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第15話 我が儘な心(※ダレス)

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 首筋へ噛みついたダレスは、ウルソンの頭をベッドに押さえ付けた。一生懸命に探っていた主の表情も虚ろに眺めていた天井も見えなくなる。ダレスは、うつ伏せになったウルソンの腰を高くさせる。これでは自分の秘部が丸見えだ、ウルソンは入らぬ力になす術もなく羞恥した。

「兄上に随分とたくさん注いで貰ったようだな」
 
 何の話だろうか、そんな風に考えているとコポッと何かが溢れだす感覚がした。

「チッ︙、また溢れてきた。」
「ぁうっ︙!!」

 じゅぷっ︙。
 前触れもなく、またダレスの指が入り込んできた。深く奥まで入る二本の指は中を掻き出すように動き引き抜かれる、その度に、甘い刺激が身体中に走っていく。異常なほどに敏感な身体は、それだけでビクビクと甘イキする。

「ほら見ろ、ウルソン。」

 そう言われ、快楽に耐えるように閉じていた瞼を開く。ベッドのシーツに押し付けていた頭を持ち上げると、目の前にダレスの美しい手があった。

「あっ︙。」

 その指先には白濁が絡むようにまとわり付いている・・・。まさか、気がつかぬうちにダンレン様と最後まで致してしまったのだろうか? ウルソンは不安になった。

「お前の奥深くまで、吐精されている。全部掻き出してからと思っていたが︙、やめた。」

 やはり、自分のような大男を抱くのは嫌になったのだろうか。結局は遊び好きな主の気まぐれか。大きな安堵と少しの寂しさに包まれていると、晒された秘部にひたりと、が宛てがわれる。髪が肌をかするだけでも、声が漏れると言うのに︙。快楽を求め期待をする身体と、虚しさに冷えていく心。

「いや、いやです︙っ。いけません。」

「嫌? イケません、だって? ウルソン、お前は、何を言っているんだ。」

 呟くような震える声、ウルソンは主が酷く怒っていることに、ようやく気がついた。

「本当は身体が辛いのだろう? ウルソンが飲んだ薬は、娼館でも禁止されているんだ。兄上に依存性は無いとか言われたのかな。君のことだ、まんまと簡単に騙されたんだろう。」
「そんな︙︙。」 
「お前の身体の熱は男に射精されないと収まらないんだ。欲しくて欲しくて、堪らないんだろう? だから、僕が助けてあげる。なぁ︙、ウルソン。」
「ひゅっ︙!! ッ︙︙! っ︙!!」
 
 言い終えたダレスは、一気に奥まで入り込んできた。あまりの質量に声も出ない。

 ぱちゅっ︙ぐちゅっ︙。

 ゆるやかに、けれども激しくダレスは腰を打ち付けた。苦しいほどに中に入り込んでいると思えば、ゆるゆると出ていく、そしてまたすぐに奥まで突き上げられる︙。何度も何度も繰り返される動きに、ウルソンは情けない声を漏らしつづけた。

「、ぁあ!! ︙あっ、ぁっ︙ぉおっ!! ︙んあっ!」

 今まで感じたことが無いほどの快楽は、脳をかき混ぜる。怖いほど気持ち良い︙。心が冷えていくのに、身体はもっともっとと欲しがる。抱かれるのなら、もっと愛されながら抱かれたかった︙。なんて贅沢なことを考えて、馬鹿なことを考えるなと、唇を噛み締めた。

 恋する人とのセックスのはずなのに、涙が溢れてしまうのは、俺が我が儘だからでしょうか︙。

「ぃやら︙ぁ! だれすさま︙っ︙。ごめん、なさ︙っ。おれ、あやまり︙ぅぁ!︙ますから、ぁあ!!」
 
 どうして︙? なぜ怒っているのですか︙?
 俺が貴方を好きだということが、そんなにも許せないのですか?
 なぜ、こんなことをなさるのですか︙?

 聞きたいことも疑問もたくさんあるのに、声になる前に、すべてが快楽に呑まれていく。

「っ︙、謝る? 何を謝るのかな。僕の専属騎士を辞めて、兄上の処に行くこと︙?」

 ダレスは腰を動かしながら、ウルソンの股間に手を伸ばす。手の中に包み込むと半ば乱暴にしごいた、もう幾度となく絶頂しているウルソン自身はぐちょぐちょに濡れていた。それが潤滑剤の代わりになり、卑猥な音を立てながら、おかしくなるほどの刺激を与える。それなのに、ダレスはウルソンが絶頂を迎えようとする度に動きを止め、根本を締め上げる。

「ぁあッ︙! 許して︙ッ、許してください、、ひぁ︙!!」

 ウルソンは訳も分からずに叫んだ、もういきたくて︙、吐き出してしまいたくて︙苦しい︙っ。

「︙ウルソンだけは、ずっと僕の側に居てくれるって、信じてたのに︙っ。」
  
 胸元に冷たい雫が降ってきた。
 暗い部屋に慣れた瞳が主の頬を濡らすものを捉える。
 私は、どんなことがあっても何をされても、貴方のお側にいると、そう誓っているのに・・・。

「ウルソン、行かないで︙、僕をひとりにしないで︙。もう、僕を嫌いになった? 愛想を尽かした?」

 嫌いになれたら、どれ程良いか。

 無理矢理に開かれた身体は酷く痛む。おまけに薬のせいか熱を持ち苦しい。何年も想いつづけた人にこんな形で抱かれてしまって、心が壊れそうなほどに悲しい。悲しいのに︙︙、今、ダレス様に求められてすごく嬉しい。きっと彼にとっては、誰でも良かった。自分じゃなくたって良い、ただ側に長く居たのが俺だっただけだ。弱ってるダレス様を見て、それでも嬉しいと思ってしまうのは惚れた弱味だろうか。

「︙ダレス様。どうか、拘束を解いてください。」

 やさしくそう言うウルソンだが、ダレスは視線を逸らす。

「私は何処にも行きません、貴方のお側に死ぬまでお仕えします。だから、お願いします、ダレス様︙。」

「︙︙ぃ︙って」
「︙?ダレス様?」

 聞こえないほどの小さな声に困惑する。聞き返すと、ダレスは苦しそうな顔を上げて、もう一度言った。

「︙僕を︙︙好きだと言って。」

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