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異世界転生編
9.依頼を受注するよ
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「トロリ草の採取……ですか?」
「うん」
俺が最初に受ける依頼として選んだのは、クエストボードの常設依頼枠に貼られていたトロリ草という薬草の採取依頼だった。このトロリ草というのはあらゆる薬品のベースに使用されるもので、いくら採っても採り過ぎることはないというほど必要とされ、さらに雑草のように生えているのだという。
本当にそこら辺の草むらに生えているレベルなので、常設でも問題ないのだそうだ。
……ちなみにエリナさんには俺が読んで聞かせた。この子、この世界の文字が読めないからな……
「依頼達成の報酬は10株10銅、以下50株まで10株単位で受け付ける、1単位につき依頼ひとつ達成扱いにする、だってさ」
「1銅は1ユーロ程度ですか?」
「いや、それより多分安いな……気分的には80セントくらいじゃないか」
「となると、フルで採って40ユーロ程度ですか……」
「まあ、確かに安いかもしれないけどな……無理をしないとなればこんなもんだ。取り敢えずこれを受けてこよう」
「お願いします」
とは言えあの値段が高いか安いかはこの世界の物価水準がどういう感じなのかにもよると思うけど……でも銅貨5枚であれだけ食べられたなら日本と同じかちょっと安い程度で済んでるんじゃなかろうか。
「すいません、これを受注したいんですけど」
「はい、依頼受注ですね。ギルドカードのご提示をお願いします」
「あ、受注したいのは俺だけじゃなくて、そこにいる子もなんですけど」
「パーティーで受注されますか? その場合は実績ポイントおよび達成報酬は2名分で折半になりますが」
「実績ポイント……?」
何だそれ、さっきの説明の中になかったぞ。響きからすると実績をポイント化してランクのアップダウンか何かに使う物なんだろうけど……
「ああ、実績ポイントというのはギルドカードのランク決定に使うポイントの事です。この依頼ポスターの右上隅に軽銀ランクのマークがありますでしょう?」
「ありますね、カードにあるのと同じエンブレムです」
「基本的にギルドのメンバーは自身の持つギルドランクよりひとつ上までの依頼を受注することが出来ます。その際自身と同等ランクの依頼を達成1回ごとに1ポイント、ひとつ上の依頼は10ポイント、ランクが下の依頼は1ランクごとに10分の1をかけていく形で実績ポイントが付与されていきます。
それが一定以上になった場合、総合職ギルドではカードの素材が変わります。軽銀から銅までは銅ランク依頼を1回以上達成してなおかつ累積100ポイント以上、所属後3か月以上期間が経っていることとなっております」
ああ、なるほど。それで説明の時に大体銅ランクまで上がるのに3か月かかるって話になったんだ……しかし一気に上げられないあたりは面倒ではあるけど、信用度を計るのにはいいのかもしれない。
「あ、ただし注意点がひとつ。同内容の依頼に関しては同等ランク以下は1日1回、1ランク上の依頼は1週間に1回の受注制限がありますので、ポイントの計算をする場合はご注意ください。
それでパーティーの際のポイントおよび達成報酬の折半に関してですが、例えば今回の場合で言うならひとりにつき5回まで重複達成が認められていますね。これがふたりだと最大で10回まで認められますが、ひとりひとりのポイントおよび報酬はそれを2で割った分になります」
「つまり、例えば俺が5回達成してあの子が1回しか達成出来なかった場合は、6回達成分をふたりで折半して3回ずつ達成の扱いになる、ということですか?」
「そういうことです」
「ふむ……」
考えてみれば何とも正直者がバカを見そうなシステムだけど、俺たちにとってはそれならそれで有難い。そもそもチュートリアルを除いては最初に受ける依頼なわけだし、足を引っ張り合うなんていう事態にはまあならないだろう……ならないと思いたい!
「ではパーティー受注でお願いします。パーティーメンバーは俺、トーゴ=ミズモト、それとあの子、エリナ=サンタラ。リーダーは俺でお願いします」
「分かりました。それではおふたりのギルドカードを確認させてください」
無事依頼を受注した俺たちは、ギルドの受付の人に教えてもらった山に行ってみることにした。単純に緑が多いから、そこが一番生えてるだろうし。
何しろどこでも、それこそ街中の街路樹の根元にすらたくさん生えてるレベルの、言い方はアレだけど雑草だからな……無論そんなところに生えてるのは薬用としては使えないけど。
「それでその、トロリ草、というのはどの部分を採ればいいんでしょうか?」
「依頼ポスターでは草の部分だけを採ればいいってことだったけど、雑草レベルで生えてくるんだったら根から採ってもいいかもしれないな……まあ取り敢えずは根ごと50株を目標にってことで」
「分かりました。それでその、トロリ草の外見は……」
「ああ、そう言えばそうだね。ポスターにもその辺りは描いてなかったけど、割と厚みのある三出複葉で、根には塊根が見られるそうだよ……ああ、ちょうどあんな感じ」
街路樹の根元にそれらしき草が生えていたのでそれを指し示す。違ってたらいけないので一応確認もしておこう。確か魔法の中に素材鑑定とかいうのもあったな……どんなふうに見えるか、どう使うかのチェックもここでしておかないと。
ええと、あの草に目標を合わせて、素材鑑定……お、鑑定は念じるだけで出来るのか。どれどれ……
トロリ草
蔓の形状をした多年草。厚みのある三出複葉と塊根が特徴。葉の内部は粘液に富み、粘液を乾燥させて粉状にしたものを粉薬の基剤に使用する。また塊根は消炎・鎮痛・発汗作用を有する。
……説明文だけ読んでると、まるでアロエと葛のハイブリッドみたいな植物だな。確かに体によさそうではあるけど、どこにでも生えるってのも納得だ。
そうと決まればさっさと採取して終わらせよう。
「というわけでエリナさん、あれがトロリ草だから同じ草を採るんだよ」
「そうなんですか? よくわかりますね」
「まあ、俺はそういうスキル持ってるから。だから間違えて違う草を採ったとしても、すぐに見分けがつくから安心してくれていいよ」
「なるほど……というかあの草ではダメなんですか?」
「いや流石に薬の材料にするような草を道端で取りましたってのは許されないんじゃないかな……」
この世界の常識がどうなのか分からないけど。でも何となく自分の口に入るかもしれないものをこんなところで採ってるっていうのは考えたくないな……
「うん」
俺が最初に受ける依頼として選んだのは、クエストボードの常設依頼枠に貼られていたトロリ草という薬草の採取依頼だった。このトロリ草というのはあらゆる薬品のベースに使用されるもので、いくら採っても採り過ぎることはないというほど必要とされ、さらに雑草のように生えているのだという。
本当にそこら辺の草むらに生えているレベルなので、常設でも問題ないのだそうだ。
……ちなみにエリナさんには俺が読んで聞かせた。この子、この世界の文字が読めないからな……
「依頼達成の報酬は10株10銅、以下50株まで10株単位で受け付ける、1単位につき依頼ひとつ達成扱いにする、だってさ」
「1銅は1ユーロ程度ですか?」
「いや、それより多分安いな……気分的には80セントくらいじゃないか」
「となると、フルで採って40ユーロ程度ですか……」
「まあ、確かに安いかもしれないけどな……無理をしないとなればこんなもんだ。取り敢えずこれを受けてこよう」
「お願いします」
とは言えあの値段が高いか安いかはこの世界の物価水準がどういう感じなのかにもよると思うけど……でも銅貨5枚であれだけ食べられたなら日本と同じかちょっと安い程度で済んでるんじゃなかろうか。
「すいません、これを受注したいんですけど」
「はい、依頼受注ですね。ギルドカードのご提示をお願いします」
「あ、受注したいのは俺だけじゃなくて、そこにいる子もなんですけど」
「パーティーで受注されますか? その場合は実績ポイントおよび達成報酬は2名分で折半になりますが」
「実績ポイント……?」
何だそれ、さっきの説明の中になかったぞ。響きからすると実績をポイント化してランクのアップダウンか何かに使う物なんだろうけど……
「ああ、実績ポイントというのはギルドカードのランク決定に使うポイントの事です。この依頼ポスターの右上隅に軽銀ランクのマークがありますでしょう?」
「ありますね、カードにあるのと同じエンブレムです」
「基本的にギルドのメンバーは自身の持つギルドランクよりひとつ上までの依頼を受注することが出来ます。その際自身と同等ランクの依頼を達成1回ごとに1ポイント、ひとつ上の依頼は10ポイント、ランクが下の依頼は1ランクごとに10分の1をかけていく形で実績ポイントが付与されていきます。
それが一定以上になった場合、総合職ギルドではカードの素材が変わります。軽銀から銅までは銅ランク依頼を1回以上達成してなおかつ累積100ポイント以上、所属後3か月以上期間が経っていることとなっております」
ああ、なるほど。それで説明の時に大体銅ランクまで上がるのに3か月かかるって話になったんだ……しかし一気に上げられないあたりは面倒ではあるけど、信用度を計るのにはいいのかもしれない。
「あ、ただし注意点がひとつ。同内容の依頼に関しては同等ランク以下は1日1回、1ランク上の依頼は1週間に1回の受注制限がありますので、ポイントの計算をする場合はご注意ください。
それでパーティーの際のポイントおよび達成報酬の折半に関してですが、例えば今回の場合で言うならひとりにつき5回まで重複達成が認められていますね。これがふたりだと最大で10回まで認められますが、ひとりひとりのポイントおよび報酬はそれを2で割った分になります」
「つまり、例えば俺が5回達成してあの子が1回しか達成出来なかった場合は、6回達成分をふたりで折半して3回ずつ達成の扱いになる、ということですか?」
「そういうことです」
「ふむ……」
考えてみれば何とも正直者がバカを見そうなシステムだけど、俺たちにとってはそれならそれで有難い。そもそもチュートリアルを除いては最初に受ける依頼なわけだし、足を引っ張り合うなんていう事態にはまあならないだろう……ならないと思いたい!
「ではパーティー受注でお願いします。パーティーメンバーは俺、トーゴ=ミズモト、それとあの子、エリナ=サンタラ。リーダーは俺でお願いします」
「分かりました。それではおふたりのギルドカードを確認させてください」
無事依頼を受注した俺たちは、ギルドの受付の人に教えてもらった山に行ってみることにした。単純に緑が多いから、そこが一番生えてるだろうし。
何しろどこでも、それこそ街中の街路樹の根元にすらたくさん生えてるレベルの、言い方はアレだけど雑草だからな……無論そんなところに生えてるのは薬用としては使えないけど。
「それでその、トロリ草、というのはどの部分を採ればいいんでしょうか?」
「依頼ポスターでは草の部分だけを採ればいいってことだったけど、雑草レベルで生えてくるんだったら根から採ってもいいかもしれないな……まあ取り敢えずは根ごと50株を目標にってことで」
「分かりました。それでその、トロリ草の外見は……」
「ああ、そう言えばそうだね。ポスターにもその辺りは描いてなかったけど、割と厚みのある三出複葉で、根には塊根が見られるそうだよ……ああ、ちょうどあんな感じ」
街路樹の根元にそれらしき草が生えていたのでそれを指し示す。違ってたらいけないので一応確認もしておこう。確か魔法の中に素材鑑定とかいうのもあったな……どんなふうに見えるか、どう使うかのチェックもここでしておかないと。
ええと、あの草に目標を合わせて、素材鑑定……お、鑑定は念じるだけで出来るのか。どれどれ……
トロリ草
蔓の形状をした多年草。厚みのある三出複葉と塊根が特徴。葉の内部は粘液に富み、粘液を乾燥させて粉状にしたものを粉薬の基剤に使用する。また塊根は消炎・鎮痛・発汗作用を有する。
……説明文だけ読んでると、まるでアロエと葛のハイブリッドみたいな植物だな。確かに体によさそうではあるけど、どこにでも生えるってのも納得だ。
そうと決まればさっさと採取して終わらせよう。
「というわけでエリナさん、あれがトロリ草だから同じ草を採るんだよ」
「そうなんですか? よくわかりますね」
「まあ、俺はそういうスキル持ってるから。だから間違えて違う草を採ったとしても、すぐに見分けがつくから安心してくれていいよ」
「なるほど……というかあの草ではダメなんですか?」
「いや流石に薬の材料にするような草を道端で取りましたってのは許されないんじゃないかな……」
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