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2.Yellow star jasmine
黒南風②
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―――こいつは、ヤバい
それは直感だった。
いわゆる、女の勘ってヤツ?
だっておかしいよ。
まじで怒ってるっしょ。
声めっちゃ低いし、何か、隣からすんごい冷気漂ってきてるカンジすんの気のせいじゃ無いハズ。
なのに、なんか知らんけど、笑ってるとか、どうかしてるとしか思えない。てか、うっとりしてる?
思わずマジマジ見てたら目が合った!やば!
うわー、睨んでる。嫌だ、コワい、キモい。
こーゆー女が、1番苦手なんだよ、あたし。
「何、そのコ?」
「アンタには関係ない。」
その言葉が聞こえたと同時に、すっと、目の前が制服のシャツだけになった。
えっ、何コレ?
もしかして、あたし、庇われてる?!
気付いた途端、心臓がエラい事になった。いや、だってあたし、170あるんだよ?あたしより低い男も結構いるし、なんなら同じ位ってヤツとかザラだし。
当然(?)女扱いなんてされた事無いし、今の今まで、ヤツにも女だと思われてないって、思ってた―――のに。
そんなパニクるあたしを背中にしながら、ヤツが目の前のコに一歩迫った。
「さっき、部室から出てきただろ?何やってた?」
「何って、別に?忘れ物取りに来ただけだよ?」
えへってカンジの、声だけで小首傾げてんのわかる…、あたしには絶対出来ない技だ。風に乗って甘い薫りもしてくるし、うーん、“ザ・女子”。
でも、ヤツにそれは効かないらしい。背中越しに“ちっ”という舌打ちが響いた。
「何でアンタ鍵持ってんだ?」
「え~、だって、マネージャーだったし、色々?」
「もう違うだろ、出せよ。」
「? 何を?」
「鍵に決まってんだろ。」
どこのヤクザか、って位ドスが効いた声に、は~い…と言う声とカチャカチャという音が響く。その呑気な響きに、華奢で小柄な見た目の割に、肝が据わってるなぁ…と思わず感心してしまった―――けれど。
「はい!」
という声と同時に、ヤツの背中が左に動く。
キーホルダーか何かを投げて寄越され、大きく逸れたのを既の所でキャッチした―――と、その時だった。
―――カシャッ
えっ、何?
ヤツの動きを追っていた視線を前に戻すと、壁が無くなったおかげで、向こうに立っていた女子が、こっちにスマホを向けているのが見えた。
いつの間に―――と唖然とするあたしの前で、スカートが翻る。
「おいっ」
追いかけようとして脚を止め、こっちをみたヤツが舌打ちした。えっ、何で?!あたし何かした?!
「おい、グラウンド行くぞ。」
「へっ?」
理由も言わずに急き立てられるまま走らされる。
しかもグラウンドまで、一度も立ち止まらないとかって、どうなん?
それでも何とか付いて走って練習中の皆のところにたどり着くと、モリオが驚いた顔で寄ってきた。
「何やってんだ、お前ら…」
「すぐ全員集めてくれ。ロッカー行かねえと。」
「は?」
「あの女、コピー持ってやがった。」
ヤツが忌々しげにそう言って、場違いなほど可愛らしいラインストーンのチャームが付いた鍵を見せると、モリオは一瞬あっけにとられた後、顔を強張らせた。
「マジか…」
「俺は先に戻るから、コイツ一緒に連れて来てくれ。」
「了解」
って、戻るんか―――い!!!
膝の上に手を付いて、肩でゼイゼイと息を付きながら、心の中で叫ぶ。
だったらあっちで待ってたのに~!!!
「キンシロー」
腰を屈めてこっちを覗き込んでくるヤツを、ギロリと睨んでやる。すると苦笑しながら、頭をポンと叩いてきた。
「しばらく1人で歩くなよ。」
「…は?」
「さっき写真撮られただろ。」
思いがけない言葉に顔を上げた。
「あれは、そっちじゃ…」
「今更撮らねぇよ。それより、アイツ、何考えてんだかよく分からねぇし、ちょっと嫌な目してたからな。当分、気を付けろ。」
言いながら、尻ポケットを探って、また舌打ちした。そういや、鞄中入れてたな…と呟いて。
「後でID教えとく。何かあったら直ぐ連絡しろよ。」
モリオ来るまで動くなよ、と言い残して、クラブハウス棟に向かって走り出す。
マジで体力バカだ、アイツ頭おかしい―――なんて、ディすってみても無理。
さっきの言葉が、頭ん中ぐるぐるしてる。
気を付けろ、とか。
すぐ連絡しろ、とか
IDなんか、不用意に教えちゃっていいんかい?
すーはーと、大きく深呼吸するのに。
―――この動悸、どーしたら治まるんだろ……
それは直感だった。
いわゆる、女の勘ってヤツ?
だっておかしいよ。
まじで怒ってるっしょ。
声めっちゃ低いし、何か、隣からすんごい冷気漂ってきてるカンジすんの気のせいじゃ無いハズ。
なのに、なんか知らんけど、笑ってるとか、どうかしてるとしか思えない。てか、うっとりしてる?
思わずマジマジ見てたら目が合った!やば!
うわー、睨んでる。嫌だ、コワい、キモい。
こーゆー女が、1番苦手なんだよ、あたし。
「何、そのコ?」
「アンタには関係ない。」
その言葉が聞こえたと同時に、すっと、目の前が制服のシャツだけになった。
えっ、何コレ?
もしかして、あたし、庇われてる?!
気付いた途端、心臓がエラい事になった。いや、だってあたし、170あるんだよ?あたしより低い男も結構いるし、なんなら同じ位ってヤツとかザラだし。
当然(?)女扱いなんてされた事無いし、今の今まで、ヤツにも女だと思われてないって、思ってた―――のに。
そんなパニクるあたしを背中にしながら、ヤツが目の前のコに一歩迫った。
「さっき、部室から出てきただろ?何やってた?」
「何って、別に?忘れ物取りに来ただけだよ?」
えへってカンジの、声だけで小首傾げてんのわかる…、あたしには絶対出来ない技だ。風に乗って甘い薫りもしてくるし、うーん、“ザ・女子”。
でも、ヤツにそれは効かないらしい。背中越しに“ちっ”という舌打ちが響いた。
「何でアンタ鍵持ってんだ?」
「え~、だって、マネージャーだったし、色々?」
「もう違うだろ、出せよ。」
「? 何を?」
「鍵に決まってんだろ。」
どこのヤクザか、って位ドスが効いた声に、は~い…と言う声とカチャカチャという音が響く。その呑気な響きに、華奢で小柄な見た目の割に、肝が据わってるなぁ…と思わず感心してしまった―――けれど。
「はい!」
という声と同時に、ヤツの背中が左に動く。
キーホルダーか何かを投げて寄越され、大きく逸れたのを既の所でキャッチした―――と、その時だった。
―――カシャッ
えっ、何?
ヤツの動きを追っていた視線を前に戻すと、壁が無くなったおかげで、向こうに立っていた女子が、こっちにスマホを向けているのが見えた。
いつの間に―――と唖然とするあたしの前で、スカートが翻る。
「おいっ」
追いかけようとして脚を止め、こっちをみたヤツが舌打ちした。えっ、何で?!あたし何かした?!
「おい、グラウンド行くぞ。」
「へっ?」
理由も言わずに急き立てられるまま走らされる。
しかもグラウンドまで、一度も立ち止まらないとかって、どうなん?
それでも何とか付いて走って練習中の皆のところにたどり着くと、モリオが驚いた顔で寄ってきた。
「何やってんだ、お前ら…」
「すぐ全員集めてくれ。ロッカー行かねえと。」
「は?」
「あの女、コピー持ってやがった。」
ヤツが忌々しげにそう言って、場違いなほど可愛らしいラインストーンのチャームが付いた鍵を見せると、モリオは一瞬あっけにとられた後、顔を強張らせた。
「マジか…」
「俺は先に戻るから、コイツ一緒に連れて来てくれ。」
「了解」
って、戻るんか―――い!!!
膝の上に手を付いて、肩でゼイゼイと息を付きながら、心の中で叫ぶ。
だったらあっちで待ってたのに~!!!
「キンシロー」
腰を屈めてこっちを覗き込んでくるヤツを、ギロリと睨んでやる。すると苦笑しながら、頭をポンと叩いてきた。
「しばらく1人で歩くなよ。」
「…は?」
「さっき写真撮られただろ。」
思いがけない言葉に顔を上げた。
「あれは、そっちじゃ…」
「今更撮らねぇよ。それより、アイツ、何考えてんだかよく分からねぇし、ちょっと嫌な目してたからな。当分、気を付けろ。」
言いながら、尻ポケットを探って、また舌打ちした。そういや、鞄中入れてたな…と呟いて。
「後でID教えとく。何かあったら直ぐ連絡しろよ。」
モリオ来るまで動くなよ、と言い残して、クラブハウス棟に向かって走り出す。
マジで体力バカだ、アイツ頭おかしい―――なんて、ディすってみても無理。
さっきの言葉が、頭ん中ぐるぐるしてる。
気を付けろ、とか。
すぐ連絡しろ、とか
IDなんか、不用意に教えちゃっていいんかい?
すーはーと、大きく深呼吸するのに。
―――この動悸、どーしたら治まるんだろ……
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