モフモフと骸骨と!貴族令息になりました。

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魔法発現? 2

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「あっ、フィーさん!ちょっと助けてくれませんか?」

 空けていた扉から、メイドがフィーに声を掛けてきた。
 
「良いわよ。アレン様、少し離れます。すぐ戻りますから、ここに居てくださいね。」
「うん。」

 僕は良い子だから、勝手にウロウロしたりはしないよ。
 さて、もう1つ食べようかな。マドレーヌを取ろうと手を伸ばした時、コンと小さい音がして、グラスが肘に当たったことに気付く。

「あっ!」

 グラスが傾き、テーブルから床へと落ちていく。
 割れる!と思いギュッと目を瞑った。しかし、聞こえてきたのは予想外の音、『ドプン』だった。
 ……ん?ドプン……?
 目を開けると、落ちた筈のグラスが見当たらない。その場所には僕の影しかなかった。

「ええ……?」

 グラスが消えてしまった不思議な現象に、首を傾げるしかない僕。
 もう一度影を見ると、何故か影の表面が波打っている。

「なに、これ……?」

 影の横にしゃがんで指でつつく。つついたところが波紋のように広がり、水の様だ。
 恐る恐る右手を入れて中を探るも何も無い。水を触っているような感覚はある。手を影から出すと、全く濡れていなかった。
 さすがに顔を入れる勇気は無い。不思議だけど、グラスはどこ行ったの……?

「フィーさん、助かったわ!」

 さっきのメイドの声が聞こえてきた。
 フィーが戻って来ちゃう!どうしよう!
 もう一度影に手を入れバシャバシャと中を探した。
 グラスグラス!無くしたら怒られちゃうよ!
 手に当たった固い物を影から取り出した。

「あったー!」

 謎の影から救出したグラスは、ジュースが無くなって、洗い立てのように綺麗になっていた。

「困ったら言ってね。1人より2人の方が早く終わるから。」

 もうすぐそこだ!慌ててグラスをテーブルに置き、ピシッと姿勢良く椅子に座った。

「分かったわ、ありがとう。」

 フィーが部屋へ入ると、アレンは不自然に姿勢が良く、緊張した表情だった。

「アレン様……?何かありましたか?」

 フィーは目を高速で動かし、どこか変わった所はないか探る。が、特に変なところは無かった。おかしいのはアレンの様子だけだ。
 
「えっとぉ……、いいこ、れんしゅー。」

 実際僕は何も悪いことはしてない。グラスは割れてないし。影は良く分からないけど、それで何かしたわけでもない。
 でも何かいけないことをしてる感じがするのは何なのだろうか。
 さすがにこれで誤魔化すのは無理かな……。

「まぁ、姿勢を良くする練習をしているのですね、偉いです!そんな偉いアレン様にはもう1杯ジュースを持ってきますね!」

 フィーがルンルンした様子で、綺麗になってしまったグラスを持って、ジュースを取りに行った。

「はぁ~~。」

 アレンは長い溜め息をつく。どうにかなって良かった。
 下の影を見ると、今は普通だ。足で影を踏んでみても、絨毯の感触しかない。
 条件があるとか?マドレーヌを手に取り、影の横にしゃがむ。影に入れたいと頭の中で思いながら、マドレーヌをソッと置いてみた。
 マドレーヌは、スウっと水の様になった影の中に沈んでいく。
 今度は出したいと思いながら影に手を入れ、触れた物を取り出すとマドレーヌだった。

「おぉ~!」

 これは使いたい時に使える『空間収納』っぽい?
 マドレーヌを1口で食べ、モグモグしながら考える。
 もしかしたらこれは魔法なのかも。魔法の本を調べたら何か分かるかもしれない。
 でも、分からない内は誰にも言わないでおこう。変なものだったら捨てられちゃうかもしれない……。
 アレンは首を左右に振り、嫌な考えを振り払う。と、とにかく先ずは調べよう!

 翌日、フィーに頼み図書室へ連れてきてもらった。
 そして当たり前のように絵本エリアに案内されたわけだけど。今日来た目的は違うの!

「まほう、ほん、よみゅ!」
「魔法の本ですか?残念ですが、アレン様にはまだ早いです。もっと大きくなったら読みましょうね。」

 そんな、年齢制限があるの!?僕は今調べたい事があるのに!
 不満顔をしてみるものの、フィーに効かなかった。本当にダメらしい。
 調べられないとなると、先生にでも聞いてみるかな……。

「アレン様、魔法使いの出てくる絵本ならありますよ。探しますね。」

 フィーが離れた棚を見に行った隙に、影の検証をしてみることにした。
 棚の下の段1列分をドンドン入れていく。すると、20冊が全部入った。
 影に手を入れ動かしても本は触れない。かなり入ったのに、まだ余裕あるって事かな?
 さらに3冊追加で入れたところで、フィーの足音が聞こえてくる。
 急いで本を取り出しては棚に戻しを繰り返す。

「アレン様、お待たせしました。魔法使いの出てくる絵本は5冊ありましたよ。気になる絵本はありましたか?」

 丁度最後の本をスッと棚に納め、フィーを見上げた。

「ううん。」
「そうですか。でしたら、部屋へ戻りましょうか。」
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