モフモフと骸骨と!貴族令息になりました。

toranon

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1歳の誕生日 1

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 新たな人生が始まって、何ヵ月過ぎただろう。
 僕は赤ちゃんから少し進化した。寝たきりからハイハイを経て、ようやく最近歩けるようになったところだ。
 とはいえ、まだフラついて危ないから、柔らかい絨毯の敷かれている所だけしか歩けない。体力もまだ無いから、屋敷の探検が全然出来ていないのが残念。
 でも、お兄ちゃんが探検ごっこと称して、子供部屋の中や廊下を手を繋いで歩いてくれる。そんな優しいお兄ちゃんが大好きだ。
 そういえばもう午後なのに、今日はまだ来てないな……。いつもだったら何回も遊びに来てくれるのに。具合悪いのかな?

「ひー、てー?」
 
 フィー、ちょっと来て欲しい。

「はい、アレン様。どうしたのですか?」

 フィーが近くに来てくれる。発音が出来なくても、言葉が足らなくても、ちゃんと分かってくれる、優秀なメイドだ。

「にーに、ない?」

 お兄ちゃん、今日遊べないの?

「クリス様ですね。今日は用事があって遊べないみたいです。でも夜には会えますから、楽しみにしててくださいね。」

 そっか遊べないのか、残念……。シューンと落ち込んで、もう何もしたくない。柔らかい絨毯にゴロンと寝ころび、天井を見上げ全てを放棄した。

「あらあら、落ち込んでしまったんですか?そうですね……。良ければ、私とどこか行きたい所へ行くのはどうでしょう?」

 お子様の相手は大変だなぁーとボンヤリ考える。……あぁ、僕か。んー、行きたい所……?
 上手く言えないから、外に向けて指を指した。これで分かるかな?

「外に行きたいのですね。では、庭に綺麗な花が咲いてますから、それを見に行きましょうか?」

 フィーの提案に、こうしちゃ居られないとすぐに立ち上がる。早く行こうと、フィーの足に抱きついた。

「フフッ。はい、行きましょうね。」

 フィーの腕に抱かれて、庭へと出発。屋敷が広いから、庭へ行くのも時間がかかる。今の僕の足で歩いたら何日かかるやら……。怖いので考えるのは辞めよう。
 道中、会うたびにメイド達が声を掛けてくれる。

「アレン様、こんにちはー。」
「可愛いですねー。」
「お出かけですかー?」

 何かアイドルになった気分で、手を振った。前世は冴えない顔だったから、皆の反応がすごく新鮮に感じる。確かに鏡を見たら可愛らしい顔してたもんな。もちろん大好きなお兄ちゃんに似てたから気に入ってる。

「アレン様、これおやつにどうぞ。」

 後から走って来たメイドが、小さいクッキーが幾つか入った袋をくれた。
 美味しそう!あっ、ちゃんとお礼をしなければ。

「あーと。」

 ありがとう。
 メイドに向かってペコリと頭を下げる。メイドは胸元を抑えて悶えた。

「はぅっ、アレン様天使!尊過ぎますー!」

 んーと……?僕のファンなのかな?困惑していると、フィーが目を輝かせ、メイドの肩に手を置いた。

「分かるわ。今度一緒にアレン様について語りましょう!」
「はい!」

 メイドは蕩けた笑みを浮かべ、スキップしながら戻って行った。フィーを見ると、笑顔でグッドサインをした。

「アレン様は大人気なので、ファン多いんですよ。もちろん、私が一番のファンですけどね。」

 フフンとドヤ顔したフィーは、お姉さんなのに可愛い。まぁ、たくさんの人に好かれているなら悪い気はしないかな。
 そうこうファンサービスするうちに、ようやく庭にある噴水までやって来た。家にこんなに大きな噴水があるとは、さすが公爵家だ。
 噴水の縁へ座り、チャプンと水の中へ手を入れてみる。はー、ひんやりして気持ちが良い。

「お菓子をどうぞ。」

 フィーが手を拭いて、袋を開けたクッキーを渡してくれる。1つ取り出し、パクッと口に入れた。

「んー!」

 口の中でホロホロと溶ける。形は少し違うけど、これは前世でもあった赤ちゃん用クッキーだ!美味しい!3つ続けてパクパク食べて、ふと手を止めた。

「どうしました?」

 フィーが不思議そうにアレンを見つめる。アレンはクッキーが2つ残った袋を持ち、フィーに差し出した。

「にーに。」

 美味しいから、お兄ちゃんにも食べて欲しい。

「クリス様にも食べて欲しいのですね。私が預かって、後でお返しします。」

 コクリと頷いて返事した。さすがフィー、意志疎通がスムーズで助かる。
 腹ごしらえを終えて、今度は自らの足で目的地へ。フィーと手を繋ぎ、ヨチヨチ歩く。頑張ってハーハー言いながら歩くこと数分。振り返ると噴水がすぐそこにあった。
 少ししか進んでない!?なんて事だ!早く足長くなりたい……。
 赤ちゃんの歩幅に愕然としたものの、チラッと見えてる花の所までは自力で行きたい!
 意地になりヨチヨチと歩みを進め、何とかたどり着いた。もう、一歩も動けない!足がプルプル震え、フルマラソンを完走したかの様な疲労感が襲う。

「アレン様、偉いです!よく頑張りましたね。」

 フィーに頭を撫でられて、達成感に満足の笑顔になった。そして改めて目の前に広がるオレンジ色の花々を見た。
 わぁー!マリーゴールド、こんなにたくさん!綺麗だなー。
 
「綺麗ですね。マリーゴールドという花ですよ。」
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