怪物と言われた皇太子のメイドになります

上野佐栁

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すれ違う心

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 今晩は。マリアです。私は今、とても落ち込んでいます。なぜかと言うと、前回の話で、私の秘密がばれ。殿下が大いに怒り、そのまま喧嘩⁇になり追い出されて、二日が経過。
 「はぁー」
 「なにあれ?」
 「ものすごいため息」
 「なにがあったのかしら?」
 このまま、殿下の専属メイドを外されたらどうしよう。あんな可愛い子猫ちゃんを手放したくない‼︎
 「......なに言ってるんだろう。私」
 「マリアは居るかしら?」
 「メイド長どうかしたんですか⁇」
 「陛下が貴方をお呼びよ」
 「......え」
 びっくりした拍子に皿が手からずり落ちる。
 「あっぶな‼︎」
 「ギリギリセーフね」
 「早く行ってちょうだい」
 「は、はい!」
 数分後
 「来たな」
 「この国の希望そして光。皇帝陛下に精霊の加護がありますように」
 「挨拶はいい。単刀直入だが、マリア、宝石眼とは本当か⁇」
 「......はい」
 「なぜ黙っておった?お前ならこの意味がわかるはずだ」
 「......はい」
 わかっている。宝石眼の場合は皇帝に知らせる義務があるのだ。でも母は、私が宝石眼という事を隠した。真実を隠して、この目を亡き者にしたかったからだ。
 「理由はあるのか?」
 「......いいえ」
 「じゃあなぜ黙ってた?正直に言ったほうが良いぞ?」
 「......」
 なんて言えばいいの?この目は気持ち悪いからなんて言ったら王族を侮辱した事になる。最悪の場合死刑になる。
 「......怖かったからです」
 「怖かった?なぜ?」
 「......偽物だって言われてこの目を失うのが怖かったんです‼︎」
 やばい。涙が溢れ落ちる。制御がもう効かない。
 「......そうか」
 「も、申し訳ありませんでした」
 「よい。お前はこれから王族の人間として......」
 「殿下の専属メイドを外さないでください‼︎」
 しーん
 や、やばい。なに言ってるんだ?皇帝に向かってあんな事を。終わった。短い人生だったな。あ、ははは。
 「そんなに息子の事が気に入ったのか⁇」
 「で、殿下のお側に居たいからです」
 真剣な眼差し。嘘偽りもなくその純粋な瞳はとても綺麗だった。
 そのあとなんやかんだあり、殿下の専属メイドを続けられる事になった。私が宝石眼という事はこれからも殿下と皇帝以外には秘密だ。
 マジで死ぬかと思った。
 「......殿下」
 「なにしに来た?出て行け」
 「......いやです」
 「は?」
 「私は貴方のお側に居ます。約束をしました。だから出て行きません」
 「出て行けって言ってるだろうが‼︎」
 パキッグサッ
 「ゔっ‼︎」
 「え?」
 花瓶の破片が頬に当たった!?右頬から血が。
 「あ、ああ......お、俺は悪くない。お前が悪いんだ!出て行けよー‼︎」
 ドンッ
 「きゃっ!?」
 ゴンッ
 「......っ!?」
 「......え。マリア?返事しろよ?なぁ?無視するなよ?」
 「......」
 「ま、マリア?」
 「......」
 「なぁ?マリア⁇返事してくれよ?」
 どうしてこうなったの?ただ貴方に笑ってほしいだけなのに。
 「お、俺が⁇俺は悪くない‼︎悪いのはマリアだ‼︎出ていかないから‼︎」
 「......」
 わかっている。自分が悪いぐらいわかる。でも認めてしまったら本物の怪物になる。嫌だ。マリアには笑ってほしかった。違うところで君の笑顔になれると信じて疑わなかった。
 「ご、ごめん......」
 もうなにも望まない。
 「俺は人殺しだ......」
 ルーブス殿下の心には深いきずが出来なのであった。
 ちなみにマリアは死んでいません‼︎
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