転生先が同類ばっかりです!

羽田ソラ

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異世界転生編

10.トロリ草を採取するよ

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 街のはずれにある山は、まさしく雑木林という感じの場所だった。聞けばここは木材を取るためにわざわざ造成した土地だそうで、蔓で巻き付くトロリ草は伐採の邪魔で仕方がないんだそうだ。
 とは言え完全な雑草というわけでもなく有用ではあるため、無視して処分するのももったいない。そこで総合職ギルドを通じてトロリ草の採取を依頼した……というのがあの常設依頼の始まりだという。

 結局この山だけでなく色々な場所に生えてるせいで、場所を問わずという形にせざるを得なかったらしいけど、何だかんだでここが一番よく採れるからギルドでもお勧めの場所として紹介してるんだそうだ。
 とにかく、ちゃっちゃと終わらせてしまおう。

「それじゃエリナさん、これからトロリ草の採取を始める。手順は覚えてる?」
「はい。その辺の木に巻き付いている蔓を、葉っぱを傷つけないよう慎重に剥がして、剥がし終えたら根っこごと抜く、ですよね?」
「そう。もし根っこが引き抜きづらかったら、ギルドから借りてきたスコップを使って少し広めの範囲で慎重に抜こう。とにかく1株1株、傷つけないように心がけて」
「分かりました!」
「取り敢えずはひとり当たり10株をノルマとして、ふたり合計で100株採取出来るように頑張ろう。もし50株まで採取するのがきつくても、俺が多めに採取しておくから安心して」
「ありがとうございます、私も足を引っ張らないように頑張りますね」

 まあ俺が足を引っ張る可能性もあるわけだけど……さて、始めるとするか。

 それにしてもほんとに木に巻き付いてるんだな。幸い成長の限界があるからなのか地上から俺の腰のあたりまでで止まってるけど、蔓が絡まってたりすると結構めんどくさそうだな……
 ああ、それで雑木林を薦められたのか。太い木に巻き付いてるのを外すのなら、絡まってるのを外すのよりは楽だからな……おっと、1株外れた。木に直接くっついてるわけではなかったか。

「さて、問題は根っこだけど……よっ、と」

 少し強めに引っ張ってみる……うん、やっぱり抜けない。塊根があるって時点である程度予想はしてたけど、周囲の土がうまいことアンダーカットに入ってしまって、無理に抜こうとすると蔓が千切れそうだ。
 この分だと蔓の根元に近い方を持って引っ張っても同じ結果になりそうだな……よし。

「エリナさん、やっぱり根っこごと引っ張るのは無理そうだ。根っこの部分をスコップで少し深めに掘り起こして、付いた土を後で叩き落とす形で採取していこう。そうしないと葉っぱまで傷つけそうだし」
「分かりました。私も今引っ張ってみてそう思ってたところです……それにしてもこうしてみると、やっぱり私たち以外にもトロリ草を抜こうとしてる人たちがちらほらといますね」
「ああ、そうだね」

 常設依頼で格好の採取場所、となれば俺たち以外が採取しないわけないしな。もっとも鎌で蔓の部分だけ刈り取ったり、シャベルで一帯を根こそぎとろうとしたり……採り方も千差万別だけど。
 でもどの人たちも、根っこを採るのには一苦労してそうな印象だな。そりゃそうか、ここは雑木林であって原っぱじゃない。木の根が大量に地中にある中でどれだけあるかもわからないトロリ草の根っこだけを選んで採るって結構きつい気がする。

 さりとて原っぱに植わってたところで、今度はトロリ草同士が絡んで結局抜けにくい気がするけどな……結果的に葉っぱだけとって依頼達成ってやる人が結構多い気がする。
 ……トロリ草がどこでも生えるって、もしかしてそれが原因か?

 さてと。

「エリナさん、そっちの採取はどんな感じ?」
「順調です。ただ、やっぱり根っこは全部は取りづらいですね……依頼内容が蔓と葉っぱの部分だけで助かりました」
「そうだねー。受付の人がスコップじゃなくて鎌を薦めてくれた気持ちもわかるわ」

 結局見ての通りなんだけど、あの鎌も何か使い込まれ過ぎて切れ味悪そうだったからあんまり使いたいと思えなかったんだよな。
 それはそれとして、こっちはもう少し横着するか。ええと、スキルの確認っと。



 取得魔法一覧:
  素材捜索
  素材鑑定
  素材合成
  素材分解
  素材変換
  性質付与
  自動製作
  製作物強化
  ポーション合成
  ポーション鑑定
 ……



 確かこの中に使えそうな魔法があった気がしたんだよな。感覚として知ってるだけで字面では確認してないんだけど……ああ、あったあった。



  土壌砂化
  土壌乾燥
  土壌軽量化



 この3つは本来農業に使用するための魔法で、水はけをよくしたり逆に悪くしたり、土壌改良のために土や砂を運搬したりするのに使うんだけど、こういうふうに根の張りが強い薬草なんかを採る時に根っこの周りの土に適用してやると――

「よし、根こそぎ採れた!」

 あとは根っこを軽くはたくだけで、乾燥した砂と化した土が簡単に取れてくれる。本来だったら根っこの周りだけ土をなくすような魔法が使いたいけどそんなの使えないし、そもそもの話そんなのがあるかどうかも分からない。
 まあないものねだりをしてもしょうがないし、これで十分採取可能なのでこれでどんどん稼いでいくことにするわけだけど、それにしても――

「根っこ長いなー……こりゃ周りを崩して引っ張った程度じゃ抜けないわけだ」

 さっき鑑定で確認した通りに薬効成分がある根っこがこれだけ抜きにくいんだったら、あの常設依頼とは別枠で報酬付きの依頼があるかもしれない。そうしたらもうちょっと楽も出来るし、エリナさんにも楽をさせてあげられる。

 そう言えばポーション合成とかもあったし、その材料にトロリ草の根があるんだったらそれに使う用に取っておくのもアリかもな。幸い不可視インベントリなんて便利なものがあるわけだし。
 ……やばい、ちょっと楽しくなってきたぞ。

「エリナさん、そっちはどう?」
「大丈夫です! 根っこまで採ろうとすると大変ですけど、根元で採る分にはこれ結構採りやすいですね!」

 先程採取したであろうトロリ草を数株まとめながらエリナさんは言う。蔓と葉っぱだけ採ってるとは言え、確かに仕事が早いな……フィンランド人だってだけあってこの手の作業は慣れてるのかな? あくまでイメージでしかないけど。

「よし、じゃ手早くやっちゃおう。今日中にやりたいことがたくさんあるからね」
「はい!」

 ……この分だと、結構余裕をもって終われそうだな。いいことだ。



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※ちょっと解説
トロリ草はアロエと葛の合いの子のような植物です。葉から抽出されるエキスには液体にとろみをつける効果があります。お菓子作りなどにも使用されるとかされないとか。
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