自由の宿エルファリア 栄光を求めて

乾為天女

文字の大きさ
64 / 146
【第十三話:影を纏う者──封印を巡る陰謀】

シーン3:疑惑の研究員と密会

しおりを挟む
 夜が更け、キャンプ地には冷たい風が吹き抜けていた。警戒体制を強化しているとはいえ、長引く見張りにメンバーたちは疲労を隠せない。岡村たちはそれでも気を抜かずに警備を続けていた。
 その時、エリナが「見回りに行ってきます」と言って、一人で森の方へと歩き出した。将臣が「一人で大丈夫か?」と心配すると、エリナは「気になることがあって」とだけ答え、夜の闇へと消えていく。
 エリナの背中を見送りながら、ロイドが「怪しい動きがあると踏んだのか?」とつぶやき、銀次が「昨日の不審者のことを追ってるんじゃねえか」と推測する。
 将臣が「俺も行ってみる」と立ち上がると、ロイドが「俺もついていく」と言って同行することになった。二人は距離を保ちつつ、エリナの後を追って森の中へと進んだ。
 月明かりが木々の間から差し込み、不規則に揺れる影が怪しく蠢く。エリナの足取りは迷いがなく、まるで何かを確信しているように見えた。やがて、エリナは物陰に身を潜め、じっと前方を見つめている。
 将臣が息を潜めて近づき、「どうした?」と耳打ちすると、エリナが「見て」と顎で指し示した。そこには、キャンプ地から抜け出して森の奥へ向かう一人の研究員がいた。
「やっぱり……昨夜もこの人だった」とエリナが低くつぶやき、ロイドが「確定だな」と短く応じる。三人は気づかれないように、距離を保ちながら研究員の跡を追った。
 やがて、森の奥で研究員が足を止めた。隠れた茂みから様子を窺うと、暗がりからもう一人の人物が現れる。ローブをまとい、顔を隠しているが、低く響く声が聞こえた。
「進捗を報告しろ。遺跡の封印はいつ解ける?」
  「思ったより厳重で、博士も慎重になっている。でも、資料を取り寄せようとしているから、いずれ封印は破られるはずだ」研究員が声を潜めて答えた。
 ロイドが「やっぱり、内部で繋がってやがったか」と歯ぎしりし、将臣が「どうする、突き止めるか?」とエリナに尋ねる。
 エリナが冷静に「まだだ。確実な証拠がいる。無闇に捕まえても誤解で終わるかもしれない」と制止する。三人はさらに身を潜め、会話の続きを盗み聞いた。
 ローブの人物が「次の襲撃はいつにする?」と問いかけると、研究員は「今は警戒が厳しくて無理だ。少し時間をかけて、内部の監視が緩んだ頃を狙う」と応じた。
「封印が解ければ、術式が使える。そうすれば、この地は我々の支配下に置ける」とローブの男が不気味に笑う。将臣が「支配下って、何を企んでるんだ?」と不安を漏らし、エリナが「まだ情報が足りない。慎重に動こう」と目配せした。
 その時、研究員が「そっちも準備を頼む。情報は逐一伝える」と言い、二人の密会が終わろうとしていた。ローブの男は森の奥へと消え、研究員は一息ついた後、キャンプ地へと戻っていく。
「どうする? 追跡するか?」と将臣が焦った声を出すが、エリナが「今は無理よ。下手に動けばこっちが疑われる」と冷静に判断する。ロイドも「一度戻って、岡村たちに報告しよう」と賛成した。
 三人は慎重に足音を忍ばせながらキャンプ地へと戻った。エリナが「これで確信できた。やっぱり内部に敵がいる」と力を込めて言うと、将臣も「でも、あのローブの男は一体誰なんだ?」と疑問を抱いた。
 ロイドが「闇ブローカーの手下か、それとも盗掘団のリーダーか……どっちにしても、一筋縄じゃいかねぇ」と歯噛みする。
 エリナが「博士に報告するべきか迷うけど、今の段階ではまだ証拠が弱い」と言うと、将臣が「でも、あの研究員が裏切り者なのは確実だろ? 博士を守るためにも、何とかしないと」と焦りを見せる。
「まずは、岡村たちと作戦を立てよう。下手に暴いても混乱するだけだ」とロイドが冷静に言い、エリナも「そうね。慎重に動きましょう」と同意する。
 キャンプ地に戻ると、岡村が「どうだった?」と声をかけてくる。エリナが「内部に間違いなく裏切り者がいる。でも、まだ決定的な証拠はつかめていない」と報告すると、岡村は深刻な表情で「やっぱりか」とつぶやいた。
「少しずつ監視を強化して、奴の動きを探ろう。いきなり問い詰めると警戒される」と銀次が提案し、基一も「まずは行動を記録して証拠を固めましょう」と慎重に言った。
 将臣が「内部からの情報漏れが続くと、次の襲撃はもっと大規模になるかもしれない」と心配すると、ロイドが「なら、俺たちが先に動くしかねぇな」と力を込めた。
 岡村が「絶対に守り抜こう。この遺跡を、そして博士を」と強く言い切り、仲間たちは決意を新たにした。
 夜空には雲がかかり、月明かりが一瞬隠れた。冷たい風が吹きすさぶ中、仲間たちは再び警戒の態勢を整え、次の動きに備えた。シーン3[終]
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

処理中です...