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第3章 魔法使いの弟子
第40話 とんだ悪党に出くわしました
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それから三日、リーナは精力的にシューネフルト領内の農村を訪ねて回りました。
リーナは、全ての村民がつつがなく冬越しの準備が出来て、娘を売りに出す必要がない村を見るとホッと胸を撫で下ろしているようでした。
私が意外に感じたのは、娘を売らずに済んだ村の方が圧倒的に多かったことでした。
シューネフルト領は結構恵まれた領地のようです。
結局三日間で保護した少女は八名、予想通り十二歳から十五歳の間の少女たちでした。
いずれの村も、まだ女衒が訪れる前で、無事に保護することが出来ました。
そして、四日目、私達は今日最初の村を訪れています。
「今日はこの村の冬越しの準備が滞りなく出来ているかを聞きに来ました。
冬越しの物資を購入するお金が足りなくて、娘を身売りに出そうとしている家はありませんか?
隠し立ては無用です、そのような家があれば率直にお聞かせ願いたい。」
リーナは村長と挨拶を交わした後、お決まりとなった言葉を口にしました。
すると、村長はあからさまに狼狽した様子です。何かやましいことでもあるのでしょうか。
「いえ、今しがた女衒が訪ねてきて、娘を売りたい家がないかと尋ねられたものですから……。」
口ごもる村長をリーナが問い詰めると、村長は渋々こう言ったのです。
どうやら、今回は女衒の方が一足早かったようです。
私達は村長の案内で、女衒に紹介したと言う家に急ぎました。
**********
「だから、金に困っているのだろう。大人しくその娘を差し出したらどうなんだい。
俺がその娘を銀貨千枚で買い取ってやると言ってるじゃないか。
銀貨千枚あれば、あんた等だってこの冬が越せるだろうが。」
隙間だらけの粗末な家の中から女衒と思われる柄の悪い男の声が聞こえます。
どうやら、この家の主は娘を手放すか決めあぐねているようです。
「じゃあ、その娘さんは、月の給金銀貨二百枚で私が雇いましょう。
冬越しのお金が必要なら、五ヵ月分の給金銀貨千枚を前払いしましょう。」
扉を開けるなり、リーナが女衒の背中越しにこの家の主人らしき人物に声をかけました。
「なんだ、てめえは。商売の邪魔し……。」
リーナの言葉に声を荒げて文句を言いながら、振り返った女衒は途中で言葉を失いました。
剣を腰に差した騎士が二人護衛についている貴族の姿があったからです。
流石にそれ以上失礼な言葉を発したら不敬罪で斬り捨てられると思ったのでしょう。
「これはこれは、お貴族のお嬢様、大変失礼な口を利き申し訳ございませんでした。
まさか、貴族のお嬢様がこんな片田舎におられるとは思いもしなかったもので。」
いきなり女衒は低姿勢になり、リーナに上辺だけの謝罪しました。
リーナを見る目は忌々しげで、本当の申し訳ないとは毛の先ほども思っていないようです。
リーナもそんな女衒の態度に気付いているようですが、そこは気づかぬ振りで話をします。
「ええ、気にしていませんよ。
ああ、一つだけ誤解を正しておきましょうか。
私はこの辺りの村を治める領主をしているカロリーネ・フォン・アルトブルク。
貴族の娘ではなく、領主本人ですので誤解なきよう。」
女衒は、リーナが領主であると聞き息を呑みました。
この国では領主が人を裁く権利を持っています。
リーナの意に沿わないことをすれば、その場で首を刎ねられても文句が言えないのです。
貴族の娘であれば余程はっきりとした不敬がない限り、その場で無礼打ちということはありません。
相手が領主となれば迂闊な言動は慎まなければならないのです。
「では、話を続けさせて頂きますね。
今、私の館では下働きの娘を探しておりますの。
どうせなら、領民の救済のためにと、冬越しのお金に窮している家に声を掛けているのです。
先ほど申したように、月々の給金は銀貨二百枚、今回は特別に冬越しのお金として五ヵ月分の給金銀貨千枚を前渡ししていますの。
いかがですか、娘さんを預けてみませんか?」
リーナは女衒を無視してこの家の主に話を持ちかけました。
「ご領主様、ちょっとお待ちください。
こちらの主には私が先に交渉しているところでございます。
いくらご領主様でも、商売の邪魔をされては困ります。」
「あら、おかしなことを言うのね。
あなたは娘を娼婦として買いたいと言っているのでしょう。
私も娘を娼婦として買いたいと言うのであれば、自分が先だと主張することも有りかも知れません。
でも、私は下働きとして勧誘しているのです。
こちらの主人なり、娘さんにとっては、下働きが良いか、娼婦が良いかという選択の問題です。
どちらが、先か、後かという問題ではないと思いますが。
違いますか?」
女衒がリーナに苦情を言いますが、リーナはさらりとかわしました。
「うぐっ……。」
女衒は言葉に詰まりました。
そして、暫く考えて次に発した言葉は……。
「主人、俺はその娘を銀貨二千枚で買い取ろう。どうだい、これで譲っちゃくれないだろうか。」
女衒は娘の買取に銀貨を上乗せしてきました。
「ご主人、私の館の下働きになれば、娘さんは年に銀貨二千四百枚を稼ぎますのよ。
館の下働きをやめない限りずっとです。
例えば十年真面目に勤めれば銀貨二万四千枚です。
そちらの方の年季は何年か存じませんが、銀貨二千枚で年季の間は追加の給金はありませんよ。
どちらが得かよく考えてみると良いですわ。」
多分計算が出来ないと思われるこの家の主人にリーナが噛み砕いて説明しました。
「十年で銀貨二万四千枚も頂戴できるのですか?」
「ええ、真面目に働きさえすれば、それは最低限ですね。
働きが良ければ給金の増額がありえますから。
それと、朝晩一日二食の食事とお仕着せの仕事着は無償で支給されますので、毎月の銀貨二百枚というのは実際に娘さんの手に渡される給金ですよ。」
銀貨二万四千枚と聞いた主人が驚きを交えて尋ねてきました。
自給自足が中心の農村部では万の単位を越える銀貨など想像も出来ないのでしょう。
「領主様、俺達みたいな貧農にまで気を配ってもらって有り難いです。
どうぞ、うちの娘をおねげえしますだ。」
リーナは主人の気が変わらないうちにと、テレーゼさんに持たせておいた銀貨千枚を手渡し、娘さんを馬車に連れて行くことにしました。
言葉を失った女衒はこちらを忌々しげに睨んでいます。
馬車を停めてある村に広場まで行き、保護した娘さんを馬車に乗せているところに女衒がやってきました。
「ご領主様、なぜご領主様は私奴の商売の邪魔をなされるのですか?」
女衒は怒りを込めて半ば問い詰めるようにリーナに尋ねました。
「邪魔なんてしていませんよ。
先ほどから申している通り、私の館で人手が不足しているので下働きを増員しているのです。
私は冬越しの準備もままならない家庭から率先して雇い入れているだけです。
領民の生活を守るのは領主として当然の務めでしょう、違いますか?」
「大変慈悲深いことですが、それでは私達のような者が仕事を失ってしまいます。
もしやと思いますが、ご領主様は他の村も回られて今のようなことをなされているのですか?」
「ええ、ここのところ毎日村を回っています。
今日でだいたい回り終わる予定にしています。」
リーナの言葉に女衒は青ざめました。
「ちくしょう、どの村を回っても娘を売り出す家が無いと思ったらそういうことか…。」
女衒は悔しそうに呟きました。
丁度良いです、女衒の方から来てくれたので少し尋ねてみましょう。
『私の質問に正直に答えよ』
私は魔力を込めて言葉を発しました。
「あなたは娼館主から娼婦一人当たり幾らの礼金を受け取っているのですか。
そのうち、幾らを娼婦になる娘の家族に渡したことになっているのですか。」
幾らなんでも、下女の給金五ヶ月分で娘を買い取るというのはぼり過ぎだと思います。
「娼館主からは、俺の取り分として娘一人当たり銀貨千枚、それとは別に娘の買取金の立替分として銀貨一万枚、併せて一万一千枚受け取っている。」
呆れた…、銀貨千枚というのは本来この男の取り分だったのです。
娘の買取に当てるために実際に娼館主から受け取っていたのは銀貨一万枚、これを全部くすねていたのです。
とんでもない悪党です。
「なんで、そんなあこぎな真似をしたのですか?」
答えは想像できますが、念のため聞いてみました。
「普段、まわりの村としか交流のない農村の者に娘の相場なんて分かりはしないだろうが。
冬越しの金に窮している家を回るんだ、冬越しに十分な金を出してやれば食いついてくる。
なんで、バカ正直にそれ以上の金を渡さないといけないんだ。
相場を知らない奴らが悪いんだろう。」
思った通りの下衆な答えが返ってきました、反吐が出そうです。
「酷い……。」
リーナが女衒の話を聞いて言葉を詰まらせました。
さて、この悪党、どうしたものでしょうか……。
私は少し思案した後、魔力を乗せた力ある言葉で女衒に命じました。
『今まで娘を買い取った全ての家を回って、銀貨を一万枚ずつ置いてきなさい。』
『各家で銀貨一万枚が本来受け取るべき金額だったことを正直に伝えなさい。』
この二つで良いでしょう。
私の言葉には絶対的な強制力があります。
是が非でも各家に銀貨一万枚を届けることになります。それが、娼館主から受け取っていた金を使ってしまっていたとしても。
その場合、家屋敷を売り払ったり、娘や女房を娼館に売るなどしてお金を用意することになると思います。それほどまでに強い強制力なのです。
本来であれば村の広場で大声で罪の告白をさせたいところです。
ですが、それをさせて村人の怒りをかってなぶり殺しにされたら、被害を受けた人に銀貨一万枚が渡らなくなってしまいます。
生きて、被害者の家を回って銀貨一万枚を返して歩く、この男の残りの人生はそれに費やされると思います。
私はそれで十分な罰ではないだろうかと思ったのです。
**********
お読みいただき有り難うございます。
*お願い
9月1日から始まりましたアルファポリスの第13回ファンタジー小説大賞にこの作品をエントリーしています。
応援してくださる方がいらっしゃいましたら、本作品に投票して頂けるととても嬉しいです。
ぶしつけにこのようなお願いをして恐縮ですが、よろしくお願いします。
投票は、PCの方は表題ページの左上、「作品の情報」の上の『黄色いボタン』です。
スマホアプリの方は表題ページの「しおりから読む」の上の『オレンジ色のボタン』です。
リーナは、全ての村民がつつがなく冬越しの準備が出来て、娘を売りに出す必要がない村を見るとホッと胸を撫で下ろしているようでした。
私が意外に感じたのは、娘を売らずに済んだ村の方が圧倒的に多かったことでした。
シューネフルト領は結構恵まれた領地のようです。
結局三日間で保護した少女は八名、予想通り十二歳から十五歳の間の少女たちでした。
いずれの村も、まだ女衒が訪れる前で、無事に保護することが出来ました。
そして、四日目、私達は今日最初の村を訪れています。
「今日はこの村の冬越しの準備が滞りなく出来ているかを聞きに来ました。
冬越しの物資を購入するお金が足りなくて、娘を身売りに出そうとしている家はありませんか?
隠し立ては無用です、そのような家があれば率直にお聞かせ願いたい。」
リーナは村長と挨拶を交わした後、お決まりとなった言葉を口にしました。
すると、村長はあからさまに狼狽した様子です。何かやましいことでもあるのでしょうか。
「いえ、今しがた女衒が訪ねてきて、娘を売りたい家がないかと尋ねられたものですから……。」
口ごもる村長をリーナが問い詰めると、村長は渋々こう言ったのです。
どうやら、今回は女衒の方が一足早かったようです。
私達は村長の案内で、女衒に紹介したと言う家に急ぎました。
**********
「だから、金に困っているのだろう。大人しくその娘を差し出したらどうなんだい。
俺がその娘を銀貨千枚で買い取ってやると言ってるじゃないか。
銀貨千枚あれば、あんた等だってこの冬が越せるだろうが。」
隙間だらけの粗末な家の中から女衒と思われる柄の悪い男の声が聞こえます。
どうやら、この家の主は娘を手放すか決めあぐねているようです。
「じゃあ、その娘さんは、月の給金銀貨二百枚で私が雇いましょう。
冬越しのお金が必要なら、五ヵ月分の給金銀貨千枚を前払いしましょう。」
扉を開けるなり、リーナが女衒の背中越しにこの家の主人らしき人物に声をかけました。
「なんだ、てめえは。商売の邪魔し……。」
リーナの言葉に声を荒げて文句を言いながら、振り返った女衒は途中で言葉を失いました。
剣を腰に差した騎士が二人護衛についている貴族の姿があったからです。
流石にそれ以上失礼な言葉を発したら不敬罪で斬り捨てられると思ったのでしょう。
「これはこれは、お貴族のお嬢様、大変失礼な口を利き申し訳ございませんでした。
まさか、貴族のお嬢様がこんな片田舎におられるとは思いもしなかったもので。」
いきなり女衒は低姿勢になり、リーナに上辺だけの謝罪しました。
リーナを見る目は忌々しげで、本当の申し訳ないとは毛の先ほども思っていないようです。
リーナもそんな女衒の態度に気付いているようですが、そこは気づかぬ振りで話をします。
「ええ、気にしていませんよ。
ああ、一つだけ誤解を正しておきましょうか。
私はこの辺りの村を治める領主をしているカロリーネ・フォン・アルトブルク。
貴族の娘ではなく、領主本人ですので誤解なきよう。」
女衒は、リーナが領主であると聞き息を呑みました。
この国では領主が人を裁く権利を持っています。
リーナの意に沿わないことをすれば、その場で首を刎ねられても文句が言えないのです。
貴族の娘であれば余程はっきりとした不敬がない限り、その場で無礼打ちということはありません。
相手が領主となれば迂闊な言動は慎まなければならないのです。
「では、話を続けさせて頂きますね。
今、私の館では下働きの娘を探しておりますの。
どうせなら、領民の救済のためにと、冬越しのお金に窮している家に声を掛けているのです。
先ほど申したように、月々の給金は銀貨二百枚、今回は特別に冬越しのお金として五ヵ月分の給金銀貨千枚を前渡ししていますの。
いかがですか、娘さんを預けてみませんか?」
リーナは女衒を無視してこの家の主に話を持ちかけました。
「ご領主様、ちょっとお待ちください。
こちらの主には私が先に交渉しているところでございます。
いくらご領主様でも、商売の邪魔をされては困ります。」
「あら、おかしなことを言うのね。
あなたは娘を娼婦として買いたいと言っているのでしょう。
私も娘を娼婦として買いたいと言うのであれば、自分が先だと主張することも有りかも知れません。
でも、私は下働きとして勧誘しているのです。
こちらの主人なり、娘さんにとっては、下働きが良いか、娼婦が良いかという選択の問題です。
どちらが、先か、後かという問題ではないと思いますが。
違いますか?」
女衒がリーナに苦情を言いますが、リーナはさらりとかわしました。
「うぐっ……。」
女衒は言葉に詰まりました。
そして、暫く考えて次に発した言葉は……。
「主人、俺はその娘を銀貨二千枚で買い取ろう。どうだい、これで譲っちゃくれないだろうか。」
女衒は娘の買取に銀貨を上乗せしてきました。
「ご主人、私の館の下働きになれば、娘さんは年に銀貨二千四百枚を稼ぎますのよ。
館の下働きをやめない限りずっとです。
例えば十年真面目に勤めれば銀貨二万四千枚です。
そちらの方の年季は何年か存じませんが、銀貨二千枚で年季の間は追加の給金はありませんよ。
どちらが得かよく考えてみると良いですわ。」
多分計算が出来ないと思われるこの家の主人にリーナが噛み砕いて説明しました。
「十年で銀貨二万四千枚も頂戴できるのですか?」
「ええ、真面目に働きさえすれば、それは最低限ですね。
働きが良ければ給金の増額がありえますから。
それと、朝晩一日二食の食事とお仕着せの仕事着は無償で支給されますので、毎月の銀貨二百枚というのは実際に娘さんの手に渡される給金ですよ。」
銀貨二万四千枚と聞いた主人が驚きを交えて尋ねてきました。
自給自足が中心の農村部では万の単位を越える銀貨など想像も出来ないのでしょう。
「領主様、俺達みたいな貧農にまで気を配ってもらって有り難いです。
どうぞ、うちの娘をおねげえしますだ。」
リーナは主人の気が変わらないうちにと、テレーゼさんに持たせておいた銀貨千枚を手渡し、娘さんを馬車に連れて行くことにしました。
言葉を失った女衒はこちらを忌々しげに睨んでいます。
馬車を停めてある村に広場まで行き、保護した娘さんを馬車に乗せているところに女衒がやってきました。
「ご領主様、なぜご領主様は私奴の商売の邪魔をなされるのですか?」
女衒は怒りを込めて半ば問い詰めるようにリーナに尋ねました。
「邪魔なんてしていませんよ。
先ほどから申している通り、私の館で人手が不足しているので下働きを増員しているのです。
私は冬越しの準備もままならない家庭から率先して雇い入れているだけです。
領民の生活を守るのは領主として当然の務めでしょう、違いますか?」
「大変慈悲深いことですが、それでは私達のような者が仕事を失ってしまいます。
もしやと思いますが、ご領主様は他の村も回られて今のようなことをなされているのですか?」
「ええ、ここのところ毎日村を回っています。
今日でだいたい回り終わる予定にしています。」
リーナの言葉に女衒は青ざめました。
「ちくしょう、どの村を回っても娘を売り出す家が無いと思ったらそういうことか…。」
女衒は悔しそうに呟きました。
丁度良いです、女衒の方から来てくれたので少し尋ねてみましょう。
『私の質問に正直に答えよ』
私は魔力を込めて言葉を発しました。
「あなたは娼館主から娼婦一人当たり幾らの礼金を受け取っているのですか。
そのうち、幾らを娼婦になる娘の家族に渡したことになっているのですか。」
幾らなんでも、下女の給金五ヶ月分で娘を買い取るというのはぼり過ぎだと思います。
「娼館主からは、俺の取り分として娘一人当たり銀貨千枚、それとは別に娘の買取金の立替分として銀貨一万枚、併せて一万一千枚受け取っている。」
呆れた…、銀貨千枚というのは本来この男の取り分だったのです。
娘の買取に当てるために実際に娼館主から受け取っていたのは銀貨一万枚、これを全部くすねていたのです。
とんでもない悪党です。
「なんで、そんなあこぎな真似をしたのですか?」
答えは想像できますが、念のため聞いてみました。
「普段、まわりの村としか交流のない農村の者に娘の相場なんて分かりはしないだろうが。
冬越しの金に窮している家を回るんだ、冬越しに十分な金を出してやれば食いついてくる。
なんで、バカ正直にそれ以上の金を渡さないといけないんだ。
相場を知らない奴らが悪いんだろう。」
思った通りの下衆な答えが返ってきました、反吐が出そうです。
「酷い……。」
リーナが女衒の話を聞いて言葉を詰まらせました。
さて、この悪党、どうしたものでしょうか……。
私は少し思案した後、魔力を乗せた力ある言葉で女衒に命じました。
『今まで娘を買い取った全ての家を回って、銀貨を一万枚ずつ置いてきなさい。』
『各家で銀貨一万枚が本来受け取るべき金額だったことを正直に伝えなさい。』
この二つで良いでしょう。
私の言葉には絶対的な強制力があります。
是が非でも各家に銀貨一万枚を届けることになります。それが、娼館主から受け取っていた金を使ってしまっていたとしても。
その場合、家屋敷を売り払ったり、娘や女房を娼館に売るなどしてお金を用意することになると思います。それほどまでに強い強制力なのです。
本来であれば村の広場で大声で罪の告白をさせたいところです。
ですが、それをさせて村人の怒りをかってなぶり殺しにされたら、被害を受けた人に銀貨一万枚が渡らなくなってしまいます。
生きて、被害者の家を回って銀貨一万枚を返して歩く、この男の残りの人生はそれに費やされると思います。
私はそれで十分な罰ではないだろうかと思ったのです。
**********
お読みいただき有り難うございます。
*お願い
9月1日から始まりましたアルファポリスの第13回ファンタジー小説大賞にこの作品をエントリーしています。
応援してくださる方がいらっしゃいましたら、本作品に投票して頂けるととても嬉しいです。
ぶしつけにこのようなお願いをして恐縮ですが、よろしくお願いします。
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