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1歳の誕生日 2
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前の世界と名前は同じだ。前世から一番好きな花なんだよね。
花に顔を近づけ、スゥと息を吸い込む。フワッと優しい甘い香りがして、頬が緩んだ。
このマリーゴールド少し取っても大丈夫かな?
「ひー、にーに。」
フィー、綺麗な花だからお兄ちゃんにプレゼントしたい。
「クリス様にプレゼントしたいのですね。大丈夫ですよ。」
フィーは近くにいた庭師のおじさんに声をかける。少し話をした後、ハサミを持って来てくれた。
「こんにちは、坊っちゃん。どれを切りますか?」
綺麗に咲いているマリーゴールドを3本選び、指を差して伝えた。
「ちょっとお待ちくださいね。」
庭師のおじさんは花をハサミで切り、長さや葉を整えてから、アレンに渡した。
「あーと。」
ありがとう。
庭師のおじさんは大きな手でアレンの頭をポンポンすると、仕事へ戻って行った。
「アレン様。部屋へ戻って、お花のラッピングしましょうか?」
「あい!」
花を持った僕をフィーに抱っこしてもらう。もう疲れて一歩も動けないから良かった。僕が花を持って可愛いらしさが上がったからか、声をかけてくれるメイド達が行きより増えた。ファンサービスして部屋へ戻ると、疲れで少し眠くなってきた。
「アレン様、この中からリボンを選んでください。」
カラフルなリボンが入った箱から、花と同じオレンジ色のリボンを選んだ。
「お花はお預かりしますから、お休みになってください。」
「んー……。」
フラフラしてるアレンを抱き上げ、ベッドへ運ぶと布団をかけた。気を抜くとすぐ夢の中へ入っていった。
コンコン。
「クリス様、中へどうぞ。」
「ありがとう。アレン~……、ねてるのか。」
部屋へ入ると、ベッドには天使の様な可愛い寝顔のアレンが居た。
クリスはベッドの端へ座り、アレンの頭を優しく撫でた。
今日は遊べなかったから、寂しかったかな……?
「きょうはアレンどうだった?」
隣に来たフィーに今日の様子を尋ねた。
「午前中はいつものように遊んでいましたが、午後になるとクリス様が今日遊べるかお聞きになり、来れないと分かると床に寝ころんでしまいました。」
「床に?」
「ええ、落ち込んで何もしたくないと。なので、行きたい所に行きませんかと言うと、外に行きたいと指差されたので、庭に花を見に行きました。頑張って噴水から花のある所まで歩いていましたよ。」
「そうか、それでぐっすりねてるんだね。」
僕も遊べなくて寂しかったよ。でも今日は大事な用事だったから。アレンに喜んで欲しくて、頑張ったんだよ。
アレンの柔らかい頬を人差し指でツンツンつついた。
アレンはあまり泣かないし、色んな事を分かってる。多分普通の赤ちゃんじゃないと思う。でも、僕の弟だから、僕がアレンを守るんだ。
「うぅ……。」
アレンは苦しそうに唸り声を上げ、涙がツゥーと横へ流れた。
「アレン、だいじょうぶだよ。おにいちゃんがいるからね。」
フィーから受け取ったハンカチで、そっとアレンの涙を拭いた。
「――奈津、大丈夫か?」
「え……?拓也さん?」
目の前には何度も来た見慣れた海。そして少し若い頃の夫、拓也さんが居た。
あれ?何で?私は……。
「暑いから少し休もう。」
拓也さんに手を引かれ、砂浜に腰を下ろした。
「大丈夫か?もしかして最近酷いのか?」
「それは変わらないから大丈夫だよ。少し暑いだけだから。」
「そうか。」
この頃の拓也さんはまだ優しくて、私を気にかけてくれていた。
家族の差別は子どもの頃から変わらない。親は妹だけを大切にして私は居ないかのように扱う。必要最低限のみ会話したりするだけで、妹は私を無視する。それが小さい時から続き、すごく辛かった。
渡されたスポーツドリンクを少し飲み、拓也さんに返した。
「なぁ奈津。俺は奈津が好きだよ。大切にしたい。だから、結婚してくれないか?」
受けたらダメ!その先はもっと辛いんだよ!涙が溢れて、流れていく。
「うん、うんっ嬉しい。よろしくお願いします……。」
口が勝手に動き、プロポーズを受けた。そうだ、この時は確かに嬉しかった。救われると思った。でも、実際はもっと辛くなっただけだ。もし戻れるなら、プロポーズは断って、家族からも逃げるだろう。
私は死んだんだ。だからもう貴方にも家族にも会わない。そう、僕は……。
「――アレン、おきて。おにいちゃんきたよー。」
……え?お兄ちゃん!
「にーに!」
ガバッと起き上がり、ベッド横に居るお兄ちゃんにギュッと抱きついた。
今日会えなかったから、寂しかったよ!
「あはは、きょうこれなくてごめんね。」
来てくれて、ギュウもしてくれたから良いよ。上手く言えないから、ニコッと笑ったら、分かってくれてみたいで微笑んでくれた。
あっ、大変だ!プレゼント!
慌ててフィーを見た。
「ひー!にーに!」
「はい、すぐに持って来ますね。」
早く早く!お兄ちゃん行っちゃうかもしれない!
フィーを待つ間落ち着かなくてピョンピョンしてしまった。
「アレン様、お待たせしました。」
綺麗にラッピングされた花と、袋を整えたクッキーを両手で受けとる。そしてそれをお兄ちゃんに手渡した。
花に顔を近づけ、スゥと息を吸い込む。フワッと優しい甘い香りがして、頬が緩んだ。
このマリーゴールド少し取っても大丈夫かな?
「ひー、にーに。」
フィー、綺麗な花だからお兄ちゃんにプレゼントしたい。
「クリス様にプレゼントしたいのですね。大丈夫ですよ。」
フィーは近くにいた庭師のおじさんに声をかける。少し話をした後、ハサミを持って来てくれた。
「こんにちは、坊っちゃん。どれを切りますか?」
綺麗に咲いているマリーゴールドを3本選び、指を差して伝えた。
「ちょっとお待ちくださいね。」
庭師のおじさんは花をハサミで切り、長さや葉を整えてから、アレンに渡した。
「あーと。」
ありがとう。
庭師のおじさんは大きな手でアレンの頭をポンポンすると、仕事へ戻って行った。
「アレン様。部屋へ戻って、お花のラッピングしましょうか?」
「あい!」
花を持った僕をフィーに抱っこしてもらう。もう疲れて一歩も動けないから良かった。僕が花を持って可愛いらしさが上がったからか、声をかけてくれるメイド達が行きより増えた。ファンサービスして部屋へ戻ると、疲れで少し眠くなってきた。
「アレン様、この中からリボンを選んでください。」
カラフルなリボンが入った箱から、花と同じオレンジ色のリボンを選んだ。
「お花はお預かりしますから、お休みになってください。」
「んー……。」
フラフラしてるアレンを抱き上げ、ベッドへ運ぶと布団をかけた。気を抜くとすぐ夢の中へ入っていった。
コンコン。
「クリス様、中へどうぞ。」
「ありがとう。アレン~……、ねてるのか。」
部屋へ入ると、ベッドには天使の様な可愛い寝顔のアレンが居た。
クリスはベッドの端へ座り、アレンの頭を優しく撫でた。
今日は遊べなかったから、寂しかったかな……?
「きょうはアレンどうだった?」
隣に来たフィーに今日の様子を尋ねた。
「午前中はいつものように遊んでいましたが、午後になるとクリス様が今日遊べるかお聞きになり、来れないと分かると床に寝ころんでしまいました。」
「床に?」
「ええ、落ち込んで何もしたくないと。なので、行きたい所に行きませんかと言うと、外に行きたいと指差されたので、庭に花を見に行きました。頑張って噴水から花のある所まで歩いていましたよ。」
「そうか、それでぐっすりねてるんだね。」
僕も遊べなくて寂しかったよ。でも今日は大事な用事だったから。アレンに喜んで欲しくて、頑張ったんだよ。
アレンの柔らかい頬を人差し指でツンツンつついた。
アレンはあまり泣かないし、色んな事を分かってる。多分普通の赤ちゃんじゃないと思う。でも、僕の弟だから、僕がアレンを守るんだ。
「うぅ……。」
アレンは苦しそうに唸り声を上げ、涙がツゥーと横へ流れた。
「アレン、だいじょうぶだよ。おにいちゃんがいるからね。」
フィーから受け取ったハンカチで、そっとアレンの涙を拭いた。
「――奈津、大丈夫か?」
「え……?拓也さん?」
目の前には何度も来た見慣れた海。そして少し若い頃の夫、拓也さんが居た。
あれ?何で?私は……。
「暑いから少し休もう。」
拓也さんに手を引かれ、砂浜に腰を下ろした。
「大丈夫か?もしかして最近酷いのか?」
「それは変わらないから大丈夫だよ。少し暑いだけだから。」
「そうか。」
この頃の拓也さんはまだ優しくて、私を気にかけてくれていた。
家族の差別は子どもの頃から変わらない。親は妹だけを大切にして私は居ないかのように扱う。必要最低限のみ会話したりするだけで、妹は私を無視する。それが小さい時から続き、すごく辛かった。
渡されたスポーツドリンクを少し飲み、拓也さんに返した。
「なぁ奈津。俺は奈津が好きだよ。大切にしたい。だから、結婚してくれないか?」
受けたらダメ!その先はもっと辛いんだよ!涙が溢れて、流れていく。
「うん、うんっ嬉しい。よろしくお願いします……。」
口が勝手に動き、プロポーズを受けた。そうだ、この時は確かに嬉しかった。救われると思った。でも、実際はもっと辛くなっただけだ。もし戻れるなら、プロポーズは断って、家族からも逃げるだろう。
私は死んだんだ。だからもう貴方にも家族にも会わない。そう、僕は……。
「――アレン、おきて。おにいちゃんきたよー。」
……え?お兄ちゃん!
「にーに!」
ガバッと起き上がり、ベッド横に居るお兄ちゃんにギュッと抱きついた。
今日会えなかったから、寂しかったよ!
「あはは、きょうこれなくてごめんね。」
来てくれて、ギュウもしてくれたから良いよ。上手く言えないから、ニコッと笑ったら、分かってくれてみたいで微笑んでくれた。
あっ、大変だ!プレゼント!
慌ててフィーを見た。
「ひー!にーに!」
「はい、すぐに持って来ますね。」
早く早く!お兄ちゃん行っちゃうかもしれない!
フィーを待つ間落ち着かなくてピョンピョンしてしまった。
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