93 / 97
第56章 鎌倉芸術館ホール
しおりを挟む
ステージに立つその瞬間まで、望愛は自分が泣くなんて思っていなかった。
鎌倉芸術館ホールの客席は、すでにほぼ満席だ。ライトに照らされた舞台袖。緊張のせいか喉が張りついて、深呼吸しても吐く息が薄く感じる。サイドの幕越しに客席を見渡すと、最前列には教授陣と職員たち、そして自治会の面々。望愛は無意識に口を一文字に結び、手にしたマイクを強く握り直した。
「望愛、音、いけそう?」
袖から顔をのぞかせた彩希が、インカム越しに問いかける。髪をひとつに結い、黒のパンツスーツに身を包んだ彩希は、まさに“現場の指揮官”だった。
「うん、大丈夫。……多分」
望愛の声は微かに震えていたが、それを聞いた彩希は笑わなかった。ただ一言だけ「照明、特注パターンで落とすから、安心して」とだけ告げて去っていく。舞台袖では香澄が観客席を鋭く見渡しながら、MCの原稿を目で追っていた。
「みんなの表情、悪くない。あとは空気を切らさず持っていけば、最初の入りで掴める」
香澄はまるで舞台全体の“感情地図”を読むように、観客席の温度を予測していた。そんな彼女を見て、望愛は思わず小さく笑った。
「……あたし、やっぱ、変わったのかな」
その一言は誰にも届かなかったが、自分の胸に返ってきた。
* * *
定刻午後五時、客席が一瞬、ざわめきを止めた。
照明が落ち、緞帳がゆっくりと開いていく。MCを務める香澄の柔らかな声が、場内に染み渡った。
「こんばんは。今日ここにいる皆さんは、それぞれの形で、この大学での時間を過ごしてきた仲間たちです。卒業ライブ――という形をとっていますが、私たちの気持ちはただひとつ。“ありがとう”を、音と光で届けたい」
その言葉に、客席の前列で良輔が小さく拍手し、サラやアマリも笑顔でうなずく。
彩希の操作した照明が、静かに舞台を照らす。青と白のグラデーションは、まるで由比ヶ浜の冬の波を思わせる。
望愛が、ステージ中央に立った。
マイクを持つ手が少しだけ震えたが、そこに視線を向ける者はいない。恭平が舞台袖から見守っているのがわかる。その視線だけで、背中が支えられる気がした。
「……曲のタイトルは、『Still Surfing』。――“まだ、波に乗ってるよ”っていう意味です。途中で投げ出しそうになって、でも、乗り続けてきたことを、私は音にしました」
ピンスポットの中、ギターの音が静かに鳴り始める。
望愛の歌が始まった。
最初のフレーズは、ほんの少しだけ震えていた。けれど、広樹の弾くコードが彼女の背中を押す。ドラムのアマリがリズムを刻み、香澄のキーボードが寄り添うように流れ出す。
「――寄せては返す波の中、何度も立ち上がるから」
歌詞は、望愛が自分で書いた。あの夜の波打ち際で、恭平に言われた「進路は消えない足跡で作る」という言葉が、フレーズの最後にまで滲んでいる。
ステージの天井が、星空のように輝き始めた。彩希が仕込んだライトパターンだ。
クライマックスに差しかかる頃、望愛の声が一瞬、揺れた。息が続かない。けれど観客席から、いくつものペンライトが自然に持ち上がる。
恭平がその中で、ひときわ大きなブーケを胸に持ち、ステージの袖へと歩み出ていた。
望愛は最後の高音を――震えながらも、全力で出し切った。
その瞬間、曲が終わった。
静寂ののち、観客席から大きな拍手が沸き起こる。
舞台袖から恭平が花束を持って現れた。
「望愛、卒業おめでとう。そして……これからも、進路は一緒に拓こう」
その言葉に、観客がどよめいた。
望愛はステージ中央に立ったまま、両手で顔を覆った。泣き顔を見せたくない。でも、涙は止まらなかった。
拍手が鳴り止まない中、望愛はぎゅっと花束を抱きしめた。
胸の奥が熱くて、目の前が滲んでいた。舞台上の照明がゆっくりと柔らかいアンバーに切り替わると、それがまるで夕暮れの浜辺のように見えた。あの夜、恭平と波打ち際で語り合った未来が、今日この瞬間に繋がっていた。
「……ありがとう、みんな。本当に、ありがとう」
マイクを持たずにこぼしたその言葉は、たぶん観客には届いていなかった。でも、ステージ上にいる仲間たちは皆、黙ってうなずいていた。
* * *
楽屋裏に戻ると、香澄が真っ先に近寄ってきた。
「最後の高音、震えてた。でも、出し切ったね。……ちゃんと届いたよ」
それは、褒め言葉だった。香澄はそれ以上余計なことを言わずに、そっと背中を叩いた。望愛は、ひとつうなずいてからふっと笑う。
「ねえ、香澄……あたし、途中で降りなかったよね?」
香澄は目を細めた。
「うん。今回の望愛は、最終駅まで乗ってた」
近くでは広樹が機材の片付けをしていて、アマリがペットボトルを配り歩いていた。
「ナイス・ファイト、ノア!ステージで泣いてるの、ちょっと感動的だったぞ!」
「だーかーらー! 泣いてないってば!」
望愛が大きな声でそう返すと、奥から彩希の声が飛んできた。
「泣いてない人が一番大きい声出してる。しかも目、真っ赤」
「……うう、もうみんな意地悪!」
笑い声が響く楽屋に、ふわりと花の香りが広がった。恭平がそっと望愛の横に立ち、小さなブーケをさらにひとつ差し出した。
「さっきのはサプライズ分。こっちは個人的なやつ」
「え……」
ピンクのチューリップ。花言葉は、「思いやり」「永遠の愛情」。
「ずっと、“笑顔の君”を見ていたけど――。今日の涙も、俺はちゃんと好きだと思った」
不意打ちのようなその言葉に、望愛は何も言い返せず、ただ小さく首を振った。
「……ズルいよ、そういうの」
「ズルい、って言いながら受け取ってくれるの、ありがたいよ」
「……あたしさ、まだ未来のこと、全然わかんない。でも、今日、歌詞に書いた“Still Surfing”って、ほんとにそういう意味だったんだなって」
「波に乗ってれば、どこかには行ける。俺も、同じ板に乗るよ」
その言葉に、望愛はまた泣きそうになったけれど、もう泣かなかった。
* * *
楽屋から出ると、彩希がステージの記録用データをチェックしていた。香澄は既にSNS用の写真を選定中。良輔とサラは控室の後片づけを手伝っていた。
渚と亮汰は、音響スタッフと談笑していて、アマリがそれを英語に訳して笑いを取っていた。
全員が、それぞれの“得意”でこの夜を繋いでいた。
その中心に、いつも通りの笑顔を浮かべている恭平がいた。
誰かの背中を押し、誰かの言葉を受け取り、すべてを肯定してくれる存在。
望愛はその横に並びながら、心の中でそっと誓う。
「この人の隣に、ちゃんと立っていたい」
「降りずに、走り続けたい」
彼女の中の“途中放棄癖”は、もうどこにも見当たらなかった。
* * *
夜が深まる鎌倉の街に、出演者とスタッフたちの笑い声が広がっていく。
「Still Surfing」のメロディが、心の奥で静かに波のように響いていた。
(第56章 了)
鎌倉芸術館ホールの客席は、すでにほぼ満席だ。ライトに照らされた舞台袖。緊張のせいか喉が張りついて、深呼吸しても吐く息が薄く感じる。サイドの幕越しに客席を見渡すと、最前列には教授陣と職員たち、そして自治会の面々。望愛は無意識に口を一文字に結び、手にしたマイクを強く握り直した。
「望愛、音、いけそう?」
袖から顔をのぞかせた彩希が、インカム越しに問いかける。髪をひとつに結い、黒のパンツスーツに身を包んだ彩希は、まさに“現場の指揮官”だった。
「うん、大丈夫。……多分」
望愛の声は微かに震えていたが、それを聞いた彩希は笑わなかった。ただ一言だけ「照明、特注パターンで落とすから、安心して」とだけ告げて去っていく。舞台袖では香澄が観客席を鋭く見渡しながら、MCの原稿を目で追っていた。
「みんなの表情、悪くない。あとは空気を切らさず持っていけば、最初の入りで掴める」
香澄はまるで舞台全体の“感情地図”を読むように、観客席の温度を予測していた。そんな彼女を見て、望愛は思わず小さく笑った。
「……あたし、やっぱ、変わったのかな」
その一言は誰にも届かなかったが、自分の胸に返ってきた。
* * *
定刻午後五時、客席が一瞬、ざわめきを止めた。
照明が落ち、緞帳がゆっくりと開いていく。MCを務める香澄の柔らかな声が、場内に染み渡った。
「こんばんは。今日ここにいる皆さんは、それぞれの形で、この大学での時間を過ごしてきた仲間たちです。卒業ライブ――という形をとっていますが、私たちの気持ちはただひとつ。“ありがとう”を、音と光で届けたい」
その言葉に、客席の前列で良輔が小さく拍手し、サラやアマリも笑顔でうなずく。
彩希の操作した照明が、静かに舞台を照らす。青と白のグラデーションは、まるで由比ヶ浜の冬の波を思わせる。
望愛が、ステージ中央に立った。
マイクを持つ手が少しだけ震えたが、そこに視線を向ける者はいない。恭平が舞台袖から見守っているのがわかる。その視線だけで、背中が支えられる気がした。
「……曲のタイトルは、『Still Surfing』。――“まだ、波に乗ってるよ”っていう意味です。途中で投げ出しそうになって、でも、乗り続けてきたことを、私は音にしました」
ピンスポットの中、ギターの音が静かに鳴り始める。
望愛の歌が始まった。
最初のフレーズは、ほんの少しだけ震えていた。けれど、広樹の弾くコードが彼女の背中を押す。ドラムのアマリがリズムを刻み、香澄のキーボードが寄り添うように流れ出す。
「――寄せては返す波の中、何度も立ち上がるから」
歌詞は、望愛が自分で書いた。あの夜の波打ち際で、恭平に言われた「進路は消えない足跡で作る」という言葉が、フレーズの最後にまで滲んでいる。
ステージの天井が、星空のように輝き始めた。彩希が仕込んだライトパターンだ。
クライマックスに差しかかる頃、望愛の声が一瞬、揺れた。息が続かない。けれど観客席から、いくつものペンライトが自然に持ち上がる。
恭平がその中で、ひときわ大きなブーケを胸に持ち、ステージの袖へと歩み出ていた。
望愛は最後の高音を――震えながらも、全力で出し切った。
その瞬間、曲が終わった。
静寂ののち、観客席から大きな拍手が沸き起こる。
舞台袖から恭平が花束を持って現れた。
「望愛、卒業おめでとう。そして……これからも、進路は一緒に拓こう」
その言葉に、観客がどよめいた。
望愛はステージ中央に立ったまま、両手で顔を覆った。泣き顔を見せたくない。でも、涙は止まらなかった。
拍手が鳴り止まない中、望愛はぎゅっと花束を抱きしめた。
胸の奥が熱くて、目の前が滲んでいた。舞台上の照明がゆっくりと柔らかいアンバーに切り替わると、それがまるで夕暮れの浜辺のように見えた。あの夜、恭平と波打ち際で語り合った未来が、今日この瞬間に繋がっていた。
「……ありがとう、みんな。本当に、ありがとう」
マイクを持たずにこぼしたその言葉は、たぶん観客には届いていなかった。でも、ステージ上にいる仲間たちは皆、黙ってうなずいていた。
* * *
楽屋裏に戻ると、香澄が真っ先に近寄ってきた。
「最後の高音、震えてた。でも、出し切ったね。……ちゃんと届いたよ」
それは、褒め言葉だった。香澄はそれ以上余計なことを言わずに、そっと背中を叩いた。望愛は、ひとつうなずいてからふっと笑う。
「ねえ、香澄……あたし、途中で降りなかったよね?」
香澄は目を細めた。
「うん。今回の望愛は、最終駅まで乗ってた」
近くでは広樹が機材の片付けをしていて、アマリがペットボトルを配り歩いていた。
「ナイス・ファイト、ノア!ステージで泣いてるの、ちょっと感動的だったぞ!」
「だーかーらー! 泣いてないってば!」
望愛が大きな声でそう返すと、奥から彩希の声が飛んできた。
「泣いてない人が一番大きい声出してる。しかも目、真っ赤」
「……うう、もうみんな意地悪!」
笑い声が響く楽屋に、ふわりと花の香りが広がった。恭平がそっと望愛の横に立ち、小さなブーケをさらにひとつ差し出した。
「さっきのはサプライズ分。こっちは個人的なやつ」
「え……」
ピンクのチューリップ。花言葉は、「思いやり」「永遠の愛情」。
「ずっと、“笑顔の君”を見ていたけど――。今日の涙も、俺はちゃんと好きだと思った」
不意打ちのようなその言葉に、望愛は何も言い返せず、ただ小さく首を振った。
「……ズルいよ、そういうの」
「ズルい、って言いながら受け取ってくれるの、ありがたいよ」
「……あたしさ、まだ未来のこと、全然わかんない。でも、今日、歌詞に書いた“Still Surfing”って、ほんとにそういう意味だったんだなって」
「波に乗ってれば、どこかには行ける。俺も、同じ板に乗るよ」
その言葉に、望愛はまた泣きそうになったけれど、もう泣かなかった。
* * *
楽屋から出ると、彩希がステージの記録用データをチェックしていた。香澄は既にSNS用の写真を選定中。良輔とサラは控室の後片づけを手伝っていた。
渚と亮汰は、音響スタッフと談笑していて、アマリがそれを英語に訳して笑いを取っていた。
全員が、それぞれの“得意”でこの夜を繋いでいた。
その中心に、いつも通りの笑顔を浮かべている恭平がいた。
誰かの背中を押し、誰かの言葉を受け取り、すべてを肯定してくれる存在。
望愛はその横に並びながら、心の中でそっと誓う。
「この人の隣に、ちゃんと立っていたい」
「降りずに、走り続けたい」
彼女の中の“途中放棄癖”は、もうどこにも見当たらなかった。
* * *
夜が深まる鎌倉の街に、出演者とスタッフたちの笑い声が広がっていく。
「Still Surfing」のメロディが、心の奥で静かに波のように響いていた。
(第56章 了)
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
鬼隊長は元お隣女子には敵わない~猪はひよこを愛でる~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「ひなちゃん。
俺と結婚、しよ?」
兄の結婚式で昔、お隣に住んでいた憧れのお兄ちゃん・猪狩に再会した雛乃。
昔話をしているうちに結婚を迫られ、冗談だと思ったものの。
それから猪狩の猛追撃が!?
相変わらず格好いい猪狩に次第に惹かれていく雛乃。
でも、彼のとある事情で結婚には踏み切れない。
そんな折り、雛乃の勤めている銀行で事件が……。
愛川雛乃 あいかわひなの 26
ごく普通の地方銀行員
某着せ替え人形のような見た目で可愛い
おかげで女性からは恨みを買いがちなのが悩み
真面目で努力家なのに、
なぜかよくない噂を立てられる苦労人
×
岡藤猪狩 おかふじいかり 36
警察官でSIT所属のエリート
泣く子も黙る突入部隊の鬼隊長
でも、雛乃には……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる