自由の宿エルファリア 栄光を求めて

乾為天女

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【第七話:勝利の代償──洞窟脱出と揺らぐ日常】

シーン2:疲労との戦いと協力の絆

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 洞窟の外へ戻る道のりは長く険しい。怪我や疲労で動きが鈍り、瘴気こそ消えつつあるものの、至るところに小型モンスターや落石の可能性が潜んでいる。体力が限界に近づき、歩くたびに足が重く感じる。
「もう少し……もう少しで出口だ……」と岡村がつぶやき、仲間たちも黙々と歩き続ける。朗雄が強がるが、身体は正直に悲鳴を上げている。右腕を庇いながら歩くその姿に、銀次が「無理するな。ここで根を上げるのは恥じゃないぞ」と励ましつつ、怪我の具合を確かめる。
「ちっ……俺がヘタってどうするんだよ」と朗雄が悔しげに唇を噛むと、裕翔が「その強がりが命取りだ。安全に帰るのが最優先だろ」とたしなめた。基一が白墨の目印をたどり、確実に来た道を戻る方針を提案。裕翔と孝征は周囲の安全確認を行いながら、こまめに休憩を挟むよう指示する。
 岡村は疲れで足がもつれそうになるが、矢野に肩を貸してもらいながら「こういうときこそ助け合いだな」と苦笑いする。互いを支え合わなければ、全員で無事に帰還することは難しい。孝征が持っている薬草を少しずつ分け合い、怪我の痛みを和らげる。
「さっきの魔物、本当にやばかったよな」と矢野がぽつりと呟く。将臣が頷きながら「俺、あんなに強い化け物、初めてだった……。もし次があったら、ちゃんと対応できるか不安だ」と本音を漏らす。
 すると、銀次が「そういう不安があるうちはまだいいさ。油断した時が一番危ない。お前は慎重すぎるくらいでちょうどいいんだよ」と優しく言った。
「確かに、少し前の俺なら焦って突っ込んでたかもしれない。今回は仲間がいたから、冷静になれたんだ」と将臣は少し微笑んで呟いた。その言葉に岡村も頷き、「仲間がいるって強いよな」としみじみと感じた。
 疲れ切った身体を引きずりながらも、一見パッとしない寄せ集めチームだった彼らだが、今は不思議と連帯感が生まれている。誰かが倒れれば、すかさず周囲が手を差し伸べる。焦りから衝突した過去の自分たちに比べれば、明らかに成長している姿がそこにはあった。
 将臣がふと思い出し、「あの金属片、やっぱり持って帰った方がいいよな」とポケットを確認する。孝征が「そうだな、証拠になるし、あの化け物が何だったのか調べる手がかりだ」と頷く。
「それにしても、あんな融合術がまだ残ってたなんてな」と裕翔が険しい顔をする。基一が「昔の魔術師たちが禁じた技術を悪用した可能性がある。これが最後ならいいが、同じような事件が他でも起きているかもしれない」と分析する。
 将臣は肩をすくめ、「もうこんなのは懲り懲りだよ。だけど、こうしてみんなで生きて帰れるなら、それだけで十分だ」と呟く。銀次が「お前も少し成長したじゃねえか。最初の頃は空回りばかりだったのにな」とからかうと、将臣は「そういう銀次だって、無茶ばかりしてたじゃないか」と笑って返す。
 そうやって少しずつ進むうちに、洞窟の入り口近くに差し込む外の光が見え始める。「よし、もう少しで出口だ……!」将臣が声を弾ませ、孝征も「これでようやくまともな空気が吸える!」とほっとする。
 朗雄が「ったく、命がけの仕事だぜ。だが……悪くはねぇ」と不敵に笑い、矢野も「帰ったら、温かい飯が待ってるぞ」と仲間たちを励ました。
 洞窟の出口に近づくにつれて、冷たい風が顔に当たり、湿っぽかった空気が一気に清々しく感じられる。銀次が「やっぱり外は最高だな」と深呼吸をし、基一も「これでようやく一息つける」と安堵の表情を浮かべた。
「全員、生きて帰れた……本当に良かった」と岡村が微笑み、仲間たちもそれぞれに笑みを浮かべた。その中で、将臣はそっと手のひらを握りしめ、「次こそ、もっと自分を信じて戦えるようになりたい」と強く決意を抱いた。
 最後の一歩を踏み出し、洞窟の外に出ると、夕日が地平線に沈みかけている。オレンジ色の光が草原を染め上げ、全員の影を長く伸ばしている。
「帰ろう、エルフリアに。俺たちの宿に」と将臣が力強く言い、全員が「おう!」と声を合わせた。疲労は限界だが、帰れる場所があるという希望が、足取りを少しだけ軽くしていた。シーン2[終]
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