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公爵と執事
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サプライズでの誕生日パーティーは、アレンの満面の笑顔で終わりを迎えた。
もう夜も遅くなり、クリスとアレンは先に部屋へと戻る。
使用人達も片付けは明日する事とし、各々部屋や家へ帰って行く。
最後に残ったグランとヘレナは、アレンの様子で気になった事を話す為、執務室へと移動し、仲良く2人掛けの椅子に座った。
「アレンは他の子とは少し、違うかもしれないわね。」
「そうだな、俺もそう思う。まだ1歳だというのに、何か心に抱えているような感じがある。」
「そうね、何かアレンの為に出来ないかしら……?」
悲痛な表情のヘレナをグレンは優しく抱き締めた。
「俺達でたっぷり愛情を注いであげよう。そうしたらきっと大丈夫だよ。」
「そうね。クリスと一緒にたくさん抱き締めて、たくさん大好きだって伝えるわ。あの子達が寝る前に早速今日からやらなくちゃ!」
明るい表情に戻ったヘレナは、スッと立ち上がり執務室から飛び出して行った。
「ハハッ!もうヘレナは可愛いなぁ。」
1人残されたグレンは、ヘレナの可愛いさにキュンとさせられて笑っていた。
その頃、執事のセバスは見回りを終え、執務室へ向かっていた。
今日も問題無く終わった。屋敷の結界も……、正常に展開されてるなっと。さて、うちの公爵様に報告しないと。
コンコンとノックをして、執務室へ入った。
「旦那様、本日もお疲れ様でした。」
セバスは人の良い顔で微笑み、お辞儀をした。
「お疲れさん、ホーク。」
これは俺に執事セバスから友人ホークに戻れという合図。
ホークは変装用の顔とウィッグを外すと、グレンと同じ年の整った顔が現れた。そして、グレンの向かいの椅子に腰を下ろす。
セバスの正体は、グレンとヘレナ、フィーだけしか知らない。
「何かあったのか?」
表情の暗いグレンにホークはいつもの口調で話し掛けた。
グレンとは子どもの頃からの付き合いで、悩んでいる時はすぐ分かる。
「アレンの事だ。あの子は他の子とはどこか違っていて、心に抱えているものがあるようなんだ。何か見たり聞いたりしたか?」
ああ、その事か……。
俺は元暗殺者だ。それ故に色々出来る。『鑑定』『読心』もそのうちだ。
ちなみに、暗殺成功率は99%。1%はグレンの暗殺依頼だったから、依頼者の方を消してしてやったけどな。
暗殺者を引退したのは年齢もあるが、グレンに子どもが産まれて屋敷の護衛を頼まれたからだ。
俺って意外とグレン好きだよな……。
「ああ。色々見えたし、聞こえたよ。」
「やはりそうか。どんな事か教えてくれないか?」
あー……、でも言ったらコイツ、アレンに対してぎこちなくなりそうなんだよな……。
グレンは子どもを思う親の真剣な目でホークを見つめた。
ホークは溜め息をつくと、グレンの目を見て話した。
「いずれ分かるだろうから、そのままのアレンを見てやった方が良い。知らない方がお前のアホっぽさとか、良さが出るからな。今のあの子にはそれが必要だろう。」
普段ならすぐ教えてくれるホークが言わない事にグレンは驚きの表情になる。もう長い付き合いだ。それほどの内容だと言ってるようなもので、追求する事は諦めた。
「アホは酷いだろ。……それによって、アレンの命や心身に影響はあるか?」
ホークは少し目を伏せ、見た内容を思い出す。
他人に知られるとマズイものはある。だが俺並みの『鑑定』が使える奴なんてそう居ないから大丈夫だろう。
後は魔法だな。アレン自身が魔法を使える事に気付いたら、家庭教師を付けるようにグレンに言おう。何なら俺が教えても良い。すぐに魔力が暴走する事はないから、これも問題無いな。
ホークは片方だけ口角を上げて、グレンに言った。
「まぁ、影響無いだろうな。」
「そうか、それなら良い。だが引き続きアレンの様子は見てくれよ。」
「ああ、分かってるさ。」
グレンはハァーと安堵の溜め息とともに脱力する。そんなグレンを見てホークは思い出し笑いをした。
「あの子良いな。見えたのもそうだが、考えてる事が面白いぞ。もっと話せるようになったら楽しいだろうな。」
「お前だけ楽しんでずるいぞ!」
悔しがるグレンに「ハハハッ」と楽しそうに笑うホーク。
ハッと何か思い付いたグレンはニヤリと悪い笑みを浮かべた。
「そうだホーク。あの子とはどうなってるんだ?」
コイツ、イジろうとしやがって……。ニヤニヤ顔を見せられてイラっとした。そんな事で俺は動揺したりしないんだよ!
「……程々に可愛いがってるよ。」
なんせまだまだ子どもだからな。ゆっくりやるさ。フィーの可愛い顔が頭に浮かび、軽く頬が緩んでしまった。
「ほぉー。女の子に一切興味持たなかったお前がねぇ。やっぱりフィーは特別なんだねぇ。」
フィーは孤児で、暗殺ギルドが拾い暗殺者として育てた。技術は優秀だが、優しい性格が暗殺に向いていない。俺に懐いていたのもあって、ここに来る時一緒に連れてきた。今はメイド兼護衛としてアレンの側にいるが、今後の事も考えるとフィーが適任だな。
「うるせぇ、その顔やめろ。」
ムカつくグレンの頭をバシバシ叩いた。グレンは両腕を上に揚げて頭をガードする。
「痛っ、痛いよホーク!教えてくれないんだから、少し位お返ししても良いだろ!もうセバスに戻って!」
涙目になったグレンは文句を言った。ホークは叩く手を止め、何も無い空間からワインとグラスを2つ取り出し、テーブルに置いた。
「嫌だね!まだお前で遊んでやる!ほら、ワイン持って来てやったんだから飲め、アホグレン。」
「うわ~ん、ホークがいじめるよ~!……でもありがとう。」
グレンはホークが優しいのを子どもの頃から知っている。グレンはパアッと明るい笑顔になった。
ポヤっとしやがって。昔から変わらねぇな。仕方がない、これからも面倒見てやるか。
ホークは溜め息ついて、グレンと乾杯したのだった。
もう夜も遅くなり、クリスとアレンは先に部屋へと戻る。
使用人達も片付けは明日する事とし、各々部屋や家へ帰って行く。
最後に残ったグランとヘレナは、アレンの様子で気になった事を話す為、執務室へと移動し、仲良く2人掛けの椅子に座った。
「アレンは他の子とは少し、違うかもしれないわね。」
「そうだな、俺もそう思う。まだ1歳だというのに、何か心に抱えているような感じがある。」
「そうね、何かアレンの為に出来ないかしら……?」
悲痛な表情のヘレナをグレンは優しく抱き締めた。
「俺達でたっぷり愛情を注いであげよう。そうしたらきっと大丈夫だよ。」
「そうね。クリスと一緒にたくさん抱き締めて、たくさん大好きだって伝えるわ。あの子達が寝る前に早速今日からやらなくちゃ!」
明るい表情に戻ったヘレナは、スッと立ち上がり執務室から飛び出して行った。
「ハハッ!もうヘレナは可愛いなぁ。」
1人残されたグレンは、ヘレナの可愛いさにキュンとさせられて笑っていた。
その頃、執事のセバスは見回りを終え、執務室へ向かっていた。
今日も問題無く終わった。屋敷の結界も……、正常に展開されてるなっと。さて、うちの公爵様に報告しないと。
コンコンとノックをして、執務室へ入った。
「旦那様、本日もお疲れ様でした。」
セバスは人の良い顔で微笑み、お辞儀をした。
「お疲れさん、ホーク。」
これは俺に執事セバスから友人ホークに戻れという合図。
ホークは変装用の顔とウィッグを外すと、グレンと同じ年の整った顔が現れた。そして、グレンの向かいの椅子に腰を下ろす。
セバスの正体は、グレンとヘレナ、フィーだけしか知らない。
「何かあったのか?」
表情の暗いグレンにホークはいつもの口調で話し掛けた。
グレンとは子どもの頃からの付き合いで、悩んでいる時はすぐ分かる。
「アレンの事だ。あの子は他の子とはどこか違っていて、心に抱えているものがあるようなんだ。何か見たり聞いたりしたか?」
ああ、その事か……。
俺は元暗殺者だ。それ故に色々出来る。『鑑定』『読心』もそのうちだ。
ちなみに、暗殺成功率は99%。1%はグレンの暗殺依頼だったから、依頼者の方を消してしてやったけどな。
暗殺者を引退したのは年齢もあるが、グレンに子どもが産まれて屋敷の護衛を頼まれたからだ。
俺って意外とグレン好きだよな……。
「ああ。色々見えたし、聞こえたよ。」
「やはりそうか。どんな事か教えてくれないか?」
あー……、でも言ったらコイツ、アレンに対してぎこちなくなりそうなんだよな……。
グレンは子どもを思う親の真剣な目でホークを見つめた。
ホークは溜め息をつくと、グレンの目を見て話した。
「いずれ分かるだろうから、そのままのアレンを見てやった方が良い。知らない方がお前のアホっぽさとか、良さが出るからな。今のあの子にはそれが必要だろう。」
普段ならすぐ教えてくれるホークが言わない事にグレンは驚きの表情になる。もう長い付き合いだ。それほどの内容だと言ってるようなもので、追求する事は諦めた。
「アホは酷いだろ。……それによって、アレンの命や心身に影響はあるか?」
ホークは少し目を伏せ、見た内容を思い出す。
他人に知られるとマズイものはある。だが俺並みの『鑑定』が使える奴なんてそう居ないから大丈夫だろう。
後は魔法だな。アレン自身が魔法を使える事に気付いたら、家庭教師を付けるようにグレンに言おう。何なら俺が教えても良い。すぐに魔力が暴走する事はないから、これも問題無いな。
ホークは片方だけ口角を上げて、グレンに言った。
「まぁ、影響無いだろうな。」
「そうか、それなら良い。だが引き続きアレンの様子は見てくれよ。」
「ああ、分かってるさ。」
グレンはハァーと安堵の溜め息とともに脱力する。そんなグレンを見てホークは思い出し笑いをした。
「あの子良いな。見えたのもそうだが、考えてる事が面白いぞ。もっと話せるようになったら楽しいだろうな。」
「お前だけ楽しんでずるいぞ!」
悔しがるグレンに「ハハハッ」と楽しそうに笑うホーク。
ハッと何か思い付いたグレンはニヤリと悪い笑みを浮かべた。
「そうだホーク。あの子とはどうなってるんだ?」
コイツ、イジろうとしやがって……。ニヤニヤ顔を見せられてイラっとした。そんな事で俺は動揺したりしないんだよ!
「……程々に可愛いがってるよ。」
なんせまだまだ子どもだからな。ゆっくりやるさ。フィーの可愛い顔が頭に浮かび、軽く頬が緩んでしまった。
「ほぉー。女の子に一切興味持たなかったお前がねぇ。やっぱりフィーは特別なんだねぇ。」
フィーは孤児で、暗殺ギルドが拾い暗殺者として育てた。技術は優秀だが、優しい性格が暗殺に向いていない。俺に懐いていたのもあって、ここに来る時一緒に連れてきた。今はメイド兼護衛としてアレンの側にいるが、今後の事も考えるとフィーが適任だな。
「うるせぇ、その顔やめろ。」
ムカつくグレンの頭をバシバシ叩いた。グレンは両腕を上に揚げて頭をガードする。
「痛っ、痛いよホーク!教えてくれないんだから、少し位お返ししても良いだろ!もうセバスに戻って!」
涙目になったグレンは文句を言った。ホークは叩く手を止め、何も無い空間からワインとグラスを2つ取り出し、テーブルに置いた。
「嫌だね!まだお前で遊んでやる!ほら、ワイン持って来てやったんだから飲め、アホグレン。」
「うわ~ん、ホークがいじめるよ~!……でもありがとう。」
グレンはホークが優しいのを子どもの頃から知っている。グレンはパアッと明るい笑顔になった。
ポヤっとしやがって。昔から変わらねぇな。仕方がない、これからも面倒見てやるか。
ホークは溜め息ついて、グレンと乾杯したのだった。
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