この人以外ありえない

鳳雛

文字の大きさ
3 / 25

3. 逃がさない

しおりを挟む
依(より)は高校教師だ。
そんな人間が人を傷つけたり殺そうとしたりするのはいけないことだろうって?
違うんだよ。
まったく何にもわかっていないね。

******************************

「依先生、お疲れ様です~!」
「お疲れ様です、繋(けい)先生」
宙読(そらよみ)高校、放課後の職員室。
依の机は、同じく高校教師である繋の隣にある。
「このあと職員会議でしたっけ?」
「それなんですけど、テストの採点で先生みんな忙しいということで、明後日に延期になりましたよ」
「マジですか?!よかった~!」
この高校では昨日までテスト期間だった。
テスト翌日の今日になっても、職員室ではすべての教員が採点に追われている。
「ひゃ~、まだまだこんなに採点残ってる…
この後 病院で検診もあんのに…」
「大変です?」
「まあ、そうっすねぇ。地理は2年と3年の選択科目なんで、人数はそこまで多くないっすけど…」
「頑張ってくださいね。それではお先に失礼します」
「はい、おつか…って、ええ?!」
依はカバンを持って席を立つ。
「ちょちょちょ、依先生!テストの採点は…!」
「私の担当分は昨日のうちに終わっています。先ほど他の先生の担当分も手伝いましたので、帰りますね」
「えぇ?!」
依はそう言って職員室を出ていった。

「な、何者なんだよ依先生って…」
「本当よね~」
「教頭先生。依先生、別に答案を持ち帰って家で採点を済ませてきたわけじゃないっすよね?」
「ええ。彼女は昨日のうちに、定時内にすべての採点を終了していたわ。
採点スピードはものすごく速いけど、それでも採点ミスがあったことはないの」
「うっそ…でも依先生って国語教師っすよね?記述の採点もあるし、全学年の全生徒がテストしてる科目なのに…」

******************************

職員用昇降口を出て、依は家路を急ぐ。
「ねぇあの人誰だろう?」
「学校関係者かな?」
「なんかかっこよくない?!」
「ね!美形~!」
校門には背の高い女性が立っていた。
彼女を見て女子生徒たちがそれぞれに話をしている。
「糸(いと)ちゃん?」
「お、依ちゃん来た」
今日の糸は仕事が終わってもすぐ家には帰らず、依の勤務先の前で彼女の帰りを待っていた。
「帰ろ、依ちゃん」
「うん!」
「なーんだ依ちゃんの友だちか~」
「いや彼女じゃん?」
からかう生徒の声がまるで聞こえていないかのように、依は糸の隣を歩き始める。
「人気者だねぇ、依ちゃんは」
「?、そんなことな…!?」
糸は依が隣に来たのを確認すると、彼女の手を握る。
「い、糸ちゃん、ここ外…///」
「ん?」
依が照れているのに対して、糸は自然な表情。
むしろ手をつなぐことができて嬉しそうにしている。
「もう、糸ちゃんってば…///」

******************************

さて。
家に帰るなり依に両手首と両足首を縄で縛られて床に転がされた。
相変わらず、この縄で縛られるのは痛い。
しかも依ちゃんは見かけによらず力が強いから、縛るのも殴るのも全部強い。
小さい頃から空手やってるっていうし、今じゃ全国大会常連校の空手部の顧問だし。

「いーとちゃーん」
「なに?」
「今日はどうして縛られてると思う?」
「わからない」
「んふふ・・・」
依の右手を見ると、一本鞭を持っていた。
え、なに、SM?
「お外であんなにくっついてきて…
そんな可愛い糸ちゃんには、お仕置きだよ?」
「えぇ…」
なんだよその理由…
自分だって手をつなげて嬉しそうにしてたじゃん。
むしろくっついてきたのは依だろ。

うつ伏せにひっくり返されてベルトに手をかけられた。
カチャカチャ
「はぁ、はぁ…//」
「…依ちゃん?」
「っ! ほ、ほら、お仕置き!」
勝手に興奮された。
そしてついにズボンを下ろされ、ついでに下着も降ろされた。
「ふふ、糸ちゃんの可愛いお尻が丸見えだよ…」
「寒い、戻して」
「恥ずかしい?恥ずかしいよね?
この年になって大事なトコロを丸出しだなんて…エッチな気分になってきちゃった?」
「いや別に」
寝起きにズボン脱げてるときあるし。
「・・・もういい。お仕置き始めるんだから」

ヒュッ スパァン!

「うぐっ!」
いきなり尻を鞭で弾かれた。
鋭い痛みが下半身に走る。
これ血出てないかな?
スパァン!
「い"っ!」
スパァン!
「ぐっ…!」
「ふっあははは!!どう?逃げられないでしょ?!
その恥ずかしい格好で反省しなさい!!」
スパァン!
「っく…」
何を反省しろっていうんだ。
鞭を打たれた箇所が熱を持って、まるで奴隷の焼き印を刻まれているような気分だ。
「あっは、濡れちゃった?
ほら、ちゃんと何回打たれたか数えなきゃ終わらないよ?
それとも、"いとちゃん"は数を数えることができないのかなぁ~?」
「・・・」
ちょっと調子に乗りすぎたね。

「依」

「っ!」ビクッ
お尻を出した滑稽な格好のまま、依の顔を見ずに黙らせた。
「自分の方こそ、生徒に愛嬌振りまき過ぎなんじゃない?」
「なっ・・・そんなわけないでしょ!私は教師で…!」
「生徒に『依ちゃん』呼びされてるのかよ」
「そっ、それは…」
表情を見なくても依が動揺しているのがわかる。
「依」
「・・・」
「縄、ほどいてくれるね」
「は、はい…」
手首と足首の縄をほどかれて、下着とズボンを元に戻す。

そして依に迫る。

「こ、来ないで!」
依は逃げるけど、その先は行き止まり。

ガッ

「っ!」
依の肩を壁に押し付けて目を見る。
「依?」
「は、い…//」
「お仕置きが必要なのはどっちかな?」
依の頬を両手で固定して、この体制からも私の視線からも逃げられない依に、長い長いキスをした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

放課後の約束と秘密 ~温もり重ねる二人の時間~

楠富 つかさ
恋愛
 中学二年生の佑奈は、母子家庭で家事をこなしながら日々を過ごしていた。友達はいるが、特別に誰かと深く関わることはなく、学校と家を行き来するだけの平凡な毎日。そんな佑奈に、同じクラスの大波多佳子が積極的に距離を縮めてくる。  佳子は華やかで、成績も良く、家は裕福。けれど両親は海外赴任中で、一人暮らしをしている。人懐っこい笑顔の裏で、彼女が抱えているのは、誰にも言えない「寂しさ」だった。  「ねぇ、明日から私の部屋で勉強しない?」  放課後、二人は図書室ではなく、佳子の部屋で過ごすようになる。最初は勉強のためだったはずが、いつの間にか、それはただ一緒にいる時間になり、互いにとってかけがえのないものになっていく。  ――けれど、佑奈は思う。 「私なんかが、佳子ちゃんの隣にいていいの?」  特別になりたい。でも、特別になるのが怖い。  放課後、少しずつ距離を縮める二人の、静かであたたかな日々の物語。 4/6以降、8/31の完結まで毎週日曜日更新です。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...