転生先が同類ばっかりです!

羽田ソラ

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スティビア通過編

103.足止め中に街を観光するよ

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 セパレートに到着した翌朝。疲れていた割には早い時間に目を覚ました俺たちは、サービスの朝食をとりながら1日の予定を相談し合っていた。

「取り敢えず昨日に引き続き街中で情報収集する必要があると思うんだけど、まずはどのあたりに行こうか。昨日行ったのはターミナルと、このホテル街と、それとレストラン街だったけど……」
「レストラン街ねー。昨日は久々に思う存分魚介類が食べられて嬉しかったわ。特にムール貝っぽいアレのワイン蒸し」
「クロー貝って名前で呼ばれてたよね。確かにアレはおいしかった……」

 他にもイカスミパスタがあったり海鮮ピッツァがあったりで、昨夜はなかなかに満足出来た。……ってそんな話じゃないんだけど。

「いやだからあのですねエリナさん?」
「……トーゴさん、今日くらいは依頼を忘れて遊ばない? ほら、ここ最近デートする機会もなかったことだし」
「あ……」

 確かに、言われてみれば純粋にデートすることなんて、ここ最近全然なかったかもしれない。何せ受けた依頼が依頼なものだから、知らず知らずのうちに結構肩肘張ったりとかしてたのかも。
 ……うん、反省しよう。

「そうだね、エリナさんの言うことももっともだ。俺たち、ここ最近少し余裕失くしてたかもしれないね」
「うん、そうよ。第一、そんなに情報収集を積極的にしたところで、私たちじゃ却って怪しまれるのがオチだもの。だったらいっそ遊んじゃったほうが、逆に色々と捗るようになるかもしれないじゃない」
「……よし! 今日は1日デートしよう!」
「おー! ……ところでここのパンおいしいね」
「……相変わらずで安心したよ」

 流石に色気より食い気なんて失礼なことを言うつもりはないけど、エリナさんの中では多分同列だな、うん。



 朝食を終えて、エリナさんとの約束通り街中を散策する。部屋にいた時から分かってたことだけど、空は雲ひとつない青空でとにかく燦々と照り付ける太陽がまぶしくてしょうがない。流石南国としか言いようがないレベルだ。
 これだけ南国しているとビーチなんてのもありそうなもんだけど、それは俺たちが泊まっているターミナル近くのホテル街からは若干離れているらしい。しかも砂のビーチとなるともっと南のドバルバツまで行かないとないようなので、今回は残念ながら諦めるか。
 ……もっとも、水着なんて持ってないから今更なんだけど。

「あ、そうだ。エリナさん、水着買ってあげる」
「え?」
「いや、ここまで使う機会も買う場所もなかったから後回しになってたけど、やっぱりこういう場所に来たりすることもあるだろうから。ちょうどいい機会だし、一緒に買おうと思ってたんだけど……どう?」
「トーゴさん……」

 言ってエリナさんは嬉しそうな顔を一瞬だけ見せたものの、すぐにいやらしいにやけ面になって言う。

「ちょうどいい機会ってもしかしてそう言う話ー? 私も大概だけどトーゴさんもなかなかのスキモノよねー……」
「どんな想像してるの!? そんな意図で言ったわけじゃないんだけど!?」
「でも考えなかった訳じゃないんじゃない?」
「……考えてないよ!」
「いや今間があったわよね? 絶対考えてるわよね? むしろ私が言ったことで意識したとかそういう話だったりするかもしれないわけ?」

 ……この子大丈夫かしら……確かにエリナさんの言う通りだけどこまでひどいこと考えてたわけじゃないし、むしろこのままだとエリナさんの方が外で云々とか言い出しかねんな……

「まあ、それはともかく水着は買うよ。じゃないといざっていう時に遊べないし」
「……まあ、確かにその通りよね。この世界の水着が一体どんな感じなのかも気になるところではあるし……」

 ああ、それは俺も気になるなあ。前世では伸縮性に富んだ生地を使ってたけど、この世界ではどんな生地を使ってるやら……
 それはともかく、遊ぶ場所は他にもある。遊ぶというか観光だけど、普通に前世における海外旅行感覚でいいなら――

「教会とか美術館とか、そういう場所にも寄ってみたいところだね」
「ええー……?」
「これはまた露骨に嫌な顔したねエリナさん……」
「その辺りは何というか、その……教会は日常的な場所ってイメージが強いし、美術館は学校の授業か何かかなって」
「ああ、美術の授業とかそういうアレね……」

 しかしエリナさん、君はひとつ盛大な勘違いをしているよ?

「この世界の教会はキリスト教じゃないし、美術館やら博物館やらも俺たちの知るものとは大きくかけ離れてたりするんじゃない? それに、休憩しようと思えばいくらでも出来そうだし」
「う」
「まあ、行って見てみればいいよ。教会も神の現身が自身の神殿で立派な建築美術をよしとしているとは限らないし、気に入らなければ出てしまえばいい。俺としては、エリナさんと一緒なら普通に散歩だけでもいいわけだし」

 まあ、その辺りのスタンスはマジェリアにいる時から何ひとつ変わってないよな、俺もエリナさんも。大体散歩やウインドウショッピング程度では終わらず、簡単な買い物くらいはしてた記憶があるけど。

「んー、それじゃ……トーゴさんの言う通り、ちょっとだけ見てみる……」

 エリナさんは気が乗らないのを隠さない。それも含めて、色々なところを見てみるのも大事だと思うんだよ? そうと決まれば……ええと、ここから一番近い教会と美術館は、っと……



 という流れなら、教会や美術館を見終わった後でエリナさんが楽しそうにしているのが普通だと思うんだけど――

「つーかーれーたー、トーゴさーん」
「……まあ、無駄に広かったよね……」

 現実はこんなもんである。神の現身の神殿は前世におけるカトリックの教会ほどのインパクトは、神殿自体の規模を除いてはなかったし、美術館や博物館もまあ前世とそれほど大差ない感じではあった。
 そして今は最後に回った美術館の喫茶コーナーで休憩中。俺はピーチリーフティー、エリナさんはラズベリージュースを注文して、館内を歩き回って疲れた体をゆっくり休めることにしたのだった。

「んもー、だから言ったのにー……」
「まあまあ、この後買い物もちゃんと付き合うから」
「色んなことして遊ぶ用の水着を選ぶんですねわかります」
「何でそんなに含みのある言い方なのエリナさん……」

 まあ疲れてるからなのかもしれないけど。俺もエリナさんも。

「それにしても、ここにきて私ひとつ気になることがあるのよね……」
「気になること?」
「ほら、私さっき大きな絵を見てたじゃない。『或る婦人の要塞』ってタイトルの」
「ああ、見てたね」

 黄土色の城壁とオレンジの屋根をした建物が組み合わさった、不思議な絵だった。作者は不詳、要塞はともかく婦人の意味が全く分からないもので、俺も気にはなってた風景画なんだよな。

「私ね、あの絵の風景どこかで見たことがあるような気がするのよね……」
「そうなの? でも俺、この世界に来てからあんな色した壁すら見たことがないけど……ということはもしかして?」
「ええ、多分前世に似た風景があったのかも。……どこで見たかは、私も覚えてないんだけどね」

 俺が知らなくて、エリナさんが知ってる風景か……ということはヨーロッパのどこかってことなのかもしれない。いや、あの風景画は完全にヨーロッパのそれだったので、かもしれないじゃなくてそうに違いないっていう方が正しいけど。

「まあ、いずれちゃんと思い出せるでしょ。あれこれ悩んでてもしょうがないし」

 言ってエリナさんはジュースをひと口含む。まあ、そりゃそうだよな……



---
おすけべさまは休止しましたよエッッッッッッッリナさん!!!!!!!(
教会云々に関してはまあ、アレですよね……美術関連が楽しめないとダメですよね……

次回更新は07/12の予定です!
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