実話怪談・短編集◆とほかみ◆

茶房の幽霊店主

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◆スズメバチと公務員◆

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※(店主と友人Kさんの体験談です)
※(プライバシー保護のため地域・固有名詞などは伏せています)


【サ〇コパスな友人】


9月、10月といったら何を思い浮かべますか?
旅行、秋祭り、収穫の季節。
そしてハチの分蜂(ぶんぽう)。巣別れです。

新しい女王とともに旅をはじめる蜂たち ミツバチ、アシナガバチ、スズメバチetc 食べものが豊富だった夏を過ぎると温厚なミツバチも 狂暴化してうっかり移動中の群れに出くわすと刺されたりします。

蜂たちは女王の護衛と飢えで気が立っているのです。
これを覚えておけば危機を回避できると思います。

実際、小学生の時、この習性を知っていたので、土手で遊んでいた時、移動するミツバチの群れから速攻で離れ草むらで身を潜めることでやり過ごした経験があります。

一緒に遊んでいた友達に『逃げよう!』と手を伸ばしたのですが、『ハチはじっとしていたら何もしない』と信じて疑っていませんでした。『夏の後半と秋にその知識は通じない』


そう言ってもかたくなにその場から 動かず、結局、友達だけ全身をミツバチに攻撃される事態となりました。

『なんで!?動いてないのに!じっとしてたのに!』
『新居を探して移動中のハチはイライラしてるんだよ』

『〇〇ちゃん(店主の名前)だけ刺されてないとか!なんで?ひどすぎる!』
『何回も言ったのに、どうして逃げなかったの?』

『〇〇ちゃんひどい!〇〇ちゃんが悪い!』
『…………』

蜂毒でアナフィラキシーを起こす可能性が高かったので、近所の民家で電話を借り、わんわん泣いている彼女の家族へ連絡して車で迎えに来た両親に病院で受診するよう伝えました。

数日後、彼女は蜂毒アレルギーを起こす体質になり、もう一度、蜂毒が体内に入ったら命に関わるとのことでした。

どうして知識の更新ができないのか、何をもって今ある知識が正しいと判断するのか。分別を欠き、今持っている知識を信じる危険性を感じた一件でした。

一緒に逃げておけば、こんな事態も避けられただろうに。
幼い店主からすれば、危機が迫っているその場から動かない友達の方が〔怖い人〕だったのです。


※※※※※


開発で山を切り崩したため、蜂が人里に降りてきて 軒先に巣を作ってしまうことが多くなっています。

店主の実家は古い日本家屋なので、二階の戸袋で二ホンミツバチが巣を作り、蜂蜜が漏れ出してくる 事件が起こったり、会社の防犯カメラにヒメスズメバチが 巣を作ったり、ご近所でも庭木にアシナガバチが大きな巣を構え、駆除の専門家を呼ぶことも日常的に起こっています。

やっかいなのがスズメバチ。土中に巣を作る種類もいて、山でハイキングをしている人たちに襲いかかる。 

学校や公共施設に巣を作ってしまうケースもあります。


※※※※※


『そういう時はバドミントンのラケットを使います』
『……は……?』

家に来ていたKさんが突然スズメバチの撃退法を語り始めました。
この時、別件でKさんから相談を受けていました。

『この間、職場にスズメバチがいて巣を作りかけていたんですよ。学校教員をしていた時に、バドミントン部のラケットで駆除していたのを思い出して、スポーツ施設用のラケットで 結構な数を駆除しました。巣はさすがに業者に頼みましたが』

『ラケットで殴るんですか?危なくないですか?』

『ラケットの網目があるでしょう? あの部分がスズメバチの頭が入るジャストサイズなので、飛んでくるスズメバチを思い切り叩くとですね、首を刈り取ることができるんです』
『……………』

あまりに奇抜な撃退法なので、目を白黒させるしかありません。

『躊躇してはいけません。思いっきり振りぬかないとラケットの網目にスズメバチの頭が挟んだままになるので』
『……それ、危険すぎません?』

『男性数名でラケット持って立ち向かえば、殺虫剤とかの残量気にしなくても、 ほぼ無限にスズメバチの首を刈り取れるんですよ。 あとは落ちた体を踏み潰せばいいだけです』

あはは!と、Kさんは爽やかに笑っていますが、私は湯呑を持ったまま強張るしかありませんでした。
公共施設でラケットを装備し、スズメバチと戦うKさんを想像しましたが、異様としか思えませんでした。

『スズメバチは毒液を目にかけてくるので、眼鏡は必須です。距離をとり、撃退するのにラケットはベストな武器ですよ』

Kさんは十年以上付き合いのある友人です。恐らくこれからも、このひととの縁は続くでしょう。

ですが、たまに思うのです。このひと、もしかしてサイ〇パスなのかしら。

公務員たちがスズメバチに向かってバドミントンのラケットを 振り回している。

これはあくまでも慣れた者が行う緊急対処なので、皆様は専門の駆除業者に電話してください。


※※※※※


※(ここからは【スズメバチと公務員】の追記です)

蜂は種類にもよりますが、こちらが腕を振り回すなど、追い払うリアクションをしなければ大抵は刺したりしないです。

スズメバチは例外で、縄張り意識が非常に強くチンピラのように襲い掛かってきますので 、『カチカチカチ』とクチを鳴らす音が聞こえたら、即、距離を開けてください。

毒液をふきかけてくるので目に入ったら最悪失明することもあります。
夏の終わり、秋、以外でも、6月の長雨の時期になると 蜂類は狂暴化するので、気を付ける方がいいかもしれないです。

Kさんが実践しているバドミントンのラケットで撃退する方法はまったくオススメできませんので。
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