自由の宿エルファリア 栄光を求めて

乾為天女

文字の大きさ
15 / 146
【第三話:魔物討伐と仲間の力】

シーン5:次なる脅威の予感

しおりを挟む
 魔狼討伐の成功を祝うため、村人たちはささやかな宴を開いていた。開拓地の中央広場には大きな焚き火が焚かれ、焼き上がった肉の香ばしい匂いが漂っている。村人たちは、命を救ってくれた冒険者たちに感謝し、笑顔と拍手で迎えた。
「本当にありがとうございました! あなたたちが来なければ、村は全滅していたかもしれない……」と村の代表が頭を下げる。
 銀次が「いやいや、俺たちはただの冒険者さ。守りたいって気持ちは村人も同じだろ?」と笑って返し、村人たちも照れくさそうに頷く。
 朗雄は腕に巻かれた包帯を押さえながら、「ったく、少し気を抜いたらこれだ。俺もまだまだってことか」と苦笑いする。
 基一がそれを見て「お前が無茶しすぎなんだよ」と呆れた声を出すが、その顔には安堵が浮かんでいる。
 将臣は焚き火のそばでぼんやりと火を見つめていた。自分が放った火炎魔法が決め手になったことは分かっているが、その成功が未だ信じられない様子だ。
「将臣、すごかったな!」と岡村が無邪気に声をかけると、将臣は少し驚いたように顔を上げた。
「俺、今までずっと失敗ばっかりで……でも、今回はうまくいったんだな」と呟くと、孝征が肩を叩きながら「そりゃあお前、あの時の気合が半端なかったもんな!」と笑う。
「でもさ、俺はこんなもんじゃないんだ。もっと強くなって、みんなに認めさせたいんだよ」と将臣が言うと、裕翔が静かに微笑む。
「成功体験ってのは大事だ。これで少し自信がついたんじゃないか?」
「……うん、そうかもな」と将臣が頷き、少しだけ笑顔を見せた。
 岡村はその姿を見て、自分も成長しなきゃと強く思った。戦闘ではまだまだ役に立たない自分。でも、今回の経験で「仲間を支える」ことの大切さを知った。
「俺ももっと頑張らないと……」と呟くと、銀次が「お前は十分やってるさ。あの時、村人たちを安心させたのはお前だろ?」と励ます。
「そ、そうかな?」と照れながら笑う岡村。そのやりとりを見て、村の子供たちが「お兄ちゃん、また遊んでよ!」と駆け寄ってきた。
「おう、いいぞ!」と岡村が笑顔を返し、子供たちを抱きかかえる。その光景に村人たちも微笑んでいた。
 だが、朗雄は腕の傷を押さえながら「まだ安心できねぇ。あの洞窟の奥にはもっとヤバいのがいるはずだ」と呟いた。
 裕翔も同意し、「巨大魔狼が異常に凶暴化していたのは、何かの影響だろう。あれだけの力を持つ魔物が群れを率いる理由が解明されない限り、村の安全は確保できない」と冷静に指摘する。
「次は洞窟の奥か……」と基一が真剣な顔でつぶやき、矢野が「でも、少し休まないと体がもたないぜ」と苦笑いする。
 岡村は焚き火を見つめながら、「この村を完全に安全にするためには、奥に進むしかないんだな」と自分に言い聞かせるように呟いた。
 その時、村の端に立っていた見張りの男が慌てた様子で駆け込んできた。「おい、みんな! 洞窟の方角からまた不気味な音が聞こえてきたぞ!」
 全員が緊張感を取り戻し、裕翔がすぐに指示を出す。「俺たちで確認に行く。村の人は警戒を続けてくれ。」
 朗雄が立ち上がり、「休む間もねぇか……まあ、いい。行くぞ!」と声を張り上げた。
 将臣は魔力を回復させるために深呼吸をし、孝征は「罠探知、ちゃんと機能してくれよな」と自分を鼓舞する。
 岡村もその場を見渡し、「俺たちで解決しなきゃ」と覚悟を決めた。
 銀次が「全員で行くと村の防衛が手薄になる。ここは俺と基一、矢野で村を守る。残りは偵察に行け」と提案し、全員が頷く。
「無理するなよ」と基一が声をかけ、岡村は「うん、気をつけて!」と返事をした。
「さあ、洞窟へ向かうぞ!」と裕翔が先頭を切り、朗雄、将臣、孝征、岡村が続く。
 不安が胸をよぎるが、仲間と共にいる限り、どんな危険も乗り越えられる。そう信じて、岡村は一歩一歩踏み出した。
 洞窟の奥には、さらなる脅威が待ち受けているかもしれない。それでも、彼らはもう立ち止まらない。仲間の力を信じ、勇気を持って闇の中へと進んでいった。
 朝日が昇りかけた空が、少しだけ彼らの背中を押しているように感じた。シーン5[終
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

処理中です...