雨に薫る

はなの*ゆき

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1.Cape jasmine

14✳︎

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 一瞬、何が起きたのか分からなかった。


 咄嗟に起こした身体を強く引き寄せられて、ナオの胸に抱え込まれる。
 そのまま後ろに倒されると、裸の背中にヒヤリと冷たいシーツが当たった。

 身体にのし掛かる重みと、熱さ。
 息遣いを感じる程、すぐ鼻先にナオの顔。
 薄闇の中で、僅かな光に浮かび上がった眼差しの強さに目を見開いた。


 ―――ナオ?

 問いかける言葉を唇で塞がれる。
 驚いて、咄嗟に押し退けようとしたのに、その手首を掴まれて顔の両側に押さえつけられた。

 強く、吸って、離れて。
 何度も、何度も。

 思いの外柔らかな感触が唇をなぞるように動く。
 鼻の向きを変えながら違う角度で再び強く押し付けられて。
 合間に頬を掠める息遣いと、身動ぐ度に立ち上る汗混じりの香り。
 
 その全てに、きゅう…と胸が撓って、甘く痺れるような何かが身体中に広がっていく。息をするのも苦しくて身を捩ると、唇を離れたナオのそれが、今度は首筋に押し当てられた。びくっと跳ねた身体をさらに押さえ込みながら、ナオがちゅっ、ちゅっ、と音を立てて吸う。続けてべろり―――と、首筋を舐められた途端、体の芯からぶるっと震えが走った。

「ナオっ―――」

 やめて―――と懇願しようとした視線の先で。

 少し頭の位置を下げたナオが、ぱくり、と剥き出しになったままの胸の膨らみをくわえ込んだ。

「あっ―――」

 ちゅっ―――と、先端を吸われた瞬間、痺れるような刺激にビクビクッと、体が震え、背中が弓なりに反り返った。そのままざらりとして弾力のあるものが、先端を下から上へすくい上げる。続けて右、左。そして再び強く吸い上げられ、抑え切れずに声を上げた。
 押さえ込むナオの力は強く、逃れられないまま、今度は反対の胸の先端をくわえ込まれる。すでに固くなっているそれを弄ぶように、一番先をチロチロと舐められると、再び心臓に直接響くような痺れが走った。

「―――あ、あっ、やっ」

 鼻先から抜ける声。それが自分のものだなんて。

 恥ずかしさに必死で身を捩った。
 勢い反転して身を守るようにうつ伏せになる。

 喘ぐように息を吸い込んで、肌のざわめきを治めようと思うのに、すぐさまのし掛かってきたナオの身体に抑え込まれるように抱きすくめられた。耳元にナオの吐息を感じて、ゾクリと背筋が震える。
 自分で自分を抱きしめるように抱えた腕を大きな手の平が撫で下ろし、割り込むように胸元へ差し込まれてささやかな膨らみをすくい上げると、探るように動いた指先で、固く尖った先端を押し潰した。身動ぎも出来ないまま、さらにもう片方の手で、ショートパンツの上から股間を押し込むように掴まれ、自分でも触れた事のない割れ目の間を指で割り込む様に探られた途端、それまで以上に強い痺れが身体を貫いた。
 こりっと、そこにある何かの存在をナオの指に知らされて、さらに強く扱かれる事で、尿意にも似た何とも言えない感覚に、下半身全体が支配されていく。

 逃げようと腰を捩ってもナオの力は強くて、止まらない指の動きに、だんだんそこが湿り気を帯びてきた気がして泣きたくなった。その間ももう片方の手が胸を覆ったままで、感触を確かめるかの様に動きながら、時折人差し指と中指の間に挟んだ、すっかり固くなって敏感になった胸の先端を扱かれる。

 その度に、自分のものとも思えない声が鼻先から漏れて、温度を上げた部屋の空気を震わせた。

 だんだん頭が痺れたようにぼうっとなり、息をするのも苦しくて喘ぐ。
 全身がナオに支配されていて、自分の意思ではもうどうする事も出来なかった。

「ナ、オ…」

 止めて、と、懇願する為に絞り出すように名前を呼んだ、その瞬間。
 探るように蠢いていた指が、強く突き上げるような動きに変わった。

「あっ、い、やっっ!!」

 声を上げてもナオの動きは止まらず、敏感になった場所を指で押しつぶすように強く掴まれたまま、激しく腰を揺さぶられると、ナオが触れている場所よりももっと奥深い場所が蠢いた。
 むず痒いような、なんとも言えないその感覚は、だんだんと膨らんで大きくなる。
 加速してゆくそれに、徐々に追い詰められた、その時。

「あっ、あっ、あっ―――、あぁぁーっっ!!」

 悲鳴のような声に、ナオが手を離した時には、止められない、大きな波のような痺れが、全身を貫いていた。
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