自由の宿エルファリア 栄光を求めて

乾為天女

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【第二十五話:葛藤と打ち明け話──仲間の本音が交差する夜】

シーン3:将臣と朗雄──それぞれの“夢”

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 エルフリアの屋根裏部屋には、将臣と朗雄が並んで腰を下ろしていた。外から聞こえる風の音が、少し肌寒さを感じさせる。将臣が両腕を組みながら、ぼんやりと天井を見つめていると、朗雄が「どうした? 今日は妙に静かじゃねえか」と声をかけた。
「ん? いや、ちょっと考え事してた」と将臣が答えると、朗雄が「お前が考え事なんて珍しいな」と笑う。将臣はむっとして「たまには俺だって考えるさ」と言い返すが、その声には少し元気がなかった。
「将臣、お前さ、本当は領主の専属になりたくないんだろ?」と朗雄が核心を突くと、将臣が「…バレてるか」と苦笑した。
「そりゃあな。お前が枠に収まるような奴じゃねえって、みんな分かってるさ」と朗雄が笑って肩を叩いた。
 将臣は少し沈黙してから、ぽつりと言った。「俺さ、もっと強くなりたいんだよ。あの遺跡で力を出し切っても、まだ足りなかった。もっともっと、魔法の奥深さを知りたいし、自分の限界を越えたい」
「それで、領主の下にいると、その夢が狭まる気がしてるんだな」と朗雄が察し、将臣が「そうなんだ。確かに守られてりゃ楽かもしれねぇけど、俺は自分の力を自分の意志で使いたい」と素直に話した。
 朗雄は将臣の言葉を聞きながら、自分の腕をさすりつつ「俺もな、正直悩んでるんだ。この腕が完全に治るかどうか分からねぇ。でも、だからってじっとしてるのは俺の性に合わない」と少しうつむいた。
「腕が痛むのか?」と将臣が尋ねると、朗雄が「まぁな。でも、動かさねぇと余計に固まっちまうから、戦いながら治すしかない」とあっけらかんと言った。
「お前も無茶な奴だよな」と将臣が呆れつつも、その覚悟に感心したように笑った。
「将臣、お前といると俺も負けてられねぇって思うんだよ。お前のそのバカみたいな一直線さが羨ましい」と朗雄が正直な気持ちを漏らすと、将臣が「バカってなんだよ!」と反論しつつも、どこか嬉しそうだった。
「でもさ、領主の専属になったら、たぶん俺たちのペースで動けねぇよな。決まった場所で、決まった任務に従って動く…そんな生き方、俺たちには似合わねぇ」と朗雄が本音を打ち明ける。
 将臣が「俺もそう思う。冒険者ってのは、自由であるからこそ楽しいんだよな」と力強く頷いた。
「それに、俺たちはチームでやってきたんだ。領主の下で働くってことは、俺たちのペースが崩れるってことでもある。それが一番怖ぇんだ」と朗雄が言うと、将臣が「そうだな。仲間とワイワイやってこその冒険だしな」と同意する。
「じゃあ、やっぱり専属は断る方向でいいんじゃねぇか?」と朗雄が確認すると、将臣が「おう! 俺は自分の力を、仲間と一緒にもっと磨きたいんだ」と力強く宣言した。
 その瞬間、下から岡村の声が響いた。「おーい、何やってんだお前ら! 早く降りてこいよ!」と呼ばれ、将臣が「おう、今行く!」と応えた。
 朗雄が「どうやら決まったな」と笑って立ち上がり、将臣も「ったく、悩んで損したぜ」と軽口を叩いた。
 二人が階段を降りると、食堂では岡村とエリナ、ロイドが次の行動について話し合っていた。将臣が「俺たちは自由を取るぜ」と宣言し、朗雄が「専属にはならねぇって決めた」と笑顔で言った。
 岡村が「それでいいんだよ。俺たちは俺たちのやり方で行こう」と頼もしげに微笑む。エリナも「みんなが同じ考えなら安心ね」と頷き、ロイドが「よし、これで気持ちが固まったな」と確信を持って言った。
 夜のエルフリアは相変わらず静かで、月明かりが食堂の窓から差し込んでいた。将臣が「じゃあ、明日は早いし、今日はさっさと寝るか」と声を上げると、全員が納得して席を立った。
 階段を上がりながら、朗雄が「やっぱり、俺たちは冒険者であり続けるべきだな」と呟き、将臣が「当然だ。誰かに使われて動くなんてごめんだぜ」と笑った。
 その笑顔には、仲間と共に自由な冒険を続けたいという強い意志が込められていた。二人の背中には、迷いを振り切った決意が漂っている。これからどんな困難が待ち受けていようとも、彼らは仲間と共に立ち向かうことを選んだのだ。シーン3[終]
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