自由の宿エルファリア 栄光を求めて

乾為天女

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【第七話:勝利の代償──洞窟脱出と揺らぐ日常】

シーン5:新たな一歩と不穏な影

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 辺境開拓地の危機は一応の解決を迎えた。夜にはささやかな宴が開かれ、岡村たちも村人たちに囲まれて酒や料理を振るまわれる。焚き火を囲む輪の中で、朗雄は豪快に肉を食べ、銀次は村人たちの質問に答えながら武勇談を披露している。孝征が「もっと盛り上がろうぜ!」と声を上げると、子どもたちが歓声を上げて駆け回る。
 将臣は焚き火のそばに腰を下ろし、湯気の立つスープをすすっていた。冷えた身体がじんわりと温まり、心の緊張も少しずつ解けていく。裕翔が隣に腰を下ろし、「今回の戦い、本当に危なかったな」と低く呟く。
「ああ……でも、何とかやり遂げたんだよな」と将臣が返すと、裕翔は「お前、少し自信がついたみたいだな」と微笑む。
「うん。正直、まだ怖いって気持ちは残ってる。でも、仲間がいるからこそできたんだって、少しだけ信じられるようになった」と将臣が言うと、裕翔は静かに頷いた。
 ふと、孝征が焚き火の隣に座り込み、「そういや、あの古代文字の金属片、持ってるよな?」と将臣に尋ねる。将臣はポケットから金属片を取り出し、「これがあの化け物の核に近い場所で見つけたやつだ」と見せた。
 基一がそれを手に取り、炎の明かりで文字を慎重に読み取る。「やっぱりこれは、古代の呪文の一部だ。融合術の核を起動させるための触媒みたいだな」と分析する。
 裕翔が「触媒ってことは、あの化け物を呼び起こすために使われた道具か?」と問いかけると、基一は「多分、何者かが意図的に使ったんだろう。自然に発生したとは考えにくい」と答えた。
「つまり……誰かがあの化け物を造り出したってことか?」と岡村が驚愕の表情を浮かべると、銀次が「最悪、また似たような化け物が現れる可能性もあるってことだ」と険しい顔をする。
 孝征が「開拓地のじいさんが言ってた“魂を歪める儀式”ってのが引っかかるよな」とつぶやき、裕翔は「そうだな。今回の化け物も、人や獣を融合させたような形だった。何かしらの禁術かもしれない」と首を振る。
 基一が「僕の知り合いに、古代語や呪術の研究をしている学者がいる。少し距離はあるが、訪ねてみる価値はあるかもしれない」と提案すると、銀次が「エルフリアを拠点に動くなら、専門家のもとへみんなで行くか? それとも分担して調査したほうがいいのかな」と意見を求める。
「よくわかんないけど、俺は行くならついてくよ。せっかく見つけた手がかりだし、変な儀式がまだどこかで続いてたら困るし」と岡村が前向きにやる気を見せる。
「でも、無闇に突っ込むのは危険だ。もっと情報を集めてから行動しよう」と裕翔が慎重に進言すると、銀次も「そうだな。俺たち、今回は運が良かったが、次はどうなるかわからん」と同意する。
 その時、エリナが近づいてきて「どうやら、まだ問題が残っているみたいね」と話に加わる。将臣が「エリナ……実は、洞窟の奥でこんなものを見つけて」と金属片を見せた。
 エリナはしばらくそれを眺めてから、「私が知っている限り、この紋様は古代の秘術に関わるものね。魔力を集約して暴走させるための装置に使われることが多いと聞いたことがある」と言う。
「やっぱり、あの化け物は自然発生じゃない……誰かが意図して作り出したってことか」と将臣が唇を噛む。ロイドも「厄介だな。もし意図的に作られてるなら、作った奴がまだどこかにいるはずだ」と危機感を募らせた。
「とにかく、まずは村で情報を集めてから、次の行動を決めよう」と基一が提案し、全員が頷いた。
 その夜、宴の喧騒が続く中、将臣は一人で焚き火を見つめていた。エリナがそっと隣に座り、「考えすぎじゃない?」と微笑む。
「いや……なんだか、まだ気が抜けないっていうか、またあんなことが起きたらって思うと……」と将臣が弱音を吐くと、エリナは静かに「怖がるのは当然。でも、あなたはちゃんと強くなった。それを忘れないで」と優しく言う。
「ありがとう。俺、これからも強くなるよ。仲間と一緒に」と将臣が決意を語ると、エリナは「うん、それがあなたらしい」と微笑んだ。
 夜空には満天の星が広がり、焚き火の明かりが村を温かく包んでいる。新たな不安を抱えながらも、岡村たちは少しずつ成長し、前に進む力を手に入れていた。
 朝になれば、エルフリアに帰る旅路が始まる。仲間と共に笑い合える日常が待っている。その背中には、新たな試練を乗り越えた誇りと、次に向けた希望が確かに宿っていた。シーン5[終]
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