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第五十五章「習志野市」
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谷津干潟の水門に立つ泰士の目は、朝の光の中で濁った海面をじっと見つめていた。風はほとんど吹かず、春だというのに水鳥の姿も少なく、葦の茂みは生気を失ったように静まり返っている。数日前、この干潟の水門から「泥炭の珠」が抜き取られた――その瞬間から、習志野の干満リズムが狂い始めた。
「まるで、呼吸が止まったようだな……この干潟」
そう呟いた彼に、後ろから少女の声が届く。
「止まったのは干潟だけじゃない。バラ園もよ。根が乾いてるの。なのに雨は降ってないのにね」
すずは足を止め、そっとかがんで葦の葉を摘み取った。その先端は茶色く枯れ、いつもの初夏に見られるような瑞々しさはなかった。
「根神社の古記録に、“泥炭の珠”が抜かれたときは、祭囃子と舞で“地の力”を呼び戻せとある。……だけど問題は、祭囃子の“正しい旋律”がもう残ってないってこと」
「そんなときこそ、俺の出番じゃないか」裕介が鼻で笑った。「祭囃子ってのは、音をなぞることじゃなく、気持ちを音に乗せることだって、じいちゃんからずっと叩き込まれてる」
「それなら――まずはバラ園よ」里沙が顔を上げた。「あそこに刻まれてるはずなの。『谷津バラ園まつり囃子』の節回しがね。花壇に、こっそり掘り込まれてるって、祖母が言ってた」
「じゃあ行こうぜ。感覚でしか分からないものなら、感覚で拾うまでだ。目じゃ見えなくても、心で聞こえるものってあるだろ?」
泰士は風を感じながらうなずいた。「ああ。目の前のものに集中してると、聞こえてくる声がある。それを信じるしかないな」
干潟の葦の間で、一羽だけ残ったシギが、細い脚でそっと波を切った。
谷津バラ園は、かつて華やかな香りと色彩が重なる空間だった。だが今、そこに広がるのは色を失った葉と乾いた土ばかりだった。バラの枝は細く、葉は光を弾かず、花壇の縁は崩れたまま修復されていない。まるで、呼吸を止めたまま春を迎えようとしているかのようだった。
すずは、咲かぬバラの前で膝をついた。指先で触れると、土が少しだけ反応を見せる。けれど、それは“音”が来るのを待っているような静けさだった。
「ここ……この花壇の縁の、内側の石に何かある」
彼女が指差すと、裕介がしゃがみ込んで苔を払い、石をひっくり返す。そこには、手彫りで浅く刻まれた五線と、笛と太鼓の指示があった。節を表す言葉は崩れかけていたが、読み解くことはできた。
「“風にのせ 土をうるおす 舞のいぶき”……これ、第一節の歌詞だな」裕介は呟いた。「リズムは二拍三連の繰り返し……でも、節の切り方が不規則だ。これ、“呼吸”だ。干潟のリズムに合わせてる」
「それってつまり……このバラ園の呼吸でもあるってこと?」里沙が首をかしげる。
「そう。音楽って、聞こえる音じゃなくて、鳴ってない部分で作られてる。“間”がそのまま命になる。これは干潟とバラ園、両方の命を繋ぐ囃子だ」
泰士はゆっくりと目を閉じ、耳を澄ませた。風の音、遠くで鳴く鳥、そして足元の土から微かに立ち上がる湿った気配。彼の中に、一音ずつ音が形になっていく。
「すず、囃子の型を身体で覚えてるか?」
「うん、目で見たよりも、踊って感じた方が、よく覚えてる。リズムって、考えるんじゃなくて、流れるものだから」
「じゃあ、俺たちで再現しよう」裕介が立ち上がった。「ここで囃子を完成させる。干潟のために、バラのために」
すずが頷いた。「それが“干潟を呼ぶ舞”になる」
そして、最初の拍が打たれた。祭囃子ではなく、風と土が鳴らす、根源のリズム。里沙の笛がそこに重なり、すずの足運びが花壇をなぞる。泰士の打つ拍子は、舞台ではなく、地面そのものに共鳴していた。
空気が変わった。
風が動き出し、干潟の方角から湿った潮の匂いがふっと届いた。
「……これ、繋がった」泰士が小さく言った。「祭囃子が、干潟の呼吸を思い出したんだ」
「じゃあ、次は根神社。“泥炭の珠”は、あの拝殿の奥で、私たちを待ってる」
根神社へと向かう参道は、風もなく、人影もなかった。鳥居をくぐるとすぐに、空気の密度が変わるのがわかる。樹々がわずかにざわめき、まるで長い間誰にも呼ばれなかった場所が、やっと目覚めようとしているようだった。
泰士は太鼓を肩に掛けたまま、手水舎の水に手を浸した。冷たくない。ぬるくもない。ただ、不思議と“芯”がある感触だった。
「干潟の水も、バラ園の根も、この神社に通じてるって言われてるんだ」里沙が小さく囁いた。「この社は、“祈りの中心”だったから」
「泥炭の珠は、この神社の境内のどこかに戻るのを待ってる。……でも、呼び戻すには最後の舞が必要なんだ」
拝殿の前に、四人が並んだ。地面にはうっすらと苔が広がり、誰かの足跡すら残っていない。それがかえって、この場所がただの歴史的遺構ではなく、“現役の神域”であることを物語っていた。
裕介が、鼓を鳴らす。
その音が境内に響いた瞬間、風が逆流するように鳥居の外から吹き込んできた。鈴の音が鳴ったわけでもないのに、木々が一斉に枝を揺らした。
「……来るぞ」泰士が構える。「これはただの精霊じゃない。“干潟の主”そのものだ」
すずが、舞に入った。
土を踏みしめ、足を捌き、腕を風のように流す。彼女の踊りは、どこか荒ぶるようでありながらも、一本の水脈のように凛としていた。
干潟の泥炭――それは海と陸とが混じり合った、生命の起点だった。水でも土でもない、曖昧な存在だからこそ、力を内包し、だからこそ“消える”こともある。
その中心にある“珠”は、すずの舞と泰士の太鼓によって、少しずつ姿を現していく。
地面が淡く光りはじめた。根の下から、小さな球体が浮かび上がり、音もなく中空に現れた。
「……泥炭の珠」里沙が言った。「戻ってきた。干潟の時間が、動き出した」
その言葉の通り、神社の奥からゆっくりと潮の音が聞こえてきた。谷津干潟が、まるで眠りから覚めたように、静かに脈を打ち始めた。
珠は、手の中で微かに震えている。泥炭を象ったそれは、ただの物質ではなく、“地と水の命”だった。
「これが……“習志野市の輝”だ」
空には雲が割れ、光が差し始めた。
【アイテム:習志野市の輝】入手
「まるで、呼吸が止まったようだな……この干潟」
そう呟いた彼に、後ろから少女の声が届く。
「止まったのは干潟だけじゃない。バラ園もよ。根が乾いてるの。なのに雨は降ってないのにね」
すずは足を止め、そっとかがんで葦の葉を摘み取った。その先端は茶色く枯れ、いつもの初夏に見られるような瑞々しさはなかった。
「根神社の古記録に、“泥炭の珠”が抜かれたときは、祭囃子と舞で“地の力”を呼び戻せとある。……だけど問題は、祭囃子の“正しい旋律”がもう残ってないってこと」
「そんなときこそ、俺の出番じゃないか」裕介が鼻で笑った。「祭囃子ってのは、音をなぞることじゃなく、気持ちを音に乗せることだって、じいちゃんからずっと叩き込まれてる」
「それなら――まずはバラ園よ」里沙が顔を上げた。「あそこに刻まれてるはずなの。『谷津バラ園まつり囃子』の節回しがね。花壇に、こっそり掘り込まれてるって、祖母が言ってた」
「じゃあ行こうぜ。感覚でしか分からないものなら、感覚で拾うまでだ。目じゃ見えなくても、心で聞こえるものってあるだろ?」
泰士は風を感じながらうなずいた。「ああ。目の前のものに集中してると、聞こえてくる声がある。それを信じるしかないな」
干潟の葦の間で、一羽だけ残ったシギが、細い脚でそっと波を切った。
谷津バラ園は、かつて華やかな香りと色彩が重なる空間だった。だが今、そこに広がるのは色を失った葉と乾いた土ばかりだった。バラの枝は細く、葉は光を弾かず、花壇の縁は崩れたまま修復されていない。まるで、呼吸を止めたまま春を迎えようとしているかのようだった。
すずは、咲かぬバラの前で膝をついた。指先で触れると、土が少しだけ反応を見せる。けれど、それは“音”が来るのを待っているような静けさだった。
「ここ……この花壇の縁の、内側の石に何かある」
彼女が指差すと、裕介がしゃがみ込んで苔を払い、石をひっくり返す。そこには、手彫りで浅く刻まれた五線と、笛と太鼓の指示があった。節を表す言葉は崩れかけていたが、読み解くことはできた。
「“風にのせ 土をうるおす 舞のいぶき”……これ、第一節の歌詞だな」裕介は呟いた。「リズムは二拍三連の繰り返し……でも、節の切り方が不規則だ。これ、“呼吸”だ。干潟のリズムに合わせてる」
「それってつまり……このバラ園の呼吸でもあるってこと?」里沙が首をかしげる。
「そう。音楽って、聞こえる音じゃなくて、鳴ってない部分で作られてる。“間”がそのまま命になる。これは干潟とバラ園、両方の命を繋ぐ囃子だ」
泰士はゆっくりと目を閉じ、耳を澄ませた。風の音、遠くで鳴く鳥、そして足元の土から微かに立ち上がる湿った気配。彼の中に、一音ずつ音が形になっていく。
「すず、囃子の型を身体で覚えてるか?」
「うん、目で見たよりも、踊って感じた方が、よく覚えてる。リズムって、考えるんじゃなくて、流れるものだから」
「じゃあ、俺たちで再現しよう」裕介が立ち上がった。「ここで囃子を完成させる。干潟のために、バラのために」
すずが頷いた。「それが“干潟を呼ぶ舞”になる」
そして、最初の拍が打たれた。祭囃子ではなく、風と土が鳴らす、根源のリズム。里沙の笛がそこに重なり、すずの足運びが花壇をなぞる。泰士の打つ拍子は、舞台ではなく、地面そのものに共鳴していた。
空気が変わった。
風が動き出し、干潟の方角から湿った潮の匂いがふっと届いた。
「……これ、繋がった」泰士が小さく言った。「祭囃子が、干潟の呼吸を思い出したんだ」
「じゃあ、次は根神社。“泥炭の珠”は、あの拝殿の奥で、私たちを待ってる」
根神社へと向かう参道は、風もなく、人影もなかった。鳥居をくぐるとすぐに、空気の密度が変わるのがわかる。樹々がわずかにざわめき、まるで長い間誰にも呼ばれなかった場所が、やっと目覚めようとしているようだった。
泰士は太鼓を肩に掛けたまま、手水舎の水に手を浸した。冷たくない。ぬるくもない。ただ、不思議と“芯”がある感触だった。
「干潟の水も、バラ園の根も、この神社に通じてるって言われてるんだ」里沙が小さく囁いた。「この社は、“祈りの中心”だったから」
「泥炭の珠は、この神社の境内のどこかに戻るのを待ってる。……でも、呼び戻すには最後の舞が必要なんだ」
拝殿の前に、四人が並んだ。地面にはうっすらと苔が広がり、誰かの足跡すら残っていない。それがかえって、この場所がただの歴史的遺構ではなく、“現役の神域”であることを物語っていた。
裕介が、鼓を鳴らす。
その音が境内に響いた瞬間、風が逆流するように鳥居の外から吹き込んできた。鈴の音が鳴ったわけでもないのに、木々が一斉に枝を揺らした。
「……来るぞ」泰士が構える。「これはただの精霊じゃない。“干潟の主”そのものだ」
すずが、舞に入った。
土を踏みしめ、足を捌き、腕を風のように流す。彼女の踊りは、どこか荒ぶるようでありながらも、一本の水脈のように凛としていた。
干潟の泥炭――それは海と陸とが混じり合った、生命の起点だった。水でも土でもない、曖昧な存在だからこそ、力を内包し、だからこそ“消える”こともある。
その中心にある“珠”は、すずの舞と泰士の太鼓によって、少しずつ姿を現していく。
地面が淡く光りはじめた。根の下から、小さな球体が浮かび上がり、音もなく中空に現れた。
「……泥炭の珠」里沙が言った。「戻ってきた。干潟の時間が、動き出した」
その言葉の通り、神社の奥からゆっくりと潮の音が聞こえてきた。谷津干潟が、まるで眠りから覚めたように、静かに脈を打ち始めた。
珠は、手の中で微かに震えている。泥炭を象ったそれは、ただの物質ではなく、“地と水の命”だった。
「これが……“習志野市の輝”だ」
空には雲が割れ、光が差し始めた。
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