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第16話 グルメ企画への誘い
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木曜日の夕方、商店街の集会所には、少し古びた蛍光灯の光がにじんでいた。
長机がコの字型に並べられ、その周りに、八百屋、魚屋、クリーニング店、パン屋「ひだまりベーカリー」など、いつもの顔ぶれが座っている。
壁には、「月例商店街連絡会」と手書きの紙が貼られていたが、その下に小さく「+α相談会」と書き足されているのが、雄之らしい。
「じゃ、とりあえず始めますかね」
議長役を任された文具店の店主が、丸いメガネを押し上げながら資料を配る。
「最近の来客数の状況と、夏に向けた取り組み案について……と」
薄いコピー用紙には、棒グラフや数字が並んでいる。
だが、年配の店主たちは、グラフよりも自分たちの顔色を見合っていた。
「うちは相変わらずだねえ」
「いやいや、お宅はまだいいよ。うちなんて、土日以外は暇でね」
「若い人、全然来ないもんなあ」
あちこちからため息がこぼれる中、ひだまりベーカリーの店長だけが、少し前のめりになっていた。
「この前も話しましたけど、やっぱり何か仕掛けたほうがいいと思うんです。
商店街全体で、食べ歩きとか、スタンプラリーとか」
「スタンプねえ……」
魚屋の店主が腕を組む。
「うちは魚買ってもらったらまっすぐ帰ってほしいからなあ。
ぐるぐる回られちゃうと、鮮度が」
「それはそうだけどさ」
パン屋の店長が頭をかく。
「このままだと、ほんとに大型スーパーにぜんぶ持ってかれちゃうよ」
その言葉に、部屋の空気が少しだけ重くなった。
そのとき、後ろのほうで欠伸をかみ殺していた雄之が、椅子から身を乗り出す。
「だからですよ」
「何が」
八百屋の店主が、じろりと睨む。
「だから、まとまって『ここにしかないもの』出したほうが早いって言ってるんです」
雄之は、机の上の資料を一本指でつついた。
「グラフなんか見なくても、みんな薄々わかってますよね。
このまま何もしなかったら、ゆっくり減ってくの。
だったら、多少ドタバタしてでも、一回、派手にやりましょうよ」
「派手に、ねえ」
「うちにはそんな派手に出せるもん、ないよ」
「あるじゃないですか、一個」
雄之は、にやりと笑って、後ろの席から立ち上がった。
手に持ったノートをぱらぱらとめくり、あるページでぴたりと止める。
「“シンデレラ定食”、あれ、商店街の看板にしません?」
*
その言葉に、会議室が一瞬静まり返った。
沈黙を破ったのは、ひだまりベーカリーの店長だった。
「ああ、みつよさんの……。
この前、うちの店員も話してましたよ。
“あそこで食べた定食が忘れられない”って」
「うちのお客も言ってた」
クリーニング店の奥さんが手を挙げる。
「“あそこの日替わり、やたら当たり多い”って。
名前、なんだっけ……って思ってたけど」
「シンデレラ定食」
美津代が、少し照れくさそうに言った。
「そんな大げさなもんじゃないけどね」
「大げさじゃないですよ」
雄之がすかさず被せる。
「普通の定食を“今日の主役”にしてくれるんだから、あんたんとこの看板でしょ。
それを、商店街全体で前に出せばいい」
「うちはうちで、パンで何かできるし」
パン屋の店長が乗ってきた。
「“シンデレラ定食と一緒にどうぞセット”とか、日替わりサンドとか」
「魚なら、出汁の材料提供したっていい」
魚屋が腕を組んだまま言う。
「“今日はこの魚の出汁です”って書いときゃ、うちの名前も出るだろ」
「うちは……」
八百屋がちらりと美津代を見る。
「野菜くらいしかないけども」
「それがいちばん大事なんだって」
雄之が笑う。
「肉も魚もパンも、結局野菜と一緒に食べるのがいちばん体にいいんだから。
『野菜、八百屋の名前入り』って書きましょう」
あちこちから笑いが起こる。
さっきまでの重い空気が、少しずつほぐれていく。
「……言うのは簡単だよ」
美津代が、腕を組み直した。
「実際にどんな形にするのさ。
商店街全部巻き込むのに、“うちの定食”だけ大きく出したら角が立つだろ」
「だから、“グルメ企画”ですよ」
雄之は、自分のノートを開いてみせた。
そこには「商店街まるごと手料理月間(仮)」と大きく書かれ、矢印や吹き出しでアイデアがびっしり埋まっている。
「それぞれの店が、『うちの手料理』を一つ決めるんです。
お惣菜でも、パンでも、スイーツでもいい。
その中で、みつよ食堂は“シンデレラ定食”を看板にする。
みんな主役。だけど、ポスターの真ん中は、この店」
「真ん中?」
「そう。
だって、シンデレラって、真ん中で踊らなきゃ」
その言い方に、何人かの店主が吹き出した。
「うまいこと言うじゃないの」
美津代が、半分あきれたように笑う。
「……でも」
視線を横に向ける。
そこには、黙って話を聞いていた琉叶と桜子が座っていた。
「肝心なのは、この二人だからね。
やるとなったら、仕込みも接客も、あんたらに負担かかるよ」
唐突に話を振られて、桜子は背筋を伸ばした。
琉叶は、少しだけ息を吸い込んでから口を開く。
「やるなら、ちゃんとやりたいです」
「ちゃんと?」
「“商店街のために”って看板だけ借りて、中身はいつもどおり……にはしたくないので。
せっかくみんなでやるなら、うちも、ちゃんとこの店らしい一皿を出したいです」
その言葉に、隣で桜子の胸が小さく鳴った。
“この店らしい一皿”。
あの日、自分の手のひらに置かれた箸の感触が蘇る。
「桜子さんは?」
美津代の視線が、今度はまっすぐこちらに向いた。
「あなたは、どうしたい」
会議室のざわめきが、遠くなった気がした。
目の前には、資料と、ノートと、ペン。
自分の手のひらは、少し汗ばんでいる。
「……やりたいです」
少し間を置いてから、桜子は言った。
「私も、“自分で選んだ居場所です”って、胸を張れるようにしたいので。
商店街の人たちにも、“ここが好きなんです”って言えるように」
その答えに、美津代はふっと口元を緩めた。
「じゃあ、決まりだね。
文句言う人がいたら、“うちの子たちがやるって言ったから”って、私が言い返すから」
「頼もしい後ろ盾だ」
雄之が、ノートに「決定」の二文字を書き込みながら笑う。
「じゃ、グルメ企画の名前とポスター案、考えますか」
*
会合が終わるころには、外はすっかり暗くなっていた。
集会所を出て、商店街の通りを三人で歩く。
提灯の明かりが、まだまばらに灯っている。
「なんか、すごいことになりましたね」
桜子がぽつりと言う。
「まだ“すごいこと”にはなってないよ」
前を歩く美津代が、肩越しに笑う。
「始めるって決めただけ。
すごくするかどうかは、これからの“手”次第だね」
「“手”次第」
琉叶が、その言葉を小さく繰り返す。
「ポスター、どうします?」
「そこだよねえ」
美津代が腕を組む。
「文字だけじゃ寂しいし、かといって、うちで写真映え意識し始めたら誰かに怒られそうだし」
「怒りませんよ」
桜子が笑った。
「写真映えも、ちゃんと“中身あり”なら、素敵だと思うので」
「お、成長したじゃない」
「誰のおかげでしょうか」
「さあね」
そんな軽口を叩き合いながら、三人はみつよ食堂の前まで戻ってきた。
赤いひさしの下で、シャッターは半分だけ開いている。
中からは、洗い物の音と、テレビのニュースの音が漏れていた。
「ポスター案、今夜のうちに一回くらい叩いておきます?」
琉叶が鍵を開けながら振り返る。
「どうせ勇一たち、いますよね」
「いるね、確実に」
美津代が笑う。
「漫画家と記者が揃ってるんだ、文字と絵は任せればいいさ。
その代わり、あんたたちは“中身”考えなさい」
「中身、ですか」
「“シンデレラ定食、商店街版”」
美津代は、少しだけ声をひそめる。
「誰の、どんな一日を主役にするのか。
それを、明日からのお客さん見ながら、決めていくんだよ」
桜子は、自分の手のひらを見下ろした。
包丁の柄でできた小さなまめは、もう痛みよりも、誇らしさのほうを強く伝えてくる。
「……だったら」
ぽつりとつぶやく。
「ポスターのどこかに、“手からはじまる”って入れたいです」
「手から?」
琉叶が首をかしげる。
「最近のマイブームですか」
「そうかも」
桜子は笑う。
「シンデレラ定食も、商店街も、結局、誰かの手が動かなかったら何も始まらないから。
私も、その中の一本の手として、ちゃんと混ざってたいので」
その言葉に、琉叶は少しだけ目を見開いた。
すぐに、「いいですね、それ」と静かに頷く。
「じゃあ、ポスターのどこかに、その言葉、忍ばせましょう」
「勇一、絶対食いつきますね」
「だから、先に言っとかないと。
“勝手にタイトルにしないでください”って」
三人の笑い声が、夜の商店街に溶けていく。
引き戸を開けると、みつよ食堂の明かりが、いつもより少しだけ心強く見えた。
これから始まる「グルメ企画」が、どんな忙しさと笑いを連れてくるのか。
それはまだわからない。
けれど、自分の「手」で選んだ居場所で、その波を受け止める覚悟だけは、もう決まっていた。
長机がコの字型に並べられ、その周りに、八百屋、魚屋、クリーニング店、パン屋「ひだまりベーカリー」など、いつもの顔ぶれが座っている。
壁には、「月例商店街連絡会」と手書きの紙が貼られていたが、その下に小さく「+α相談会」と書き足されているのが、雄之らしい。
「じゃ、とりあえず始めますかね」
議長役を任された文具店の店主が、丸いメガネを押し上げながら資料を配る。
「最近の来客数の状況と、夏に向けた取り組み案について……と」
薄いコピー用紙には、棒グラフや数字が並んでいる。
だが、年配の店主たちは、グラフよりも自分たちの顔色を見合っていた。
「うちは相変わらずだねえ」
「いやいや、お宅はまだいいよ。うちなんて、土日以外は暇でね」
「若い人、全然来ないもんなあ」
あちこちからため息がこぼれる中、ひだまりベーカリーの店長だけが、少し前のめりになっていた。
「この前も話しましたけど、やっぱり何か仕掛けたほうがいいと思うんです。
商店街全体で、食べ歩きとか、スタンプラリーとか」
「スタンプねえ……」
魚屋の店主が腕を組む。
「うちは魚買ってもらったらまっすぐ帰ってほしいからなあ。
ぐるぐる回られちゃうと、鮮度が」
「それはそうだけどさ」
パン屋の店長が頭をかく。
「このままだと、ほんとに大型スーパーにぜんぶ持ってかれちゃうよ」
その言葉に、部屋の空気が少しだけ重くなった。
そのとき、後ろのほうで欠伸をかみ殺していた雄之が、椅子から身を乗り出す。
「だからですよ」
「何が」
八百屋の店主が、じろりと睨む。
「だから、まとまって『ここにしかないもの』出したほうが早いって言ってるんです」
雄之は、机の上の資料を一本指でつついた。
「グラフなんか見なくても、みんな薄々わかってますよね。
このまま何もしなかったら、ゆっくり減ってくの。
だったら、多少ドタバタしてでも、一回、派手にやりましょうよ」
「派手に、ねえ」
「うちにはそんな派手に出せるもん、ないよ」
「あるじゃないですか、一個」
雄之は、にやりと笑って、後ろの席から立ち上がった。
手に持ったノートをぱらぱらとめくり、あるページでぴたりと止める。
「“シンデレラ定食”、あれ、商店街の看板にしません?」
*
その言葉に、会議室が一瞬静まり返った。
沈黙を破ったのは、ひだまりベーカリーの店長だった。
「ああ、みつよさんの……。
この前、うちの店員も話してましたよ。
“あそこで食べた定食が忘れられない”って」
「うちのお客も言ってた」
クリーニング店の奥さんが手を挙げる。
「“あそこの日替わり、やたら当たり多い”って。
名前、なんだっけ……って思ってたけど」
「シンデレラ定食」
美津代が、少し照れくさそうに言った。
「そんな大げさなもんじゃないけどね」
「大げさじゃないですよ」
雄之がすかさず被せる。
「普通の定食を“今日の主役”にしてくれるんだから、あんたんとこの看板でしょ。
それを、商店街全体で前に出せばいい」
「うちはうちで、パンで何かできるし」
パン屋の店長が乗ってきた。
「“シンデレラ定食と一緒にどうぞセット”とか、日替わりサンドとか」
「魚なら、出汁の材料提供したっていい」
魚屋が腕を組んだまま言う。
「“今日はこの魚の出汁です”って書いときゃ、うちの名前も出るだろ」
「うちは……」
八百屋がちらりと美津代を見る。
「野菜くらいしかないけども」
「それがいちばん大事なんだって」
雄之が笑う。
「肉も魚もパンも、結局野菜と一緒に食べるのがいちばん体にいいんだから。
『野菜、八百屋の名前入り』って書きましょう」
あちこちから笑いが起こる。
さっきまでの重い空気が、少しずつほぐれていく。
「……言うのは簡単だよ」
美津代が、腕を組み直した。
「実際にどんな形にするのさ。
商店街全部巻き込むのに、“うちの定食”だけ大きく出したら角が立つだろ」
「だから、“グルメ企画”ですよ」
雄之は、自分のノートを開いてみせた。
そこには「商店街まるごと手料理月間(仮)」と大きく書かれ、矢印や吹き出しでアイデアがびっしり埋まっている。
「それぞれの店が、『うちの手料理』を一つ決めるんです。
お惣菜でも、パンでも、スイーツでもいい。
その中で、みつよ食堂は“シンデレラ定食”を看板にする。
みんな主役。だけど、ポスターの真ん中は、この店」
「真ん中?」
「そう。
だって、シンデレラって、真ん中で踊らなきゃ」
その言い方に、何人かの店主が吹き出した。
「うまいこと言うじゃないの」
美津代が、半分あきれたように笑う。
「……でも」
視線を横に向ける。
そこには、黙って話を聞いていた琉叶と桜子が座っていた。
「肝心なのは、この二人だからね。
やるとなったら、仕込みも接客も、あんたらに負担かかるよ」
唐突に話を振られて、桜子は背筋を伸ばした。
琉叶は、少しだけ息を吸い込んでから口を開く。
「やるなら、ちゃんとやりたいです」
「ちゃんと?」
「“商店街のために”って看板だけ借りて、中身はいつもどおり……にはしたくないので。
せっかくみんなでやるなら、うちも、ちゃんとこの店らしい一皿を出したいです」
その言葉に、隣で桜子の胸が小さく鳴った。
“この店らしい一皿”。
あの日、自分の手のひらに置かれた箸の感触が蘇る。
「桜子さんは?」
美津代の視線が、今度はまっすぐこちらに向いた。
「あなたは、どうしたい」
会議室のざわめきが、遠くなった気がした。
目の前には、資料と、ノートと、ペン。
自分の手のひらは、少し汗ばんでいる。
「……やりたいです」
少し間を置いてから、桜子は言った。
「私も、“自分で選んだ居場所です”って、胸を張れるようにしたいので。
商店街の人たちにも、“ここが好きなんです”って言えるように」
その答えに、美津代はふっと口元を緩めた。
「じゃあ、決まりだね。
文句言う人がいたら、“うちの子たちがやるって言ったから”って、私が言い返すから」
「頼もしい後ろ盾だ」
雄之が、ノートに「決定」の二文字を書き込みながら笑う。
「じゃ、グルメ企画の名前とポスター案、考えますか」
*
会合が終わるころには、外はすっかり暗くなっていた。
集会所を出て、商店街の通りを三人で歩く。
提灯の明かりが、まだまばらに灯っている。
「なんか、すごいことになりましたね」
桜子がぽつりと言う。
「まだ“すごいこと”にはなってないよ」
前を歩く美津代が、肩越しに笑う。
「始めるって決めただけ。
すごくするかどうかは、これからの“手”次第だね」
「“手”次第」
琉叶が、その言葉を小さく繰り返す。
「ポスター、どうします?」
「そこだよねえ」
美津代が腕を組む。
「文字だけじゃ寂しいし、かといって、うちで写真映え意識し始めたら誰かに怒られそうだし」
「怒りませんよ」
桜子が笑った。
「写真映えも、ちゃんと“中身あり”なら、素敵だと思うので」
「お、成長したじゃない」
「誰のおかげでしょうか」
「さあね」
そんな軽口を叩き合いながら、三人はみつよ食堂の前まで戻ってきた。
赤いひさしの下で、シャッターは半分だけ開いている。
中からは、洗い物の音と、テレビのニュースの音が漏れていた。
「ポスター案、今夜のうちに一回くらい叩いておきます?」
琉叶が鍵を開けながら振り返る。
「どうせ勇一たち、いますよね」
「いるね、確実に」
美津代が笑う。
「漫画家と記者が揃ってるんだ、文字と絵は任せればいいさ。
その代わり、あんたたちは“中身”考えなさい」
「中身、ですか」
「“シンデレラ定食、商店街版”」
美津代は、少しだけ声をひそめる。
「誰の、どんな一日を主役にするのか。
それを、明日からのお客さん見ながら、決めていくんだよ」
桜子は、自分の手のひらを見下ろした。
包丁の柄でできた小さなまめは、もう痛みよりも、誇らしさのほうを強く伝えてくる。
「……だったら」
ぽつりとつぶやく。
「ポスターのどこかに、“手からはじまる”って入れたいです」
「手から?」
琉叶が首をかしげる。
「最近のマイブームですか」
「そうかも」
桜子は笑う。
「シンデレラ定食も、商店街も、結局、誰かの手が動かなかったら何も始まらないから。
私も、その中の一本の手として、ちゃんと混ざってたいので」
その言葉に、琉叶は少しだけ目を見開いた。
すぐに、「いいですね、それ」と静かに頷く。
「じゃあ、ポスターのどこかに、その言葉、忍ばせましょう」
「勇一、絶対食いつきますね」
「だから、先に言っとかないと。
“勝手にタイトルにしないでください”って」
三人の笑い声が、夜の商店街に溶けていく。
引き戸を開けると、みつよ食堂の明かりが、いつもより少しだけ心強く見えた。
これから始まる「グルメ企画」が、どんな忙しさと笑いを連れてくるのか。
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