転生先が同類ばっかりです!

羽田ソラ

文字の大きさ
10 / 132
異世界転生編

9.依頼を受注するよ

しおりを挟む
「トロリ草の採取……ですか?」
「うん」

 俺が最初に受ける依頼として選んだのは、クエストボードの常設依頼枠に貼られていたトロリ草という薬草の採取依頼だった。このトロリ草というのはあらゆる薬品のベースに使用されるもので、いくら採っても採り過ぎることはないというほど必要とされ、さらに雑草のように生えているのだという。
 本当にそこら辺の草むらに生えているレベルなので、常設でも問題ないのだそうだ。

 ……ちなみにエリナさんには俺が読んで聞かせた。この子、この世界の文字が読めないからな……

「依頼達成の報酬は10株10銅、以下50株まで10株単位で受け付ける、1単位につき依頼ひとつ達成扱いにする、だってさ」
「1銅は1ユーロ程度ですか?」
「いや、それより多分安いな……気分的には80セントくらいじゃないか」
「となると、フルで採って40ユーロ程度ですか……」
「まあ、確かに安いかもしれないけどな……無理をしないとなればこんなもんだ。取り敢えずこれを受けてこよう」
「お願いします」

 とは言えあの値段が高いか安いかはこの世界の物価水準がどういう感じなのかにもよると思うけど……でも銅貨5枚であれだけ食べられたなら日本と同じかちょっと安い程度で済んでるんじゃなかろうか。

「すいません、これを受注したいんですけど」
「はい、依頼受注ですね。ギルドカードのご提示をお願いします」
「あ、受注したいのは俺だけじゃなくて、そこにいる子もなんですけど」
「パーティーで受注されますか? その場合は実績ポイントおよび達成報酬は2名分で折半になりますが」
「実績ポイント……?」

 何だそれ、さっきの説明の中になかったぞ。響きからすると実績をポイント化してランクのアップダウンか何かに使う物なんだろうけど……

「ああ、実績ポイントというのはギルドカードのランク決定に使うポイントの事です。この依頼ポスターの右上隅に軽銀ランクのマークがありますでしょう?」
「ありますね、カードにあるのと同じエンブレムです」
「基本的にギルドのメンバーは自身の持つギルドランクよりひとつ上までの依頼を受注することが出来ます。その際自身と同等ランクの依頼を達成1回ごとに1ポイント、ひとつ上の依頼は10ポイント、ランクが下の依頼は1ランクごとに10分の1をかけていく形で実績ポイントが付与されていきます。
 それが一定以上になった場合、総合職ギルドではカードの素材が変わります。軽銀から銅までは銅ランク依頼を1回以上達成してなおかつ累積100ポイント以上、所属後3か月以上期間が経っていることとなっております」

 ああ、なるほど。それで説明の時に大体銅ランクまで上がるのに3か月かかるって話になったんだ……しかし一気に上げられないあたりは面倒ではあるけど、信用度を計るのにはいいのかもしれない。

「あ、ただし注意点がひとつ。同内容の依頼に関しては同等ランク以下は1日1回、1ランク上の依頼は1週間に1回の受注制限がありますので、ポイントの計算をする場合はご注意ください。
 それでパーティーの際のポイントおよび達成報酬の折半に関してですが、例えば今回の場合で言うならひとりにつき5回まで重複達成が認められていますね。これがふたりだと最大で10回まで認められますが、ひとりひとりのポイントおよび報酬はそれを2で割った分になります」
「つまり、例えば俺が5回達成してあの子が1回しか達成出来なかった場合は、6回達成分をふたりで折半して3回ずつ達成の扱いになる、ということですか?」
「そういうことです」
「ふむ……」

 考えてみれば何とも正直者がバカを見そうなシステムだけど、俺たちにとってはそれならそれで有難い。そもそもチュートリアルを除いては最初に受ける依頼なわけだし、足を引っ張り合うなんていう事態にはまあならないだろう……ならないと思いたい!

「ではパーティー受注でお願いします。パーティーメンバーは俺、トーゴ=ミズモト、それとあの子、エリナ=サンタラ。リーダーは俺でお願いします」
「分かりました。それではおふたりのギルドカードを確認させてください」



 無事依頼を受注した俺たちは、ギルドの受付の人に教えてもらった山に行ってみることにした。単純に緑が多いから、そこが一番生えてるだろうし。
 何しろどこでも、それこそ街中の街路樹の根元にすらたくさん生えてるレベルの、言い方はアレだけど雑草だからな……無論そんなところに生えてるのは薬用としては使えないけど。

「それでその、トロリ草、というのはどの部分を採ればいいんでしょうか?」
「依頼ポスターでは草の部分だけを採ればいいってことだったけど、雑草レベルで生えてくるんだったら根から採ってもいいかもしれないな……まあ取り敢えずは根ごと50株を目標にってことで」
「分かりました。それでその、トロリ草の外見は……」
「ああ、そう言えばそうだね。ポスターにもその辺りは描いてなかったけど、割と厚みのある三出複葉で、根には塊根が見られるそうだよ……ああ、ちょうどあんな感じ」

 街路樹の根元にそれらしき草が生えていたのでそれを指し示す。違ってたらいけないので一応確認もしておこう。確か魔法の中に素材鑑定とかいうのもあったな……どんなふうに見えるか、どう使うかのチェックもここでしておかないと。

 ええと、あの草に目標を合わせて、素材鑑定……お、鑑定は念じるだけで出来るのか。どれどれ……



 トロリ草
  蔓の形状をした多年草。厚みのある三出複葉と塊根が特徴。葉の内部は粘液に富み、粘液を乾燥させて粉状にしたものを粉薬の基剤に使用する。また塊根は消炎・鎮痛・発汗作用を有する。



 ……説明文だけ読んでると、まるでアロエと葛のハイブリッドみたいな植物だな。確かに体によさそうではあるけど、どこにでも生えるってのも納得だ。
 そうと決まればさっさと採取して終わらせよう。

「というわけでエリナさん、あれがトロリ草だから同じ草を採るんだよ」
「そうなんですか? よくわかりますね」
「まあ、俺はそういうスキル持ってるから。だから間違えて違う草を採ったとしても、すぐに見分けがつくから安心してくれていいよ」
「なるほど……というかあの草ではダメなんですか?」
「いや流石に薬の材料にするような草を道端で取りましたってのは許されないんじゃないかな……」

 この世界の常識がどうなのか分からないけど。でも何となく自分の口に入るかもしれないものをこんなところで採ってるっていうのは考えたくないな……
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

転生貴族の領地経営〜現代知識で領地を豊かにして成り上がる

ファンタジー
ネーデル王国の北のリーディア辺境伯家には天才的な少年レイトがいた。しかしその少年の正体は現代日本から転生してきた転生者だった。 レイトが洗礼を受けた際、圧倒的な量の魔力やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のレイトを辺境伯領の北の異種族の住むハーデミア領を治める領主とした。しかしハーデミア領は貧困に喘いだ貧乏領地だった。 これはそんなレイトが異世界の領地を経営し、領地を豊かにして成り上がる物語である。

処理中です...