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第六章「図書室の、開かずの棚」
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――それは、ふとした違和感だった。
「この棚、開かなくない?」
放課後の図書室、いつもの調査チームが集まっていた。各々が謎めいた資料や、校内に残る古い記録を調べている中、菜緒が指さしたのは、図書室のいちばん奥、窓際の壁際に立つ、やたらと古びた木製の棚だった。
「お、そこって“開かずの棚”って呼ばれてるとこじゃね?」
「そんなオカルトな名前、勝手に呼ばれてないでしょ」
「いや俺が今、呼んだ」
「命名者お前かよ!!」
「でもさ、見てみ?このホコリのたまり方、尋常じゃねえ。なんか“物語の鍵”って雰囲気ムンムンだぞ?」
「だいたい、ホコリの量で物語の展開判断しないでくれる?」
「でも実際、ホコリまみれのところには大体“禁書”が眠ってるって、少年漫画で学んだ!」
「だいたいそれ、読んだやつが呪われるやつだから!」
わいわいと騒ぎながらも、全員の目はすでに「開かずの棚」に釘付けだった。
確かに、他の棚と違って一度も整理された形跡がなく、ガラス戸も曇っていて中が見えない。取っ手を引いてみても、ガッチリ固まっていて開かない。
「鍵……かかってんのかな?」
「いや、鍵穴ないよ?これ、見た感じ“押して開けるタイプ”だと思う」
「じゃあ……」
哲哉がぐっと力を入れて押してみた。
「……う、うごかねぇ……!」
「力入れすぎて顔やばいことになってる!」
「静かな図書室で“うおおおっ!”とか叫ばないで!」
そのとき。
「お前ら、なにやってんの」
呆れたような声とともに現れたのは拓毅。すでにノート片手である。
「いや、この棚がさ、開かないんだよ。“開かずの棚”って俺が勝手に名付けたんだけど」
「それ知ってるのお前しかいないぞ?」
「それっぽい名前つけとけば、後で本当にそうだったパターン来るかもしれないだろ?」
「予言者目指してんのかよ」
一応調査隊(仮)の記録係である拓毅が棚の状態をチェックし始める。
「……たぶん、これ中からロックされてるか、もしくは“開け方が別にある”」
「別にあるって、どういうこと?」
「例えば、特定の言葉を唱えるとか、何かの条件を満たすとか……」
「出たよ!また急にファンタジー寄りになった!」
「でも、今までの流れ的にあり得なくない?」
悠里が口を挟む。
「花が記憶を写して、彫刻が現れて、風が吹いて、ラップが無視されて……って来てるんだから」
「最後関係ないだろ!?」
「いやむしろ“無視された事実”が伏線だったら……?」
「深読みするな!」
一同が棚を取り囲んで、あーでもないこーでもないと盛り上がっていたそのとき――
ふいに、麗真がぽつりと言った。
「……この棚の裏、隠しヒンジがあるっぽい」
「え、なにそれ!」
「さっきこっそり指でなぞってたら、左下だけちょっと浮いてた。……この感じ、回転式かもしれない」
「回転!?棚が!?」
「なにそれ完全に“秘密結社”のやつじゃん!!」
「このまま開いたら奥に地下室あるとか?」
「校舎の中に“異世界への扉”が!?」
「その流れ、3章先ぐらいに取っとこうな!」
全員がざわざわする中、哲哉がもう一度力を込めて押してみた。
「っ……やっぱ動かねえ」
「えー、じゃあどうすればいいの?」
「棚を開くには“資格”が必要だと思う」
「また“資格”!?」
拓毅が手にしていた資料の一枚を広げて見せた。
「これ、図書室に残ってた古い記録。十数年前の生徒会日誌みたいなやつ。ここに、“知の資格なき者、棚は開かぬ”って書いてある」
「それ絶対、“知識レベル足りない”とかじゃん!!」
「まさかの知能テスト……!?」
「え、じゃあ俺もう無理じゃん……!」
「急にあきらめるな!」
その場の雰囲気は完全に“パズル部屋の探索モード”に突入していた。
「もしかして、特定の本を順番に差し込むとか?」
「棚の上にある本、色で並べたら何か出てくるとか?」
「ちょ、誰か“うっかり開けてしまう役”やってみて」
「じゃあ僕がうっかりします!」
「え、マジでうっかりすんの!?」
「……あっ、押しちゃった……あっ、動いた……!」
「うそ!?」
「って思ったけど動いてないわ」
「期待返せえええええ!!」
そんな中、菜緒がふと気づいたように言った。
「……ねぇ、もしかしてこの棚、“花に関係ある”?」
「花に?」
「うん。だって、前に麗真が言ってた辞書、ここから数歩の距離にあったでしょ?」
「確かに……精霊の花に関する記述も、近くの棚だったし」
「それに、“記憶を写す花”って、“過去の何かを伝える”ってことでしょ?」
「なら、その記録が、この棚に?」
一瞬、皆が黙る。
棚の向こうにあるかもしれない“記憶”の重みを、誰もが感じ始めていた。
そして同時に――
「うわ、そう言われると“めちゃめちゃ開けたい欲”出てきた……!」
「鍵開け動画、もっと見とけばよかった……!」
「うっかり開かねーかなぁ!!」
「お前ら情緒ないな!?」
静かな図書室の奥、開かずの棚の前で、彼らの好奇心はますます加速していった――
夜。
図書室には、またしても不審な影がひとつ。
「ふふふ……今日こそ、開けてみせるぞ“開かずの棚”……」
またか、と言いたくなるが、またである。
今回の侵入者は――沢村悠里。通称:副主役病の発症者。
「昨日は様子見だった。が、今日は違う!道具も完璧に用意した!」
彼のカバンからは、ガムテープ、バール、方位磁石、温度計、なぜか昆虫図鑑などが出てくる。
「うーん、道具の方向性が不安しかない」
独り言をつぶやきながら、懐中電灯を咥えていざ出陣。
足音はできるだけ忍ばせ、司書の先生の愛用する「静かにしましょう」ポスターに心の中で土下座。
(今回は騒がない!感情を爆発させない!俺は知的に、スマートに、この棚を攻略する!)
ガチャリ。
「……って鍵開いてるー!?え?なんで!?」
そこには無造作に開いたままの図書室の扉。
「あ、これ……麗真の仕業だな」
思い当たる節が多すぎて絞れないが、きっとあの花の着ぐるみが関係している気しかしない。
ともかく、棚の前まで到達した悠里は、懐中電灯で棚を照らしながらメモを読み上げた。
「知の資格なき者、棚は開かぬ……」
「つまり“知の資格”を持てば、開く……!」
「ではここで!オレの知識を披露してやろうじゃないか!」
得意げに胸を張る。
「四角いマス目の、1と2と3を足すと、合計は6!」
「3つの辺を持つ図形、それは三角形!」
「“記憶”という漢字は、“糸”と“己”と“心”でできている!!」
「さあ、今こそ開け!!開け、“知の扉”よ!!」
バン!!
棚は開かなかった。
「……おっかしいなあ……このくらいの知識なら普通に“知の中堅”レベルのはずなのに……」
その時、ふと視線の先に、棚の横に貼られた小さなメモを見つけた。
『開け方:押すのではなく、引く』
「……」
無言で棚の取っ手を引いてみる。
ギイイイ……。
「…………開いたーーーッ!?!?!?」
図書室中に響き渡るレベルの絶叫。
「やっぱ“知”って、謙虚さなんだな……!」
中には、年代物の分厚い本がぎっしりと並んでいた。
「うわ……これは……」
本の背表紙には、すべて同じように記されている。
『記録――生徒たちの声』
「生徒の……声?」
一冊を抜き取り、そっと開く。
そこには、手書きの文章がびっしりと記されていた。整った文字で、まるで日記のように。
『今日は誰とも話さなかった。でもあの花が、見ていてくれた』
『帰り道、あの花の前で立ち止まってしまった。どうしても、あそこで立ち止まりたかった』
『願いごとはしなかった。だって、あの花はもう、全部わかってる気がしたから』
「……これ、全部、“花に語りかけた”記録……?」
まるで、あの白い花に“話しかけた誰か”が、その後でここに思いを綴っていったかのような内容だった。
「……花は、“見ていた”んじゃない」
「“聞いていた”んだ……」
悠里の顔から、いつもの調子は消えていた。
今、自分の手の中にあるのは、軽い本ではなかった。
それは、何人もの生徒が残した、小さくて、でも確かな“心の音”だった。
ふと、ページの最後に、こんな一文が記されていた。
『言葉は届く。“想い”にした瞬間、花が咲く』
「……こりゃあ、ラップでも勝てねぇな……」
しんと静まり返った図書室で、悠里はひとり、素直にそう呟いた。
翌朝。
「で?なんで君は“棚の前で正座していた”のかな?」
生徒指導室にて、司書の先生が微笑んでいる。目は笑っていない。
「いやあの、それがですね……開いたんです棚が!!ほんとに!引いたら!」
「君、先週も“YO!が通じなかったから殴り込みだ”って言ってたよね?」
「違います!今回は、引いたんです!物理的に!」
「話が通じないタイプ……?」
だがその日以降、“開かずの棚”は正式に開放された。
そしてそこにあった「記録の本」は、誰かがそっと手に取っては、黙ってページをめくる“静かな読まれ方”をされるようになっていった。
中には、30年前の“校庭の騎士”に言及している文章もあった。
「……つながってきたな」
哲哉が小さく呟く。
「これ、もしかして、全部……“花が残した記憶”なんじゃないか?」
「花が……聞いて、覚えて、残した?」
「うん。きっと、私たちと同じように、昔の生徒たちも“花に話しかけてた”んだよ」
花は、聞いていた。
今日もまた、ぽつんと咲きながら。
静かに、風もなく、ただそこに。
【章終】
「この棚、開かなくない?」
放課後の図書室、いつもの調査チームが集まっていた。各々が謎めいた資料や、校内に残る古い記録を調べている中、菜緒が指さしたのは、図書室のいちばん奥、窓際の壁際に立つ、やたらと古びた木製の棚だった。
「お、そこって“開かずの棚”って呼ばれてるとこじゃね?」
「そんなオカルトな名前、勝手に呼ばれてないでしょ」
「いや俺が今、呼んだ」
「命名者お前かよ!!」
「でもさ、見てみ?このホコリのたまり方、尋常じゃねえ。なんか“物語の鍵”って雰囲気ムンムンだぞ?」
「だいたい、ホコリの量で物語の展開判断しないでくれる?」
「でも実際、ホコリまみれのところには大体“禁書”が眠ってるって、少年漫画で学んだ!」
「だいたいそれ、読んだやつが呪われるやつだから!」
わいわいと騒ぎながらも、全員の目はすでに「開かずの棚」に釘付けだった。
確かに、他の棚と違って一度も整理された形跡がなく、ガラス戸も曇っていて中が見えない。取っ手を引いてみても、ガッチリ固まっていて開かない。
「鍵……かかってんのかな?」
「いや、鍵穴ないよ?これ、見た感じ“押して開けるタイプ”だと思う」
「じゃあ……」
哲哉がぐっと力を入れて押してみた。
「……う、うごかねぇ……!」
「力入れすぎて顔やばいことになってる!」
「静かな図書室で“うおおおっ!”とか叫ばないで!」
そのとき。
「お前ら、なにやってんの」
呆れたような声とともに現れたのは拓毅。すでにノート片手である。
「いや、この棚がさ、開かないんだよ。“開かずの棚”って俺が勝手に名付けたんだけど」
「それ知ってるのお前しかいないぞ?」
「それっぽい名前つけとけば、後で本当にそうだったパターン来るかもしれないだろ?」
「予言者目指してんのかよ」
一応調査隊(仮)の記録係である拓毅が棚の状態をチェックし始める。
「……たぶん、これ中からロックされてるか、もしくは“開け方が別にある”」
「別にあるって、どういうこと?」
「例えば、特定の言葉を唱えるとか、何かの条件を満たすとか……」
「出たよ!また急にファンタジー寄りになった!」
「でも、今までの流れ的にあり得なくない?」
悠里が口を挟む。
「花が記憶を写して、彫刻が現れて、風が吹いて、ラップが無視されて……って来てるんだから」
「最後関係ないだろ!?」
「いやむしろ“無視された事実”が伏線だったら……?」
「深読みするな!」
一同が棚を取り囲んで、あーでもないこーでもないと盛り上がっていたそのとき――
ふいに、麗真がぽつりと言った。
「……この棚の裏、隠しヒンジがあるっぽい」
「え、なにそれ!」
「さっきこっそり指でなぞってたら、左下だけちょっと浮いてた。……この感じ、回転式かもしれない」
「回転!?棚が!?」
「なにそれ完全に“秘密結社”のやつじゃん!!」
「このまま開いたら奥に地下室あるとか?」
「校舎の中に“異世界への扉”が!?」
「その流れ、3章先ぐらいに取っとこうな!」
全員がざわざわする中、哲哉がもう一度力を込めて押してみた。
「っ……やっぱ動かねえ」
「えー、じゃあどうすればいいの?」
「棚を開くには“資格”が必要だと思う」
「また“資格”!?」
拓毅が手にしていた資料の一枚を広げて見せた。
「これ、図書室に残ってた古い記録。十数年前の生徒会日誌みたいなやつ。ここに、“知の資格なき者、棚は開かぬ”って書いてある」
「それ絶対、“知識レベル足りない”とかじゃん!!」
「まさかの知能テスト……!?」
「え、じゃあ俺もう無理じゃん……!」
「急にあきらめるな!」
その場の雰囲気は完全に“パズル部屋の探索モード”に突入していた。
「もしかして、特定の本を順番に差し込むとか?」
「棚の上にある本、色で並べたら何か出てくるとか?」
「ちょ、誰か“うっかり開けてしまう役”やってみて」
「じゃあ僕がうっかりします!」
「え、マジでうっかりすんの!?」
「……あっ、押しちゃった……あっ、動いた……!」
「うそ!?」
「って思ったけど動いてないわ」
「期待返せえええええ!!」
そんな中、菜緒がふと気づいたように言った。
「……ねぇ、もしかしてこの棚、“花に関係ある”?」
「花に?」
「うん。だって、前に麗真が言ってた辞書、ここから数歩の距離にあったでしょ?」
「確かに……精霊の花に関する記述も、近くの棚だったし」
「それに、“記憶を写す花”って、“過去の何かを伝える”ってことでしょ?」
「なら、その記録が、この棚に?」
一瞬、皆が黙る。
棚の向こうにあるかもしれない“記憶”の重みを、誰もが感じ始めていた。
そして同時に――
「うわ、そう言われると“めちゃめちゃ開けたい欲”出てきた……!」
「鍵開け動画、もっと見とけばよかった……!」
「うっかり開かねーかなぁ!!」
「お前ら情緒ないな!?」
静かな図書室の奥、開かずの棚の前で、彼らの好奇心はますます加速していった――
夜。
図書室には、またしても不審な影がひとつ。
「ふふふ……今日こそ、開けてみせるぞ“開かずの棚”……」
またか、と言いたくなるが、またである。
今回の侵入者は――沢村悠里。通称:副主役病の発症者。
「昨日は様子見だった。が、今日は違う!道具も完璧に用意した!」
彼のカバンからは、ガムテープ、バール、方位磁石、温度計、なぜか昆虫図鑑などが出てくる。
「うーん、道具の方向性が不安しかない」
独り言をつぶやきながら、懐中電灯を咥えていざ出陣。
足音はできるだけ忍ばせ、司書の先生の愛用する「静かにしましょう」ポスターに心の中で土下座。
(今回は騒がない!感情を爆発させない!俺は知的に、スマートに、この棚を攻略する!)
ガチャリ。
「……って鍵開いてるー!?え?なんで!?」
そこには無造作に開いたままの図書室の扉。
「あ、これ……麗真の仕業だな」
思い当たる節が多すぎて絞れないが、きっとあの花の着ぐるみが関係している気しかしない。
ともかく、棚の前まで到達した悠里は、懐中電灯で棚を照らしながらメモを読み上げた。
「知の資格なき者、棚は開かぬ……」
「つまり“知の資格”を持てば、開く……!」
「ではここで!オレの知識を披露してやろうじゃないか!」
得意げに胸を張る。
「四角いマス目の、1と2と3を足すと、合計は6!」
「3つの辺を持つ図形、それは三角形!」
「“記憶”という漢字は、“糸”と“己”と“心”でできている!!」
「さあ、今こそ開け!!開け、“知の扉”よ!!」
バン!!
棚は開かなかった。
「……おっかしいなあ……このくらいの知識なら普通に“知の中堅”レベルのはずなのに……」
その時、ふと視線の先に、棚の横に貼られた小さなメモを見つけた。
『開け方:押すのではなく、引く』
「……」
無言で棚の取っ手を引いてみる。
ギイイイ……。
「…………開いたーーーッ!?!?!?」
図書室中に響き渡るレベルの絶叫。
「やっぱ“知”って、謙虚さなんだな……!」
中には、年代物の分厚い本がぎっしりと並んでいた。
「うわ……これは……」
本の背表紙には、すべて同じように記されている。
『記録――生徒たちの声』
「生徒の……声?」
一冊を抜き取り、そっと開く。
そこには、手書きの文章がびっしりと記されていた。整った文字で、まるで日記のように。
『今日は誰とも話さなかった。でもあの花が、見ていてくれた』
『帰り道、あの花の前で立ち止まってしまった。どうしても、あそこで立ち止まりたかった』
『願いごとはしなかった。だって、あの花はもう、全部わかってる気がしたから』
「……これ、全部、“花に語りかけた”記録……?」
まるで、あの白い花に“話しかけた誰か”が、その後でここに思いを綴っていったかのような内容だった。
「……花は、“見ていた”んじゃない」
「“聞いていた”んだ……」
悠里の顔から、いつもの調子は消えていた。
今、自分の手の中にあるのは、軽い本ではなかった。
それは、何人もの生徒が残した、小さくて、でも確かな“心の音”だった。
ふと、ページの最後に、こんな一文が記されていた。
『言葉は届く。“想い”にした瞬間、花が咲く』
「……こりゃあ、ラップでも勝てねぇな……」
しんと静まり返った図書室で、悠里はひとり、素直にそう呟いた。
翌朝。
「で?なんで君は“棚の前で正座していた”のかな?」
生徒指導室にて、司書の先生が微笑んでいる。目は笑っていない。
「いやあの、それがですね……開いたんです棚が!!ほんとに!引いたら!」
「君、先週も“YO!が通じなかったから殴り込みだ”って言ってたよね?」
「違います!今回は、引いたんです!物理的に!」
「話が通じないタイプ……?」
だがその日以降、“開かずの棚”は正式に開放された。
そしてそこにあった「記録の本」は、誰かがそっと手に取っては、黙ってページをめくる“静かな読まれ方”をされるようになっていった。
中には、30年前の“校庭の騎士”に言及している文章もあった。
「……つながってきたな」
哲哉が小さく呟く。
「これ、もしかして、全部……“花が残した記憶”なんじゃないか?」
「花が……聞いて、覚えて、残した?」
「うん。きっと、私たちと同じように、昔の生徒たちも“花に話しかけてた”んだよ」
花は、聞いていた。
今日もまた、ぽつんと咲きながら。
静かに、風もなく、ただそこに。
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