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本編
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彼女は予想以上に強かった。確かにまだまだ粗削りではあるものの、王宮警備隊の試験に応募できるぐらいには。何より初手で放ってきたあの突き。鋭く、そしてこちらが相手を図りかねているというところで放つ考え方。まるで、新人ではあるが騎士のようだ。
「…そうはいっても、決着をつけなければ」
彼女に聞こえないようにつぶやく。そして、彼女が防戦に徹するのをやめるよう攻撃を促す。
「防いでばかりではどうしようもないぞ」
こう言えば負けず嫌いなこの子なら確実に攻めてくるだろう。俺の攻撃を防ぎながら少しずつ距離を取っている。もう一度、あの突きを使うつもりのようだ。
「これでっ!」
思った通り、自分が最も自信のある突きを繰り出そうとしている。…妙だ、この踏み込みの速度では絶対に当てられない。そう思った瞬間、先に半歩踏み込み動きを抑え込む。さらに引いて2段構えにするにせよ、前に踏み込むにせよこれで決着がつく。
「今よっ!」
狙い通りとばかりに彼女は構えを崩し、一気に懐に入ろうとして先に入っていた俺にぶつかった。
「あいたたたた…きゃっ」
勢いよくぶつかりふらついている彼女をとっさに引き寄せる。
「大丈夫か?まさか、踏み込んでくるとは思わなかった」
攻撃が当たらないことも考えて、下がると思っていたのにまさか踏み込んでくるとは。さすがにおてんば姫と呼ばれているだけのことはあるということか。
「い、いえ、ありがとうございます…」
照れながら答える彼女にどうかしたんだろうかと怪訝な顔をしていると…。
「気の早い旦那様ですわね。乙女にはもう少し心を砕いてあげませんと」
カレンに言われてハッとする。いくら婚約者とはいえ会ったばかりの少女を抱きしめていた。
「これはすまない。気が付かなかった」
急いで彼女を放して謝る。
「いえ、私こそ稽古をつけていただいておきながら、この体たらくで…」
「そんなことはない。あなたの腕なら将来は王宮騎士にでもなれるよ」
そういう俺にカレンが何かジェスチャーをしている。なんだ?そんな変なほめ方をするな。別にいいではないか、実際にかなりの素養を感じる。
「本当ですか?うれしいです。では定期的にお願いしますね!!」
「ああ。それよりけがはないか?よく見せてくれ」
そういって彼女を再度抱き留めるようにして背中などを見る。けがをしていないのは分かっているが念のためだ。その裏でカレンにどうだ正解だっただろう?そんな馬鹿な!正解だと…と意味不明なやり取りをしていた。
「ふむ。けがはないようだ、よかった。今度からは稽古と言えど簡単な防具をつけてやろう。さすがに木剣と言えど、当たればけがをするからね」
「そうですね。でも多少のケガぐらい平気です」
「君は平気でもお父様たちが心配するだろう?それに私もケガはして欲しくない」
「ありがとうございます。ではそうします」
俺は顔を赤らめつつもそう返事をする彼女を好ましく思えた。そして稽古も終わりリビングへ戻ろうとしたところで不意に呼び止められた。
「そうそうガーランド様、私のことはちゃんとティアナって呼んでくださいね」
そう微笑まれてしまった。顔は笑顔だが拗ねているようにも見えたのでおとなしくそう呼ぶようにしよう。
「わかったよティアナ」
リビングに戻るとまだ昼食はできていなかった。少々かかるということだったので、先に軽く体を洗ってくるかというとティアナは嬉しそうにお風呂へ行った。
「カレン、ティアナを頼むよ」
「承知しました。お優しい旦那様」
ティアナが来る前は何かにつけて文句を言っていた彼女だったが、実際に会ってみて気に入ったようだ。珍しく、張り切った様子で駆けていった。
「邪魔するぞ~」
そんなことを考えながらくつろいでいると玄関から声が聞こえた。邸の人間以外でカギを開けて入れるのは1人しかいないので出迎える準備をする。
「ああ、カイラス。割といいタイミングだったな」
「なんだ、来客も少ない友人殿は何か用があったのか?」
「今日は朝から招集があってな、少し前まで王宮の詰め所に出向いてたんだ」
「なんだよそれ?非番だろう」
「抜き打ちの書類審査の触れまでいただいていたのに伝達ミスでな。全員で当たったんだ」
「それで警備隊は今日は人が多かったのか。つまらんミスを、これを機に王宮騎士団に来ればいい」
「面倒ごとは苦手だ。特に今の暮らしに不満もないしこのままでいい」
「もったいない限りだ。そういえば警備隊の奴らがお前のことで盛り上がっていたがどうかしたのか?」
「ああそのことなんだが…」
「ガーランド様、お風呂お先にいただきました。お昼を終えたら入られてはどうですか…」
「へえ~ほんとにいいタイミングだったのか?すぐに帰ろうか」
「いや、気にしなくてもいい」
「カ、カイラス様!いらしていたんですね。気づかずに申し訳ありません。私、レーガン子爵家長女のティアナと申します。一度、会ってみたいと思っておりました」
「そ、そう。よろしく。レーガン子爵というとあの…」
「はい。そうです!先ほどもガーランド様に稽古をつけていただいてたんです」
「お前がこんなかわいい令嬢とねえ。子爵からか?」
小声で話しかけてきたカイラスにまあなと答える。
「で、こいつの腕はどうだった?」
「はい、ほんとにすごかったです。最初は私から仕掛けたんですけど女だからといって、手を抜かずに対応していただきましたし。あっ、もちろん腕は違いますので加減はいただきましたが。簡単に捌かれて、以降は防戦一方で最後の一撃もすぐに見破られてしまって、そのあとはあんな、あんな…」
勢いよく言ったところで、彼女は急に真っ赤になってほほを両手で押さえてしまった。
「お前まさかこんな年端も行かない…」
「聞き捨てならんことをいうなよ」
「実際、どうなの。彼女強いの?」
「ああ、荒い部分もあるがおそらくきちんとした指導がなかったためだろう。基礎を学び直せばかなりの腕になるだろう」
「ガーランド様、そんなことはありません。今回は鎧もなしで身軽な私の方が有利でした。重たい鎧をつけて動ける気はありません」
「それが分かっているだけでもすごいことだよ。どうしても身軽だと打ち合いやすいけど、そんな場面なんて限られているからね」
「そういえば気になってたんですが、お二人はどうしてそんなに仲がいいのですか?」
「ああ、士官学校時代の友人だよ。最初は仲が悪かったけどね」
「そうなんですかガーランド様?」
「別に悪いということはない。突っかかってこられただけだ」
「しょうがないだろ。士官学校歴代に数えるほどって言われてた俺を負かしたお前が悪いんだ」
「やっぱりガーランド様って強いんですね」
「レーガン嬢はどう思ってるの?」
「強いとは思ってますけど、王宮警備隊勤めですので王宮騎士団の方はそれより強いのかと…」
「ないない、こいつより強いのは王宮騎士団でも第1騎士団の長と副騎士団長、それに第2騎士団団長ぐらいじゃないかな?」
「その…カイラス様は?」
「勝てるといいたいところだけど、同じぐらいかな。ほんとにもったいないよ、すぐにでも騎士団に入れるのにさ」
「でも、無理強いはよくないです。私も何度もやめろって言われましたけれど、剣術だけはあきらめませんでしたし、言われると頑となるものです」
「それはそうかもね」
「2人はえらく話が進むようだな。どこかで会ったことがあるのか?」
「いいえ、初めてです。でも以前から知っていたので、あこがれの方に会えた感じですね」
「なんだ妬いてるのか。そうだ!百聞は一見に如かずだ。飯食べたらちょっと打ち合え。それでいいだろう?」
「わかった」
なんだなんだ。ほんとに妬いてたのか?珍しいこともあるもんだとカイラスは肩をすくめながら、食事後の時間を楽しみにしていた。
「…そうはいっても、決着をつけなければ」
彼女に聞こえないようにつぶやく。そして、彼女が防戦に徹するのをやめるよう攻撃を促す。
「防いでばかりではどうしようもないぞ」
こう言えば負けず嫌いなこの子なら確実に攻めてくるだろう。俺の攻撃を防ぎながら少しずつ距離を取っている。もう一度、あの突きを使うつもりのようだ。
「これでっ!」
思った通り、自分が最も自信のある突きを繰り出そうとしている。…妙だ、この踏み込みの速度では絶対に当てられない。そう思った瞬間、先に半歩踏み込み動きを抑え込む。さらに引いて2段構えにするにせよ、前に踏み込むにせよこれで決着がつく。
「今よっ!」
狙い通りとばかりに彼女は構えを崩し、一気に懐に入ろうとして先に入っていた俺にぶつかった。
「あいたたたた…きゃっ」
勢いよくぶつかりふらついている彼女をとっさに引き寄せる。
「大丈夫か?まさか、踏み込んでくるとは思わなかった」
攻撃が当たらないことも考えて、下がると思っていたのにまさか踏み込んでくるとは。さすがにおてんば姫と呼ばれているだけのことはあるということか。
「い、いえ、ありがとうございます…」
照れながら答える彼女にどうかしたんだろうかと怪訝な顔をしていると…。
「気の早い旦那様ですわね。乙女にはもう少し心を砕いてあげませんと」
カレンに言われてハッとする。いくら婚約者とはいえ会ったばかりの少女を抱きしめていた。
「これはすまない。気が付かなかった」
急いで彼女を放して謝る。
「いえ、私こそ稽古をつけていただいておきながら、この体たらくで…」
「そんなことはない。あなたの腕なら将来は王宮騎士にでもなれるよ」
そういう俺にカレンが何かジェスチャーをしている。なんだ?そんな変なほめ方をするな。別にいいではないか、実際にかなりの素養を感じる。
「本当ですか?うれしいです。では定期的にお願いしますね!!」
「ああ。それよりけがはないか?よく見せてくれ」
そういって彼女を再度抱き留めるようにして背中などを見る。けがをしていないのは分かっているが念のためだ。その裏でカレンにどうだ正解だっただろう?そんな馬鹿な!正解だと…と意味不明なやり取りをしていた。
「ふむ。けがはないようだ、よかった。今度からは稽古と言えど簡単な防具をつけてやろう。さすがに木剣と言えど、当たればけがをするからね」
「そうですね。でも多少のケガぐらい平気です」
「君は平気でもお父様たちが心配するだろう?それに私もケガはして欲しくない」
「ありがとうございます。ではそうします」
俺は顔を赤らめつつもそう返事をする彼女を好ましく思えた。そして稽古も終わりリビングへ戻ろうとしたところで不意に呼び止められた。
「そうそうガーランド様、私のことはちゃんとティアナって呼んでくださいね」
そう微笑まれてしまった。顔は笑顔だが拗ねているようにも見えたのでおとなしくそう呼ぶようにしよう。
「わかったよティアナ」
リビングに戻るとまだ昼食はできていなかった。少々かかるということだったので、先に軽く体を洗ってくるかというとティアナは嬉しそうにお風呂へ行った。
「カレン、ティアナを頼むよ」
「承知しました。お優しい旦那様」
ティアナが来る前は何かにつけて文句を言っていた彼女だったが、実際に会ってみて気に入ったようだ。珍しく、張り切った様子で駆けていった。
「邪魔するぞ~」
そんなことを考えながらくつろいでいると玄関から声が聞こえた。邸の人間以外でカギを開けて入れるのは1人しかいないので出迎える準備をする。
「ああ、カイラス。割といいタイミングだったな」
「なんだ、来客も少ない友人殿は何か用があったのか?」
「今日は朝から招集があってな、少し前まで王宮の詰め所に出向いてたんだ」
「なんだよそれ?非番だろう」
「抜き打ちの書類審査の触れまでいただいていたのに伝達ミスでな。全員で当たったんだ」
「それで警備隊は今日は人が多かったのか。つまらんミスを、これを機に王宮騎士団に来ればいい」
「面倒ごとは苦手だ。特に今の暮らしに不満もないしこのままでいい」
「もったいない限りだ。そういえば警備隊の奴らがお前のことで盛り上がっていたがどうかしたのか?」
「ああそのことなんだが…」
「ガーランド様、お風呂お先にいただきました。お昼を終えたら入られてはどうですか…」
「へえ~ほんとにいいタイミングだったのか?すぐに帰ろうか」
「いや、気にしなくてもいい」
「カ、カイラス様!いらしていたんですね。気づかずに申し訳ありません。私、レーガン子爵家長女のティアナと申します。一度、会ってみたいと思っておりました」
「そ、そう。よろしく。レーガン子爵というとあの…」
「はい。そうです!先ほどもガーランド様に稽古をつけていただいてたんです」
「お前がこんなかわいい令嬢とねえ。子爵からか?」
小声で話しかけてきたカイラスにまあなと答える。
「で、こいつの腕はどうだった?」
「はい、ほんとにすごかったです。最初は私から仕掛けたんですけど女だからといって、手を抜かずに対応していただきましたし。あっ、もちろん腕は違いますので加減はいただきましたが。簡単に捌かれて、以降は防戦一方で最後の一撃もすぐに見破られてしまって、そのあとはあんな、あんな…」
勢いよく言ったところで、彼女は急に真っ赤になってほほを両手で押さえてしまった。
「お前まさかこんな年端も行かない…」
「聞き捨てならんことをいうなよ」
「実際、どうなの。彼女強いの?」
「ああ、荒い部分もあるがおそらくきちんとした指導がなかったためだろう。基礎を学び直せばかなりの腕になるだろう」
「ガーランド様、そんなことはありません。今回は鎧もなしで身軽な私の方が有利でした。重たい鎧をつけて動ける気はありません」
「それが分かっているだけでもすごいことだよ。どうしても身軽だと打ち合いやすいけど、そんな場面なんて限られているからね」
「そういえば気になってたんですが、お二人はどうしてそんなに仲がいいのですか?」
「ああ、士官学校時代の友人だよ。最初は仲が悪かったけどね」
「そうなんですかガーランド様?」
「別に悪いということはない。突っかかってこられただけだ」
「しょうがないだろ。士官学校歴代に数えるほどって言われてた俺を負かしたお前が悪いんだ」
「やっぱりガーランド様って強いんですね」
「レーガン嬢はどう思ってるの?」
「強いとは思ってますけど、王宮警備隊勤めですので王宮騎士団の方はそれより強いのかと…」
「ないない、こいつより強いのは王宮騎士団でも第1騎士団の長と副騎士団長、それに第2騎士団団長ぐらいじゃないかな?」
「その…カイラス様は?」
「勝てるといいたいところだけど、同じぐらいかな。ほんとにもったいないよ、すぐにでも騎士団に入れるのにさ」
「でも、無理強いはよくないです。私も何度もやめろって言われましたけれど、剣術だけはあきらめませんでしたし、言われると頑となるものです」
「それはそうかもね」
「2人はえらく話が進むようだな。どこかで会ったことがあるのか?」
「いいえ、初めてです。でも以前から知っていたので、あこがれの方に会えた感じですね」
「なんだ妬いてるのか。そうだ!百聞は一見に如かずだ。飯食べたらちょっと打ち合え。それでいいだろう?」
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