妹を想いながら転生したら

弓立歩

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本編

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広場に着くと、もうみんな揃っている様だ。キルドたちの姿を見ると、どうやら食材を取りに行ったあとそのまま手伝いをしていた様子。

「みんな、お疲れ様。いい食材捕れたかしら?」

「ティア。もちろんだよ。魚を釣るぐらいどうってことないよ」

「あれには驚きました。人間はああやって魚を取るんですね。私たちだと空中から一気に降りたって取りますので」

「サーリさんたちはその方が取り易そうですね。人間は水中で早く動けないから竿を使うんです」

まあ、昔に川に行ったときはガチンコ漁法使って取ったこともあったけど、さすがにあれを広めるわけにも行かないよね。

「結局、釣るよりはるかにとる方が早くて、私たちは2匹と1匹だけどな」

「でもま、久しぶりに釣りもできたしよかったよ」

「その後も手伝ってもらいすみません」

「こっちこそ、いつも頂きっぱなしなので」

「そうそう。いくらそこらへんにあるっていっても、取ってくるのも大変だし、危険がないわけでもないしね」

「そういえばエミリーは?」

「エミリーさんはほら?」

サーリさんが指をさすと、エミリーは他のハーピーの人と話し込んでいた。前にちくわとかの作り方を聞いてきた人のようで、同じ料理をする者同士気が合うのだろう。

「そういえば、今日は料理を教わるって張り切ってましたけどどうでした?」

「ええ、呑み込みも早いし、普段から料理をしているので、ちょっとアイデアをもらったりもして…。おかげで今もあの調子なんです」

「一通りメニューができてから、味付けのこととかレシピのことでずっと話し込んでるんだ」

「真っ先に料理に手を出すのに、今日は味見をした程度でまだ何も食べてないからな」

「私が行くと気を使いそうだし、カークス。頃合いを見てこれ渡してくれる?」

そういうと私はお皿にある程度料理をバランスよく盛り付け、カークスに渡す。変に話を切りたくないし、カークスなら大丈夫だろう。私はその間にカリンの姿を見つけ、声をかける。

「こんばんはカリン、今日はあれからどうだった?」

「あっ、ティア。それがさ~聞いてよ。今セイラと一緒に浄化の作業してるでしょ。みんなそれに触発されて遊びはいいから魔法教えてって。もう疲れたよ~」

ふわ~と羽根を羽ばたかせてカリンがこっちに来る。子供たちに遠慮なく先生役を頼まれたようでしんどそうだ。

「じゃあ、あれからずっと魔法の練習してたの?」

「そうなの~。見本で魔法を使って見せて、その後は子供たちが使った魔法をうまく防いでの繰り返しで…」

「それは大変ね。お疲れ様」

「分かってくれるのはティアだけだよ~、ひしっ」

カリンが私に抱きついてくる。嬉しいのだけどちょっとだけ痛い。まあ、カリンの言う通り魔法を防ぐのは疲れることだ。水や土なら同属性でも強度の高いものを作りだせばいいが、火や風は強くするとそのまま跳ね返ってしまう危険がある。子供たちはまだまだ未熟だし、一定の強さで放つこともままならない今は特に神経を使うだろう。

「よしよし。疲れたわね。これでも食べて元気出しなさい」

私はカリンに抱きしめられたまま横のお皿から燻製肉のカットを取りカリンの口に運ぶ。カリンもそれにこたえてパクリと1口で食べる。

「ん~。おいしい!でも、いつもとちょっと味付け違うかな?」

「それはエミリーさんが作ってくれたのよ」

「んん?そういえば料理習うっていってたね。ほほ~これが人間たちの街の味か~」

「そうは言ってもこの辺にしかない植物も使ってるから、向こうでも食べられるか判らないけどね。ここで食べたほうがおいしいかも」

実際にエミリー自体が料理はうまいし、この周辺で採れるものは常に新鮮だ。今食べたのは燻製肉だけどそれに合わせる調味料などは半日もたたずに使われる。

「向こうだと色んな食材がそろうけど、集まるまでに鮮度が落ちているのもあるからね」

「たしかにね。わたしたちみたいに空を飛んで運ぶわけにもいかないしね」

「それは難しいわね。たとえ飛べても大勢が暮らしているから、運べる量じゃ足りないわね」

そんなことを話しながら私たちは楽しく食事をした。ちなみにエミリーが食事を取り始めたのはさらにその20分後だった。


「ん~、よく食べた~」

食事を終え、小屋に戻ってきてからお風呂に入った私たちはそれぞれ思い思いに過ごしていると、エミリーが伸びをしながらいう。

「あれだけ食べればね」

話しが終わったと思ったら、急にお腹がすいてきたといって周囲にある料理をどんどん食べていったのだ。割と食べる方ではあるが、年に数回見る程の食欲だった。あきれて見ていたが、最後は気分が悪くなると思い注意もせず、そちらを向かないようにしていた。

「やっぱり、新しい料理はいいね。色んな発想が新しく出てくるし、食べると感動するよ」

「分からないでもないけれど、それであれだけ食べるのはね」

「む~、大丈夫だよ。ここの料理はお野菜中心だから太らないって!」

「それより明日食べ過ぎって言わないようにしなさいよ。セイラちゃんに示しがつかないわよ」

「このぐらい、へ~きへ~き。デザートならまだ入るよ」

「なんてことなの。食費に余裕のある職でよかったわね」

「へへ~」

本当に幸せそうに今日の食事を思い出しているようで、それ以上追及することをあきらめ、日記を書く。食事を終える時間が遅かったので、結構いい時間だ。今日はここまでにしてもう寝よう。

「日記も書き終わったし、今日はもう寝ましょう?」

「そうだね、おやすみティア」

「おやすみなさいエミリー」


朝起きるとすでにエミリーの姿はなかった。なんだかんだ言っても朝は強いみたいだ。それよりも昨日あれだけ食べて胃もたれしないのは純粋にうらやましい。私は一気に食べられないので、あの量を食べたらすぐにお腹を壊してしまうだろう。

「あっ、起きたティア?もう食事用意してあるから」

「おはようエミリー。ありがとう。用意してすぐに行くわ」

布団から出てすぐに用意をする。リビングに向かうと、キルドがすでに食事を終えているところだった。

「おはようキルド」

「おはようティア。今日は少し早いね?」

「飛竜の目なんだけど、大分障壁が弱くなってるから、今日で決着をつけようと思ってるの。だから今日は朝から2人に来てもらって終わらせる気よ」

「へぇ~、結構かかるといってたけど順調みたいだね」

「エミリーのおかげよ。障壁を中和してくれるようになってから、かなり効率的に行えるようになったの。今は中和も必要ない位、弱くなってるわ」

「なるほどね。終わったらどうなったかまた見せてね」

「いいけど、あなた達は今日はどうするの?」

「フォルトは物置の作成を終わらせたいって。僕とカークスは昨日の続きというか、この周辺の採集スポットを少しずつ教えてもらってる感じかな。しばらくは何もない日はそうする予定」

「そうなの。ごめんね、村の人とのことは本当だったらもっと私がやらないといけないのに」

「別にいいよ。こうやって生活してるのも悪くないからね。王都にいるときはうるさいなって思う時もあるし」

「キルドでもそういうことがあるのね?」

「僕だって、ずっと遊びまわってる訳じゃないよ。お酒飲むときは酒場よりバーに行くからね」

「ふ~ん、そうなの」

「ティア、興味ないでしょ?」

「そ、そんなことはないわよ」

慌ててキルドの言葉を否定する。そんなものかなと思って返事をしたけど、言われた通り特に興味はなかった。

「ティアは隠し事苦手だね。飲み相手でももう少し上手に返事するよ」

「はいはい、ごめんなさい」

興味がないことを看破された私は朝食を再開して、食べ終える。するとエミリーがスッとお皿を片付けてくれる。う~ん、とても恵まれた環境だ。

「なんだかこの光景だけ見てると、エミリーの方がお姉さんみたいだね」

「はっ?そんな冗談はいいわ」

「だって、朝の準備してから起こしてもらって、食事を終えたら片付けてくれるんでしょ。どう見ても…」

「でしょ~。わたしも常々そう思ってたんだ。ティアは妹属性もちだよ」

「私に限ってそんなことはないわ」

髪をふっと流しながら私は答える。どう見ても私の方が姉だろう。寝起きの姿一つで決められても困るってものだ。

「本人が言うんなら仕方ないね。そういうことにしておこうか」

「すぐ否定するところがい~んだよ」

なんだか2人して盛り上がっている。このまま話をしてもらちが明かないので、私はあきらめて部屋に戻って作業の準備をする。それから30分ぐらいするとカリンたちがやってきた。ちょうどカークスたちが起きだしていたところで、セイラちゃんが恐縮しながら寝室へと入ってくる。

「おはようティア!」

「おはようございます。あの、ちょっと早かったですか?」

「そんなことないわよ。2人が起きるのが遅いだけよ」

「っ…」

隣でエミリーが笑いをこらえている。何か変なこと言ったかしら。

「昨日もカリンには夕食の時に言ったのだけど、かなり障壁も弱くなっているから、今日で終われるようにしたいと思ってるの」

「わ、分かりました。頑張ります!」

「あっ、でも力はいれなくても大丈夫よ。無理にして事故でも起きたら大変だし、終わったらいいな位で」

「そうそう、明日まで伸びたら滞在日数も増えるしね」

「そうねって、それはそれで困るわよ。リライアに見せてあげないとね」

「冗談だよ」

「そういえばリライアさんって誰なの?わたしもあったことないけど」

「ああ、そういえば言ってなかったわね。森から帰るときに出会った人で、商人を目指しているの」

「商人さんなのに一人で森に行ったの?」

「最初は何人かで入ったんだけど、彼女以外は死んでしまったのよ」

「そうなんだ…。大変なんだね」

「ええ、だから彼女の店はまだあまり売れるものがないの。そこでこの村で使われている食材なんかを売ろうと思って」

「村からしたらいつでも食べられるものばかりだけどな~」

「それはこの森が豊かだからよ。汚染された森なんかは食料を探すのも苦労するわよ」

そういうとセイラちゃんは怖がって身震いしてしまった。脅かしすぎたかな。まあ、私も人づてに聞いただけで見たことはないから脚色も入ってるけど。

「さあ、それより今日こそ終わらせましょうか」

私はみんなに呼び掛けて最後の仕上げとばかりに気合を入れる。

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