公爵令嬢の護衛のうちのひとりなんですが、異母兄である三男様が離してくれません!

白千ロク(玄川ロク)

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12話

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 オレに話せないことなのか、それとも話したくないことなのかは知らないが、オレとしては知っていることを少しは教えてくれないかなとも思ってしまう。そうすれば知恵を出し合うことが出来るのにさあ。いやね、出し合うと言っても、よい案が浮かぶかどうかなんていうのはその時になってみないと解らないんだけどさあ、どんなことでもルーくんだけが先に知っているのはダメだろ。不満しかないわ。けれども、解消出来る知恵はないという悪循環。オレの頭では解決策を出すことなんて無理なんだよ。あー、ただただ悲しい。

 どうすることもできない現状にもやもやするが、なにも策がないのだから仕方がない。ルーくんに頼り切りだと、なにを請求されるか解らないしさあ。難しいね……。

 気持ちを落ち着かせようと、ふにゃ~ふにゃ~ふにゅ~と寝息を立てるケット・シーを見ていて気がついたが、精霊って寝るんだね。初めて見たよ。え? どの精霊であっても、寝たい時には寝ているって? 教えてくれたルーくんの契約精霊曰く、眠たかったら寝て、食べたかったら食べて飲んで、遊びたかったら遊ぶらしい。ちなみに契約に関しては、この人がいいな! という直感でやるんだと。自由に生きているんだね~。しかし重要なのは、精霊は姿を見せたい人に対してその姿を見せているのであって、見えない人は見えないままなことだろう。こちらから干渉するのは無理なんだよね。ルーくんならできなくはなさそうだけど、聞いたことがないからなあ。他の種族より精霊との親和性が高いエルフ族であるが、高いだけで精霊と仲良く出来るかはその人次第になる。誰も彼も精霊に好かれているわけではない。普通に友達作りを頑張らないといけないんだよ。いちからの人脈作りは大変だよ。

 言っておくが、精霊の力を借りるのも無条件ではないからね。自分の魔力や作ったものを渡さないといけないのだ。対価をきちんと支払わないと、精霊は力を発揮出来ないらしい。対価を必要とせずに好き放題出来るのは、人が死なない程度の小さないたずらだけのようだ。だがしかし、この『人が死なない程度』にも注意が必要だった。なぜなら、精霊によって解釈が異なるからである。話し合いが可能であるのなら、話し合いをした方がいいよ。お互いのためにね。

 途中から意識を別の所にやってしまっていたが、こちらはこちらでケット・シーの寝息を聞きながらの話し合い――詰める作業が終わったので、本邸からはおさらばする。またレミアル様が突撃してきても困るだけだからな。

 どうやら護衛の仕事の間は離れに住むようで、いまは離れの寝室にいた。ルーくんが家を出てからも掃除は欠かさずにしてくれていたらしいんだが、念の為に順番に空気の入れ替えをしている。リボン付きケット・シーは、話し合いが終った時にクッションを敷いた取っ手付きの籠――バスケットの中へとお引越ししていますよ。どちらもルーくんが作ったやつね。まだ寝ております。バスケットは寝台の横にあるサイドテーブルの上に鎮座ましましています。

「今日は朝までいいかな?」
「嫌に決まってるだろ!」
「え? 俺は朝から頑張ったんだよ?」
「それは解ってるけど、朝まではオレの足腰が死ぬの解ってるだろ?」
「知りませーん! 俺はちぃちゃんに触れたいんですー」
「ルーくん!?」

 なにが知らないだと声を上げる前に、どさーと寝台に押し倒されるオレ。うわわわわ、待て待て待てと抵抗する中でもちゅっちゅと顔中にキスをされるが、夜まで待てないのか!

「こら、こういうことは夜にしろよっ」
「昼だから燃えるんだよ」
「そんなわけないだろ!」
「大丈夫だよ、ちぃちゃん。ちぃちゃんはただ気持ちよくなればいいだけだから」
「いーやーだー!」

 まだやることがあるんだから夜にしなさい! キスは許すからぁと何気なく叫ぶと、ルーくんは満面の笑みでうんうん頷いた。やべぇ、選択を間違えたかもしれん。これを狙っていたな!?

「ならたくさんキスしようね」
「たくさんはいらないで――」

 す、と言い終わる前に唇を塞いだのはなにかなんて考えなくとも解る。すぐにオレの舌は絡め取られてしまったからか、水音が少しずつ激しさを増していく。ケット・シーが起きてしまわないかだけが心配だ。けれど、ルーくんの舌はオレの意識を霞ませていくのに十分過ぎている。触れられれば、時間とともに警戒や抵抗する部分があっけなく崩れていってしまう。オレに刻み込まれた快感は、全てこの男に嫌というほど教え込まれたんだから。

 両腕をルーくんの首元へ回して密着すると、ルーくんはさらに攻め立ててきた。オレはもはや追いかけるだけでいっぱいいっぱいだからか、リードなんて夢のまた夢になっている。いつかなんていうのが来ないことも解っているよ。

「……ルーくぅん……」
「うん。ちぃちゃんのキス顔は本当にかわいいね」
「バカ」
「もう一回、しようね」

 有無を言わさない圧に負け、今度は自分から唇を寄せていく。途中でお預けだけは避けなければならないことなのだ。溜まらせれば溜まらせただけ、どうなるか怖いし。それに、頑張っているルーくんにオレが返せるものなんて、心と躯ぐらいしかないんだからな。
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