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第11章 王都、三度目の春
第279話 残念王子の生い立ち
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ミルトさんにトレナール王子のことを尋ねられたエフォールさんが言う。
「私は平民の出なので殿下の側近になる以前のことは伝聞でしか知りません。
それと、当然のことながら守秘義務に抵触することも話せません。
それでよろしいでしょうか。」
「ええ、勿論よ。
職務上守秘義務にかかることをペラペラ話すような人は信用できませんもの。」
ミルトさんの返答を受けてエフォールさんは話し始めた。
「最初に知っていただきたいのは、我が国では王位継承権は正妃の子にしかないことが法に定められています。
そして、トレナール殿下は側妃の子であり、王位継承権はございません。
私はこの点が殿下が奇行に走るきっかけになっていると思います。」
側妃の子として生まれたトレナール王子は側妃に愛情をいっぱい注がれて幼少の頃を過ごしただけではなく、心優しい正妃にも可愛がられていたそうだ。
その頃は奇行が目立つわけでもなく、むしろ聡明な子供として周りから賞賛されていたみたい。
殿下に最初の転機が訪れたのは五歳の時、父である王に呼ばれてこう言われたらしい。
「お前には王都の隣にある町を与える、男爵としてその町をうまく治めるように研鑽を積みなさい。」
まだ、五歳のトレナール王子には何のことか分からなかったみたいだが、その翌日から正妃と側妃以外の周囲の人達の王子に対する対応に丁重さがなくなったらしい。
王とすれば早いうちから臣下として振舞うことを学ばせる意図があったようだが、トレナール王子は侍女や侍従たちの対応が明らかに兄二人と違うことに戸惑ったみたい。
それでも、聡明なトレナール王子は家庭教師の言うことをよく聞いて領地経営の基礎や心構えをちゃんと勉強したとのこと。
トレナール王子が奇行に走る決定的な転機が訪れたのが八歳の時、三ヶ国連合では共同で設立した貴族学校があり、そこで五年間寄宿生活を送りながら、貴族として必要な知識を身につけるそうなの。
三ヶ国とも小国であることから一学年の人数は少ないが、王族と上級貴族の子女からなるクラスと下級貴族の子女のクラスの二つに分かれるらしい。
それぞれ必要な知識や素養が異なるからということみたい。
ここで、王族でありながらトレナール王子は下級貴族のクラスに入れられたらしい。
やはり、成人して男爵になったときの心構えを学ばせるためだったみたい。
エフォールさんの話だと、成人したときに困らないようにと王なりの親心だったそうだ。
ちょうどその時、次兄は最高学年におり当然王族と上級貴族のクラスにいた。
王族でありながら王族とみなされない自分と次兄の扱われ方の差異に愕然としたらしい。
王族として皆から敬われる次兄と王族でありながら下級貴族として扱われ上級貴族から見下される自分、まだ八歳の幼子の精神が歪んでしまうのも仕方がないかもしれない。
ただ、貴族学校に入学して最初の頃はトレナール王子も、王族として認めてもらおうと頑張ったらしい。学業成績は非常に優秀だったそうだ。
しかし、いくら頑張っても王族として扱われないことに落胆したトレナール王子は授業のとき意外は自分の部屋に閉じこもって出てこなくなったみたい。
そんなトレナール王子がはまってしまったのが流行の草紙本だったのね。
特に不遇な境遇に生まれた主人公がのし上がる『下克上』モノにはまったらしい。
この頃から、三ヶ国連合の外交姿勢を弱腰外交だと公然と批判をするようになったり、魔導王国の血筋に拘るようになったりし始めたみたい。
あの妙な髪形もこの頃からするようになったとのこと、どうやら昔の絵画や彫刻などから魔導王国の王侯貴族があのような髪型をしていたことを知ったらしい。
あの髪型は、トレナール王子なりの魔導王国の血を引いているのだと言う自己主張だそうだ。
よかった、西大陸の王族がみんなあのような髪形をしているのかと思ったよ。
やっぱり、トレナール王子が変なだけなんだ。
そして、トレナール王子は『下克上』をするのだと言って、歴史やら国際情勢やらを猛然と勉強し始めたそうだ。
そんな中で知ってしまった重要機密が、三ヶ国の王家には魔導王国の王家の指輪が一つずつ保有されているけれど王族の誰一人としてそれを光らせることができる者はいないと言うこと。
その時から、トレナール王子は、自分がその指輪を光らせることができれば、もしくは指輪を光らせることができる者を伴侶に娶れば王座に手が届くのではないかと思い始めたらしい。
トレナール王子が単なる頭がアレな人と違うのは、凄い努力ができることと人一倍行動力があることだとエフォールさんは言う。
指輪を光らす秘密が隠されているのも、魔導王国の王家の血筋が残されているのも東大陸に違いないと考えたトレナール王子は、帝国語と王国語を猛勉強し今では流暢に会話がこなせるようにまでなってしまったそうだ。
何、ある意味わたしに会うために王国語を勉強したってか、凄い執念だ…。
そして、わたしの情報を掴んだ途端に離宮を抜け出して王国までやってきたと。
**********
「ということで、貴族学校の頃から奇行が目立ち始めた殿下に領地を任せるのは多大な不安があるため、成人した今でも男爵として臣籍降下することは保留となっています。
現在は離宮にて蟄居を命じられているのですがこの有様で、正直手を焼いているのです。」
そう言ってエフォールさんはトレナール王子の生い立ちを締めくくった。
エフォールさんの話を聞いて考え込んでいたミルトさんは尋ねた。
「トレナール王子の今の言動って演技なのかしら。
一度臣籍降下してしまえば王族には戻れないでしょう、王族に留まるために頭が変になった振りをしているとは考えられない?
どうも、王族であることにかなり執着を見せているように聞こえるから。」
それ、私も思った。
あの王子、なんでそうなるのって感じで結論が飛躍しているけど、途中までは凄くまともなことを言っていて頭が変な人には思えなかった。
だいたい、頭のおかしい人が西大陸からここまでスムーズに来れる訳がないと思うの。
しかも、エフォールさんの追跡をかわしながら来たのだものね。
「いえ、それが私にもわからないのです。
殿下が王族であることに執着しているのは確かですが、そのために頭が変な振りをしているとは思えないのです。
目が真剣そのものなのです。
あの目は芝居をしているのではなく本気でそう考えている目です。
何と表現したら適切なのか分からないのですが、価値観、判断基準、常識、そういうものが一般の人とずれてしまっているのだと思います。
そういった意味ではやはり頭のおかしい人で間違いないと思います。」
エフォールさんの見解を聞いたミルトさんは何か考え込んでいるようで、エフォールさんの発言が終わっても黙り込んでいる。
**********
しばらく俯いて考えに耽っていたミルトさんであったが、やがて顔を上げるとエフォールさんを見据えて言った。
「それがあなたの見解なのね。よくわかりました、有り難う。
聞きたい事はこれで全部聞いたわ、協力に感謝します。
それで、最後にこちらから提案があるのだけどよろしいかしら。」
「は? 提案とはどのようなことでございましょうか?」
提案といわれても思い当たることのないエフォールさんは怪訝な顔をしている。
「あなた、あの王子の側近なんか辞めてうちに来ない?」
ミルトさんはこの日一番の笑顔でそう言うのであった。
「私は平民の出なので殿下の側近になる以前のことは伝聞でしか知りません。
それと、当然のことながら守秘義務に抵触することも話せません。
それでよろしいでしょうか。」
「ええ、勿論よ。
職務上守秘義務にかかることをペラペラ話すような人は信用できませんもの。」
ミルトさんの返答を受けてエフォールさんは話し始めた。
「最初に知っていただきたいのは、我が国では王位継承権は正妃の子にしかないことが法に定められています。
そして、トレナール殿下は側妃の子であり、王位継承権はございません。
私はこの点が殿下が奇行に走るきっかけになっていると思います。」
側妃の子として生まれたトレナール王子は側妃に愛情をいっぱい注がれて幼少の頃を過ごしただけではなく、心優しい正妃にも可愛がられていたそうだ。
その頃は奇行が目立つわけでもなく、むしろ聡明な子供として周りから賞賛されていたみたい。
殿下に最初の転機が訪れたのは五歳の時、父である王に呼ばれてこう言われたらしい。
「お前には王都の隣にある町を与える、男爵としてその町をうまく治めるように研鑽を積みなさい。」
まだ、五歳のトレナール王子には何のことか分からなかったみたいだが、その翌日から正妃と側妃以外の周囲の人達の王子に対する対応に丁重さがなくなったらしい。
王とすれば早いうちから臣下として振舞うことを学ばせる意図があったようだが、トレナール王子は侍女や侍従たちの対応が明らかに兄二人と違うことに戸惑ったみたい。
それでも、聡明なトレナール王子は家庭教師の言うことをよく聞いて領地経営の基礎や心構えをちゃんと勉強したとのこと。
トレナール王子が奇行に走る決定的な転機が訪れたのが八歳の時、三ヶ国連合では共同で設立した貴族学校があり、そこで五年間寄宿生活を送りながら、貴族として必要な知識を身につけるそうなの。
三ヶ国とも小国であることから一学年の人数は少ないが、王族と上級貴族の子女からなるクラスと下級貴族の子女のクラスの二つに分かれるらしい。
それぞれ必要な知識や素養が異なるからということみたい。
ここで、王族でありながらトレナール王子は下級貴族のクラスに入れられたらしい。
やはり、成人して男爵になったときの心構えを学ばせるためだったみたい。
エフォールさんの話だと、成人したときに困らないようにと王なりの親心だったそうだ。
ちょうどその時、次兄は最高学年におり当然王族と上級貴族のクラスにいた。
王族でありながら王族とみなされない自分と次兄の扱われ方の差異に愕然としたらしい。
王族として皆から敬われる次兄と王族でありながら下級貴族として扱われ上級貴族から見下される自分、まだ八歳の幼子の精神が歪んでしまうのも仕方がないかもしれない。
ただ、貴族学校に入学して最初の頃はトレナール王子も、王族として認めてもらおうと頑張ったらしい。学業成績は非常に優秀だったそうだ。
しかし、いくら頑張っても王族として扱われないことに落胆したトレナール王子は授業のとき意外は自分の部屋に閉じこもって出てこなくなったみたい。
そんなトレナール王子がはまってしまったのが流行の草紙本だったのね。
特に不遇な境遇に生まれた主人公がのし上がる『下克上』モノにはまったらしい。
この頃から、三ヶ国連合の外交姿勢を弱腰外交だと公然と批判をするようになったり、魔導王国の血筋に拘るようになったりし始めたみたい。
あの妙な髪形もこの頃からするようになったとのこと、どうやら昔の絵画や彫刻などから魔導王国の王侯貴族があのような髪型をしていたことを知ったらしい。
あの髪型は、トレナール王子なりの魔導王国の血を引いているのだと言う自己主張だそうだ。
よかった、西大陸の王族がみんなあのような髪形をしているのかと思ったよ。
やっぱり、トレナール王子が変なだけなんだ。
そして、トレナール王子は『下克上』をするのだと言って、歴史やら国際情勢やらを猛然と勉強し始めたそうだ。
そんな中で知ってしまった重要機密が、三ヶ国の王家には魔導王国の王家の指輪が一つずつ保有されているけれど王族の誰一人としてそれを光らせることができる者はいないと言うこと。
その時から、トレナール王子は、自分がその指輪を光らせることができれば、もしくは指輪を光らせることができる者を伴侶に娶れば王座に手が届くのではないかと思い始めたらしい。
トレナール王子が単なる頭がアレな人と違うのは、凄い努力ができることと人一倍行動力があることだとエフォールさんは言う。
指輪を光らす秘密が隠されているのも、魔導王国の王家の血筋が残されているのも東大陸に違いないと考えたトレナール王子は、帝国語と王国語を猛勉強し今では流暢に会話がこなせるようにまでなってしまったそうだ。
何、ある意味わたしに会うために王国語を勉強したってか、凄い執念だ…。
そして、わたしの情報を掴んだ途端に離宮を抜け出して王国までやってきたと。
**********
「ということで、貴族学校の頃から奇行が目立ち始めた殿下に領地を任せるのは多大な不安があるため、成人した今でも男爵として臣籍降下することは保留となっています。
現在は離宮にて蟄居を命じられているのですがこの有様で、正直手を焼いているのです。」
そう言ってエフォールさんはトレナール王子の生い立ちを締めくくった。
エフォールさんの話を聞いて考え込んでいたミルトさんは尋ねた。
「トレナール王子の今の言動って演技なのかしら。
一度臣籍降下してしまえば王族には戻れないでしょう、王族に留まるために頭が変になった振りをしているとは考えられない?
どうも、王族であることにかなり執着を見せているように聞こえるから。」
それ、私も思った。
あの王子、なんでそうなるのって感じで結論が飛躍しているけど、途中までは凄くまともなことを言っていて頭が変な人には思えなかった。
だいたい、頭のおかしい人が西大陸からここまでスムーズに来れる訳がないと思うの。
しかも、エフォールさんの追跡をかわしながら来たのだものね。
「いえ、それが私にもわからないのです。
殿下が王族であることに執着しているのは確かですが、そのために頭が変な振りをしているとは思えないのです。
目が真剣そのものなのです。
あの目は芝居をしているのではなく本気でそう考えている目です。
何と表現したら適切なのか分からないのですが、価値観、判断基準、常識、そういうものが一般の人とずれてしまっているのだと思います。
そういった意味ではやはり頭のおかしい人で間違いないと思います。」
エフォールさんの見解を聞いたミルトさんは何か考え込んでいるようで、エフォールさんの発言が終わっても黙り込んでいる。
**********
しばらく俯いて考えに耽っていたミルトさんであったが、やがて顔を上げるとエフォールさんを見据えて言った。
「それがあなたの見解なのね。よくわかりました、有り難う。
聞きたい事はこれで全部聞いたわ、協力に感謝します。
それで、最後にこちらから提案があるのだけどよろしいかしら。」
「は? 提案とはどのようなことでございましょうか?」
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