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1.Cape jasmine
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「―――深山さん?」
先輩の声にハッとして我に返った。
小石先輩が、不思議そうな顔をしている。
ごくり、と息を呑んだ。
「カンダ、君は、そんなにしたくなかった、んですね…?ホントは…」
「え?」
小石先輩が戸惑った声を出す。
「あ、いや、でも、今は結構やる気になってるよ。ほら、深山さんが…」
その言葉に、背筋が凍り付いた。
ワタシノセイ―――?
「私が、無責任なこと、言ったから…」
「えっ、いや、そんなこと…」
「でも、したくなかったんですよね?」
思わず唇を噛み締めた。
どうしよう、まただ。
また、私が―――
「ちょ、ちょっと待って。落ち着いて深山さん!」
慌てたように言われて逆に戸惑った。
落ち着く?別に、私は何も―――?
先輩が困った様に眉を下げている。
「えーと、確かに深山さんに言われた事がきっかけには…うーん、なった、かな。何とかグラウンドに連れ出したけど、神田は硬球で上手く投げれなくて、結構やる気無くなってたからね。」
やっぱり…昨日の事を思い出して視線を落とす。
「けど、深山さんに励まされて…」
「励ましてません。」
思わず言うと、先輩が目を見開いた。
そんなつもりは無かった。ただ、ナオの言葉を、ナオの代りに言ってしまっただけだ。そう、ホントだったら、私じゃなくてナオがカンダ君の隣にいたハズなのだ。
私さえ、いなければ。
だから。
「ごめんなさい。」
「え、なんで謝るの?」
「だって、悪い事したなって…」
「神田に?別に悪い事なんかしてないだろ?」
「しましたよ。無責任な事言って、野球やらせるなんて」
「野球やるのが悪いって言いたいの?」
思いがけない低い声にハッとして顔を上げた。
さっきまでの笑顔を消して、小石先輩がこっちを見下ろしている。
「ご…」
「謝らないで。」
間伐入れずに言われて、咄嗟に言葉を飲み込んだ。
しまった―――後悔しても遅いけど、野球部の人に言う事じゃ無かった。
無意識に胸元を押さえて身を竦めていると、ふ…と声がして、顔を上げると先輩がやれやれといった風に苦笑していた。
「無責任か…それ言われると俺の方がなんだけどねぇ。ま、確かに神田が野球部入ってくれたきっかけは深山さんだよ、それは否定しない。でも神田はそれを…楽しんでる?かな。」
拍子抜けする程穏やかな顔で、先輩はうん、うん、と頷きながら続ける。
「ぶっちゃけ、本人がかなりやる気になってるんだし、気にしなくていいと思う。」
「でも…」
「やるって決めたのは神田なんだよ、そこは、深山さんは関係無いっていうか、責任感じるとこじゃない。」
「でも、それでもし、大学とか、希望のとこ行けなかったりとかしたら…」
「それはちょっと、神田に失礼だろ?」
思いもよらない言葉に顔を上げた。
―――失礼?
意味がわからない私に、先輩が呆れた顔をしていた。
「女の子に煽てられて野球やったから受験失敗しました、なんて、カッコ悪くてよー言わんわ、俺だったら。」
そう言って、ニカッと笑う。今までとは全然違う顔をしながら、先輩は腕を組んで踏ん反り返った。
「意地でもいい大学受かっちゃるわ。」
そのドヤ顔に。
一瞬、ポカンとした。
そんな私に、先輩が、ふんっと鼻息まで漏らすから。
思わず、笑ってしまった。
まさか、こうくるとは。
すると先輩が驚いた様に目を見開くと、腕を解いて顔を覗き込んできた。
「…やっと笑った…」
「え…?」
不意に言われて瞬くと、先輩がへにゃり、と頬を緩める。
「可愛い…」
―――は?
今、なんて?
再度瞬きながら首を傾げると、今度は片手で顔を覆って、大きくため息を吐かれた。
「どーしよ、マジで…」
「あの、先輩?」
訳が分からずに呼びかけると、いきなりガバッと顔を上げられ、危うく顎に直撃する勢いに仰け反る。
その肩を、ガシッと先輩の手が掴んだ。
「深山さんっ」
「はい」
「俺とっ!」
「…はい?」
「付き合って下さいっ!!」
「―――は…?」
付き合う?
―――どこに…?
三度、瞬いた。
頭の中で情報処理が追い付かずに固まっていた、その時。
「カスミ?」
呼び掛けられて、身体がビクッと強張った。今、ここにいる筈の無い、声。
ゆっくりと視線を巡らせた先を見て、驚きに目を見張る。
「―――お母さん…」
先輩の声にハッとして我に返った。
小石先輩が、不思議そうな顔をしている。
ごくり、と息を呑んだ。
「カンダ、君は、そんなにしたくなかった、んですね…?ホントは…」
「え?」
小石先輩が戸惑った声を出す。
「あ、いや、でも、今は結構やる気になってるよ。ほら、深山さんが…」
その言葉に、背筋が凍り付いた。
ワタシノセイ―――?
「私が、無責任なこと、言ったから…」
「えっ、いや、そんなこと…」
「でも、したくなかったんですよね?」
思わず唇を噛み締めた。
どうしよう、まただ。
また、私が―――
「ちょ、ちょっと待って。落ち着いて深山さん!」
慌てたように言われて逆に戸惑った。
落ち着く?別に、私は何も―――?
先輩が困った様に眉を下げている。
「えーと、確かに深山さんに言われた事がきっかけには…うーん、なった、かな。何とかグラウンドに連れ出したけど、神田は硬球で上手く投げれなくて、結構やる気無くなってたからね。」
やっぱり…昨日の事を思い出して視線を落とす。
「けど、深山さんに励まされて…」
「励ましてません。」
思わず言うと、先輩が目を見開いた。
そんなつもりは無かった。ただ、ナオの言葉を、ナオの代りに言ってしまっただけだ。そう、ホントだったら、私じゃなくてナオがカンダ君の隣にいたハズなのだ。
私さえ、いなければ。
だから。
「ごめんなさい。」
「え、なんで謝るの?」
「だって、悪い事したなって…」
「神田に?別に悪い事なんかしてないだろ?」
「しましたよ。無責任な事言って、野球やらせるなんて」
「野球やるのが悪いって言いたいの?」
思いがけない低い声にハッとして顔を上げた。
さっきまでの笑顔を消して、小石先輩がこっちを見下ろしている。
「ご…」
「謝らないで。」
間伐入れずに言われて、咄嗟に言葉を飲み込んだ。
しまった―――後悔しても遅いけど、野球部の人に言う事じゃ無かった。
無意識に胸元を押さえて身を竦めていると、ふ…と声がして、顔を上げると先輩がやれやれといった風に苦笑していた。
「無責任か…それ言われると俺の方がなんだけどねぇ。ま、確かに神田が野球部入ってくれたきっかけは深山さんだよ、それは否定しない。でも神田はそれを…楽しんでる?かな。」
拍子抜けする程穏やかな顔で、先輩はうん、うん、と頷きながら続ける。
「ぶっちゃけ、本人がかなりやる気になってるんだし、気にしなくていいと思う。」
「でも…」
「やるって決めたのは神田なんだよ、そこは、深山さんは関係無いっていうか、責任感じるとこじゃない。」
「でも、それでもし、大学とか、希望のとこ行けなかったりとかしたら…」
「それはちょっと、神田に失礼だろ?」
思いもよらない言葉に顔を上げた。
―――失礼?
意味がわからない私に、先輩が呆れた顔をしていた。
「女の子に煽てられて野球やったから受験失敗しました、なんて、カッコ悪くてよー言わんわ、俺だったら。」
そう言って、ニカッと笑う。今までとは全然違う顔をしながら、先輩は腕を組んで踏ん反り返った。
「意地でもいい大学受かっちゃるわ。」
そのドヤ顔に。
一瞬、ポカンとした。
そんな私に、先輩が、ふんっと鼻息まで漏らすから。
思わず、笑ってしまった。
まさか、こうくるとは。
すると先輩が驚いた様に目を見開くと、腕を解いて顔を覗き込んできた。
「…やっと笑った…」
「え…?」
不意に言われて瞬くと、先輩がへにゃり、と頬を緩める。
「可愛い…」
―――は?
今、なんて?
再度瞬きながら首を傾げると、今度は片手で顔を覆って、大きくため息を吐かれた。
「どーしよ、マジで…」
「あの、先輩?」
訳が分からずに呼びかけると、いきなりガバッと顔を上げられ、危うく顎に直撃する勢いに仰け反る。
その肩を、ガシッと先輩の手が掴んだ。
「深山さんっ」
「はい」
「俺とっ!」
「…はい?」
「付き合って下さいっ!!」
「―――は…?」
付き合う?
―――どこに…?
三度、瞬いた。
頭の中で情報処理が追い付かずに固まっていた、その時。
「カスミ?」
呼び掛けられて、身体がビクッと強張った。今、ここにいる筈の無い、声。
ゆっくりと視線を巡らせた先を見て、驚きに目を見張る。
「―――お母さん…」
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