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第一章

追放の打ち上げと新しい仕事の音

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 追放部門最初の案件が終わった

 僕らは追放部門の部屋に帰ってきた
 これから追放成功の簡単な打ち上げ兼お昼ご飯である
 先ほど各部門の隊長達に囲まれた際、購買部門の隊長に注文をしておいたのだ
 僕は仕事が出来る男である
 部屋に帰って来たら簡単なオードブルと飲み物がテーブルの上に置いてあった
 購買部門仕事が早すぎないか?!
 仕事が出来ると抜かした自分が恥ずかしい・・・
 とりあえず会議室から持ち帰った書類などを各自で片付けて・・・
 打ち上げを始めよう!

 僕がニーナとラビヤーにコップを持たせて飲み物を注ごうとすると

「私がやりますよぉ!」
「隊長は座っててください」

 と止められた

「いや、ここは僕にやらせてくれないか
 僕一人じゃステーレンを追放するところまで漕ぎ着けることは出来なかったからね」
「そこまでおっしゃるなら・・・」

 二人を言い聞かせコップを持たせる
 この後まだ仕事が残っているのでジュースにしておいた
 追放の時の議事録とか改善点とかシルバさんへの感謝の手紙とかいろいろやらないといけないが
 少しくらいいいだろう
 ニーナにコップにジュースを注ぎながら声を掛ける

「ニーナ、君の書類仕事で大いに助かった
 計算も早いし・・・
 特に回復部門に記録が残ってるんじゃないかと言った時には大変驚いた
 あれは助かったよ、ありがとう」
「マークさぁん・・・!」
「ただドジは治していかないとね」
「マークさぁん!!!!」
「あははは!」

 ニーナがぷりぷりと怒っている
 めんどくさい書類仕事もニーナのおかげで楽しくできたし
 いい子だなぁ
 さて次はラビヤーの番だ

「ラビヤー君の情報収集見事だった
 最初は君の悪癖の影響が調査に影響が出てしまうんじゃないかと不安だったけど
 そんな不安を吹き飛ばしてしまういい仕事っぷりだった
 ヴェレツを見つけられたのも君のおかげだ、ありがとう」
「いえ、自分でもいつ悪癖が出てしまうか不安でした
 しかし隊長が仕事の後にスイーツを用意してくれたりとか足音の出辛い新しい装備を支給してくれたからです
 おかげで仕事も楽でしたしメンタルもしっかりケアされました
 こちらこそありがとうございます」
「あれは美味しかったですよねぇ~
 疲れてるところに反則ですよぉ」
 
 ラビヤーがまた耳をぴくぴくさせている
 あれは兎人特有の感情表現なのだろうか

 部門員が仕事をしやすいように環境を整えるのも隊長の仕事である
 それが褒められるとちょっとむず痒いなぁ
 嬉しい

 二人のコップに飲み物が注がれたのを確認する
 僕は残った瓶でいいか
 そう思ったら二人に瓶を奪われてコップを渡され飲み物を注がれた
 気恥ずかしい・・・
 照れ隠しに乾杯の音頭を取ろう

「じゃあそろそろ・・・乾杯と行こうか!」

 3人で顔を見合わせる
 乾杯のためにコップを高く上げようとした次の瞬間


 ドォーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!


 どこからか爆発音が鳴り響いた
 ニーナが音に驚いてコップを放り投げる
 何故か僕のほうに
 身構えたがラビヤーがキャッチしてくれて僕は濡れずに済んだ
 助かった・・・
 それよりも

「なんだ今の爆発音?!」
「びっくりしましたぁ・・・」
「敵襲?じゃ・・・無いですよね・・・」

 部屋の外で他のギルド員が慌ただしくしてる様子が聞こえる

「今のなんだ?!」
「爆発音がしたぞ!」
「開発部門の方から聞こえた!」
「またあいつがポーション開発に失敗したのか?!」
「でもなんでポーションが爆発するんだよ!!」
「知るか!それよりも俺は負傷者がいないか確認しに行く!お前は回復部門から人を呼んできてくれ!」

 と・・・

 そう言えば開発部門には・・・
 僕は自分の机に向かう
 ポケットから鍵を取り出し机のカギのかかった引き出しを開ける
 中から一枚の紙を取り出した

「やっぱり・・・」

 ニーナとラビヤーが不思議そうに僕を見る
 僕は持っていた書類を二人に見せた
 それは各部門の隊長から聞き出した『追放したい奴リスト』だ
 そこに書かれていたのは

『5.開発部門 ブロア ポーション開発部 ハーフエルフ女
 開発中の無断実験及び爆発音の騒音及び備品破壊     』

 皆で大きなため息をつく

 どうやら次の仕事が僕たちを大きな音で呼んでいるようだ
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