術スキル、格闘であれば格闘スキルなど、その能力の幅は多種多様。
自身のレベルや所持スキルなどは鑑定士と呼ばれる人たちに定期的に視てもらうことができる。
俺がこの世界で一度だけ使用したあの武器はあれ以来使用できていない、それに加えて謎のディスプレイの通知も表示されなくなった。
『プレイヤー』と呼ばれたあの瞬間だけ、本当に強い自信に満ち溢れていた気がする。
「それにしても、レベルだけ上がってスキルは獲得できてないんだよなぁ…」
数ヶ月という月日とこの生活でかなりレベルが上がるスピードが早い。
だが、未だにスキルなんてものは獲得できていない。
俺はこの数ヶ月間、異世界に来てまで何をしているのかと悲しくなってくる始末。
もっと、異世界に来たんだからそれらしいことをしたいものだ。
「はっ!」
訓練用の木刀を打ち付け合う。
相手は大柄、力に関しては僕より強い。
しかし彼は大振りが多い。
右から彼の木刀が腹をかすめる。
踏み込んでくる足の方向から攻撃の軌道を予測。
左の踏み込みが強く来たときは……
「オリャア!!!!」
彼の渾身の一撃が迫る。
振りがデカいくせして、攻撃が速い。
数ヶ月前の俺はこの厄介な技に泣かされていたものだ。
「ふっ……甘いなっ!!!」
「おい、大丈夫かソウマ。派手に入れられてたぞ。」
俺は数ヶ月の時を経て、攻撃を食らってもべそをかかない程度には成長した。
「あいつの攻撃…受けたら負けだからな、お前じゃ勝てるわけねぇよ。」
「知ってるよ、そんなこと。」
「なら何故…何度もあいつと戦う?」
「いや…いけるかな~って……」
「バカじゃん。」
「はは…」
まぁ、戦力としての脅威と判定されてここに身を置かされている以上、弱いように見せるのに越したことはないと思い、圧倒的格上と手合わせしてきたがそろそろダサいのでやめようかなと思っていたところだ。
「あんまり無理すんなよ。」
「うん。」
いつになったら出れるんだろ。
『緊急警報、緊急警報。ただちに戦闘可能な方は戦闘の準備を行ってください!!現在街の近郊で魔族の集団が確認されています。繰り返します!………』
「なん……だ?」
夜中だぞ……俺の貴重な睡眠時間を削ぐな。
「おい!ソウマ!!ぼけっとすんな!!出るぞ!」
「え、俺も?」
「ったり前だ!!もうここの半分は向かってる途中だ!!」
彼がこんなに焦っているところ初めて見たな…
しょうがない…役に立つのかどうかは定かじゃないが俺も行くしかなさそうだ。
「すぐに行く!!」
外に出ると本当に街の方で戦闘の音が聞こえる。
幸いまだ市街戦にはなっていないみたいだ。
「ソウマ!こっちだ!乗れ。」
輸送用の馬車に乗って次々と目的地を目指している兵士達の姿がかなり遠くでも見える。
列をなしているのか…かなりの数だな。
「敵の数は?」
「分からねぇ、部隊長によるとどこから湧いてるのかも定かじゃねえってことだ。」
湧いてる?……
召喚か、もしくは転移魔法の類なのか?
そんなものがあるのかどうかは知らないが。
「いいぞ!全員乗ったな?進め!」
二回目の実戦…か。
『ガクンッ…!』
馬車が大きく揺れた。
たちまち馬車と乗っていた兵士ごと宙に跳ね上がっていった。
「うわぁぁぁぁ!!!!」
まずい、!受け身…体を守らないと……
「ドスッ!」
「痛…………!」
背中から打って、鈍い音が……。
何があった…?
「おい!応戦しろ!!立て!」
誰の声だ?
「応戦…??なん…で?」
『ドオオオン!!!』
大きな地響きと振動が体に伝わる。
なんとか体を起こし、音の主を目で探す。
「嘘だろ………」
音の主は一目見て分かった。
なるほど、こんなのがうじゃうじゃしているわけだ。
「報告!!報告!敵は凶暴化したトロール及びゴブリン!」
遠くからもトロールによる地響きが鳴っている。
まずい…一旦身を隠さなければ……
「ぐっ!!!くらえ!!」
同部屋のやつ………トロールと戦ってるのか??
いくらアイツでも。
トロールに放つ剣は、当たっても対した攻撃にはなっていないようだ。
あのまま一撃でも当てられたらあいつが死ぬ。
やるしか……
「おい!!!トロール!!この野郎!こっちだ!」
とりあえず…気を引くのが正解だよな?
「ソウマ、お前じゃ無理だ!俺に任せ…」
『グオオオオオ!!!』
僕の牽制で見事攻撃目標が変わったようだ、僕に。
「こいよ!!」
僕の数カ月間の訓練舐めんなよ。
トロールは力も強いし、図体はでかいし、硬い。
それに比べて僕は特殊能力も使えない雑魚。
殴り合いにおいてトロールに対して勝ち目は見えない。
殴り合いなら。
この施設は街を見渡せる崖の上に建設されている。
上手く崖っぷちにトロールを誘導すれば落ちてくれる…ほど彼らは馬鹿じゃない。
「ゲームの知識だから、賭けなんだよな……」
突進してくるトロールにこちらも向かっていく。
怯んだら負けだ。
衝突の直前で小回りを気かしてトロールの後ろに回り込む。
「あっぶない!!」
ギリギリ!!
ここからが賭け。
一時的に敵を見失ったトロールの隙を使ってやつの首元にぶら下がる。
『グオオオ!!!!』
「うっ!!大人しくしろよっ!」
引き剥がされる前に先手を刺す。
「喰らえ!!おっかない返し付きナイフ!!」
目が硬い生物にはまだお会いしたことがないから。
「ねっ!!」
『グォオオオオ!!!!!!!!』
片目に刺したところで体を鷲掴みにされて、ぶん投げられた。
「痛っ!!!!……あわよくば……両目、刺せたら良かったんだけど。」
片目刺しただけで終わるなんざ思ってないさ。
怒り狂ったトロールがこちらに向かってくる。
「ソウマ!!無理だ!!避けろ!何してんだよ!」
棒立ちの僕を心配してくれてありがとう!!
「大丈夫、ずっと考えてたんだよ。」
この感が外れたら僕は盛大に死ぬ。
数ヶ月間考察し続けた能力の発動条件
痛っい!首の付け根に痛みがまだ残っているのか。
もう何が何だか……
「飲め、痛みが和らぐ。」
差し出された小瓶には、きれいに澄んだ青い液体が入ってたいた。
ポーション…みたいなものか。
「どうも…………、、、」
まぁ、美味しくはないか。
「すごい…本当に痛みが…。」
飲んだ液体が体の隅々まで行き渡り疲労までも回復してくれる。
「やはりな。」
男が近づいてくる。
「あの森にいた人間は皆、何も知らないようだな。」
皆…そうか…生きている人たちは保護されていたのか、
良かった……。。
「しかし、お前の口からは何か聞き出せるんじゃないかと思っているのだが。どうだ。」
まずい……あの怪物を倒したことだろう。僕ですら何が起きたのか検討もつかないと言うのに…
「何も、知らないんです。」
「では、あれは一体何なのだ。聞いたこともない、何も無いところから出てくる武器なんてな。」
何も知らない…からこそだ。言い逃れもできない状態だ。
だからといって実は別の世界からきました。なんてことを口走ったものなら即、危険因子として殺されてもおかしくない。
なぜならここは王が主権を握る紛れもない国家権力がものを言わす世界だ。ここがゲームの世界なのであれば。
「俺の…使命は。王国の軍隊より、近い存在として人を護ることだ。もしお前が危険な存在なのであれば容赦なく殺す。だが、お前達は見たところ子供が大半のようだ。そして先程から特にこれといった悪意をお前から感じることはない。しかし、この国において脅威である存在であることには変わりない。他の者たちも含めて、今日中に処遇を決めるつもりだ。」
話は通じる……信念も、正義感もある人だ…
だけど…
「お願いします…僕はともかく、他の皆は危険な存在にはなりえません。どうにか…彼らは…」
「誰が死刑にすると言った、俺達も人だ。悪いようにはしない。」
「……!!」
「バタン。」部屋の扉が閉まる。
静まり返った部屋の中で微かに外の音が聞こえる。
ここは安全な場所だ。
とりあえず助かっ…………
「おぇっ!、………うっ…!」
僕は見た。
数時間前まで生きていた人間が死んでいった様を。
自惚れているわけじゃない、救えていただろうかなんて事を言えるほど僕は強くなんてない。
「何で、こんなことに……」
「起きろ、今日は忙しくなる。」
昨日の彼が目の前にいる。
ということは処遇が決まったのだろうか。
「僕達への対応はどうなったのですか?」
「…その服を着て、ついて来い。」
貰った服に着替え、一日世話になった部屋を出る。
…やっぱりここ座敷牢だったのか。
僕がいた場所はれっきとした刑務所、本当に犯罪者扱いだ。
相変わらず、黙って歩く彼からは何の説明もない。
「…あの、、」
「この国は罪人を入れておく…牢屋の横には必ず軍の施設が併設されている、有事の時に対応しやすいからな。」
なるほど…よく考えられた防犯対策だ。
「お前はそれと同じ対応をすることになった。」
「へ?」
僕は牢屋でも軍の施設でもない、まさか本当に牢屋に……。
「お前の監視を主な目的として、ここに併設されている軍の施設にお前を置くことになった。」
「えぇ……、」
まぁ、合理的かと聞かれれば頷ける。
「ちなみにどのくらい……」
「俺が聞きたい。」
なるほど、彼より上の取り決めなのだろう。
異世界に来たと思えばろくなことが無いな。
「ここがお前の部屋だ、残りの細かい制約は後で説明する。」
これはまた、中々綺麗じゃないか。
俺の部屋より広い。
これなら悪くな……
「朝起きたら、まず点呼、部屋の掃除、厩の掃除、洗濯、それから訓練兵と同じ環境下で軍の訓練に励んでもらう。夕食の片付けを済ませたら終わりだ。」
待てよ。
「これが大体のお前の生活スケジュールだ。監視をするためだけに入らせた訳じゃない、お前はここで数年間、兵士になるために過ごす事ができたら晴れてその忠誠心を認められることになっている。」
おいおい、待てよ。
「まぁ、死にたくなければ精進することだな。」
「はい………!!」
拝啓、母上、父上。
僕は兵隊さんになるよ……
それからの毎日は過酷そのものであった。
毎朝早朝に起床して部屋の掃除やら施設の掃除を済ませて、軍隊用の馬の世話、短い休憩を挟んで現地の訓練兵達と肉体、脳みそ共に鍛える。
引きこもりには耐え難い労働。苦痛。
しかしやらなければ死ぬ、やっても死ぬ。
「くそったれぇ!!!!」
「うるせぇ!!静かにしろ!新入り。」
あと部屋がガチムキの訓練兵と同部屋。
そんなこんなですでに数ヶ月が経過した。
毎朝のそうじやらのノルマは無くなり、本格的に兵士になるために時間を費やすようになった。
俺の体は以前とは見違えるほどに筋肉がつき、たくましくなった。
「一応、異世界だよな?」
おかしい…そろそろ何かファンタジーなイベントが起こるのかと思いきや、ずっと軍隊式のブートキャンプに参加させられている。
その中で行われる戦闘訓練の際に知った事。
この世界には「レベル」と呼ばれる、主に経験値によって変動する数値が存在する。
そのレベルが上がるごとに、何かしらの能力、いわば「スキル」と呼ばれるものが授かることがある。
基本的に剣術をしていれば、剣術スキル。魔術は魔術スキル、格闘であれば格闘スキルなど、その能力の幅は多種多様。
自身のレベルや所持スキルなどは鑑定士と呼ばれる人たちに定期的に視てもらうことができる。
俺がこの世界で一度だけ使用したあの武器はあれ以来使用できていない、それに加えて謎のディスプレイの通知も表示されなくなった。
『プレイヤー』と呼ばれたあの瞬間だけ、本当に強い自信に満ち溢れていた気がする。
「それにしても、レベルだけ上がってスキルは獲得できてないんだよなぁ…」
数ヶ月という月日とこの生活でかなりレベルが上がるスピードが早い。
だが、未だにスキルなんてものは獲得できていない。
俺はこの数ヶ月間、異世界に来てまで何をしているのかと悲しくなってくる始末。
もっと、異世界に来たんだからそれらしいことをしたいものだ。
「はっ!」
訓練用の木刀を打ち付け合う。
相手は大柄、力に関しては僕より強い。
しかし彼は大振りが多い。
右から彼の木刀が腹をかすめる。
踏み込んでくる足の方向から攻撃の軌道を予測。
左の踏み込みが強く来たときは……
「オリャア!!!!」
彼の渾身の一撃が迫る。
振りがデカいくせして、攻撃が速い。
数ヶ月前の俺はこの厄介な技に泣かされていたものだ。
「ふっ……甘いなっ!!!」
「おい、大丈夫かソウマ。派手に入れられてたぞ。」
俺は数ヶ月の時を経て、攻撃を食らってもべそをかかない程度には成長した。
「あいつの攻撃…受けたら負けだからな、お前じゃ勝てるわけねぇよ。」
「知ってるよ、そんなこと。」
「なら何故…何度もあいつと戦う?」
「いや…いけるかな~って……」
「バカじゃん。」
「はは…」
まぁ、戦力としての脅威と判定されてここに身を置かされている以上、弱いように見せるのに越したことはないと思い、圧倒的格上と手合わせしてきたがそろそろダサいのでやめようかなと思っていたところだ。
「あんまり無理すんなよ。」
「うん。」
いつになったら出れるんだろ。
『緊急警報、緊急警報。ただちに戦闘可能な方は戦闘の準備を行ってください!!現在街の近郊で魔族の集団が確認されています。繰り返します!………』
「なん……だ?」
夜中だぞ……俺の貴重な睡眠時間を削ぐな。
「おい!ソウマ!!ぼけっとすんな!!出るぞ!」
「え、俺も?」
「ったり前だ!!もうここの半分は向かってる途中だ!!」
彼がこんなに焦っているところ初めて見たな…
しょうがない…役に立つのかどうかは定かじゃないが俺も行くしかなさそうだ。
「すぐに行く!!」
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「ソウマ!こっちだ!乗れ。」
輸送用の馬車に乗って次々と目的地を目指している兵士達の姿がかなり遠くでも見える。
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「敵の数は?」
「分からねぇ、部隊長によるとどこから湧いてるのかも定かじゃねえってことだ。」
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そんなものがあるのかどうかは知らないが。
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たちまち馬車と乗っていた兵士ごと宙に跳ね上がっていった。
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まずい、!受け身…体を守らないと……
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「痛…………!」
背中から打って、鈍い音が……。
何があった…?
「おい!応戦しろ!!立て!」
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音の主は一目見て分かった。
なるほど、こんなのがうじゃうじゃしているわけだ。
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やるしか……
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『グオオオオオ!!!』
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「こいよ!!」
僕の数カ月間の訓練舐めんなよ。
トロールは力も強いし、図体はでかいし、硬い。
それに比べて僕は特殊能力も使えない雑魚。
殴り合いにおいてトロールに対して勝ち目は見えない。
殴り合いなら。
この施設は街を見渡せる崖の上に建設されている。
上手く崖っぷちにトロールを誘導すれば落ちてくれる…ほど彼らは馬鹿じゃない。
「ゲームの知識だから、賭けなんだよな……」
突進してくるトロールにこちらも向かっていく。
怯んだら負けだ。
衝突の直前で小回りを気かしてトロールの後ろに回り込む。
「あっぶない!!」
ギリギリ!!
ここからが賭け。
一時的に敵を見失ったトロールの隙を使ってやつの首元にぶら下がる。
『グオオオ!!!!』
「うっ!!大人しくしろよっ!」
引き剥がされる前に先手を刺す。
「喰らえ!!おっかない返し付きナイフ!!」
目が硬い生物にはまだお会いしたことがないから。
「ねっ!!」
『グォオオオオ!!!!!!!!』
片目に刺したところで体を鷲掴みにされて、ぶん投げられた。
「痛っ!!!!……あわよくば……両目、刺せたら良かったんだけど。」
片目刺しただけで終わるなんざ思ってないさ。
怒り狂ったトロールがこちらに向かってくる。
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