7 / 56
本編
7
しおりを挟む
むむむ、さすがはレイノル様です。かなり丁寧に話していたつもりだったのですが、無理をしていたことがばれてしまったようです。夜会の時もみんな近づかなくて、話し慣れていないのでばれたんですね。
「では、ちょっと砕けた感じにしますね。コホン」
「今日からお世話になります、ティアナ=レーガンです。趣味は剣術と編み物です。あと、お菓子も作れます」
「ああ、こちらこそよろしく」
先ほどからレイノル様とお話ししているけど、とても話しやすいです。
「旦那様、お嬢様、ご歓談中すみませんがお昼の用意をさせていただきます」
「ん、ああもうそんな時間か任せる」
レイノル様がそういうとロイさんが厨房に向かっていった。そういえばこの家では料理人がいないから、ロイさんとカレンさんが作ってるんだった。それにしてもお嬢様はやっぱりむず痒い。実家でもやめてもらえるように言ってたけど採用されなかったのだ。
「そうだカレンさん、レイノル様もどうか私のことはティアナと呼んでください。お嬢様って呼ばれるの苦手で…」
「よろしいのですか?では今後はティアナ様とお呼びします。ロイにも伝えておきます」
「そうだな。私も普段は男ばかりの職場で敬語も少ないから、助かるよティアナ」
「はっ、はい!そうですね」
ふいに名前で呼ばれてどきんとした。普通はそこはティアナでいいかい?とかそんな定型文じゃないの。落ち着け落ち着くんだ私。
「そ、そういえばレイノル様は王宮警備隊に勤めておられるんですよね。やっぱりお強いんですか?」
「どうだろうな?カイラスなんかは本気を出して王宮騎士になれと言うが、その…面倒が嫌いでな」
「王宮騎士だと何か?」
「単純な話だが、王宮内だと貴族との接触も多くて礼儀はもちろん、たまに機嫌取りまですると先輩から聞いてな。それに夜会の警護も伯爵や侯爵などからお声がけされて、会場はコツがいるぞとカイラスに言われてから程々を心掛けている」
「そうなんですか。勿体ないような気もしますが、私にもわかります。正直、あの話しながら顔色をうかがうのって苦手なんです」
「まあ、そういう訳だから苦労を掛けるかもしれない。それと…俺のことはガーランドでいいよ」
さっきから、ちょっとずつ距離が詰まっていると思ってたけど普段は俺って言ってるんだぁ。って名前で呼んでいいの!
「で、では、ガーランド様と呼びますね…」
あ、先の言葉が出てこない。こんなに早く名前で呼べるなんて…。ちがうちがう、とにかく話題を。
「一度どのくらい強いか稽古をつけてもらってもいいですか?私もちょっと腕に覚えがありますので」
って、何口走ったの!?もうちょっといい話題なかったの!これじゃあおてんば姫って言われても否定できないわ。
「ああ、そういえば剣を習っているんだったな。昼までには時間があるからちょっとだけ手合わせするか。カレン、練習用の木剣を2つ用意してくれ。普段使っているものとちょっと小ぶりなものだ」
「わかりました中庭へお持ちします」
「それじゃあ中庭に向かうとするが…その恰好では無理だな。荷物は運んであるはずだが部屋は分かるか?」
「はい、さっきカレンさんに案内してもらったので大丈夫です。すぐ着替えてきます。」
そういうと私は2階の案内された部屋へまっしぐら。部屋の中には持ってきた荷物が運び込まれていた。
「えーっと確か動きやすい服はと…」
がぱっと1つ目のトランクを開けてちょっと下の方をガサゴソ。
「あった!」
そこにはいつも使っていた麻のズボンと上着と靴が入っていた。いそいそと着替えて中庭へと向かう。
「お待たせしました」
中庭ではすでにガーランド様とカレンさんが待っていた。ちょうど剣を受け取るところみたいだけど、見た感じはすごそうには見えない。そう思いながら私もそっちに向かい剣をもらう。
「はい、どうぞティアナ様」
渡された木剣は家で使っていたのとさほど変わらず、ぶんぶんと降ってみる。うん、いい感じだ。
「じゃあ、さっそく始めましょう」
最近はいろんなことがあって、あまり鍛錬できなかったから体もうずうずしている。
「そうだな」
そういうとガーランド様は右手を出してくる。試合前の握手かな?騎士の間ではこういう礼があるんだろうか。とりあえず私も手を差し出す。ぎゅっと握ると父とも誰とも違う。手は綺麗なのにちょっとごつごつしていて不思議な感じ…。
「もういいか?」
「へっ?」
気づくとずっと握ったままだった。慌ててばっと放す。変な子って思われてないよね?
「では合図をしたら始めてください、…始めっ!」
カレンさんの合図で試合開始だ。それにしてもかなり慣れてるみたいだったな、もしかして普段からカイラス様とここで手合わせしているんだろうか?
「どうした?来ないのか?」
「では、お言葉に甘えて」
さすがにガーランド様も私がどれくらいの実力かわからないだろう。隙をついて一気に畳みかけよう。さすがに王宮勤めの騎士に勝てるほど驕ってはいない。剣をやや下に構えて不意の必殺の突きだ。
「やぁぁぁぁ!」
カンッ
繰り出した突きは簡単に弾かれてしまった。というかその前にスキがない。剣術の授業でトップの子でも王宮警備隊はそこまで強くないって言ってたんだけど、この構えでは手も足も出ない。とはいえ打ち込まなければ負ける。
「はっ、せいっ!」
何度か打ち合うも簡単にいなされてしまう。
「では今度はこちらから行くぞ!」
「はい!」
キィン
なになにっ!?はやっ!おもっ!いやいやこんなに強いなんて聞いてない。これじゃあ王宮騎士ってどんだけ化け物なの。
「防いでばかりではどうしようもないぞ」
「そうは言われてもですね…」
この剣の前には攻撃に転じるのも難しい。とはいえ私もおてんば姫と言われるぐらいにはこれまでやってきたわけだし、イチかバチかやってみますか。必殺の突きと見せかけて一気に懐に入って一撃入れて見せる!
「では、ちょっと砕けた感じにしますね。コホン」
「今日からお世話になります、ティアナ=レーガンです。趣味は剣術と編み物です。あと、お菓子も作れます」
「ああ、こちらこそよろしく」
先ほどからレイノル様とお話ししているけど、とても話しやすいです。
「旦那様、お嬢様、ご歓談中すみませんがお昼の用意をさせていただきます」
「ん、ああもうそんな時間か任せる」
レイノル様がそういうとロイさんが厨房に向かっていった。そういえばこの家では料理人がいないから、ロイさんとカレンさんが作ってるんだった。それにしてもお嬢様はやっぱりむず痒い。実家でもやめてもらえるように言ってたけど採用されなかったのだ。
「そうだカレンさん、レイノル様もどうか私のことはティアナと呼んでください。お嬢様って呼ばれるの苦手で…」
「よろしいのですか?では今後はティアナ様とお呼びします。ロイにも伝えておきます」
「そうだな。私も普段は男ばかりの職場で敬語も少ないから、助かるよティアナ」
「はっ、はい!そうですね」
ふいに名前で呼ばれてどきんとした。普通はそこはティアナでいいかい?とかそんな定型文じゃないの。落ち着け落ち着くんだ私。
「そ、そういえばレイノル様は王宮警備隊に勤めておられるんですよね。やっぱりお強いんですか?」
「どうだろうな?カイラスなんかは本気を出して王宮騎士になれと言うが、その…面倒が嫌いでな」
「王宮騎士だと何か?」
「単純な話だが、王宮内だと貴族との接触も多くて礼儀はもちろん、たまに機嫌取りまですると先輩から聞いてな。それに夜会の警護も伯爵や侯爵などからお声がけされて、会場はコツがいるぞとカイラスに言われてから程々を心掛けている」
「そうなんですか。勿体ないような気もしますが、私にもわかります。正直、あの話しながら顔色をうかがうのって苦手なんです」
「まあ、そういう訳だから苦労を掛けるかもしれない。それと…俺のことはガーランドでいいよ」
さっきから、ちょっとずつ距離が詰まっていると思ってたけど普段は俺って言ってるんだぁ。って名前で呼んでいいの!
「で、では、ガーランド様と呼びますね…」
あ、先の言葉が出てこない。こんなに早く名前で呼べるなんて…。ちがうちがう、とにかく話題を。
「一度どのくらい強いか稽古をつけてもらってもいいですか?私もちょっと腕に覚えがありますので」
って、何口走ったの!?もうちょっといい話題なかったの!これじゃあおてんば姫って言われても否定できないわ。
「ああ、そういえば剣を習っているんだったな。昼までには時間があるからちょっとだけ手合わせするか。カレン、練習用の木剣を2つ用意してくれ。普段使っているものとちょっと小ぶりなものだ」
「わかりました中庭へお持ちします」
「それじゃあ中庭に向かうとするが…その恰好では無理だな。荷物は運んであるはずだが部屋は分かるか?」
「はい、さっきカレンさんに案内してもらったので大丈夫です。すぐ着替えてきます。」
そういうと私は2階の案内された部屋へまっしぐら。部屋の中には持ってきた荷物が運び込まれていた。
「えーっと確か動きやすい服はと…」
がぱっと1つ目のトランクを開けてちょっと下の方をガサゴソ。
「あった!」
そこにはいつも使っていた麻のズボンと上着と靴が入っていた。いそいそと着替えて中庭へと向かう。
「お待たせしました」
中庭ではすでにガーランド様とカレンさんが待っていた。ちょうど剣を受け取るところみたいだけど、見た感じはすごそうには見えない。そう思いながら私もそっちに向かい剣をもらう。
「はい、どうぞティアナ様」
渡された木剣は家で使っていたのとさほど変わらず、ぶんぶんと降ってみる。うん、いい感じだ。
「じゃあ、さっそく始めましょう」
最近はいろんなことがあって、あまり鍛錬できなかったから体もうずうずしている。
「そうだな」
そういうとガーランド様は右手を出してくる。試合前の握手かな?騎士の間ではこういう礼があるんだろうか。とりあえず私も手を差し出す。ぎゅっと握ると父とも誰とも違う。手は綺麗なのにちょっとごつごつしていて不思議な感じ…。
「もういいか?」
「へっ?」
気づくとずっと握ったままだった。慌ててばっと放す。変な子って思われてないよね?
「では合図をしたら始めてください、…始めっ!」
カレンさんの合図で試合開始だ。それにしてもかなり慣れてるみたいだったな、もしかして普段からカイラス様とここで手合わせしているんだろうか?
「どうした?来ないのか?」
「では、お言葉に甘えて」
さすがにガーランド様も私がどれくらいの実力かわからないだろう。隙をついて一気に畳みかけよう。さすがに王宮勤めの騎士に勝てるほど驕ってはいない。剣をやや下に構えて不意の必殺の突きだ。
「やぁぁぁぁ!」
カンッ
繰り出した突きは簡単に弾かれてしまった。というかその前にスキがない。剣術の授業でトップの子でも王宮警備隊はそこまで強くないって言ってたんだけど、この構えでは手も足も出ない。とはいえ打ち込まなければ負ける。
「はっ、せいっ!」
何度か打ち合うも簡単にいなされてしまう。
「では今度はこちらから行くぞ!」
「はい!」
キィン
なになにっ!?はやっ!おもっ!いやいやこんなに強いなんて聞いてない。これじゃあ王宮騎士ってどんだけ化け物なの。
「防いでばかりではどうしようもないぞ」
「そうは言われてもですね…」
この剣の前には攻撃に転じるのも難しい。とはいえ私もおてんば姫と言われるぐらいにはこれまでやってきたわけだし、イチかバチかやってみますか。必殺の突きと見せかけて一気に懐に入って一撃入れて見せる!
0
あなたにおすすめの小説
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
一途な皇帝は心を閉ざした令嬢を望む
浅海 景
恋愛
幼い頃からの婚約者であった王太子より婚約解消を告げられたシャーロット。傷心の最中に心無い言葉を聞き、信じていたものが全て偽りだったと思い込み、絶望のあまり心を閉ざしてしまう。そんな中、帝国から皇帝との縁談がもたらされ、侯爵令嬢としての責任を果たすべく承諾する。
「もう誰も信じない。私はただ責務を果たすだけ」
一方、皇帝はシャーロットを愛していると告げると、言葉通りに溺愛してきてシャーロットの心を揺らす。
傷つくことに怯えて心を閉ざす令嬢と一途に想い続ける青年皇帝の物語
《完》義弟と継母をいじめ倒したら溺愛ルートに入りました。何故に?
桐生桜月姫
恋愛
公爵令嬢たるクラウディア・ローズバードは自分の前に現れた天敵たる天才な義弟と継母を追い出すために、たくさんのクラウディアの思う最高のいじめを仕掛ける。
だが、義弟は地味にずれているクラウディアの意地悪を糧にしてどんどん賢くなり、継母は陰ながら?クラウディアをものすっごく微笑ましく眺めて溺愛してしまう。
「もう!どうしてなのよ!!」
クラウディアが気がつく頃には外堀が全て埋め尽くされ、大変なことに!?
天然混じりの大人びている?少女と、冷たい天才義弟、そして変わり者な継母の家族の行方はいかに!?
女王は若き美貌の夫に離婚を申し出る
小西あまね
恋愛
「喜べ!やっと離婚できそうだぞ!」「……は?」
政略結婚して9年目、32歳の女王陛下は22歳の王配陛下に笑顔で告げた。
9年前の約束を叶えるために……。
豪胆果断だがどこか天然な女王と、彼女を敬愛してやまない美貌の若き王配のすれ違い離婚騒動。
「月と雪と温泉と ~幼馴染みの天然王子と最強魔術師~」の王子の姉の話ですが、独立した話で、作風も違います。
本作は小説家になろうにも投稿しています。
離婚寸前で人生をやり直したら、冷徹だったはずの夫が私を溺愛し始めています
腐ったバナナ
恋愛
侯爵夫人セシルは、冷徹な夫アークライトとの愛のない契約結婚に疲れ果て、離婚を決意した矢先に孤独な死を迎えた。
「もしやり直せるなら、二度と愛のない人生は選ばない」
そう願って目覚めると、そこは結婚直前の18歳の自分だった!
今世こそ平穏な人生を歩もうとするセシルだったが、なぜか夫の「感情の色」が見えるようになった。
冷徹だと思っていた夫の無表情の下に、深い孤独と不器用で一途な愛が隠されていたことを知る。
彼の愛をすべて誤解していたと気づいたセシルは、今度こそ彼の愛を掴むと決意。積極的に寄り添い、感情をぶつけると――
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
公爵家の隠し子だと判明した私は、いびられる所か溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
実は、公爵家の隠し子だったルネリア・ラーデインは困惑していた。
なぜなら、ラーデイン公爵家の人々から溺愛されているからである。
普通に考えて、妾の子は疎まれる存在であるはずだ。それなのに、公爵家の人々は、ルネリアを受け入れて愛してくれている。
それに、彼女は疑問符を浮かべるしかなかった。一体、どうして彼らは自分を溺愛しているのか。もしかして、何か裏があるのではないだろうか。
そう思ったルネリアは、ラーデイン公爵家の人々のことを調べることにした。そこで、彼女は衝撃の真実を知ることになる。
ゲームには参加しません! ―悪役を回避して無事逃れたと思ったのに―
冬野月子
恋愛
侯爵令嬢クリスティナは、ここが前世で遊んだ学園ゲームの世界だと気づいた。そして自分がヒロインのライバルで悪役となる立場だと。
のんびり暮らしたいクリスティナはゲームとは関わらないことに決めた。設定通りに王太子の婚約者にはなってしまったけれど、ゲームを回避して婚約も解消。平穏な生活を手に入れたと思っていた。
けれど何故か義弟から求婚され、元婚約者もアプローチしてきて、さらに……。
※小説家になろう・カクヨムにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる