転生先が同類ばっかりです!

羽田ソラ

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異世界転生編

8.当面の資金を手に入れるよ

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「えっ……特別、転生……ですか? 待ってください、それってつまり……」
「ああ、おそらく考えた通りだと思うよ」

 あの後転生時の概要を一通り説明したら、当たり前だけどエリナさんは絶句していた。言い換えれば二度と元いた世界には戻れないと言っているわけだから、むしろ言葉を失ったり取り乱したりしない方がおかしい。もちろん最初からそういう状況を把握しているというなら話は別だが、受付での態度といいここでの態度といい彼女がそういう側に属しているわけはない。

 エリナさんは少し目線を落とし、一言もしゃべらない。その気持ちは当然理解出来るが、だからと言ってこのまま何も聞かない訳にはいかない。でも今声をかけるのもアレな気がするし、うーん……
 なんて悩んでいたら、意外にもエリナさんの方から言葉を発してくれた。

「……ひとつ、でも、確かに心当たりはあるんです。私が死んだって」
「心当たり? 病気か何かしていた?」
「いえ、そういう訳では……むしろ向こうでは健康体だったと自負しています」

 こっちではどうか分かりませんけど、なんて自嘲気味に笑うけど、向こうでどうあろうがこっちに来た時点で健康体じゃないってことはないと思う……さておき。

「ただ、あまりに健康体でよく外に出ていたのですが、ここに来る直前に何か大きな衝撃を体に受けたような……それから周りが真っ白になって、気が付いたらこの世界にいたという感じです。私、きっとあの時に死んだんですね……」

 ……あー、ってことは交通事故か何かで死んだパターンだこの子。なるほど、割と普通の人が送られる世界なのかここは……
 で、死んだ本人は混乱して何も判断出来なかったんで、それじゃ今まで住んでいた場所と似たような世界に転生させてあげようと、あの神様たちが判断した結果がこれ……っていう訳か。俺はフィンランドがどういう場所か知らないし、結果的に彼女は言葉で凄い苦労してるわけで意味なかったけど。

 それはともかく、こうなった以上は彼女を一人にしておくわけにもいかないな。

「実は俺もさっき言った通り、今日転生したばかりなんだ。だからこの世界のことはエリナさんと同じくらいしか知らない……まあ、言葉は問題なく通じるけど」
「そうなんですか? ……でもそのおかげで私は助かったわけですし。ありがとうございます」
「ただここでお別れするとなると、君はまた言葉も通じない中で苦労することになる。こういう形で知った子がそんな苦労を背負うのは俺としても放ってはおけない」

 お節介だってのは分かってる。けどこればかりは性分なんだからしょうがないじゃないか……というわけで。

「エリナさんさえよかったら、しばらく俺と一緒に行動しないか? 依頼を受けるにしてもいろいろ相談出来る人がいた方が俺としてもいいし」
「え、一緒に……ですか? ええと……」

 ……あ、困ってる。そりゃそうか、いくら助けてもらったとは言えついさっき会ったばかりの男と行動を共に――なんて、あまり褒められたことじゃない。
 もっともこのままいても彼女には不利益しかないというのも、さっき言った通りなんだけど。

「……それでは、よろしくお願いします」

 結局、エリナさんがそう返事するのにそこまで時間はかからなかった。

「よし、決まり。そうとなったらさっそくすることがあるな」
「すること……」
「うん、すること」
「宿泊先の確保ですか?」
「それよりも先にすることがあるだろ……」

 エリナさんも転生したてで、おまけに現在食事中だからぱっと思い浮かばなくて当たり前っちゃ当たり前かもしれないけど。

「衣食住、確かに確保は優先課題だけど、何をするにも先立つものがなくちゃダメだからね。取り敢えずここでこなせそうな依頼を受けて当面の資金を確保しよう」
「あ……あーあー! 確かにその通りですね! さっきまでが急展開過ぎて、私、やっぱりお部屋はダブルベッドなんだろうなーとか体を洗う暇はくれるのかなーとかはじめてだから優しいといいなーとか」
「違う。初っ端からそんな事態を想定って俺を一体何だと思ってるんだ」
「困ってる女の子を口説いて道中共にする見知らぬ男性?」
「間違ってないわ……」

 もとい、そっからいきなりそっち方面に思考が行くって、向こうの世界でどんな生活してきたんだこの子。実は結構落ち着いてるんじゃなかろうか……いや?

「……エリナさん、やっぱりまだちょっと緊張してる? してるよね」
「え、何でですか?」
「状況に比べてちょっと饒舌すぎる気がして」
「えー、いやそれは……はい……ちょっとどころか……」

 だと思ったよ。まあそんなにすぐ切り替えろってのも無理な話だし、そんなことを言うつもりもないけど。
 何にせよまずは依頼の確認かな。エリナさんも食事を終えたことだし。

「そう言えばエリナさんはどんなスキルを持ってるの? 転生の時に神様にもらったのがあると思うけど、ステータスとか確認した?」

 1階に降りて受付脇のクエストボードを確認しつつ、エリナさんに聞いてみる。

「スキル……ですか? ステータスの確認とは?」

 やっぱり、何も知らないまま来たか……いろいろ説明されたとは思うけど、そんなの気にする余裕もなかっただろうしなあ。適当に使えそうなスキルを振り分けてくれている、と、思いたい。

「ステータスはカード発行の時に確認したろ? まああの短時間で確認も何もないとは思うけど……ちょっと耳を」
「トーゴさん?」
「……実は他の人の場合は知らないけど、俺たちの場合はステータス展開って軽く念じれば目の前にステータスが現れて確認出来るんだ」
「そうなんですか?」
「うん、ただ俺も自分だけだった時に確認したから、他の人に見えるかどうかわからないんでここでは使ってないけど」

 ……まあ、普通に考えたらあり得ない数値だってさっき受付の人にはバレちゃってるけどね……でも気分的に個人情報を暴露されるのはあまり気分がよくない。

「で、そこにもスキルの名前とか書いてあるはずだから、俺が見えないようだったら言って教えて。それを確認してから依頼を選ぶから」
「分かりました」

 こりゃインベントリとかの使い方も教えとかないとまずいことになりそうだな……まあそこらへんはおいおい教えていけばいいか、ステータス画面と同じで他の人にも使えるかどうかなんてわかんないわけだし。

「トーゴさん、ステータス画面が出ました」
「ん、どれどれ……ああ」

 やっぱり俺からは見えないか。そこらへんは結構プライバシーを考慮してくれた仕様になってるんだな……それはともかく。

「ごめん、俺からは見えない。どんなスキルがどれだけあるかだけ教えてくれない?」
「あ、そうですか? ステータスに関しては……」
「そこはあとでいいや」
「分かりました。それでは――」
 そう言って彼女が言ったスキルは以下の通り。



 取得魔法一覧:
  素材捜索
  素材合成
  ポーション鑑定
  ポーション調合
  ファイアボルト
  ヒール

 戦闘技術一覧:
  鈍器軽量化
  直感による回避上昇



 ……意識的には完全に巻き込まれ型の初心者なのに、結構有用なスキルが揃ってるな。これなら多少無茶してもどうにかなりそうだけど……いや。

「大体わかった。取り敢えず素材捜索があるからこれを受けることにしよう」

 こういう時に無理をするのが一番危険なんだ。
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