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本編
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しおりを挟むお昼ご飯は、物置の整備・拡張をしていたキルドたちといっしょに食べた。向こうは作業がまだ途中だったこともあり、準備や料理は私とエミリーで手分けした。カリンも一部の食器やらを置いてくれたり手伝ってくれ、私たちと一緒に食事をとった。
「ん~、ほとんど何もしてないのにごちそうになって悪かったね」
「いいのよ。いつも、よくしてくれてるんだし」
「そうそう、ティアが無茶しないように見張っててね」
「なによそれ」
「だってほんとのことだもん~」
「待ちなさいエミリー」
私たちは走り回る。5分ほど走り回ったところで、どちらともなく疲れてその場に座る。
「2人ともそれぐらいにしないと明日疲れちゃうよ」
お昼の間にカリンには言ったのだが、とりあえず明日に王都に戻ることにした。魔光玉のことも気になるし、とりあえず持ち帰れそうなものを持ち帰ろうという事になった。
「そうね。そういえばカリン、お昼に行ったけど申し訳ないけど畑の水やりお願いね」
「うん、任せて。お水はあるんだよね?」
「今ちょうどキルドたちが水瓶を作っているから、それを畑の横に置くようにするわ。数日の間は私たちで用意した水があるから問題ないでしょうけど、その後に雨が降らなかったら汲んできてもらえるとありがたいわ」
「別に水くらいなら、いつも運んでたりするし大丈夫大丈夫!」
「カリンちゃんは働き者だねぇ~」
「あら、エミリーはここに残って働いていく?」
「王都の甘味が私を待ってるんだよ!それに、ティアが1人寂しくないように付いてってあげるよ」
「それじゃあ、しょうがないわね」
「あ~あ、わたしも行ってみたいな~王都」
「行くまではいいんだけどね…」
「せめてはつばさがなければね~。隠せないしね」
「やっぱりだめかぁ~。何か方法ないかな」
「まあ、今のところはお土産で勘弁してね。私の方でも古い書物をあたってみるから」
「じゃあ、待ってるよ。ちょっと甘めの奴がいいよ」
「ちゃっかりしてるわね」
「そういえば。持ち帰るものとかはもう準備してあるの?」
「午後からサーリさんについていって取ってくるつもりよ。場所はキルドたちも知ってるから一緒に行ってもらうつもり」
「なら、わたしも行くよ」
「エミリーたちも行くの。実はわたしも当番なんだ」
「あら、役が決まってるのかと思ったら、当番制なのね」
「うん、じゃないと同じ人ばっかりになっちゃうし、目利きができる人も必要だしね」
「ちなみにカリンはできるの?」
「おべんきょう中です」
目をそらせながら答えるカリンの姿から、芳しくない状況のようだ。確かにカリンが好き嫌いを言っているところも見たことがないし、おいしいか不味い位の分け方かもしれない。
「なら、ちょっと癖の強い食べ物も持ってくるようにするわね。そしたら目利きも味見もできるようになるわね」
「ティアの意地悪~」
そんな風に話をしているとそろそろ時間が迫ってきた。キルドを加え、カリンも当番という事なので一緒にサーリさんのもとへと向かう。
「あら、皆さんお揃いですね」
「こんにちはサーリさん。今日はよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
サーリさんを先頭に私、エミリー、カリン、キルドと続く。普段はもう一人別の人がいるという事だが、今日は人数も多いのでこの5人だ。途中の道ではサーリさんとエミリーが食材の話をして、カリンが食材がどこでとれるという形で話に加わっている。私やキルドも少しは会話に入るのだが、如何せん場所や料理方法になると加われない。といってもキルドはこの数日手伝いっていたから、私よりは分かっている様だ。
「もうすぐ採取場所ですね。この先は結構開けた場所になりますから気を付けてください」
サーリさん案内された場所は、森をすこし抜けたところだ。そこに果実のような木の実がなる木が点在している。取りやすいとという印象だが、その分かなり目立つ。木の実に交じって、動物の死骸などもあることから安全とはいいがたい場所のようだ。
「今日は持ち帰りの分もありますから少し多めに取りましょう」
サーリさんの話では普段は20個ほどを取るとのことだ。それを数日おきに取るのだという。日持ちしないこともあるが、掴んで持つことが難しいかららしい。今日は木の皮を使って編んだ、籠があるのでそれに入れていく。この籠はキルドたちが作ったもので、私たちがいない間はサーリさんたちに使ってもらう。
「これに入れるんですね。なるほど、これならいくつ入れても簡単に運べますね」
「そうそう、じゃんじゃん入れてね。帰りは運ぶから」
そう言いながら私たちは木の実を入れていく。籠は2つあり一方が村のもの、もう一つが持ち帰り用だ。
「私とキルドは風の魔法で飛んでいるけど、エミリーはお留守番ね」
風の魔法で飛べないエミリーだけが、下でポツンと立っている。残念ながら木はそこそこ高く、実も上の方に成るため取りに行けないのだ。
「頑張って見張ってるから、よろしくね~」
「やれやれね、どうしたのカリン?」
カリンにも何か言ってもらおうとみると、何やら黙って真剣な目をしている。
「ティア、ちょっと待って」
「え、ええ」
「ティア~、なんか来る!」
「!、みんな一旦、下に降りて!」
エミリーの言葉を受けて私たちは一斉に地面に降りて森の方へ身を隠す。少しするとそこに1匹の影が現れた。姿からして飛竜のようだ。大きさは成体ではないが、小さいという程でもない。籠から零れ落ちて地面に落ちた実に興味があるようだ。
「どうしよう~」
「向こうはまだ気が付いていないみたいだし、やり過ごすわよ」
「そうだね。みんなもいないし様子見だね」
戦力的には勝てないわけではないだろうけど、危険なことに変わりはない。何よりサーリさんという戦闘向き出ない人もいるとあっては戦いは避けるべきだ。モソモソと飛竜は木の実を食べている。お腹が減っていたのだろうかすぐに飛び立つ様子はない。
ガサガサ。
その時、運悪く森の方から1匹のイノシシが飛び出してきた。飛竜の存在にパニックにもなったのだろう。
動き回るイノシシに視線を変えた飛竜がこちらに近づいてくる。
「はぁ~、しょうがないわね。サーリさん森の奥へと避難してください」
「は、はい」
サーリさんは飛竜を見たのは初めてなのかもしれない。顔が蒼白になっている。
「カリン、エミリー行くわよ。カリン、けん制はお願いね」
「了解!」
「キルド、一気に決めたいから下でお願いできる?」
「はいはい。魔法だけかけてくれればいいよ」
「お願いね。風よ、かの者に翼の加護を」
私はキルドに魔法を掛ける。自分には跳躍の魔法を掛けて、一気に木の上に跳び上がる。それを合図に一気にみんな動き出す。
「まずはわたしから。水よ、わが前に現れ敵を打て」
エミリーが放った魔法で飛竜はこちらに気づき、一瞬で戦闘態勢に入る。その目線の先にはエミリーではなくキルドがいる。エミリーは魔法を放ってすぐ、後ろに身を隠している。
「ギャオォォ」
飛竜が一気にキルドに襲いかかろうと翼を動かす。そして、突撃しようとした瞬間。
「一条の風よ、竜巻となりて敵を包め!」
今度はカリンの放った魔法が飛竜を襲い動きを止める。さらにそのままキルドが向かっていく。これで飛竜の目は完全に他から離れた。
「ティア、今だ!」
「ええ、風よ、大いなる風よ、剣となりてわが前の敵を討て!」
木から飛竜に向かって飛び降りた私の手にに、周囲の風が渦を巻いて集まり剣を形成する。
「はあぁぁぁぁぁ!」
ちょうど飛竜の胴体の中心に私は剣を突き立てる。
「終わりよ。破裂!」
突き立てた剣の魔力を飛竜の体へ直接流し込む。こうすることで一気に内部から破壊することができる。以前はそんな余裕もなかったが、今回はまだ余裕がある。
「クアァァ」
飛竜は小さくおたけびを上げると、そのままその場に崩れ落ちた。私たちはそれをしばらく眺めていたが、息絶えていることをキルドが確認し、一旦警戒を解く。
「もう大丈夫みたいだよ」
「ほ、本当ですか?」
サーリさんがびくびくしながら森から姿を見せる。半信半疑といったところだろう。
「サーリ大丈夫だよ~。カリンたちがやっつけたから!」
「…うごかないですね。そっちに行きます」
ぱたぱたとゆっくりこちらに向かってくるサーリさん。
「ふい~。びっくりしたね、ティア」
「そうね。まさか、こんなところで出くわすとは思ってもみなかったわ。人数そろっててよかったわね」
「ほんとほんと。代わりに僕が行くよって言わないでよかったよ」
「2人だけでも追い払うことはできたでしょ?」
「ケガはしたくないよ流石に」
「みなさん、何だか慣れてますね…」
「流石に成体倒してしまうとね。相手のふいも付けたし、そうでなきゃもっときつかったと思うわ」
「そうそう」
「エミリーさんもいつものんびりした感じなのに、やっぱり強いんですね」
「サーリさんひど~い」
とりあえず何事もなく終わったことに安堵して、私たちはお互いの無事を喜び合った。
「それにしてもこんなところまで飛竜が来るなんて。すぐにカークスや長老に知らせましょう」
「そうだね。籠はわたしが一つ持ってくよ」
「じゃあ、私がもう一つは持つわね」
「僕は?」
「キルドはエミリーをお願い。低空を一気に飛ぶわよ」
「了解。さあ、エミリー掴まって」
「うん」
エミリーに風魔法を掛けて重量を軽くする。キルドが後ろからエミリーに覆うように構え、エミリーが肩をつかむ形になる。
「じゃあ、お先に」
「ええ、それじゃあサーリさんも行きますよ」
「はい」
私たちは一気に飛び上がり、村に向けて飛んでいく。帰りに飛竜に会わないようにできるだけ低く飛ぶ。
「風が気持ちいいね~」
「これで何事もなければね」
歩くと40分ほどかかったが、飛べばものの4,5分だ。すぐに村に降り立ち、カリンは長老に私はカークスに事情を説明する。
「カークスいる?」
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「こっちには気づいていなったし、キルドやカリンもいたからね」
「不幸中の幸いだな。長老には?」
「今、カリンが説明してくれてる」
「よし!すぐに長老の家に向かおう」
キルドも私たちも置いていた武器を取り、カークスとフォルトとともに長老の家に向かった。
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